ベータセクレターゼとアミロイド・BACE阻害剤
概要
アミロイド前駆体タンパク質(APP)の2つの切断経路が存在する
・非アミロイド形成経路であるαセクレターゼ経路
・アミロイド形成経路であるβセクレターゼ経路
アルツハイマー病における老人斑を形成するアミロイドβ40、アミロイドββ42の産生には、まず最初に細胞外でβセクレターゼによって切り出される必要がある。
βセクレターゼ(BACE1)阻害因子
ジンセノサイドRg1
ジンセノサイドRg1はβセクレターゼ活性を阻害する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20183297
ベニコウジカビ(Monasucus purpureus)
ベニコウジカビ抽出物(Monasucus purpureus)は試験管研究においてβセクレターゼ活性を抑制し、sAPPα分泌の増加をもたらした。
動物モデルにおいてベニコウジカビ抽出物は、記憶障害を強力に逆転させた。
pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jf904027y?src=recsys&journalCode=jafcau
ネフェリン(霞石)
BECE1阻害活性および、NF-κBの顕著な抑制作用に伴って、一酸化窒素への中程度の阻害活性を有する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20736023
ヒスピジン(Phellinus linteus)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14994192
光るキノコ(ヤコウタケ)
スペインカンゾウ(Glycyrrhiza glabra)
甘草抽出物2,2′,4′-Trihydroxychalcone (TDC)はBACE1活性およびアミロイドβレベルを最も強力に低下させる能力を示す天然化合物
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20412384
ポリメトキシフラボン(ノビレチン、タンゲレチン、シネンセチン)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5622733/
ノビレチン投与パイロット研究 ドネペジル未投与のアルツハイマー病患者の認知障害の進行を予防効果を示す。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23286569/
薬剤
ロバスタチン
ロバスタチンはイソプレノイド経路、コレステロール機構両方を介して、βセクレターゼの二量体化を阻害する。
低用量スタチンは、高用量スタチンよりもアルツハイマー病の治療に有益であり得る。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2707757/
エストロゲン(βエストラジオール)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26593275
テストステロン
内因性テストステロンがBACE1活性のダウンレギュレーションを介して、男性のアルツハイマー病に対して保護作用を寄与し得る。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20505099/
βセクレターゼ活性
メトホルミン
メトホルミンはβセクレターゼの転写アップレギュレーションを介して、アミロイドβ産生を増加させる。AMPKの阻害は、メトホルミンのアミロイドβ産生およびBACE1転写の効果を顕著に抑制する。
高糖尿病薬単独治療では、糖尿病高齢者に有害な作用をおよぼすが、メトホルミンと併用することでアミロイドβレベルを低下させる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19237574
グルココルチコイド
HPA軸の障害などによって生じるストレスによるグルココルチコイドの過剰分泌が、APPβ切断酵素を増加させアミロイドβ形成を増加させる。
さらにグルココルチコイドはタウの蓄積を増加させ神経原線維変化が生じることを示唆する。
アルツハイマー病において見出されるグルココルチコイドの上昇は、アルツハイマー病の進行において中心的な役割を果たすことを示唆する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16943563/