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パーキンソン病

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「より早い診断と治療がこの病気の進行を防ぐだろう、というのが私の洞察だ。」

ジェームズ・パーキンソン

概要

パーキンソン病の多様な症状

パーキンソン病は患者によって著しく異なる多様性のある疾患であることが知られている。発症年齢は早ければ30歳から起こり、上は超高齢期におよぶ。

一般的に、パーキンソン病は運動の緩慢、安静時の振戦、硬直や運動機能障害によって定義されている。しかし、運動障害の徴候が生じる前に90%の患者で嗅覚機能障害、便秘、レム睡眠行動障害、うつ病、不安などの運動以外の症状がしばしば現れる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21484865/

疾患が進行するにつれて、レボドパ関連の運動合併症、発話、嚥下の問題、歩行の硬直、転倒、自律神経障害、精神障害、認知症などの運動以外の症状が生じる。

レボドパ応答の差異

患者によって臨床的な特徴と疾患の経過は大きく異なり、ある人ではレボドパに対して長期的に最小限の副作用を示すが、他の人では非ドーパミン作動性運動、非運動性のより優位な悪化を示す。これらの差が生じる理由はよくわかっていない。

発症年齢は最もよく認識されている影響因子であり、発症が若ければ若いほど、レボドパ反応性の副作用症状の時間が長くなるが、運動の変動によって複雑になる。

発症年齢とは無関係に、高齢患者はより多くのレボドパ耐性運動徴候、自律神経障害、認知機能低下を経験する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17586867/

サブタイプの存在

患者によって、明確な臨床症状、症状と徴候、進行速度、治療抵抗性の症状が発症するまでの時間に様々なパターンがあることは、パーキンソン病は生物学的に異なるサブタイプがあることを示唆している。

急速な疾患の臨床的進行は、レム睡眠行動障害、軽度認知障害、起立性低血圧によって予測できることが示された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26076039/

診断

パーキンソン病の臨床診断の正確さ

ゴールドスタンダードである病理学的検査を用いた診断精度は80.6%  専門家ではない場合の臨床診断精度は73.8%

運動障害の専門家による臨床診断精度は83.9%

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26764028/

ダットスキャンでは正常なSWEDD

ダットスキャンではドーパミン作動性障害の証拠が見つからず正常だが、臨床診断ではパーキンソン病と診断されたパーキンソン病患者をSWEDDと呼ぶ。

しかし、長期追跡調査ではダットスキャンでの異常が生じる患者も存在する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25350529/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26685774/

非定形パーキンソニズムの鑑別診断の難しさ

本態性振戦と疾患初期の多系統萎縮症、進行性核上性麻痺[PSP]、皮質基底核変性などの非定形パーキンソニズムの鑑別診断は、特に疾患経過の初期には非常に困難である。

非定形パーキンソニズムを有する患者の多くは、疾患の経過中にその特徴を呈することはない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26474316/

MRI所見に基づいた診断の精度および、PET /単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングは、臨床病理学的研究における臨床的専門知識によるものよりも高くない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26764028/

薬物誘発性パーキンソニズム

薬物誘発性パーキンソニズムは一般に、ドーパミン枯渇薬と正常なDaTSCANの履歴があるときに診断することができる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24935237/

通常、血管性パーキンソニズム、びまん性脳小血管疾患、正常圧水頭症は、下半身のパーキンソニズム、すくみ足、尿失禁、認知機能障害などの典型的な臨床徴候、特徴的な画像所見を示す。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25997420/

進行性核上性麻痺、特発性正常圧水頭症、パーキンソニズムを示す遅発性遺伝性白質脳症は、診断を複雑にするかもしれない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23180179/

脊髄小脳性運動失調症、Fragile X振戦 – 運動失調症症候群などのパーキンソニズム症状は、初期段階でパーキンソン病と誤診される可能性がある。

初期段階でにおいて、症候群の定義と詳細な家族歴は、早期発見のために重要である。

パーキンソン病の認知症状・精神症状

パーキンソン病認知症

認知症はパーキンソン病の診断時にすでに併発していることがある。さらに進行性認知障害などの非運動症状が運動症状の発症に先行することがある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28605056/

認知症リスク
6倍の認知症リスク

パーキンソン病患者ではそうではない対象と比較して、認知症を発症するリスクは6倍増加する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11274306/

パーキンソン病認知症の主要な認知障害は、びまん性皮質レビー小体病理が病因となっているが、3分の1はアルツハイマー病の基準も満たす。

さまざまな神経伝達物質の欠乏(アセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリン)、遺伝子変異(APOE4、BDNF Val  Met、COMT Val  Met、MAPT、グルコセブロシダーゼ(GBA)多型)が関係している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15590953/

パーキンソン病のうつ病

パーキンソン病のうつ病罹患率は15~50%

心理学的要因と神経生物学的要因が複雑に相互作用している可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19092112/

パーキンソン病での抗うつ薬使用は一般的であり、三環系抗うつ薬、SSRI、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬、ドーパミン作動薬について有効性が認められている。

認知行動療法が有効

認知行動療法(CBT)は、パーキンソン病のうつ病に効果的であることが示されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21676990/

パーキンソン病患者の不安と無関心

パーキンソン病患者では、うつ病ほどには注目されていないが、不安と無関心が30~40%で生じる。不安は、全般性不安障害、パニック発作(多くは非運動症状の文脈で)、社会恐怖症として現れることがある。

パーキンソン病患者の幻覚は42%(視覚的16% 非視覚的35%)、妄想4%、軽度の精神症状(存在感、視覚的錯覚、または通過幻覚)45%、 軽微な幻覚を含む全体の精神病では60%

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20437542/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26408291/

幻覚(聴覚、触覚、嗅覚を含む)

長期的なドーパミン作動性療法によるメソコルチコリン酸D 2 / D 3の過敏症

コリン作動性の欠陥

セロトニン作動性/ドーパミン作動性の不均衡

病状管理と不要な薬の用量削減は一時的な改善を提供するかもしれない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24183563/

衝動制御障害(ICD)

パーキンソン病患者の衝動制御障害(ICD) 強迫賭博、購買、性行動、摂食などは、D2/D3選択的ドーパミン作動薬の投与によって高まる。未治療郡ではICD行動リスクは高くないが、治療患者では17%以上。

高用量レボドパとアマンタジンはICDと関連しており、通常はドーパミン作動薬の中止によって解決する。

ICDへの脳深部刺激療法(DBS)

脳深部刺激療法手術後、ICDの改善と悪化の両方が報告されている。

脳深部刺激療法は、ICD患者の運動機能低下を引き起こさずにドーパミン作動薬を減らす目的で使用されるようになってきている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20065130/

DBS手術後の認知障害、特に言語流暢性の障害は一貫して報告されているが、これらの影響は予防または修復が可能であるといういくつかの証拠がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20481265/

その他の精神障害としてレボドパの慢性治療による、使用オフの期間に生じる不安、思考の遅れ、疲労、不快感が報告されている。

パーキンソン病の病理学的メカニズム

細胞レベルでのメカニズム

  • たんぱく質のミスフォールディング、凝集
  • 小胞体ストレスの崩壊
  • ミトコンドリア機能障害/カルシウム恒常性の喪失

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27196972/

環境リスク因子
  • 炭化水素曝露
  • コーヒーの少ない摂取量
  • 喫煙
  • 便秘
  • 低い身体活動

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26739246/

ミスフォールディングたんぱく質

脳幹においてレビー小体で見られるミスフォールディングたんぱく質が関与

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19909913/

レビー病理

アルツハイマー病病理のある患者の最大で60%がレビー病理を持っている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21720849/

アルツハイマー病病理は高齢者のレビー病理の分布と進行に著しい影響を与える。

アルツハイマー病のないレビー病理は嗅球と脳幹に集中する。そして進行とともに辺縁系、新皮質に移行する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12498954/

パーキンソン病は平均13年で辺縁系をレビー病理が支配し、18年後に50%の患者で全域を支配する。

アルツハイマー病患者では、辺縁系をレビー病理が支配して始めて、広範囲に広がっていく可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26340605/

ドーパミンニューロンの喪失

パーキンソン病の主要な症状は、黒質ドーパミンニューロンの30~50%、線条体ドーパミンの80%近くが失われるまで現れない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21802993/

DAT、F-DOPAイメージングは両方とも黒質ドーパミン細胞数とかなり相関する。またこの変化は疾患の初期に急速に起こることが証明されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19690093/

パーキンソン病患者が20年生存すれば、そのうち80%が認知症を発症する。

認知症は、皮質におけるレビー小体病理、アルツハイマー病または小血管病理、皮質領域のモノアミン作動性およびコリン作動性投射の変性の結果として生じる可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18307261/

糖代謝の異常

認知機能障害のないパーキンソン病患者では、皮質FDGグルコース利用レベルは一般的には正常範囲内に入るが、尾状核での代謝の増加、前頭頭頂での代謝の減少という異常なプロファイルを示す。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19765835/

画像、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はnihms917893f5.jpg

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5685546/figure/F5/

コリン作動性障害

死亡解剖の研究では、パーキンソン病の初期に、基底核でのコリン作動性ニューロンの喪失が起こることを示唆している。

認知機能低下を伴わないパーキンソン病患者では、後部、頭頂部、後頭部皮質のコリン作動性機能の低下を示した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16344512/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21571793/

睡眠障害

睡眠障害はパーキンソン病の特徴であり、日中の傾眠が最も一般的な問題として知られる。これは患者がドーパミン作動薬を服用している場合に最も見られるが、レボドパのみ、または未摂取であっても観察されることがある。

日中の過剰な傾眠は、縫線、視床セロトニン輸送体の利用可能性が低下することが報告されており、この低下は傾眠の重症度と相関する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25341374/

最大50%のパーキンソン病症例において、レム睡眠行動障害(RBD)が問題となり疾患の前駆症状となり得る。

夢を見ている間は、筋肉が緊張されたままであり、叫んだり、蹴ったり、パンチをしたりして自分自身やパートナーを傷つけることがある。

パーキンソン病症状のメカニズム

大脳基底核経路の障害

大脳基底核の機能と機能不全は、視床下核および黒質緻密部から視床および脳幹標的への経路(線条体-視床下核/黒質緻密部経路)の出力レベルを連続的に抑制するGABA作動性ニューロンのメカニズムを特徴とする。

ハイパー直接路

大脳皮質から入力を受けた視床下核ニューロンが、直接、淡蒼球内節・黒質網様部に投射している経路。大脳皮質からの興奮性入力を、直接路、間接路よりも速く、淡蒼球内節・黒質網様部に伝える。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14653188/

直接路「線条体-淡蒼球内節/黒質網様部」

線条体の投射ニューロンのうち、GABA(γアミノ酪酸)、サブスタンスP、ドパミンD1受容体を持っているニューロンが、直接、淡蒼球内節・黒質網様部に投射している経路。

直接路は(視床の脱抑制により)運動を促進する

関節路「線条体-淡蒼球外節-淡蒼球内節/黒質網様部」

線条体の投射ニューロンのうち、GABA、エンケファリン、ドパミンD2受容体を持っているニューロンが、淡蒼球外節に投射し、淡蒼球外節から視床下核を順に経由して、多シナプス性の淡蒼球内節・黒質網様部に至る経路。

直接路と対照的に「線条体-淡蒼球外節-淡蒼球内節/黒質網様部」の関節路は運動を抑制する。

大脳基底核疾患

パーキンソン病

パーキンソン病では、黒質緻密部のドーパミン作動性ニューロンが脱落し、直接路興奮性入力と、関節路の抑制性入力を失う。

その結果、運動を行う時に、直接路ニューロンが十分興奮しなくなり、関節路ニューロンは大きく興奮するようになる。このような変化によって淡蒼球内節の抑制が減少し、周辺の興奮が増大し、視床を十分脱抑制できなくなり運動現象が生じる。

ジスキネジア

線条体でドパミンが過剰に働き、直接路と間接路のバランスがパーキンソン病とは逆の状態になっておいり、その結果運動過多になる。

ヘミバリズム・ハンチントン病

ヘバリズムは視床下核の出血や梗塞で起こり、ハイパー直接路・間接路を介するシグナルが減少する。

視床下核から淡蒼球内節・黒質網様部への興奮性入力(直接路)が減少することで、運動を明確に終えたり必要のない運動を抑制できなくなり、運動過多(不随意運動)を生じる。

ハンチントン病では線条体の間接路ニューロンが脱落し、間接路を介するシグナルが減少している。

ジストニア

直接路、間接路両方のシグナルが増強する。運動時に線条体から淡蒼球内節への抑制性入力が増大し、淡蒼球内節が強く抑制される。その結果、視床、大脳皮質が脱抑制され運動過多(不随意運動)を生じる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1695403/

www.nips.ac.jp/sysnp/ganglia.html

ドーパミン欠乏と補充

大脳基底核

パーキンソン病は複雑な神経変性疾患であるが、パーキンソン病の運動機能障害は、上下肢や体幹の運動をコントロールしている運動ループ内のドーパミン欠乏に起因する。

大脳基底核は、強化学習において役割を果たすと広く信じられている。

大脳基底核は予想外の報酬に応答してドーパミンの一過性の発火増加を引き起こす。

大脳基底核は、皮質入力の直接的、間接的な経路の相互の関連を調節することによって、ドーパミン活動パターンを強化し、強化学習において役割を果たすことができる。

2つのドーパミン発火

ドーパミンは2つの異なる方法で学習機能に影響を与えると仮定されている。

位相性発火 外部の興奮性入力によって引き起こされる

周期性発火 約5Hzの遅い速度で線条体内のドーパミンニューロンが周期的に発火する。

パーキンソン病では位相性ドーパミンの喪失というよりは、むしろ周期性活動が喪失していることが運動症状の重要な要因であるように思われる。

これがおそらくドーパミン補充療法が機能する理由であり、ドーパミン放出を増強させる薬剤が部分的に補完する可能性をもつ。

 

どの程度ドーパミン放出が正常な大脳基底核機能を維持できるのかは、現在のところ完全には明らかになっていない。

ドーパミンが欠乏している場合、直接路、間接路における活動バランスを抑制に向けてシフトさせ、運動減少を引き起こす可能性がある。

また、ニューロンの集団が皮質基底核神経節、視床皮質ループで相互作用の仕方を変更することもあり、平行して生じることで運動減少をもたらす可能性を高める。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27548437/

パーキンソン病 神経活動の変化

パーキンソン病の特徴である運動緩慢、筋肉の硬直などは黒質緻密部、そして淡蒼球内節/黒質網様部、視床、皮質におけるドーパミン作動性ニューロンの喪失が引き起こしている。

パーキンソニズムはレボドパの投与によって容易に逆転するが、レボドパ誘発性ジスキネジア、運動変動の頻繁な発症、ドーパミン無反応性歩行、バランス障害の進行、歩行のフリーズ、QOLの低下を進行に伴って誘発する。

脚橋被蓋核(PPN)

中心核-線条体投射は、パーキンソン病患者において退行することが見出されており、脚橋被蓋核(PPN)、中心核(CM)などを含む他のフィードバックループも、パーキンソンに寄与している可能性がある。

パーキンソン病動物モデルでは脚橋被蓋核の損傷は運動失調と関連しているが、脚橋被蓋核の活性を増加させるとパーキンソニズムの改善と関連する。

脚橋被蓋核は、脊髄に突き出る基底核および脳幹核と密接に関連している複雑な構造であり、脚橋被蓋核のコリン作動性ニューロンはパーキンソン病で変性する。

小脳

小脳回路の変化および小脳と大脳基底核との相互作用の変化も、パーキンソン病(特に振戦)において重要な役割を果たすことが認識されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26873754/

孤発性パーキンソン病の振戦は、視床と関係する小脳の異常な振動活動と強く関連するようである。

パーキンソン病の運動障害、症状は必ずしも大脳基底核の機能を反映するわけではない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26359992/

環境要因

パーキンソニズムが単一の遺伝子突然変異、環境曝露によって引き起こされることはめったにない。パーキンソン病のほとんどの症例は多因子的な病因によって生じる。

農薬、溶剤、ポリ塩化ビフェニル、頭部外傷は、パーキンソン病のより大きなリスクと関連している。

日常行動や生活習慣の要因(喫煙やカフェインの摂取など)は、ほとんどの場合、パーキンソン病リスクの低下と関連する。

農薬

農薬または溶剤への暴露およびパーキンソン病の危険性 メタアナリシス

パーキンソン病リスクはあらゆるタイプの農薬、除草剤、溶媒への曝露によって増加した。パラコートまたはマネブ/マンゼブへのばく露は2倍のリスク増加と関連していた。

農村生活に関連するリスクも重大であることがわかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23713084/

パーキンソン病リスク因子
  • MPTP、パラコート、有機塩素2(除草剤)、4-ジクロロフェノキシ酢酸、塩素系溶剤、ポリ塩化ビフェニル
  • マンガン、鉄、鉛
  • 大気汚染
  • 頭部外傷、
筋萎縮性側索硬化症(ALS)リスク因子
  • BMAA
  • 鉛、水銀
  • 農薬
  • 溶剤
  • ホルムアルデヒド

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24924672/

環境汚染物質

少なくとも15の遺伝子および遺伝子座がパーキンソン病と関連しているが、同定された遺伝的原因はわずか数パーセントの症例でしかない。疫学的研究は、農薬、溶媒、金属、および他の汚染物質などの環境毒性物質への曝露に関連してパーキンソン病リスクが増大することを見出している。

  • ドライクリーニング
  • 脱脂
  • ビスコースレーヨン製造に使用されていた塩素化溶媒(トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、四塩化炭素)
  • ポリ塩化ビフェニル
  • 冷却剤
  • 潤滑剤

これらの毒物は環境に永続的に残る。多くは現在禁止されているが、それらは今もなお土壌と水中に残っている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24050700/

保護手袋

保護手袋と職場の衛生管理は、農薬を扱う職業のパーキンソン病リスクを低下させるかもしれない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25461423/

頭部外傷

αシヌクレインをコードする遺伝子に変異がある人の頭部外傷は、パーキンソン病リスクを2~5倍増加させたが、遺伝子変異がない場合にはリスクは増加しなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24924672/

喫煙(ニコチン)

喫煙は非喫煙者と比較して、パーキンソン病を発症するリスクは半分以下であり、多くの研究が用量依存効果を報告している。より長い期間の喫煙、またはより多くのタバコの本数はより低いパーキンソン病リスクと関連している。

タバコの煙には何百もの化学化合物が含まれるが、無煙タバコの喫煙者もパーキンソン病リスクが低下することから、一般的にニコチンが保護効果をもつ物質として考えられている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17620489/

いくつかの遺伝子の変異体がパーキンソン病リスクに対する喫煙の影響を変動させることが報告されており、その影響は性別によっても異なり、遺伝子 – 環境の相互作用を示唆している。

  • rs 2255929
  • rs 1060826

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16823855/

コーヒー・紅茶・カフェイン

カフェインはアデノシン受容体拮抗薬として神経保護性を発揮する。コーヒーにはモノアミンオキシダーゼ阻害剤として機能するβカルボリンアルカロイドなどの生理活性化合物が含ま、これらがパーキンソン病への保護効果をもつ可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15522854/

コーヒー/カフェインのパーキンソン病リスク低減効果は男性だけに関連する。

お酒を飲まない男性と比較した場合、高用量のコーヒーを飲む男性では、パーキンソン病リスクがほぼ60%低下する。

女性では閉経後のエストロゲン補充に依存して有益な効果が喪失しており、おそらくホルモン補充療法の効果を低減させた結果であると考えられている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22927157/

コーヒー/カフェインの保護効果は用量依存である。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25785234/

非ステロイド系抗炎症薬・カルシウムチャネル遮断薬

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24924672/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24050700/

遺伝要因

パーキンソン病における遺伝的リスク

パーキンソン病遺伝的危険因子は発症年齢と関連性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25778492/

αシヌクレインの遺伝的多様性

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27091628/

パーキンソン病の精密医療 サブタイプ

パーキンソン病、認知症型パーキンソン病、レビー小体では、同じゲノム遺伝子座内に一塩基多型が存在するが、それぞれ異なる遺伝的病因を有する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28106064/

ゲノムワイド 大規模メタアナリシス

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25064009/

  • rs35749011 SLC50A1(GBA) A / G リソソーム
  • rs114138760 PMVK(GBA) C / G リソソーム
  • rs823118 NUCKS1 T / C 炎症性免疫応答、DNA損傷と代謝
  • rs10797576 SIPA1L2 T / C 漢民族では関連なし
  • rs6430538 ACMSD C / T
  • rs1474055 STK39 T / C p38と相互作用して細胞ストレスに関与
  • rs12637471 MCCC1 G / A ロイシンとイソ吉草酸異化に関与
  • rs34311866 TMEM175(GAK) G / A 膜貫通たんぱく質175
  • rs34884217 TMEM175(GAK) A / C 膜貫通たんぱく質175
  • rs11724635 BST1 A / C 細胞内貯蔵のカルシウム放出セカンドメッセンジャーの合成
  • rs6812193 FAM47E C / T レム睡眠行動障害
  • rs356182 SNCA C / T αシヌクレインをコード アルコールによるリスク増加
  • rs7681154 SNCA C / A αシヌクレインをコード アルコールによるリスク増加
  • rs9275326 HLA-DQB1 C / T
  • rs13201101 C6orf10 T / C 神経変性疾患、自己免疫疾患と関連
  • rs199347 GPNMB A / G ドーパミントランスポーター
  • rs117896735 INPP5F A / G 軸索再生の負の調節因子
  • rs329648  MIR4697HG T / C ERK、AKTシグナル伝達経路と関連
  • rs76904798  LRRK2 T / C ミクログリアの過活性
  • rs11060180 CCDC62 A / G エストロゲン受容体β活性、遺伝子発現増強
  • rs11158026 GCH1 C / T テトラヒドロビオプテリン(BH4)の生成
  • rs2414739 VPS13C A / G 小胞体と細胞小器官間の脂質輸送たんぱく質
  • rs14235 BCKDK A / G BCAA異化障害
  • rs17649553 MAPT G / A タウ AD、FTDとも関連
  • rs12456492 RIT2 G / A 神経障害、精神障害リスク、インターフェロンγシグナル伝達と相互作用
  • rs8118008 DDRGK1 A / G 小胞体の恒常性(アポトーシス)

レボドパ

半世紀の歴史をもつレボドパ

1967年にレボドパ治療の論文が発表され、2年後にその有益な効果が二重盲検無作為化プラセボ対照試験によって確認された。レボドパは現在でもパーキンソン病治療の主要な薬剤として用いられている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/5334614/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/5820999/

未解明のレボドパ作用機序

レボドパは半世紀にわたって臨床的に使用されてきたが、パーキンソン病における作用機序はまだ完全には理解されていない。

レボドパがドーパミン前駆体として脱カルボキシル化されドーパミンとなり、次いで線条体の欠乏する神経伝達物質を補給することによってに作用する、という伝統的な考えは、長期応答の喪失、運動障害、疾患進行の説明をすることができない。

レボドパの生理活性

レボドパの毒性

加えて、レボドパ自体も神経伝達物質として働き、非酵素的に2,4,5-トリヒドロキシフェニルアラニン、興奮毒素など、いくつかの生物学的活性のある化合物に変換されることが研究により見出された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27044648/

最高用量(600mg/日)のレボドパを投与された対象は、プラセボを投与された対象よりも有意に多くのジスキネジア、筋緊張亢進、感染、頭痛、および悪心を示した。

DAT SPECTスキャンではプラセボと比較して、レボドパ投与群において有意に大きいDAT密度の喪失を示した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15590952/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26477883/

レボドパの酸化促進

レボドパはその潜在的な興奮毒性作用に加えて、薬剤の酸化的代謝によって活性酸素種が生成した結果、神経毒性をもたらすかもしれないう懸念もin vitro研究にて存在する。

ただし、多くのin vivo、臨床的、病理学的研究においては、レボドパが細胞死を引き起こすという説得力のある証拠は示されていない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25502620/

レボドパとトコフェロール(2000mg/日)の併用投与は、プラセボ郡との間で副作用を発症する割合は異ならなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8572664/

レボドパの新しい代替製剤

ドロキシドパ、アデノシンA 2拮抗薬

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26830844/

レボドパ、カルビドパ、エンタカポン、皮下投与、即時放出型、持続放出型野組み合わせ

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27743318/

振戦

振戦(ふるえ)はパーキンソン病のよくある最初の徴候であり、パーキンソン病に特異的な症状でもある。パーキンソン病患者の90%で進行のある時点で起こる。しかし、硬直性、無動症との相関は示さない。

パーキンソン病振戦は、他の典型的な運動障害ほどにはドーパミン補充療法によって応答を示さない。良好な応答を示す患者もいるが、十分に反応しない患者もかなりの割合で存在する。

この問題は、振戦抑制を必要とするレボドパの投与量の閾値減少である可能性が最も高い。

ドーパミン作動薬で治療を受けた振戦の改善を示す患者は、完全に応答するのに数日から数週間を要する。これは振戦回路が適応するのに要する時間の結果かもしれない。

振戦とセロトニン作動性機能障害

振戦の重症度は一般に、Fluorodopa-PET またはSPECT DaTSCANで測定されたドーパミンドーパミン枯渇、またはSN細胞数の減少とは無関係である。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1564476/

しかし、セロトニン作動性伝達との関係が示唆されており、PET研究では縫線セロトニン受容体が減少していることが明らかになった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17101892/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26209314/

興味深いことに振戦を有するパーキンソン病患者は振戦のないパーキンソン病患者と比較して、セロトニントランスポーター密度は少ないが、線条体ドーパミン作動性障害は重症化していなかった。

パーキンソン病の振戦症状発現には、おそらくドーパミン作動性細胞およびセロトニン作動性細胞の変性変化の特定の組み合わせが生じていると考えられる。

振戦の病理学

パーキンソン病振戦の解剖学はよくわかっていない。振戦のあるパーキンソン病患者では、淡蒼球においてより大きなドーパミン欠乏に類する異常が見出されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21387372/

動揺性硬直性患者での背側被殻へのドーパミン作動性投射の減少、振戦優位型患者での外側被殻および尾状核。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21264942/

振戦とネットーワーク障害

低域値カルシウムスパイク仮説

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9466402/

大脳基底核ペースメーカー仮説

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10458164/

分離喪失仮説

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12764086/

パーキンソン病の多因子性

健常者のレビー小体

パーキンソン病患者のレビー小体病理は、パーキンソン病の診断に必要な要件だが、パーキンソン病ではなくてもレビー小体は中枢神経系で生じうる。

65歳以上の高齢者の10%では、αシヌクレイン病理が見出されるが神経細胞の喪失を伴わず神経学的に正常な個人が存在する。αシヌクレイン凝集体が神経変性を引き起こす役割は決定的ではない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22908195/

診断の難しさ

レビー小体パーキンソン病の臨床診断精度は20年間変わっておらず、いくつかの状況で診断の難しさ、不確実性を呈している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24975858/

誤診の多いパーキンソン病

パーキンソン病は神経変性疾患の中でも特に誤診が高い割合で起こることが専門家の間で受けられている。

現在の重要なパーキンソン病研究目標は、発症機序と密接に関連して疾患の初期段階で臨床サブタイプを区別し認識していくことにある。

無症候性レビー小体病理

レビー小体の病理は無症候性として起こりうる。臨床症状の多様性および複数の遺伝的病因は、パーキンソン病が単一の疾患ではないことを示唆する。

異なるサブタイプのパーキンソン病患者が異なる表現型を有するに過ぎないのか、異なる病理をもちうるのか、また異なる対症療法を必要とするか。これらを裏付ける証拠はまだない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27226220/

家族性パーキンソン病の異質性

遺伝的原因と関連するパーキンソン病は、散発性パーキンソン病と同じ程度に異質性を示す。例えばLRRK2の優性は、振戦、無動症、若年発症と関連しており、SNCA変異は認知機能低下を伴う家族性パーキンソン病として生じ得る。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27028329/

ウイルス説

1920年代に喘息性脳炎のパンデミックが進行性パーキンソニズムを引き起こしたため、ウイルス性、または毒性のパーキンソン病病因が追求されてきた。

単独では関与していないことがその後の研究で示されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20629120/

薬物性パーキンソニズムの矛盾

神経弛緩薬への長期的な暴露が薬物性パーキンソニズムを引き起こすと考えられているが、原因となる薬剤が中止されれば解決するはずである。しかし実際には多くの患者で持続するか、さらに悪化する可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25801826/

パーキンソン病における多標的治療

パーキンソン病神経保護治療開発における障害

(1)パーキンソン病におけるアポトーシス(細胞死)の正確な原因と標的の不確実性。

(2)ドーパミン作動性、非ドーパミン作動性の進行パターン、およびその性質を正確に反映するパーキンソン病動物モデルの欠如。

(3)臨床試験で使用される正しい用量の決定

(4)基礎疾患に基づく臨床研究のエンドポイントが、研究介入による潜在的な症状の影響によって混同

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19127580/

遅発型家族性パーキンソン病突然変異は、3つの主要な神経生理学的側面をもたらす。

  1. シナプス伝達
  2. エンドソームサイクルとリソソーム異常症
  3. ミトコンドリア代謝

遅発型家族性パーキンソニズムは、早発型単一遺伝子(モノジェニック)のパーキンソニズムはいくつかの共通のメカニズムを共有し、対症療法にも同様に反応する。そのため遺伝的、臨床的に異なる実体であるという仮定はできない。

生理学的および病理学的特徴を単一の遺伝子に帰する理解では、シナプス伝達、リソソーム活性、ミトコンドリア呼吸の機能障害のどのメカニズムが主要な役割を果たすか理解がむずかしい。分子経路間のクロストークの可能性もある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26376965/

パーキンソン病は単一の疾患ではない。

パーキンソン病への還元主義に対する批判

www.nature.com/articles/nrneurol.2016.196

早期診断

パーキンソン病の初期段階

前臨床段階

神経変性病理は存在するが、診断可能な症状や徴候はない状態。バイオマーカー診断が必要となる。

前駆症状

症状/徴候はあるが、臨床的パーキンソン病の診断には不十分

臨床的

疲労の増加に加え安静時の振戦または硬直を伴う動作緩慢、パーキンソニズム

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22252891/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23582175/

パーキンソン病と診断された際には、黒質緻密部特異的ニューロンの35~70%はすでに喪失しいることが示唆されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1933245/

末梢神経から始まるパーキンソン病

パーキンソン病病理は黒質緻密部特異的ニューロン以外の部位から開始されうることが見出されている。嗅覚および下部脳幹構造がしばしば最初に冒されるという認識は共有されている。

さらに、腸内のマイスナー神経叢および心臓の自律神経線維などの末梢神経構造も早期の変性を発症する可能性がある。

レビー小体型アルツハイマー病を有する対象は、末端臓器、脊髄、傍脊髄交感神経節の関与はまれであった。胃腸管内では下部食道と顎下腺が最大の関与を示し、結腸と直腸が最も低い関与を示した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20306269/

この末梢神経変性が中枢神経変性の前に起こり得るかどうかは、物議をかもしたままである。

パーキンソン病前駆症状マーカー

マーカー 証拠レベル 相対リスク
検査指標の正常値が
外れるまでの期間
テスト費用/負担
嗅覚 高い 5 低/中
レム睡眠行動障害 高い 50 13年
低い(モニタ)
高い(PSG)
眠気 中程度 1.8 低い
むずむず症候群(遅発性) 低い 1.5 短い 低い
便秘 高い 2.5 15年以上 低い
起立性低血圧 中程度 ?2〜10? 2〜5年? 低い
排尿障害 中程度 2.1 ?5年以上 低い
勃起不全 中程度 1.2軽度3.8重症 5〜10年 低い
うつ病/不安 高い 1.8
不確実?
二相性
低い、しかし追跡調査では高い
カラービジョン 低い 2.5 > 3年? 中程度
わずかなパーキンソニズム症状 中程度 10年 4〜5年 中程度~ 高い(専門)
定量的モータテスト 中程度 3〜4 5年 中程度
SN超音波 中程度 15年
不確実?
リスクマーカー?
中程度〜高い
ドーパミン作動性PET / SPECT 低い(可能性はある) 20 5年 高い
SPECT / PETD PDパターン 低い 高い
海馬過灌流 低い 高い
消化管シヌクレイン病理 低い 2? 高い

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5685546/table/T5/

臨床マーカー

運動症状

UPDRS

行動振戦を除いた3ポイント以上のカットオフは、2年後にパーキンソニズムを94%の感度と97%の特異度で予測することができた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22508284/

特発性レム睡眠行動障害において、Purdue Pegboard、代替タップ試験は、パーキンソン病診断の3年前であっても70%〜80%の感度および75%〜82%の特異性でパーキンソン病を予測することができた。

スマートフォンのアプリ、ウエアラブルセンサを使ったパーキンソン病評価の研究

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25386137/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27430969/

レム睡眠行動障害

レム睡眠行動障害はスクリーニング質問表で90%という高い特異性で検出が可能だが、陽性適中率は低い。1~1.5%

 

特発性レム睡眠行動障害患者の神経変性疾患発症リスクは3年後に25%、5年後に41%であった。カフェイン、喫煙、アルコール摂取のいずれも発症を予測しなかったが、発症した人では農薬曝露の可能性が低かった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25767079/

高い感度を示す嗅覚機能の衰え

嗅覚はその他のほとんどの非運動マーカーよりも優れた予測能力をもち、高い感受性をもつ。相対リスクが5前後であっても、低血糖である大多数はパーキンソン病を発症しない。

下位四分位数の549人すべてが重度の低血圧を患っていたが、4年後にパーキンソン病を発症し人はわずか10人であった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16275833/

嗅覚と色覚の両方がシヌクレインを仲介する神経変性疾患診断の5年前までに減少、前臨床段階ではわずかな減少しかない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21246603/

自律神経障害

便秘によるパーキンソン病リスク

6つの前向き研究が、便秘はパーキンソン病リスクを増大させることを報告している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26474317/

起立性低血圧の高いパーキンソン病リスク

合計2件の研究で、起立性低血圧がパーキンソン病を予測できることがわかった。自律神経系の専門病院に紹介された患者を追跡した結果、20%以上が最終的にパーキンソン病を発症したことが判明した(その他の患者はレビー小体型およびMSAを伴う認知症を発症する)。起立性低血圧を呈する人々が10年後までにパーキンソン病を発症するリスクが高いことを発見した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26400576/

遅発性起立性低血圧症を有する人の31%がαシヌクレイノパチーを発症した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26400576/

心拍変動の減少

心拍変動の減少がパーキンソン病のリスクを高める可能性があることを研究は示唆している。(相対リスクは2〜3)。

www.ncbi.nlm.nih.go/pubmed/19909913/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26400576/

膀胱機能障害・勃起不全

膀胱機能障害の症状は、パーキンソン病リスクの約二倍の増加と関連していた。

勃起不全はリスク増加と関連していた。1つの研究では、重度の勃起障害を有する人では3.8倍のパーキンソン病リスクの増加が見つかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19909913/https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26400576/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25491387/

気分障害

うつ病と不安は、一般的にパーキンソン病と併存する。多くの研究は、うつ病と不安、両方の気分障害がより高いパーキンソン病リスクと関連しているが、相対リスクは1.5〜2.5の範囲と低く、特異性が低いことを示している。

発症までの期間は不明であるが、パーキンソン病発症の直前に出現する第二のうつ病と、発症初期のパーキンソン病的精神症状の不安は二相性を示す可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25995056/

傾眠・その他の睡眠障害

睡眠障害はパーキンソン病リスクを増大する可能性があるが証拠は少なく、予測値は低い。2つの集団ベースの研究では、過度の昼寝または傾眠がパーキンソン病リスクを2倍にすることを見出した。

リードタイムは不明であるが、スクリーニングとしては容易に行える。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16275833/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21368281/

血液・CSFバイオマーカー

CSFタンパク質プロファイルは、LRRK2関連パーキンソン病と特発性パーキンソン病とで異なる。前駆症状診断としてのCSFバイオマーカーの証拠は非常に限られている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27041685/

神経イメージング・ドーパミン作動性イメージング

ドーパミン作動性PET / SPECT

ドーパミン作動性PET / SPECTは、パーキンソン病診断時では35〜65%のドーパミンと神経細胞の喪失を示すことから、より軽度の喪失がより早期の段階で示されるはずだと推測できる。しかし、これまでのところ、予測的価値を実証する公表された前向き研究はない。

いくつかの研究では、特発性レム睡眠行動障害患者の約40%に異常があることが報告されており、これは時間とともに進行するように思われる。

ドーパミン作動性の低下を有する患者に複数の要因(低血糖、性別男性、便秘)を組み合わせると、前駆症状パーキンソン病に該当する患者の割合が増加する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25298306/

黒質超音波検査

パーキンソン病では超音波での黒質でのシグナル増加が示されている。

集団ベースの研究では、エコー検査による黒質シグナルの増加は20倍のパーキンソン病リスクの増加と関連していた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22508284/

組織診断

正常な人の抹消組織にもシヌクレインの沈着があることから、組織(皮膚や胃腸)の生検は初期パーキンソン病のマーカーとしては弱い特異性を示唆する。

デンマークの研究では、最終的にパーキンソン病を発症した患者の全国データベースからの胃腸生検サンプルを調べたところ、パーキンソン病を発症する前の患者で増加したリン酸化シヌクレイン染色を記録した。

前駆症状時期のパーキンソン病サンプルの45%が陽性であった。

平均で診断の7年前(20年〜4ヶ月)であり、パーキンソン病の10~20年にわたる前駆症状期間の仮説と一致する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27015771/

組織生検は、特異性の問題を解決すれば、パーキンソン病早期発見マーカーとして有望である。

パーキンソン病の神経変性

レビー病理

20世紀初頭に、パーキンソン病患者の脳の多くの場所で、ニューロンの異常な細胞内封入体があることがレビー博士によって発見された。

異常な細胞内封入体はレビー小体とレビー博士によって名付けられた。αシヌクレインはそのレビー小体の主要成分である。

しかし、パーキンソン病の神経細胞の喪失は、ある領域ではレビー病理と相関しているが、その他の領域では相関していないことがある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23152586

加えて、臨床的に診断されたパーキンソン病患者の約半数のモデルでのみレビー病理をと一致したパターンを有する。そのため病期分類

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18362284/

レビー病理以外のパーキンソン病神経変性要因

・プロテアソームおよびリソソームの機能不全

・ミトコンドリアの機能障害。

健康に機能する神経細胞内では、誤って折り畳まれたまたは損傷したタンパク質および機能不全の細胞小器官は分解、放出される。

この働きはプロテアソームとオートファジーによって行われるが、この両方に影響を与える遺伝子変異がパーキンソン病では関与している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18362284/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26923732/

理論的には、レビー病理がこのプロテオスタシス機能不全を引き起こすことが容易である。実際にリソソーム機能不全はαシヌクレイン蓄積を促進した後リソソーム機能不全を悪化させることがある。

ミトコンドリア

ミトコンドリアと酸化的リン酸化は、ニューロンの生存に必要不可欠である。

ニューロンミトコンドリアの多くは、エネルギーが要求される場所に近接して作用しており、エラーや機能不全を引き起こしにくくしている。

しかし、環境毒素への曝露、遺伝的突然変異、または年齢によるミトコンドリア障害が、生物エネルギーの枯渇を引き起こしニューロンの細胞死が起こりうることがが示唆されている。

選択的なニューロンの脆弱性

レビー病理が、タンパク質代謝回転障害、ミトコンドリア機能障害はすべてパーキンソン病の病因において役割を果たす可能性があるが、これらのメカニズムのどれも疾患の最も特徴的な特徴である選択的神経細胞の脆弱性を説明していない。

 

脳内のニューロンのごく一部がパーキンソン病で変性したり、他の病状の兆候を示したりすることはありません。

すべてのニューロンはαシヌクレインを発現し、ミトコンドリアに依存し、そして効率的なタンパク質代謝回転に依存する。

 

パーキンソン病の病理学的進行パターンを決定づける2つの主要な理論が存在する。

1.αシヌクレインのプリオン様感染によって決定される。この拡大経路は脳コネクトームによって決定される。

2.パーキンソン病の脆弱性をもつニューロンは、α-シヌクレイン凝集体、ミトコンドリア機能不全、タンパク質代謝回転不良の3つの刺激に対して脆弱になることから生じる。

パーキンソン病 炎症と神経細胞死

すでに発症したパーキンソン病疾患では、先天免疫と適応免疫の両方が活性化しているという明確な証拠が存在する。脳内での先天性免疫の主な細胞は常在性ミクログリアであり、脳の微小環境の継続的な監視に関与している。

パーキンソン病モデル系の死後研究では、一貫して著しいミクログリア活性化が実証されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18044695

この活性化は、T細胞浸潤、免疫グロブリンの産生、骨髄細胞集団を循環させる修飾を含む適応免疫応答も駆動することがある。

神経炎症の上流

パーキンソン病の神経炎症を引き起こす上流がなんであるかは未解明である。

折り畳まれていない形態のα シヌクレインは強力な炎症源であり、ドーパミン作動性ニューロンの細胞死によって放出されるニューロメラニンも、脳ミクログリアの活性化を刺激することがある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26455458/

これらが神経炎症の原因であるという明確な証明はまだ不足しているが、一旦反応が引き起こされると、下流経路は、サイトカインの産生、食細胞の活性化、補体の産生を含む、ニューロン死を引き起こす可能性がある多くのプロセスの活性化をもたらす可能性がある。

動物モデルにおける最近の研究では、強い上流ストレッサーの存在下であっても抗炎症戦略がニューロン死を防ぐことができることを実証した。

この考えは、いくつかの非ステロイド系抗炎症治療がパーキンソン病の発症率を減少させる可能性があることを示唆する疫学的観察によって支持されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21368281/

パーキンソン病プリオン仮説

プリオンは、核酸を含まずミスフォールドタンパク質のみで構成されている感染因子。

ミスフォールドタンパク質が鋳型として作用し、野生型タンパク質のミスフォールドを連鎖反応的に促進するプリオン配座異性体反応によって感染プロセスが維持される。

プリオン配座異性体反応の正確な分子基盤および神経変性の原因となるメカニズムは現在のところよく理解されていない。

αシヌクレインの感染

αシヌクレインマウスモデルの脳由来抽出物を、より若く健康なマウスの脳に注射すると死亡率を加速させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24615832/

パーキンソン病患者のレビー小体由来の抽出物をげっ歯類に注入すると、黒質変性症、行動の変化と広範囲のレビー病理を示した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24243558/

プロテアソーム・リソソーム障害

プロテアソームとリソソームのクリアランス機構の障害は、αシヌクレインの蓄積とミスフォールドを引き起こす可能性があり、実際にそれらの障害がパーキンソン病で報告されている。

鼻腔粘膜 感染・毒性

プリオン疾患の開始には毒性または感染プロセスが関与する可能性もある。

嗅覚神経フィラメントは体の外部に伸びる唯一の神経終末であり、迷走神経の背側運動核の終末と粘膜の厚みはわずか数マイクロメートルしかない。

これらの領域は上部消化管を神経支配するが、パーキンソン病発症の最も初期の中枢神経系領域であるとも考えられている。

そのため毒性または炎症要因の末梢曝露は中枢神経系へのその後の広がりを伴う可能性を高める。

抹消組織から始まるプリオン疾患

パーキンソン病は古典的な運動機能の発症前に結腸内のレビー病理の存在を示唆するいくつかの研究がある。ミスフォールディングされたタンパク質は確率的にランダムに形成され、脆弱な個体において凝集タンパク質やプリオンの蓄積を引き起こす可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22550057/

プリオン仮説に基づくならば、ミスフォールディングαシヌクレインの排除を促進することによる新しい治療標的が可能となる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23390095/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28218461/

パーキンソン病の神経保護

MPTP標的

MPTPは合成オピオイドの製造中に生成されることがあり、違法薬物を誤って摂取したヒトがパーキンソン病症状を引き起こすことがある。

MPTP自体は毒性がないが、親油性化合物として脳内を通過しMAO-Bにより酸化されMPP+となり、これが細胞外に放出された後、ドーパミン作動性ニューロンに取り込まれる。

MPP+はミトコンドリア内に取り込まれ、電子伝達系複合体Iを強力に阻害するため、エネルギー産生能の低下によって細胞が変性すると考えられている。

bsd.neuroinf.jp/wiki/MPTP

微量のMPP+を繰り返し摂取または曝露することによって引き起こされる可能性があるが、微量すぎるため疫学研究で有意に検出することは困難であると仮定されている。

農薬や、殺虫剤に含まれるロテノンもMPP+と同様に、電子伝達鎖複合体Ⅰを阻害する。

web.archive.org/web/20080227162019/http://www.silsoe.cranfield.ac.uk/ieh/pdf/w21.pdf

モノアミンオキシダーゼ阻害剤

DATATOP大規模多施設共同研究 初期のパーキンソン病患者900人 セレギリン、セレギリン+トコフェロール、プラセボ。投与群ではレボドパ投与を行う時間が著しく遅れ、疾患の改善効果が示された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2509910/

MPTP治療候補

セレギリン、鉄キレート、ミノサイクリン、PPAR活性、NMDA拮抗薬

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3530193/

コエンザイムQ10

コエンザイムQ10は、初期の試験で疾患への効果が実証されたが、第三相臨床試験で失敗した。

イノシン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24366103/

www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/66/1/66_63_2/_pdf/-char/ja

クレアチン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26208210/

プラミペキソール(ビ・シフロール)

ドーパミンD2受容体

GDNF

グリア細胞由来神経栄養因子 GDNFを増やす10の方法

グルコセレブ GBA標的

グルコセレブロシダーゼ(GBA)遺伝子変異は、パーキンソン病患者のもっとも重要な危険因子であると認識されている。

GBD突然変異は、下記のメカニズムによって小胞体関連の分解が促進されると考えられている。

  • ミスフォールディングタンパク質による小胞体のGCase、リソソーム活性低下
  • 毒性の基質蓄積
  • ミスフォールディング突然変異タンパク質の抑制効果

 

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16000318/

写真、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はpnas.1300822110fig01.jpgです。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23412333/

ja.wikipedia.org/wiki/ゴーシェ病

GCase競合阻害剤

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17187079/

アンブロキソール(去痰薬)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23158495/

www.sciencedaily.com/releases/2016/02/160222112642.htm

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24574503

イソファゴミン(IFG)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22167193/

セラストロール

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3890874/

酵素補充療法(ERT)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17076599

グルコシルセラミド合成酵素の阻害

サデルガ

植物コアキシロース

サポシンC

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