オレウロペイン(オリーブの葉)
概要
オリーブの葉は、地中海沿岸の地域で伝統的に利尿剤、降圧剤、皮膚軟化剤、膀胱感染、強壮剤、頭痛の治療剤として用いられてきた。
オレウロペインはオリーブリーフに含まれる化合物で、オレウロペインとその代謝物であるヒドロキシチロソールが強力な抗酸化作用を有する。
エキストラヴァージンオリーブオイルの苦味成分にもなっている。
効果・作用機序
脂質代謝
オリーブリーフサプリメントに含まれるオリーブフェノールは、LDLコレステロール酸化からの強力の保護効果があると考えられている。
これはおそらく、ヒドロキシチロソールの抗炎症効果に起因し、オリーブ含有食品摂取などの低用量で効果を発揮しうる。
また強力な抗酸化作用に関連した神経保護効果の可能性がある。
オリーブフェノールは、リポタンパク質にも影響を与えうるが、効果としてはコレステロール低下薬というよりも抗アテローム性動脈硬化症への作用である。
in vitroにてPPARγの阻害作用をもつ。PPARα、PPARβ/δには影響を及ぼさない。
糖代謝
作用機序は完全に解明されていないが、膵臓と関連したグルコース代謝に有益な効果があることが示唆されている。
神経作用
マウスへのオリーブポリフェノールの投与は、海馬嗅球においてNGFとBDNFを増加、前頭皮質および線条体では減少した。TrkAおよびTrkBの増強された発現と関連。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23466052
オレウロペインはPC12細胞において抗酸化作用を発揮。ヒドロキシチソールの強力な抗酸化作用により高血糖に対する保護効果を示す。神経保護作用は抗酸化作用に基づくことを示唆。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23394606
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21540099
オリーブリーフに含まれる化合物は甲状腺ホルモンやアドレナリンを増加させることによる脂肪燃焼に関与する作用機序が存在するが、サプリメントではこの効果は発揮されなかった。受容体のダウンレギュレーションによって効果が減弱している可能性がある。
ロディオラロゼアと類似する分子化合物であり、似たような作用をもつかもしれない。
細菌
オリーブリーフ抽出物は、試験管研究ですべてではないが、非常に多くの病原菌に対して抗菌作用を有する。
カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni) 、ヘリコバクター・ピロリ、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対してもっとも活性する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19135874
カンジダアルビカンスの殺菌
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12870202
単一の化合物よりもカフェ酸などフェノール系の組み合わせによって細菌増殖抑制効果がが最大化。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20106659
ウイルス
オリーブ葉抽出物にオレウロペインの代謝産物であるカルシウムエレノラートの抗ウイルス作用
カルシウムエレノラートは大腸菌デオキシリボ核酸(DNA)ポリメラーゼII、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素を阻害。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/53031
カルシウムエノラートのパラインフルエンザ感染に対する抗ウイルス活性
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/4319307
試験管研究で、コクサッキーウイルスA21、MRS、仮性狂犬病ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、脳心筋炎ウイルス、ニューカッスルウイルス、A型インフルエンザウイルス(PR8)およびシンドビスウイルス
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/5396483
Nelumbo nucifera Gaertn、Aspalathus linearis(Burm.f.)R.Dahlgren、Urtica dioica L.、Glycyrrhiza glabra L.、Olea europaea L.抽出物のロタウイルス感染に対する抑制効果
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22834653
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15869811
認知症
ビオフェノールであるオレウロペインが、アミロイドβのオリゴマー形成を阻害し、凝集物を破壊する
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28301805
オレウロペインがHT-22海馬ニューロン細胞におけるグルタミン酸毒に対する予防効果を有する。神経変性疾患治療としての可能性。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28448247
ラットにオレウロペインを投与することで、コルヒチンによる海馬CA1領域の障害を有意に改善し、酸化的損傷を弱めた。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26892487
オレウロペインが、マウスのカスパーゼ3切断のレベルを低下させる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26872990
オリーブから抽出されたヒドロキシチロソール、オレウロペイン、オレウロペインアグリコンがタウタングルの凝集を阻害する。後者はタウ凝集阻害剤メチレンブルーよりも、凝集阻害の活性が高い。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21333710
マウスにおいて、オリーブリーフから抽出されたオレウロペインなどのポリフェノール混合物をマウスに投与、グルタチオンの低下を減少させ、BDNF、NGFのレベルを増加させた。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24865115
摂取方法
一般的なオリーブリーフサプリメントの摂取量は500-1000mg
10mgの低用量でも、LDLコレステロール酸化に対する保護効果を示す。
食事などから摂取する低用量であれば、タイミングはいつでもOK
神経保護目的などの目的で、サプリメントにより毎日高用量摂取する場合は、朝だけにとどめておく。