ニコチンアミド・モノヌクレオチド(NMN)
研究
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)はNAD+量を調節するNAMPTの酵素反応産物
Sirt1活性
NAMPTの酵素反応産物であるNMN(500 mg/kg)のマウス腹腔内投与は,NAD+合成系を回復し,SIRT1の触媒する反応が促進され,高脂肪食負荷,老化に合併する耐糖能異常,インスリン抵抗性,脂質異常症を改善した。
Sirt1、Sirt3の増加
さらにNR(ニコチンアミドリボシド)も経口投与すると肝臓,褐色脂肪組織,骨格筋のNAD+量を増加させ,SIRT1およびSIRT3の触媒する反応を促進させることで,高脂肪食負荷に合併する体重増加,インスリン抵抗性,脂質異常症などの代謝異常症を改善することが報告されている。
ミトコンドリア機能不全の回復
NMNは,加齢に伴う骨格筋のミトコンドリア機能不全を劇的に回復させ,骨格筋萎縮や炎症のマーカー,インスリンシグナル伝達,グルコースの取り込みを改善する。
linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0092867413015213
NAD+増加、PGC-1αの発現
アルツハイマー病モデルマウスにNR(250 mg/kg/day)を3か月間経口投与したところ,大脳皮質NAD+量が増加しPGC-1αの発現亢進に伴いアミロイド前駆体タンパク質(APP)切断酵素βセクレターゼ(BACE1)が分解され,βアミロイド産生が低下することで認知機能が改善した
www.neurobiologyofaging.org/article/S0197-4580(12)00620-3/fulltext
海馬神経新生
6月齢から18月齢までNMN(300 mg/kg)を経口投与したマウスでは,老化に伴う海馬の神経幹細胞の減少が抑制され,新生神経の増加傾向を認めた
seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2015.870239/data/index.html
抗アルツハイマー
NMNの活性は、マウスのJNK活性化制御を介在し、アミロイド産生、アミロイド班の蓄積、シナプス喪失、炎症反応を有意に減少させ、マウスのアルツハイマー病を逆転させた。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28330719
軸索変性の促進!?
NADの前駆体である軸索変性を促進する。
NMN合成酵素NAMPT阻害剤FK866は、NADを低下させるにもかかわらず、損傷した軸索およびシナプスの形態的な堅牢性と機能的保護を与える。
NMNの下流には、軸索変性プログラムを活性化させるシグナルが含まれる。
過剰の細胞質NMNは、ミトコンドリアと細胞質間でピリジンヌクレオチドの交換が妨害され、潜在的にミトコンドリアの機能不全につながる可能性がある。
NMN合成酵素NAMPTを軸索障害における重要な新規治療標的として提示する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4392071/
現時点ではNMNは商品化されていない。
NMNを多く含む食品
※上記食品のNMN含有量は100gあたり約数十~50mg