プラズマローゲン、脂質代謝関連の研究

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プラズマローゲン、脂質代謝関連の研究(認知症・アルツハイマー)

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プラズマローゲン関連

プラズマローゲン前駆体

アルキルグリセロールを摂取すると赤血球中のプラズマローゲン濃度が高くなることがわかっている。しかしFAR1の制御により、プラズマローゲンの総量は変化しない。

アルキルグリセロールは血液脳関門を効率的に通過せず、脳の代謝回転の高さから脳への取り込みは低い。

プラズマローゲ前駆体は、ペルオキシソーム代謝の下流でプラズマローゲン整合性経路に入り、プラズマローゲンレベルを回復するのに役立ちうる。

 

PEX7ヌルマウスモデルを用いた研究では、高用量(約400 mg / kg)の早期補給が臨床効果をもつために必要であった。

100mg / kgで3  日間強制投与することにより、PEX7ヌルマウスモデルの脳および眼への標的プラスマローゲンの取り込みの約10倍の増加を示した。

また、対照と比較して副腎、腎臓および肺組織において約4倍の取り込み増加を示した。(プラスマローゲン欠乏組織ではより大きな取り込みが得られた。)

 

これらの研究は、脳の代謝回転による取り込みの低下を克服し、脳の定常状態の生理学的レベルに達するためには、プラスマローゲン前駆体を用いた持続的な治療期間が必要であることを示している。

www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0925443912001160?via%3Dihub

 

その他

プラセボ、二重盲検、ランダム投与 プラズマローゲン投与試験、軽度のアルツハイマー病の患者 Wechsler Memory Scale-Revised(WMS-R)では有意に改善。MMSEでは有意差にわずかに届かず(p=0.067)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5360580/

 

中枢神経系における、プラズマローゲン前駆体濃度の低下が、アルツハイマー病患者の機能低下と相関する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20040248

 

アミロイドβレベルが増加 → 反応性酸化種の増加 → AGPSタンパク質、プラズマローゲン濃度を低下させる。

ホスファチジルエタノールプラズマローゲンは、アルツハイマー病の前頭皮質において減少。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21214572

 

 

プラズマローゲン前駆体、プラズマローゲンによるペルオキシソーム病治療において、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸の組み合わせが治療効果を有する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3238230/

 

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ペルオキシソーム障害を抱える患者では、脳のプラズマローゲンが減少し、超長鎖脂肪酸(VLCFA)などの特定の化合物の蓄積が、ミトコンドリアの障害に関連している可能性がある。稀突起神経膠細胞に対する毒性を引き起こす報告もある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4880039/

アルツハイマー病患者の脂質代謝不全

脂質調節不全がアルツハイマー病病因に関与することが示唆されている。

アルツハイマー初期症状のAPP/タウマウスではドコサヘキサエン酸(22:6)コレステロールエステル(ChE)濃度が著しく高い。

DHAおよびEPAの代謝産物である19,20-EpDPEおよび17,18-EpETEは、脳において保護的役割を果たすかもしれないが、19,20-diHDoPEおよび17,18-diHETEに素早く代謝される。

エタノールアミンプラズマローゲン(pPE)

ADマウスで15ヶ月後にアミロイドβが著しく増加 → 活性酸素種の形成 → pPEを酸化させpPE濃度を低下させる。(pPEはγセクレターゼ活性を低下させる)

アミロイドβは、ペルオキシソーム機能障害を介してプラズマローゲン合成、アルキル-ジヒドロキシアセトンシンターゼの律速酵素を不安定化させる。

12-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(12-HETE

12-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(12-HETE)濃度は増加。12-HETEはアルツハイマー病の酸化ストレス、神経変性と関連、学習、記憶プロセスに関与している可能性がある。

スフィンゴミエリン(SM)N20:0

アルツハイマー病の後期でわずかにダウンレギュレートされる。アミロイドβ42が中性スフィンゴミエリナーぜを活性化することで、SMの分解を促進する。

トリアシルグリセロール(TAG)・コレステロールエステル

トリアシルグリセロール(TAG)および、コレステロールエステル(ChE)形態のDHAは、初期段階のアルツハイマー病脳に蓄積され、神経保護の役割を果たしている。

15-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(15-HETE)

いくつかタイプのアラキドン酸代謝物、例えばプロスタグランジンD2(PGD2)および15-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(15-HETE)は、タウマウスの早期症状段階において減少した。

15-HETEはPPARγのリガンドであり、アルツハイマー病脳に抗炎症活性を有する可能性がある。

ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン(PEs)

ホスファチジルコリンおよび多価不飽和脂肪酸であるホスファチジルエタノールアミン(PEs)の有意な減少は、後期の症候において検出され、膜特性の摂動を示した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3668217/

 

プラズマローゲン濃度の低さによるアルツハイマー病発症率のリスクは、APOE4対立遺伝子保有者でより高い。

plasmalogen.me/en/how-do-plasmalogens-improve-symptoms-of-alzheimers-disease/

 

老化における脳領域のリン脂質変化

脳領域のリン脂質

ホスファチジルイノシトール(PI)、・ホスファチジルエタノールアミン(PE)、・ホスファチジルコリン(PC)濃度は、40歳から非常にゆっくりと減少し、40歳から100歳の間までに10%未満を損失する。

 

他の研究では、脳領域のリン脂質の現象は、20歳からゆっくりと始まり、80歳以降、男女差で大きく脂質プロファイルの差が生じる。

対照的にエタノールアミンプラズマローゲンの脳濃度は、70歳までに18~29%減少し、スフィンゴミエリンは12~20%低下する。

 

白質におけるエタノールアミンプラズマローゲンの減少は、アルツハイマー病初期段階で40%

灰白質におけるエタノールアミンプラズマローゲンの欠乏は、疾患の進行に応じて10%から30%へと増加。

 

興味深いことにアルツハイマー病の初期段階では白質および、灰白質における他のリン脂質(ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン)の濃度は変わらなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3565322/

 

超長鎖脂肪酸(VLCFA)は動植物に多く含まれる。しかしそれらの制限食では、VLCFA濃度を低下させることはできなかった。

 

治療アプローチ

アルツハイマー病脂質代謝障害への栄養学的アプローチ

有益な効果を示す脂質候補

・プラズマローゲン

・ガングリオシド

・スルファチド

・ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸

・セラミド、スフィンゴシン-1- リン酸 などの脂質伝達分子

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28528321

 

神経発達におけるガングリオシドの役割

食事によるガングリオシド摂取の有効性、乳幼児へ投与は母乳が準最適、調整乳は劣るが代替が必要な場合は許容される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4446785/

 

スルファチドが欠乏すると、ミエリン鞘は適切に機能しない。

アルツハイマー病初期の段階でスルファチドは白質で50%、灰白質で90%まで損失している可能性がある。

脳脊髄液中のスルファチドも低い。スルファチドはアミロイドβペプチドのクリアランスとも関与している。

ビタミンKはスルファチド濃度に影響を与える。

en.wikipedia.org/wiki/Sulfatide

スルファチドは生体内にくまなく存在するため、創薬対象となりにくい。

スルファチドはインフルエンザウイルスの増殖に欠かせない。

 

プラズマローゲン

・プラズマローゲンは呼吸疾患に対して保護的な役割をもちうる。

・プラズマローゲンの欠乏と、ApoE遺伝子の型との間に相関は認められていない。

・アルツハイマー病患者の脳損傷領域では、プラズマローゲンの減少が認められ、減少の程度と重症度は相関する。

・アミロイドβがAGPSタンパク質濃度を低下させる。

・アルツハイマー病患者の脳で観察される低濃度のDHAは、プラズマローゲン欠乏に起因する可能性がある。

・プラズマローゲンの摂取により、アルキル組性を変更することはできるが、おそらくFAR1遺伝子により制御されているため、プラズマローゲンの全体量は変化しない。

・プラズマローゲンの前駆体であるアルキルグリセロールは、血液脳関門へは効率的に通過しない。

・プラズマローゲン前駆体を用いた治療は、持続的に行う必要がある。

www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0925443912001160

 

ロレンツォのオイル (Lorenzo oil)

グリセリルトリオレエート(GTO)とグリセリルトリアセテート(GTE)を4:1の割合で混合したオイル。

オレイン酸とエルカ酸の組み合わせにより、VLCFAの低下が6~8週間後に見られた。

www.x-ald.nl/treatment-options/lorenzos-oil/

www.org-chem.org/yuuki/mow/0506/Lorenzo.html

en.wikipedia.org/wiki/Lorenzo%27s_oil

en.wikipedia.org/wiki/Lorenzo%27s_Oil (映画化されている)

フィッシュオイル クリルオイル

フィッシュオイルとオキアミ油(クリルオイル)を別々にマウスへ投与

フィッシュオイル群では脳内のプラズマローゲンが減少。

クリルオイル群では、肝臓のセラミド、ジアシルグリセロールが減少しコレステリルエステルは増加した。クリルオイルがより強い抗炎症作用をもち、インスリン感受性をフィッシュオイルよりも強力に増強する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4531896/

 

 

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