プラズマローゲンについて調べてみた

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プラズマローゲン 認知症・アルツハイマー

 

概要

はじめに

最近よくあちこちのサイトで目にするプラズマローゲン、なんだか名前からして怪しい(笑)

しかし、調べてみるとリン脂質の一種で、特定の分子化合物を言うのではなくグリセロリン脂質の中のある分類されるビニルエーテル型リン脂質というサブクラス名でもあり、れっきとした薬理学用語だった。(汗)

 

プラズマローゲンは全リン脂質の20%を占め、心臓、腎臓、筋肉、白血球、水晶体等々体のあちこちに大量に含まれている。特に脳や、中枢神経系に多く存在する。

プラズマローゲンは多くの生理学的な役割をもち、ペルオキシソームとよばれる細胞内の細胞小器官で合成がおこなわれている。

脳内のプラズマローゲンは30歳前後でピークに達し、老化とともに減少していく。

アルツハイマー病患者さんの海馬、前頭葉、血液中のプラズマローゲンが大きく不足している、という研究報告があって、プラズマローゲンの欠乏とアルツハイマー病の間に何か関連があるのではないかと研究がなされていたらしい。

いくつかの臨床報告を呼んだが、反応する人としない人がいて、一部の反応する人(レスポンダー)には大きな効果があるようだ。そのせいだか知らないが事例報告が強調されている印象もある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28259590/

プラズマローゲンの潜在的な効能

・細胞の酸化ストレスから保護する役割(特に、スーパーオキシド、一重項酸素)

・他の脆弱な膜脂質の酸化の身代わりとなって、終結させる。(犠牲酸化剤)

・オメガ3系脂肪酸の保管庫

・海馬ニューロンの細胞死(アポトーシス)を阻害。(Akt、Erkリン酸化の促進)

・プラズマローゲンに付随するDHAが脂質メディエーターとして炎症反応を調節する。

・脂質シグナル伝達の不均衡を整える。

・ミエリンを酸化ストレスから保護する

プラズマローゲン欠乏

プラズマローゲンであるエーテル脂質はさまざまな生理学的役割を有し、特にエキソサイトーシス、エンドサイトーシスの働きに重要な役割を果たす。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8810047/

エーテル脂質の欠乏は、原形質膜へのAKT(プロテインキナーゼB)の動員を損ない、その結果、リン酸化を阻害し、GSK-3βの過剰活性化を引き起こす。

プラズマローゲンの欠乏は神経細胞の鞘であるミエリンの安定性を損ねる可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24762439/

プラズマローゲン欠乏は、AAとDHAの比率の増加をもたらすことで、免疫学的なバランスを炎症誘発性の方向にシフトさせ、ミエリン異常と関連して軸索損傷および喪失を引き起こす。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22458306/

プラズマローゲンの急激な減少は、ミクログリア活性化、および炎症性サイトカインのアップレギュレーションを促進する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28292831/

不可解な作用機序と臨床研究結果

などなど、プラズマローゲンの欠乏が有害である可能性はありるのだが、実際にはプラズマローゲンがなぜ治療効果を発揮するのか作用機序は明確になっていない。

そもそも脳の構成成分の60%のうちリン脂質は25%、そしてプラズマローゲンその20%を占める。脳内のプラズマローゲンは42g(42000mg)、そして有効と考えられているプラズマローゲンの投与量は0.5mg。

これは、数ヶ月プラズマローゲンを投与したとしても、脳内のプラズマローゲン全体の0.1%に満たない量だ。

しかもプラズマローゲンおよびプラズマローゲン前駆体はいずれも、血液脳関門を効率的には通過しないことがわかっている。

そのため、研究者の間でも臨床結果に対して不可解な疑問符がついている。

 

食品に含むプラズマローゲン

ひとまず作用機序の不可解さはさておくとして、市販でサプリとして売られているプラズマローゲンの価格はアルハカ家には厳しく、安くすませたいので、食べることでなんとかならないかと、まず食品のプラズマローゲン含有量を調べてみた。

引用元:www.oilsfats.org.nz/wp-content/uploads/2016/02/Dawn-Scott-Nelson-talk-Nov-2016.pdf

現実的に入手可能な範囲で多く含まれているものをピックアップすると、ムラサキイガイ、豚肩、ラム、タコ、アサリ、鶏胸肉、鶏皮、卵黄あたりか? 100g食べれば数十mgは摂れそうだ。

 

問題は生体吸収率(バイオアベイラビリティ)である。これが低ければ、いくら食べたところで吸収されずに終わってしまう。

これについても調べてみたが、プラズマローゲンにはコリン型PlsChoとエタノールアミン型PlsEtnに大きく二別され、ラット試験だが食べ物からのリンパ管での吸収率はコリン型で2%エタノールアミン型で0.4%だそうで、おそらくヒトでも吸収はほとんど期待できなさそうだ。

 

そもそも0.5mgで効果があるというのが謎なのだが、この0.5mgはどれだけ吸収されるのだろうか? もしサプリメントで50~100%ぐらい吸収できるとして、同程度の効果を求めようと思えば胸肉を最低でも1kg以上は食べなければならなくなる。

しかしサプリメントの吸収率も食品ほどではないにしても10%とか、それなりに悪ければ、プラズマローゲンを多く含む食品を、毎日現実的な量を意識して食べるだけで間に合いそうにも思える。

 

DHAと結合するプラズマローゲン

ただ、その後調べているうちにわかったことだが、プラズマローゲンはDHAと結合をすることで、アミロイドβを凝集、抑制作用をもつらしい。

他のグリセロリン脂質とDHAが結合してもアミロイドβの凝集、抑制作用はない。プラズマローゲンなら何でもいいというわけでもなさそうだ。

 

ホタテと鶏の胸肉を比べると、ホタテに含まれるプラズマローゲンのほうが臨床効果が高いようだ。

下の図を見るとホタテに含まれるプラズマローゲンが多くのDHAやEPAと多く結合していて、そのあたりがホタテに有利に関係しているものと思われる。

引用元:plasmalogen.me/en/plasmalogen-2-2/(英語)

 

ということで胸肉よりもホタテのほうが良さそうだ。正確にはホタテの実の部分ではなく、貝ひもに多いらしい。これなら安く手に入るかも。

だが「貝ヒモではほとんど体内には吸収されない」と関係者は語っている。

どこまで本当なのかはわからない…

 

必要摂取量

プラズマローゲンは多くとって効果を発揮できないものらしい。むしろ効果が下がってしまう。

 

引用元:plasmalogen.me/en/clinical-trial/

この研究では一番少ない量を0.5mgを一日2回投与されたグループが、一番高い改善率を見せている。多ければいいというものでもなさそうだ。

 

これは食べ物でも同じなのだろうか、だとすると食品からの摂取したい場合は適量をある程度正確に算出しないといけなくなるな。

人によっても食品によっても吸収率や利用率は変わってくるだろうから、これは計算がややこしくなってくるぞ。

 

グラフをざっと概観するなら、プラズマローゲン投与で一番高い改善率を見せたグループは、全体のうち2割で、残り75%が変化なし、残りは悪化。プラセボグループは悪化が20%、2割の人に著効。効く人には効くといったところだろうか。

ただ悪化グループもプラセボ郡と比べると減少しているので、変化が見られなかった人の一部にも抑制効果はあると見たほうがいいだろう。

 

この図だけで判断すると、全体としては3割程度の人にはっきりとした臨床的な効果があったと言えるかもしれない。

プラズマローゲンの代替策

プラズマローゲンの前駆体

で、さらに調べているうちに、プラズマロゲーンそのものではなく、アルキル型リン脂質と言われる種類の脂質を摂取しても、小腸で体内酵素によりプラズマローゲンに代謝されるということがわかった。

アルキル型リン脂質はプラズマローゲンの前駆体になる。

調べたらアルキル型リン脂質はオキアミに多く含まれるため、すでに市販されているオキアミから抽出したクリルオイルを摂ればいいのではないか?

…と思ったら、すでにそういう論文が存在した。

クリルオイルで認知機能をターゲットにした機能性食品を作る動きがあるようである

 

プラズマローゲン自体は酸に弱いらしく、経口摂取でも届きはするらしいものの、やはりいくらかの損失は免れないだろう。

また前駆体だとプラズマローゲンの最適量を調整してくれるかもという期待もある。

参考元:http://www.teikyo-u.ac.jp/affiliate/tokkyo_5934483.pdf

上記の特許公報を流し読みすると、プラズマローゲン前駆体が含まれる天然物にはプラズマローゲンも混合されていることが多いらしい。

プラズマローゲンが含まれている方が良さそうにも思えるが、記述によるとプラズマローゲンががまったく含まれていないか、含まれていたとしてもプラズマローゲンの比率が少ない方がよいらしい。

プラズマローゲンの前駆体(クリルオイル)はプラズマローゲンと一緒には摂らないほうが良いとのこと。

また、プラズマローゲン前駆体を長期常温保存すると、変質して過酸化リン脂質になるため、冷蔵保管、短期消費が推奨される。

ムラサキイガイ

「mussel powder」の画像検索結果

プラズマローゲンを含むサプリメントとして、ムラサキイガイの粉末がニュージーランドで売られている。主に関節炎などの炎症治療として使わているらしい。

概算だが含有量は100gで2mgぐらい。粉末重量だと10 gで2mgぐらいと思われる。プラズマロゲーン市販品と同量摂ろうと思えばムラサキガイパウダー一日5g摂ればいいということか、、ちょっときついな、コストも高くなってしまう。

それに貝パウダーでどれだけ生体利用できるかもわからない。

 

ただ、アルツハイマーではないものの、これまで抗炎症目的でずっと使われてきた実績があるため、それがプラズマローゲンに関係するものであれば、それなりに吸収利用はされてはいるのかもしれないが、現実的かと言われるとそうとも言えない。

 

体内からのプラズマローゲン合成

後は、プラズマローゲンは体内でも合成されているため、体内からの合成を活性化させる方法がある。いやこっちの方が本当は大事かも。

すでに述べたように、リン脂質の20%がプラズマローゲンなわけだから、サプリメントをたかだか0.5mg摂ったからといってまともな補充量になるとも思えない。

そもそも補充としてのプラズマローゲンの効果があるなら、投与量が多いほうが効果が高いはずである。

プラズマローゲンサプリメントが改善効果をもつとすれば、それ自身の保護効果というよりも、何らかの刺激因子として作用しているのかもしれない。

 

細胞内に長鎖脂肪酸のβ酸化などが行われるペルオキシソームと言われる細胞小器官があって、そこでプラズマローゲンも合成される。

そのため受容体であるPPARを刺激することで、プラズマローゲンの産生も増えるということが考えられる。

 

まとめ

臨床研究結果のデータだけを見るなら効果がある可能性はあるが、プラズマローゲンが他の効果が確かめられているサプリメントと比べて、飛び抜けて優れているかというとまずそれはない。

GSK-3β阻害剤や、脂質抗酸化剤など、その他のサプリメントの機序の組み合わせとさほど変わらない可能性もある。

そうなると、後はコストに見合うかどうかの問題が大きくなってくる。

対費用効果の悪さ

経済的に余裕のある人は、数ある方法のひとつとして、プラズローゲンに投資してもいいと思うが、お金がない人がこれだけに頼るというのは本末転倒だろう。

プラズマローゲンのコストが、サプリメント等に使える月々の予算の10分の1以下(3000円程度)になれば、妥当だと考えている。

そういうわけで、機序的にはおそらくプラズマローゲンと同等かそれ以上の効果をもつ可能性があり、かつコストを抑制した組み合わせ案をここに提示してみたい。

アルハカ案(試案)

クリルオイル

※冷蔵庫保管必須。まとめ買いしないほうがいい。

※用量依存効果をもつので、一時的に多めに摂取してもいいかもしれない。(特に病状が進行している場合)一方で研究によると効果が発揮されるには継続的な摂取が必要であるようだ。

DHA・EPA
リン脂質

細胞膜の材料(卵黄、大豆、ホスファチジルコリン、セリン)

ホスファチジルコリン

※玉子を一日3個以上食べている人は、ホスファチジルコリンは必要ないかも。

ホスファチジルセリン

アセチル-L-カルニチン

長鎖脂肪酸β酸化に必須

※クリルオイルと関係なく重要なサプリメント

ビタミンBコンプレックス

ビタミンB2  脂質代謝に必要なビタミン

ビタミンB6(P5P) スフィンゴ脂質生合成に必要

リチウム

GSK-3β阻害剤

アスタキサンチン

脂質抗酸化剤

PPARγアゴニスト 

プラズマローゲン合成を活性化 方法はたくさんある。

PPARγを活性する方法

オリーブオイル、ココナッツオイル等

(パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸)

クリルオイルの治療効果を高める。(輸送体)

さつまいも、卵

ガングリオシド他、重要な脂質成分を多く含む。

※重要な脂質成分はプラズマローゲンだけではない

 

クリルオイルのメリットとして、プラズマローゲンと異なり高用量投与が効果をもつ可能性もある。

特にプラズマローゲンが不足している人では、クリルオイルを大量に摂取することで、脳の不足部位に優先的にプラズマローゲンが補充される可能性があるため、試みて見る価値はあるかもしれない。

プラズマローゲン、脂質代謝関連の研究

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