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- アルツハイマー病 関連因子(覚書)
アルツハイマー病 関連因子(覚書)
天国へ行く最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである。
マキャベリ
36の発症因子以外の(またはより細分化した)、アルツハイマー病と関連する可能性のある因子の個人的なメモ書き。
APPプロセシングプロテイナーゼ
メプリン-β /Meprin-β
メプリン-β活性は、炎症性サイトカイン、細胞接着および異なる器官の細胞外マトリックス分子など、さまざまな基質の処理に関連している。全体としてこのプロテイナーゼは炎症/免疫および細胞移動プロセスを制御する。
神経系では、メプリン-βは新しい代替APPプロセシング酵素として記載されており、その活性はアルツハイマー病と関連する。[R]
同年齢の健常者と比較して、アルツハイマー病患者ではメプリン-βのmRNAおよびタンパク質レベルの増加が報告されている。[R]
レグマイン/Legumain δセクレターゼ
スパラギンエンドペプチダーゼとしても知られるレグマインは、主にエンドリソソームコンパートメントに見られる可溶性システインプロテイナーゼであり、最適に機能するpH 6に調整する。[R]
レグマインは、リソソーム機能不全を介してアテローム性動脈硬化、骨粗鬆症、癌、虚血性脳卒中、神経変性疾患を含む多くの病理学的環境に関与する。[R]
レグマインは、タウのリン酸化を制御し、タウとAPPの切断後に神経毒性のあるフラグメントを生成する。アルツハイマー病患者の脳では、レグマインの増加と、タウ1-368フラグメントのレベルが増加が相関していることが示されている。[R]
タウP301Sトランスジェニックアルツハイマー病マウスモデルにおけるレグマインの除去は、シナプス機能障害を防ぎ、学習と記憶を改善する。[R]
Rhomboid-Like Protein-4(RHBDL4)
ヒトには、RHBDL1~4までとPARLという5つの活性な膜内プロテイナーゼRhomboidがある。
RHBDL1-4は分泌経路にあり、PARLはミトコンドリアに存在する。
このセリンプロテイナーゼファミリーは、炎症性シグナル伝達、細胞遊走、増殖、ミトコンドリアの恒常性など、多くの細胞プロセスに関与する。[R]
コレステロールを低下させると、完全長APPでRHBDL4活性が増加し、その結果C末端断片が生成され、アミロイドβ生成が減少する可能性がある。[R]
カスパーゼ
MT-MMP
MT-1-MMP
MT1-MMPは体内に広く分布している。神経系では、主にミクログリア、星状細胞、ニューロンによって発現する。[R]
ほとんどのMMPとして、MT1-MMPは細胞外マトリックス(ECM)タンパク質、特にI型およびIII型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、およびプロテオグリカンを分解する。[R]
MT1-MMPは、サイトカイン、ケモカイン、プロテイナーゼ阻害剤または受容体の作用を調節することにより、炎症プロセスに影響を与える。たとえば、MT1-MMPはpro-TNF-αを活性化してTNF-αを活性化し、CXCL12(SDF1α)を不活性化するほか、補体タンパク質C3、分泌性白血球プロテイナーゼ阻害剤(SLPI)、IL-8およびその他のケモカインを不活性化する。[R]
MT1-MMPの影響は、MMP-2の活性化に関連しており、MMP-2の基質S100A9は炎症性タンパク質であり、アルツハイマー病の病因にも関係する。[R]
MT5-MMP
MT5-MMPの発現は主に神経系に限定されており、げっ歯類のレベルは出生前に最大に達し、海馬や小脳などの領域では成人期まで高いままである。。[R]
MT5-MMPは脳の発達、広い範囲の神経可塑性、軸索成長を促進することが報告されている。[R]
MT5-MMPは、ADAM10(N-カドヘリン)と強調して、脳損傷後の軸索再編成の促進に機能している。[R]
TIMP
TIMPはMT1-およびMT5-MMPの触媒活性を制御する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6769103/
脂質代謝
ApoE4の作用を弱める
3つのタイプE2、E3、E4
組み合わせは6通りE2/E2、E2/E3、E2/E4、E3/E3、E3/E4、E4/E4
E3があるとリスクが減少、E2があるとリスクが大きく減少
E4はリスク上昇 E2/E4→2.6倍 E3/E4→3.2倍 E4/E4→14.9倍! [R]
リコード法
ApoE4の存在は、APP-Thr668リン酸化(p-APP)およびTauリン酸化(p-Tau)の増加をもたらす。
これらのApoE4媒介事象のいくつかは、プロテアソーム阻害剤によってブロックされており、小規模な試験研究では、プロテアソーム阻害剤ジスルフィラムおよびCDK阻害剤は、ApoE4媒介作用の一部を逆転させるのに有効であることが示された。
APP処理およびシグナル伝達に対するこれらの効果に加えて、ApoE4発現は、培養神経細胞およびAD患者の脳の両方において、SirT1対SirT2の比の顕著な減少と関連していた。
SirT1は神経保護に関与しており、SirT2は神経変性に関与しているためApoE4のこの作用は機序的に、そして治療的開発の観点から重要である可能性がある。
我々のデータは
- sAPPα
- sAPPα:Aβ
- SirT1:SirT2
- APP:p-APP
- Tau:p-Tau
の比に反映されるように、ApoE4が結合バランスを調節するという見解を支持する。
したがって、このバランスを媒介するタンパク質のネットワークは、軽度の認知障害およびADなどのApoE4関連プロセスの予防および治療のための標的候補となりうる。
多価不飽和脂肪酸(PUFA)
脂質ラフト
脂質ラフト
SPM/Specialized pro-resolving lipid mediator
抗炎症性脂質メディエーター(SPM)の神経保護効果/Specialized pro-resolving lipid mediator
リポキシンA4(LXA4)
レゾルビンD1(RvD1)
ニューロプロテクチンD1(NPD-1)
マレシン1(MaR1)
EFOX(Electrophilic oxo-derivatives)
エロバノイド(ELV)
PPAR
PPARアルファを活性化させる
肝臓X受容体(LXR)
プレグナンX受容体(PXR)
PXRは、薬物代謝酵素およびトランスポーターの主要な調節因子。有毒物質のクリアランスを促進することにより、身体を保護する。
MK-4はヒトPXRの強力なリガンドでありPXRに結合して活性化し、骨の恒常性に影響を与える。
PXRは、脂質生成を促進するが、糖新生および脂肪酸のβ酸化を抑制する。[R]
プレグナンX受容体(PXR)
シトクロムp450/CYP46A1
ストレス応答・炎症反応
HPA軸の調節不全
HPA軸
HPG軸
en.wikipedia.org/wiki/Hypothalamic%E2%80%93pituitary%E2%80%93gonadal_axis
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4373369/
CRH-CRF1軸
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2930769/
molecularneurodegeneration.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13024-017-0190-z
キヌレニン経路
マスト細胞
アミロイドβ関連
重合したβアミロイドの分解量を増加させる
単にβアミロイド原線維の分解量を増加させただけでは、再び重合して悪化してしまう可能性もある。
EPA・DHA
(IDEと協働してβアミロイドを分解)[R]
APP-N末端を減少させる
amyloid precursor protein Aβの前駆体N末端
circabook.com/journal-of-alzheimers-disease-parkinsonism/
フーリンタンパク質(furin)の活性
アミロイド前駆体タンパク質APPの切断に関わるαセクレターゼおよびβセクレターゼはフーリンタンパク質によって調節される。[R]
フーリンの転写は細胞濃度の鉄によって調節される。
細胞内の鉄濃度が高いとフーリン活性は低下し、βセクレターゼ活性が促進され、アミロイドβ形成経路が増強される。鉄欠乏は逆にフーリン活性を増加させ、αセクレターゼを増強し非アミロイド形成経路刺激する。[R]
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18466351/
AQP4発現の増加
アミロイドβの分解
亜鉛メタロプロテアーゼ
- ネプリライシン
- ヒト膜メタロエンドペプチダーゼ様タンパク質(ネプリライシンのホモログ)
- エンドセリン変換酵素
- アンジオテンシン変換酵素
- マトリックスメタロプロテイナーゼ
- インスリン分解酵素(IDE)
セリンプロテアーゼ
- プラスミン
- アシルペプチド加水分解酵素
- ミエリン塩基性タンパク質
システインプロテアーゼ
カテプシンB
アスパルチルプロテアーゼ
- カテプシンD
- BACE1
- BACE2
- プロテアソーム
- アミロイドβ分解触媒抗体
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3367539/
小胞体ストレスの緩和
プリオンタンパク質
プリオンとはタンパク質でできた感染性因子。プリオン仮説によると異常に折り畳まれたタンパク質(ミスフォールディングプロテイン)が、DNAや核酸を介さず正常な構造のタンパク質を同様の異常構造に変えていくことで伝播する性質をもつ。
狂牛病やクロイツフェルト・ヤコブ病などの感染因子を説明する用語として用いられてきたが、その伝播する仕組みはまだ明確に解明されていない。
プリオンと神経変性疾患
近年の研究で、神経変性疾患におけるアミロイドβ、αシヌクレイン、タウ、TDP-43などの異常タンパク質が、プリオンと類似して伝播(プリオン様伝播)することが報告されており、アルツハイマー病を含めた神経変性疾患の発症メカニズムのひとつとしてプリオン仮説が浮上してきている。
実際、プリオンの病原性は、プリオン自身の感染増殖能力だけではなく、その結果生じるアミロイド原繊維の指数関数的自己増殖によって生じる可能性がある。
同様に、神経変性疾患において見られる病原性のアミロイド凝集体が毒性をもつことは十分に実証されているが、このアミロイドの自己増殖的な過剰産生に、このプリオンが関与していることがいくつかの研究において支持されてている。
液-液相分離(LLPS)
生体分子の相分離は、細胞内の組織化の根底ある可能性がある。
神経変性疾患における無秩序タンパク質の凝集は、液相分離を促進することに関与している可能性がある。[R]
タウタンパク質液-液相分離はタウ凝集の形成を開始することができる。[R][R]
タウは本質的に無秩序であり、可溶性であり、微小管に結合する。[R]
筋萎縮性側索硬化症の発症につながるFUS、ピック病、前頭側頭葉変性症-FUSにおける異常タンパク質FUSは、不溶性沈着物となる前に、液-液相分離(LLPS)を引き起こすことが示される。[R][R]
タンパク質液-液相分離は細胞内シグナル伝達に影響を与える。相分離はシグナルを増幅することでスイッチのように、または創発的性質を生じさせることができる。[R]
TDP43の相分離
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6382748/
LLPS阻害剤
尿素[R]
ATP[R]
R体αリポ酸[R]
DNAメチル化
アルツハイマー病リスクとエピジェネティック変化
最近の研究ではエピジェネティック発現は、アルツハイマー病を含む脳障害の発症に寄与する重要な要因である可能性が示唆されている。[R][R]
アルツハイマー病患者での高メチル化
アルツハイマー病患者の死後の脳生検では、MTHFR遺伝子プロモーター領域の特定の遺伝子座が健常者と比べ高メチル化されていたことが示された。[R]
アルツハイマー病の初期段階、前頭側頭葉変性およびレビー小体型認知症の脳の複数の領域(上側頭回、中側頭回、海馬、海馬傍回)において異常なレベルの5mCおよび5hmCが見いだされた。神経変性性、認知症の初期段階でこれらのメチル化の変化が役割を果たしている可能性を示唆する。[R]
5-メチルシトシン(5mc)
5-メチルシトシン(5mc)は、DNA塩基のシトシンがメチル化されたもの。最も研究されているDNAメチル化状態であり、遺伝子転写の制御に関わる。
5mC → 5hmC → 5fC → 5caC → C → 5mC
5-ヒドロキシメルシトシン(5hmC)遺伝子発現の促進
5-ヒドロキシメルシトシン(5hmC)は、DNAピリミジン塩基の一つであり、TET酵素により5mCから変換される。
5mCは比較的組織に一定の割合で分布しているのに対し、5hmCは組織分布にかなりのばらつきがある。特に中枢神経系で高濃度に存在し、大脳皮質で最も高い割合の5hmCが観察され、次いで脳幹、脊髄、小脳と続く。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21203455/
5hmCは、遺伝子発現またはDNAの脱メチル化により遺伝子発現を促進する機能的役割を果たしていると考えられている。[R]
海馬領域のメチル化
アルツハイマー病患者の海馬では、メチル化の減少と増加の両方が報告されており、海馬のサブ領域でDNAメチル化のレベルが異なることがが示唆されている。[R][R]
DNAのメチル化は老齢期のアルツハイマー病に重要な役割を果たす。MTHFR遺伝子変異は、記憶喪失を呈するほとんどの高齢患者で生じる。
神経ペプチド
グレリン、ニューロテンシン、下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)、ニューロペプチドY、サブスタンスP、オレキシンなどのニューロペプチドは、アルツハイマー病の病態生理学に密接に関連していることを多数の研究が示している。
神経ペプチドおよびそれらの受容体レベルはアルツハイマー病において変化する。
これらの神経ペプチドは、主にAβ蓄積の防止、神経細胞内グルコース輸送の増加、ニューロトロフィンの産生の増加、小胞体ストレス、オートファージ-の阻害を通じて神経保護的役割を果たす。
カリウムチャネルの活性と海馬の長期増強を調節する。
したがって、ニューロペプチドは、アルツハイマー病の予防および治療における潜在的な薬物標的として機能し得る。[R]
サブスタンスP
神経ペプチドY
神経ペプチドYは36のアミノ酸ペプチドであり、受容体はY1、Y 2、Y 4、Y 5、Y 6に分類される。
神経ペプチドYは、食物摂取、気分、学習と記憶の調節と関連する機能に関わり、神経変性疾患に対する神経保護においても重要な役割を果たす。[R]
神経ペプチドYは、アルツハイマー病マウスモデルの海馬において有意に増加する。
神経ペプチドYの神経保護メカニズム
- PI3K-XBP1誘導Gip78 / BiP経路の活性化
- カスパーゼ-3、4活性の阻害を介した小胞体ストレス誘導性神経細胞死の軽減
- アミロイドβ誘導脂質過酸化の阻害を介した酸化ストレスの抑制
- BDNF、NGFレベルの増加
ニューロテンシン
脳内に存在するニューロテンシン1型、2型と結合するトリデカ(13)ペプチド。
ニューロテンシンは中枢神経系において複数の作用を果たし、統合失調症、パーキンソン病を含むいくつかの中枢神経系障害の病態生理に関与している。
アルツハイマー病患者のニューロテンシンおよびニューロテンシン受容体のレベルは、いくつかの脳領域において変化する。
ニューロテンシンは老人斑の形成に影響を与えており、さまざまな経路を通じてアルツハイマー病の発症機序と関連する。
PACAP
グレリン
オレキシン
オレキシン
脳内ネットワーク
デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)
デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)とアルツハイマー病 DMNを変調させる15の方法
環境エンリッチメント
「遊び」がもたらす12の認知機能増強作用 (環境エンリッチメント)
神経細胞増殖・分化
Wntシグナル伝達
Notchシグナル伝達の最適化
Notchシグナル伝達は細胞増殖、細胞の分化方向の決定、アポトーシスなど非常に多面的な役割を有しており、神経新生の効果は状況依存性である。
Notchシグナル伝達は、海馬ニューロンの樹状分岐も調節する。
Notch1は神経幹細胞を維持する一方でトランジット増幅細胞として機能することを示唆する。しかし、成体ニューロンへの影響は及ぼさず、未熟細胞に限定されるようである。[R][R]
ソニックヘッジホッグ (Shh)
www.alzforum.org/news/research-news/playing-sonic-hedgehog-hippocampus
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6098584/
Tbr Tボックス転写因子(Eomes/Tbr2)
Tボックス転写因子Tbr2は、皮質脳室下帯における神経新生を調節する。[R]
Tbr2の発現は、発達中の新皮質、嗅球、および小脳、ならびに成体のSVZおよび海馬におけるグルタミン酸作動性ニューロンの生成と関連している。大部分の海馬歯状回ニューロンはTbr2発現系統に由来し、INP(2B型細胞)の生成に必須であることが示された。[R]
Tbr2が存在しない場合、中間ニューロンは前駆体(INP)は増殖が増大しているにもかかわらず枯渇し、神経分化は神経細胞の分化の失敗の結果として停止する。Tbr2は、Sox2の抑制によって、神経前駆細胞から中間ニューロンは前駆体(INP)への系統進行を促進する。[R]
REST 抑制因子1サイレンシング転写因子
リプレッサー要素1−サイレンシング転写(REST)因子は、前駆細胞だけではなく成熟顆粒ニューロンにおいても発現される。[R]
RESTは、神経分化プログラムの早熟な発現を妨げ、神経前駆細胞の静止状態、未分化状態を維持する役割を部分的にもつ。[R]
NeuroD1
www.sciencedaily.com/releases/2018/11/181105122433.htm
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S193459091300550X
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25518958
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28286181
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26516211
EGFシグナル伝達(上皮成長因子)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6067016/
actaneurocomms.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40478-016-0387-3
www.pnas.org/content/109/41/16743
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を増加させる
顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte Colony-stimulating Factor:G-CSF)
骨髄系統の細胞増殖、分化に関わる造血成長因子として名付けられた。
サイトカインの一種で顆粒球産出の促進、好中球の機能を高める作用、神経栄養因子 神経発生の誘発、神経の可塑性の増大、アポトーシスへの拮抗などがある。
神経新生
ADマウスモデルでは、G-CSFが骨髄からの幹細胞放出を誘導し、マウスのアミロイドβ班周辺の神経新生を刺激し、神経機能を改善することがわかっている。
また、コリン作動性ニューロンからのアセチルコリンの上昇によってG-CSFが刺激されることがわかっており、AchE阻害薬の認知機能改善効果は部分的にはG-CSFが関与しているかもしれない。[R]
炎症抑制
G-CSFをADマウスへ投与することで、認知能力が向上、海馬および嗅内皮質におけるベータアミロイド沈着の減少をもたらし、ミクログリア活性の上昇を有意に改善した。さらに、G-CSFは、炎症誘発性サイトカインの産生または活性の抑制によって生じる全身性炎症を減少させた。海馬CA1およびCA3領域における神経新生を増強した 。[R]
G-CSFを増加させる
小柴胡湯
漢方の小柴胡湯がG-CSFの産生を増加させる。[R]
筋力トレーニング + HMB
レジスタンストレーニングとβ-ヒドロキシ-β-メチルブチレート(HMB)の相加作用よってG-CSF、GM-CSFが増加[R]
カフェイン
カフェインを含むコーヒーが、マウスのG-CSF、IL-10、IL-6を上昇させた。カフェインを含まないコーヒーではそれら3つのサイトカインの上昇は見られなかった。[R]
骨形成因子
BMPs(骨形成因子)
骨形成タンパク質BMPは、骨と軟骨の成長を誘導するタンパク質。BMPは環境により骨形成に対して異なる作用を発揮する。BMP6は脳で高度に発現しており神経細胞の増殖プロセスに関わる。
加齢やアルツハイマー病疾患ではBMPシグナル伝達の異常によりBMP6は過剰となっており、BMP6の抑制が潜在的な治療候補として研究されている。
イリシン
イリシンは運動によって分泌される骨格筋由来のホルモン。筋肉以外にも骨や脳など多くの組織で発現している。高いイリシンレベルは骨密度を高め骨折リスクを低下させることが示されている。
マウスへのイリシン補給は、シナプスの可塑性と記憶の改善が示されており、運動によってアルツハイマー病を予防する効果をもつ可能性のあるホルモンの一つとして期待されている。
骨密度を高め記憶力を改善する運動ホルモンイリシン 10の増加方法
オステオカルシン
骨の25%を占める非コラーゲン成分であるオステオカルシンは、骨芽細胞(骨の形成)の活性を調節する骨制御因子。
体内ではホルモンとしても作用し、脳へ届いたオステオカルシンは、セロトニン、ドーパミンなどの神経伝達物質の増加、記憶力の改善が動物実験で示されている。
転写因子
Achaete-scuteホモログ1(Ascl1 / Mash1)
www.tmig.or.jp/J_TMIG/genome300/ASCL1.html
bsd.neuroinf.jp/wiki/BHLH%E5%9B%A0%E5%AD%90
ホメオボックス因子 Prox1
神経と網膜の発達に重要な役割を果たす遺伝子によってコードされるタンパク質[R][R]
FoxO(フォークヘッドボックスO)ファミリー
FoxOファミリー フォークヘッド転写因子は、海馬、扁桃体、側坐核を含む脳の複数の領域に存在し認知機能と記憶に影響を与える。記憶形成と記憶の統合にはFoxOが必要になることがある。
FoxOはアポトーシス経路とオートファジー経路の両方を制御し細胞の生存に関わる。アポトーシスによる細胞死をブロックするにはFoxOの活動を抑制する必要がある。
しかし、FoxO活性は酸化ストレスから保護するために必要な場合があり、オートファジーの誘導を促進することから、特定のFoxOタンパク質の活性低下は望ましくないかもしれない。
FoxOは、EPOやニューロトロフィン、Wntシグナル、WISP1、SIRT1などの成長因子を含む複数の経路にも複雑に関与する。これらのそれぞれの経路でFoxOは細胞の生存を促進し、潜在的に認知機能に影響をおよぼす可能性がある。[R]
転写調節因子 Hmga2
www.abc.net.au/science/articles/2012/04/16/3478267.htm
転写リプレッサー Bmi-1
Bmi1 / Ring1タンパク質複合体は、ヒストンH2Aモノユビキチン化を通じて発生遺伝子の転写抑制を維持し、マウスのBmi1欠乏は成長遅延、早老症、および神経変性をもたらす。
BMI1はアルツハイマー病脳では抑制されているが、早期発症の家族性アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症の脳では抑制されていないことを示す。[R]
マウス加齢脳でダウンレギュレーションするBmi1 Bmi-1の神経保護効果活性の可能性[R]
転写因子Sox
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30103323
オーファン受容体
核内受容体TLX
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4078800/
ヒストン脱アセチル化酵素
HDAC3
HDAC5
en.wikipedia.org/wiki/Histone_deacetylase_5
細胞接着分子
ポリシアル化神経細胞接着分子(PSA-NCAM)
インテグリン
jcs.biologists.org/content/131/12/jcs212803
軸索再生
Nogo-Aの阻害
Rho-ROCK
Rho-ROCK
Reelin(リーリン)発現の適正化
ニューロン機能・シナプス可塑性
リーリンは成熟脳ではニューロン機能およびシナプス可塑性を調節し、タウのリン酸化および軸索成長、脊髄の樹状突起を調節する。
アルツハイマー病患者の脊髄液中の18kDaのリーリンレベルは、タウタンパクと正の相関を示す。[R]
リーリンのLTP誘導
リーリンは、NMDA受容体機能と関連して長期増強(LTP)の誘導を促進する可能性がある。
脳の大部分において、リーリンは隣接するグルタミン酸作動性ニューロン活動および、GABA作動性介在ニューロンによって発現される。リーリンレベルの低下が、アルツハイマー関連障害に寄与する可能性がある。
減少と増加を示すリーリン
ヒト嗅内皮質のニューロンにおいてリーリンは発現しており、アルツハイマー病ではリーリンの発現が減少喪失する。
興味深いことに、前頭皮質のリーリンレベルはアルツハイマー病において増加する。アルツハイマー病における前頭皮質のリーリンレベル増加は、脆弱な脳領域の障害を補うための過活動であると考えられる。海馬のリーリンレベルの減少は、嗅内皮質から投影されるリーリン放出の減少の反映でありえる。
Dab1
細胞がリーリンに応答するには、適切な細胞表面受容体だけでなく、必須シグナル伝達タンパク質Dab1も発現する必要がある。
興味深いことにDab mRNAは、嗅内皮質の第II層錐体ニューロンにおいて発現する。
アミロイドβによるリーリン減少
アミロイドβ誘導によるリーリンの減少は、内嗅皮質の自己分泌調節機能を混乱させる可能性があり、それによって脳領域および海馬などの神経機能を損なう悪循環を引き起こす可能性がある。[R]
神経栄養因子
GDNF
FGF-2 線維芽細胞増殖因子-2
作成中
IGF-1 インスリン様成長因子-1
作成中
VEGF 血管内皮増殖因子
作成中
Nrf2
作成中
ミクログリア
フラクタルカイン CX3CR1受容体
フラクタルカイン(CX 3 CL1)とその受容体(CX 3 CR1)は、ミクログリア機能の調節に重要な役割を果たす。(CX 3 CL1)の欠損はマウスのタウ病理を悪化させ、認知機能障害を引き起こす。[R]
血液脳関門(BBB)の完全性
マトリックスメタロプロテアーゼと血液脳関門 MMP9を阻害する26の天然化合物
遺伝子治療
CRISPR
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6078432/
オートファジー
プロタックタウ
ユビキチン-プロテアソームシステム(UPS)は、細胞内タンパク質の分解と代謝回転に必須の選択的メカニズムであり、癌、神経変性疾患、その他の疾患の重要な調節因子として機能する。しかし、UPSは多段階プロセスと基質の多様性により、UPS自体をターゲットにすることは困難。
タンパク質分解標的キメラ分子(PROTAC)は、標的とリガーゼに結合してユビキチン化とその後のタンパク質分解を媒介する、ヘテロ二官能性化学物質のグループ。
PROTACと同様に、さまざまな作用メカニズムを使用した他の化学物質や分子接着剤が、標的タンパク質の分解を引き起こすために開発されている。[R][R]
認知機能と関連する受容体(メモ)
- アデノシン受容体
- アドレナリン受容体
- アミリン受容体
- アンドロゲン受容体
- アンジオテンシン受容体
- ケモカイン受容体
- 副腎皮質刺激ホルモン放出因子受容体
- システイニルロイコトリエン受容体1(CysLT1R)
- エンドセリン受容体
- ガラニン受容体
- Gタンパク質共役オーファン受容体
- ヒスタミン受容体
- イミダゾリン受容体
- ノシセプチン(ORL1)受容体
- 肝臓X受容体
- メラトニン受容体
- オピオイド受容体
- 末梢性ベンゾジアゼピン受容体
- プロスタグランジン受容体
- プリン受容体
- レチノイドX受容体
- リアノジン受容体
- ソマトスタチン受容体
- ソルチリン受容体
- スフィンゴシン-1-リン酸受容体
- タキキニン受容体
- 腫瘍壊死因子受容体1/2
セロトニン受容体
- 5-HT1A受容体
- 5-HT2受容体
- 5-HT3受容体
- 5-HT4受容体
- 5 5-HT6受容体
終末糖化産物受容体(RAGE)
receptor for Advanced Glycation End Product(RAGE)www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4973574/
NMDA受容体
NMDA受容体はグルタミン酸受容体のサブタイプ 海馬などに分布
AD患者でNMDA受容体減少 & 異常タンパクによる刺激 → シナプス間隙のグルタミン酸濃度が増加 →カルシウムイオンが過剰に流入 → 神経細胞の障害
メマンチン(メマリー)はNMDA受容体を部分的に遮断してグルタミン酸を減少させる薬(パーシャルアゴニスト)
Eph受容体 エフリンシグナル伝達
bsd.neuroinf.jp/wiki/Eph%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93
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海馬Eph受容体の初期変化は、アルツハイマー病マウスモデルの記憶力低下の開始に先行する。[R]
カンナビノイド受容体 カンナビノイドシステム
GSK3αの活性を抑制
「アルツハイマーのGSK3仮説」
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3073119/#b55
GSK3αが(GSK-3βではなく)アミロイドβの産生増加につながるAPP切断を制御することが示されている。
リチウム
リチウムはGSK-3α、β、両者とも阻害
リチウムとバルプロ酸の組み合わせは、GSK-3β-MMP-9とHDAC-CXCR4を介して間葉系幹細胞(GSK)の移動能力を増加させる。[R]
リチウム、長期間臨床的に使われている唯一のGSK-3阻害剤、しかし標的の特異性を欠くためアルツハイマー病の薬物候補として不適格とされた。(腎毒性によりAD臨床試験、第一相で終了)
Tideglusib (NP-12) フェーズ2aで臨床試験で目標に到達せず。
GSK-3の病理学的な過剰発現は2~3倍を超えないため、GSK-3の阻害作用も50%程度が望ましい。[R]
サルビアノール酸B
サルビアノール酸BはGSK-3βを阻害し酸化ストレスを緩和することで、BACE発現およびアミロイド形成の抑制に関連し得る。in vivo[R]
GSK-3阻害ミネラル
その他のGSK-3阻害ミネラル ベリリウム、亜鉛、水銀、銅
マンザミンA(強力)
HSF-1 熱ショック因子 (選択的にGSF細胞活性を阻害)
5-HT1A、5-HT2A
GSK-β活性の調節において、5-HT1Aと5-HT2Aが拮抗作用をもつ。マウスに5-HT1Aアゴニスト、または5-HT2Aアンタゴニストを投与するとGSK-3βリン酸化が増加する。
タウオパチー治療 GSK-3キナーゼ阻害剤 ダイデグルシブ、リチウム、バルプロ酸、AZD-1080 [R]
アルブミン/グロブリン比を増やす
カビ毒・マイコトキシン
Zearalenone (ゼアラレノン)
マイコトキシンが産生するカビ毒の一種
オクラトキシン
アフラトキシン
グリオトキシン
歯周病
P.ジンジバリス
口腔トレポネーマ
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ウイルス
単純ヘルペスウイルス1型、2型(HSV-1,HSV-2)
単純ヘルペスウイルス(HSV1・HSV2)による認知症リスクと治療方法
サイトメガロウイルス(CMV)
人種差リスク
849人の高齢の黒人と白人の間で、サイトメガロウイルスの血清陽性は白人と比較して黒人の方が高く、アルツハイマー病のリスクが2倍に増加し、認知機能低下の速度が速くなることがわかった。人口統計学的特性、血管の危険因子と疾患、およびApoE4とは無関係であった。
アルツハイマー病と認知機能低下のリスクに対するサイトメガロウイルスの影響は比較的特異的であり、免疫機能障害に対する感染の一般的な役割によるものではないことを示唆する。
アルツハイマー病患者のHSV-1の陽性率は低く特異性に欠けており、HSV-1ではADとの関連性がない可能性がある。[R]
ヒトヘルペスウイルス-6A /B(HHV-6)
神経向性ヘルペスウイルスのうち、単純ヘルペスウイルス-1、ヒトヘルペスウイルス-6A、およびヒトヘルペスウイルス-6Bは、中枢神経系に存在するいくつかの細胞タイプに感染し、細胞の恒常性に必要なプロセスであるオートファジーを調節不全にすることが報告されている。
特にニューロン。実際、オートファゴソームの形成とオートファゴソームの分解との間の不均衡を示すオートファゴソームの蓄積は、アルツハイマー病患者のニューロンで観察されており、アミロイドβの細胞内および細胞外蓄積およびタンパク質タウ代謝の変化に役割を果たす可能性がある。
また、グリア細胞やミクログリアなどの中枢神経系細胞へのヘルペスウイルス感染は、ミトコンドリアのダイナミクス変化を介して酸化種の産生を増加させ、アルツハイマー病の別の特徴である炎症を促進する。[R]
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ボルナ病ウイルス(BDV)は、行動障害を特徴とするいくつかの中枢神経系疾患を引き起こす。記憶喪失とうつ病を含む精神障害の病歴を呈したこれら5人の患者のうち4人の剖検脳サンプルでBDV抗原とRNAの両方を検出した。[R]
ボルナ病ウイルスとヒト疾患[R]
PV、CVB3、HRV、EMCVなどのいくつかのピコルナウイルスは、宿主のアポトーシスを引き起こし、カスパーゼとプロアポトーシスタンパク質の切断、Ca 2+の破壊を介して複製する。ピコルナウイルスは、アポトーシスの実行により、核細胞質輸送を抑制し恒常性を破壊することができる。[R]
M13バクテリオファージ
www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0378111916300452?via%3Dihub
真菌感染 fungal infections
混合感染
アルツハイマー病患者脳の前頭皮質の分析により、ごく一部の細胞(10%以下)で真菌が存在することが明らかとなり、真菌感染が示唆された。真菌は細胞内に局在していることが示されたが、様々な種類の抗真菌抗体によって検出されており、これはアルツハイマー病患者中枢神経において複数の真菌種による混合感染を示唆する。そして神経変性疾患における真菌感染のはっきりしない理由を説明するかもしれない。[R]
70歳男性の抗真菌治療による認知症からの回復症例[R]
アルツハイマー病と誤診された62歳男性の抗真菌治療による神経学的、認知的回復[R]
真菌感染症に対する個人の遺伝的感受性[R]
寄生虫
トキソプラズマ症
トキソプラズマ原虫は、感染した高齢者の記憶を損なう。[R]
トキソプラズマ症と関連する様々な精神障害、統合失調症、抑うつ障害、強迫性障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、頭痛、片頭痛、精神遅滞、知能指数、自殺未遂、交通事故のリスク[R]
ダニ媒介感染症
バベシア Babesia
www.jstage.jst.go.jp/article/jprotozoolres/25/1-2/25_18/_pdf
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4278782/
バルトネラ(Bartonella)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14700670/
エールリヒア症 ehrlichiosis
エールリヒアによるオートファジー、インフラマソーム活性[R]
ライム病 ボレリア症 Borrelia
content.iospress.com/articles/journal-of-alzheimers-disease/jad00387
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15894409
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4278782/
スピロヘータ
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25932012
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21816039
クラミジア肺炎
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25538615
digitalcommons.pcom.edu/scholarly_papers/1809/
ヘリコバクター・ピロリ
[R]
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4161781/
link.springer.com/article/10.1007/s00415-011-6054-5
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25393387