神経保護ホルモン プレグネノロン 

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プレグネノロン情報 認知症・アルツハイマー

神経ステロイド

中枢神経内のステロイドホルモンは一般的に神経ステロイド、または神経活性ステロイドと定義される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1912947/

神経ステロイドはグリア細胞、ニューロンでコレステロールからデノボ合成される。副腎や生殖腺による抹消でも合成されるが、神経ステロイドの濃度は末梢よりも中枢神経系が高い。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11750861/

神経ステロイドの種類

  • プレグネノロン
  • デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)
  • 硫酸プレグネノロン
  • 硫酸デヒドロエピアンドロステロン(DHEA-s)
  • プロゲステロン
  • 5α-ジヒドロプロゲステロン
  • 3α、5α-テトラヒドロプロゲステロン(デヒドロコルチコステロン)
  • テトラヒドロステロデオキシコドン
神経ステロイドの役割

神経ステロイドは、鎮静、麻痺、抗けいれん、気分など脳の興奮性を調節する神経細胞の内因性モジュレーターであるとの証拠が増えてきている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23253178/

γアミノ酪酸、NMDA、シグマ1受容体などの調節因子としてこれまで報告されてきていることから、神経可塑性、不安神経症、ストレス応答、アルツハイマー病の神経症状に影響を与えると考えられている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15694225/

神経ステロイドの減少

アルツハイマー病患者の低い神経ステロイド

アルツハイマー病患者では、脳内の神経ステロイドレベルの低下が脳の多くの領域で見出された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20045216/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12414884/https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20045216/

社会的孤立による神経ステロイド減少

離乳後のラットの社会的隔離は、大脳皮質、海馬、血漿中のプレグネノロン、プロゲステロン、アロプレグラノロン、アロテトラヒドロデオキシコルチコステロンの濃度の著しい低下と関連していた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10899949/

糖尿病

糖尿病が誘発されたラットは、神経ステロイドレベルの影響を強く受けることが示された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17686551/

神経ステロイドの作用

神経ステロイドによる学習能力・記憶能力の改善

エストロゲン、プロゲステロンの組み合わせ投与は、タウの過剰リン酸化を有意に減少させる。これらのホルモンはステロイドホルモンの一般的効果とは独立していることを示唆する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18045930/

外傷性脳損傷

プロゲステロン投与は、低用量、高用量ともに外傷性脳損傷モデル動物の炎症反応、アポトーシス調節の遺伝子発現に倍以上の影響をおよぼした。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21770760/

神経ステロイド プレグネノロン

おばあちゃんホルモン

プレグネノロンは、エストロゲン、テストステロン、コルチゾールなどあらゆるホルモンの元となるマスターステロイド。

プレグネノロンがなければ、上記にあげたすべてのホルモンを作ることはできない、それゆえグランドマザーホルモン(おばあちゃんホルモン)とも呼ばれる。

資源的に限られた量

プレグネノロンはコレステロールから作られるが、プレグネノロンの変換酵素は限られており、大量のエネルギー(ATP)を必要とする。

つまりプレグネノロンは資源的にも限られている貴重なホルモンと言える。

代謝経路によって異なる産生ホルモン

プレグネノロンは多くのホルモンを産生するが、どのホルモンをどれだけ作るかは決定されていない。

ストレスのある状況ではプレグネノロンからコルチゾールが作られ、エストラジオールやテストステロンの産生能力が低下することがしばしば発生する。

プレグネノロン・スティール(プレグネノロン盗み)

HPA軸のストレスによりプレグネノロンの代謝経路がコルチゾール側に傾いてしまい、DHEA産生が低下してしまう現象。

「pregnenolone」の画像検索結果

プレグネノロンスティール対策

低用量摂取
リコード法では、このプレグネノロンスティールを防ぐため、25mgを超えない低用量が設定されている。
HPA軸機能不全の改善

ストレス(HPA軸)の不全と関連してプレグネノロンの代謝は炎症経路に傾くため、ストレスを減らしていくことが求められる。

プレグネノロンはコルチゾールレベルと血清プレグネノロンレベルを測定し、必要量を判断していく。

コルチゾールなどの測定からストレスが低下しており、血清プレグネノロンがリコード法での最適値(50~100ng/dL)下回る場合、増量を検討する。

アルツハイマー病

アルツハイマー病患者の低いプレグネノロン

リコード法の3型アルツハイマー病患者では血清プレグネノロンの低値が示唆されている。

アルツハイマー病改善目的の摂取量は確立されていない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4931830/

アルツハイマー病患者の高いDHEA・プレグネノロンレベル

アルツハイマー病患者の脳脊髄液では、DHEAおよびプレグネノロンレベルが上昇している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18477662

アミロイドβによるプロゲステロンの低下

動物の脳にアミロイドβを注入すると、プレグネノロンの代謝物である神経ホルモンプロゲステロンが劇的に低下する。

プレグネノロンの作用

プレグネノロンの認知機能増強効果

プレグネノロンと認知能力の相関

老化、アルツハイマー病と関連して記憶低下の原因となる因子のひとつ。

プレグネノロン硫酸の脳内濃度と認知能力には有意な相関がある。

脳の可塑性

プレグネノロンは認知機能障害、特にアルツハイマー病において脳の可塑性と関わる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2386997/

アセチルコリンの増加

プレグネノロンはアルツハイマー病患者の脳内アセチルコリン濃度を上昇させる

海馬神経再生

プレグネノロンが海馬神経新生の調節において、神経ステロイドの役割を果たしている。

プレグネノロンは、シナプスを持続的に増強することによって成人の海馬顆粒細胞の生存を促進する。in vivo

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21111750

 

プレグネノロンの神経保護効果

大麻中毒からの脳保護効果

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4057431/

抗ストレス

www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0960076015300893?via%3Dihub

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15891777

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15550947

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20707675

GABA受容体を介した抗不安作用

プレグネノロンはGABA受容体に作用し、脳細胞活動を抑制、鎮静作用、抗不安作用、睡眠誘導効果をもつ。

onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/pcn.12150

プレグネノロンはニコチンやアルコールなどによる記憶障害、不安行動に対抗する作用を示す。

www.lifeextension.com/magazine/2007/11/report_pregnenolone/Page-01

NMDAの神経調節効果

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11861317/

シグマ1受容体への作用

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16310966

記憶

記憶増強・抗うつ・運動活性

プレグネノロンおよびその誘導体は、学習および記憶を強化し、うつ病を軽減、運動活性を増強し、神経細胞の生存を促進する。

微小管、神経伝達物質の受容体に作用し、微小管を安定化、細胞内へのイオンの流入を増加させ、ドーパミンの放出反応を誘発する。プレグネノロンの広範囲の作用は、神経疾患治療において大きな可能性をもつ。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26844377

記憶の改善と悪化

プレグネノロンは海馬のアセチルコリンの増加と関連して、ラットの空間記憶課題の成績を改善する。一方で、齧歯類で実施されたいくつかの研究では、モリス迷路で記憶の劣化を示す結果も存在する。議論が分かれている神経ステロイド。

www.if-pan.krakow.pl/pjp/pdf/2010/2_265.pdf

その他

深い睡眠

プレグネノロンとその誘導体であるアロプレグネノロンは、動物研究で遅波睡眠に関与し、深い睡眠を誘導した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23092405

ライフエクステンションの記事

www.lifeextension.com/magazine/2007/11/report_pregnenolone/Page-01

プレグネノロンの副作用・危険性

www.raysahelian.com/pregnenolone.html

プレグネノロンの摂取量

プレグネノロンはステロイドホルモンの中では安全な部類に入る。

過去の投与研究では100~500mg/日がヒトにおいて安全であることが示されている

100mgまでの長期使用は安全だと考えられている。

一般健常者は一日10mgまでにすべきという内分泌学者もいる。

リコード法推奨量の目安

血清プレグネノロンの基準値に合わせて増減。

現在 リコード法のアップデートにより、血清基準レベルが大幅に増加した。

残念ながら、以前は受けることのできた国内でのプレグネノロン検査が受けられなくなったという報告をいくつかもらっている。

新しい基準値ではほぼ全員がリコード法のプレグネノロン最適値に達していないと考えることができる。おそらく100mgは必要。

寝る前の摂取

低用量 10mg/日 からスタート、25mg/日まで増やす。最大で50mgまで。ただし悪夢を見るなど睡眠を阻害する場合は量を減らすか、同量のDHEAと組合わせる。

朝 血清検査次第だが、新基準ではほとんどの患者さんで100mg~以上(午前中~昼の摂取)が必要となる可能性が高い。

  • 健康な人の開始摂取量:5mg~/日(さらに少ない量が適正量であることもある)
  • 一般的な摂取量(低用量):40歳以上 25~50mg/日

最適量は検査が前提だが、摂取して夜間に悪夢を見る場合は量を減らしたほうが良いかもしれない。

25mgを超える用量

プレグネノロンの用法用量はその人の代謝能力、代謝経路に依存する。

HPA軸不全がある状態では、高用量はコルチゾールを産生し炎症リスクが高まるかもしれない。

プレグネノロンを摂取後不安感が高まったり、攻撃的になったりしている場合コルチゾールに代謝されている可能性がある。

プレグネノロンの血清レベルが50~100ng/dLの最適値内であり、炎症が見られなければ、プレグネノロンの摂取量を増やすことができる。

運動との併用

運動を行う人ではプレグネノロンをその他のホルモンへと代謝する能力は高く、一日あたりの摂取量がより高いほうが望ましいかもしれない。

また運動前に高用量を摂取することで短期的なコルチゾールスパイクを誘発させ、運動ベネフィットを得る方法もありうる。

 

サプリメント

日本ではプレグネノロンは2019年より個人輸入禁止対象となった。

www.asahi.com/articles/ASKCG66DZKCGULBJ016.html

高額だが一部の医療機関で入手が可能。

海外の一部の通販会社で入手できたという報告をもらっている。

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