炎症誘導因子NLRP3インフラマソーム(認知症・アルツハイマー病)

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脳の炎症・1型

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炎症誘導因子NLRP3インフラマソームの抑制(作成中)

概要

自然免疫応答に関わる複合体タンパク質

インフラマソームとは微生物感染や細胞障害によって生じる刺激因子に応答して、炎症を制御する細胞内の分子複合体。自然免疫細胞を中心に発現する。微生物感染に対する宿主防御がその役割。

NLRP3インフラマソームとは、インフラマソームにパターン認識受容体であるNLRP3を含む複合体として名付けられている。

コンポーネント(NEK7、ASC、カスパーゼ-1、IL-1β)

刺激物による活性

過剰な栄養により蓄積した尿酸塩血症や遊離脂肪酸などの様々な刺激性代謝物に反応して、NLRP3インフラマソーム複合体が形成され、炎症性サイトカインIL-1βやIL-18の産生を誘導する。

調節不全による炎症性疾患との関連

ただし、過度なNLRP3インフラマソームの活性化は、痛風関節炎、糖尿病、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症などの炎症性疾患と密接に関わる。

広範囲の刺激を感知

NLRP3インフラマソームは多用な刺激によって活性化され、イオン流出、ミトコンドリア機能障害、活性酸素種の産生、リソソーム損傷などにより活性化を引き起こされることが示されている。

 

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27669650

NLRP3インフラマソームの2段階メカニズム

複数の条件で活性

NLRP3インフラマソームを活性化する正確なメカニズムは理解されていないが、二段階のプロセス、「プライミング・シグナル1」と「プライミング・シグナル2」により活性化するものと考えられている。[R]

NLRP3インフラマソームのプライミング(シグナル1)

微生物成分、内因性のサイトカインによって供給される。

NLRP3インフラマソームの活性化(シグナル2)

NLRP3はこの段階で広範囲の刺激により活性化することが可能になる。

  • イオン流出
  • カリウム流出
  • Ca2+動員
  • ナトリウム流入・クロール流入
  • ヘム

[R]

粒子状物質

尿酸結晶[R]

シリカ結晶、アルミニウム塩

シリカ結晶を吸入すると、肺胞腔に炎症が生じる。シリカへの長期間の曝露は、不可逆的な線維性肺疾患である珪肺症の発症につながる可能性がある。シリカとアルミニウム塩の結晶が細胞質受容体NALP3によって形成されたインフラマソームを活性化。NALP3の活性化には結晶の貪食が必要であり、この取り込みはその後リソソームの損傷と破裂をもたらす[R]

アスベスト、シリカ

アスベストとシリカがNalp3インフラマソームによって感知され、その後の活性化がマウスのIL-1βの分泌につながる。[R]

病原体
  • 細菌RNA[R][R]
  • グループBレンサ球菌[R]
  • バクテリアRNA、小型の抗ウイルス化合物[R]
細菌・真菌毒素
  • 細菌外毒素[R]
  • 志賀毒素[R]
  • カンジダ・アルビカンス[R][R]
  • セレウス菌[R]

非正規インフラマソーム経路

細胞質LPSのシグナル伝達TLR4と独立して毒素性ショックを誘発することが発見された[R]

この経路は非標準インフラマソームと呼ばれ、グラム陰性菌には反応するが、グラム陽性菌には反応しない[R]

インフラマソーム代替経路

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6651423/

NLRP3インフラマソームの活性要因

先天性免疫応答

NLRP3インフラマソームは、アミロイドβの先天性免疫応答に関与している。[R]

mitofusion2を介したウイルス感染

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24127597/

NF-κB
酸化ストレス

ROSは、NLRP3インフラマソームを促進するが、形成するための十分条件ではない。[R]

NADPHオキシダーゼ2(NOX2)は、外傷性脳損傷後の脳のNLRP3インフラマソーム活性化を調節する。[R]

Nrf2活性化化合物

NLRP3インフラマソームの活性化にはNrf2の存在が必要。Nrf2活性化化合物はNLRP3インフラマソームをダウンレギュレートするが、コレステロール/ 尿酸一ナトリウム(MSU)はNLRP3インフラマソームをアップレギュレートする。[R]

ミトコンドリア機能不全

ミトコンドリアはNLRP3インフラマソーム活性化の中心的なプラットフォーム。

ミトコンドリアの機能不全は、ROSを引き起こしNLRP3の上流で作用する。

NLRP3は小胞体に局在するが、NLRP3が活性化されるとミトコンドリア近傍に再分布する。マイトファジーはNLRP3活性化のバランス調整を行う。[R][R]

ミトコンドリア抗ウイルスシグナル伝達タンパク質(MAVS)[R]

MAVSはNLRP3のミトコンドリアへの動員を促進し、ミトコンドリアの活性酸素種に近接させることでカスパーゼ1の活性化につながるオリゴマー化と活性化を促進する可能性がある[R]

リソソームの破裂

MSU、ミョウバン、シリカ、アスベスト、アミロイドβ、コレステロール結晶、カルシウム結晶などの粒子状物質は、マクロファージの食作用後にリソソームに損傷を与え、リソソームの内容物が破裂しサイトゾルに漏出する。リソソームの破裂はNLRP3インフラマソームの活性化の重要なステップとなる。[R]

リソソームの不安定化は、シグナル2だけでなくシグナル1も関与するようである[R][R]

アミロイドβ

アミロイドβは、リソソームの不安定化通じてNLRP3インフラマソームを活性化する。[R]

αシヌクレイン

αシヌクレインは、リソソームを破壊し、カテプシンBの放出を促進することにより、NLRP3インフラマソームの活性化を誘導する[R]

プリオン PrP

PrP繊維がリソソーム不安定化とNLRP3インフラマソームを活性化を誘導する。[R]

グループBレンサ球菌

リソソームの内容物の放出がグループB 連鎖球菌感染におけるインフラマソーム活性化の鍵であることが示されている。[R]

バフィロマイシンA

マクロライド系抗生物質バフィロマイシンAは、粒子状物質によるNLRP3インフラマソームの活性化を阻害する。[R]

NLRP3遺伝子

NLRP3rs10754558多型は、2型糖尿病のリスクと強く関連する。[R]

刺激性粒子・環境因子

シリカ、アスベスト、アラム

高脂肪食

飽和脂肪酸パルミテートは(不飽和オレイン酸ではなく)NLRP3-ASCインフラマソームの活性化を誘導し、カスパーゼ-1、IL-1βおよびIL-18産生を引き起こす。[R]

異常タンパク質

アミロイドβ

アミロイドβはミクログリアのCD36、TLR4などに作用することで、NLRP3インフラマソームなどを活性化し炎症因子の産生や放出を引き起こす。

NLRP3インフラマソームの阻害は、アルツハイマー病に対する治療介入となることが示唆されている。[R]

膵島アミロイドポリペプチド
タウ

NLRP3インフラマソームがタウのもつれ形成を促進し、タウ自体もNLRP3インフラマソームの活性化を促進し得ることを見いだされた。[R]

αシヌクレイン

αシヌクレイン凝集によるNLRP3インフラマソームの活性[R]

 

 

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27652274

インフラマソームNLRP3活性化による神経変性疾患リスク

アルツハイマー病

カスパーゼ1の活性

不活化されているカスパーゼ1はインフラマソーム形成によって、活性化する。

アミロイドβクリアランスの低下

NLRP3インフラマソーム活性化はADマウスのカスパーゼ1およびIL-1βの活性化ならびにアミロイドβクリアランスの低下を示す。[R]

ミクログリアによるアミロイドβ食作用の低下

NLRP3インフラマソームの活性化は、ミクログリア細胞によるアミロイドβの食作用を減少させる。[R]

タウ

NLRP3インフラマソームがタウのもつれ形成を促進し、タウ自体もNLRP3インフラマソームの活性化を促進し得ることを見いだされた。[R]

その他の神経変性疾患

神経変性疾患全般(AD、パーキンソン、ALS、多発性硬化症)

神経変性疾患における自然免疫活性化

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24962261/

神経変性の炎症の根底にあるメカニズム

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20303880/

外傷性脳損傷(TBI)

外傷性脳損傷モデルラットにおいてNLRP3-インフラマソーム複合体の蓄積、ASC発言の増加、カスパーゼ1の活性化、IL-1β、IL-18のプロセシングの誘導を示す。[R][R]

脳挫傷後の皮質におけるNF-κBの発現[R]

NLRP3同様、NLRP1(NALP1)も、外傷性脳損傷後の先天性炎症応答の重要な成分として実証されており、脳脊髄液中のNLRP1レベルが高い患者では、そうではない患者よりもより死亡および重度の障害など悪い結果を示した。[R]

パーキンソン病

パーキンソン病マウスモデルにおけるNLRPインフラマソームの活性化[R]

NLRP3インフラマソーム抑制方法 ライフスタイル

筋力トレーニング

高齢者26名のレジスタンストレーニングが、オートファジーを刺激し、NLRP3インフラマソーム活性化を予防する。[R]

一酸化窒素
一酸化窒素はNLRP3インフラマソームを阻害する。[R][R]
ケトンダイエット
βヒドロキシ酪酸

内因性のNLRP3インフラマソーム阻害剤であるβヒドロキシ酪酸は、動物モデルのストレス誘発性の行動および炎症反応を減弱させる。[R][R]

ケトン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25686106/

NLRP3インフラマソーム抑制方法 天然化合物

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5031844/

クルクミン

クルクミンはIL-1β分泌の抑制、カスパーゼ1の阻害、ROSおよびTXNIP発現を低下させるなど複数の機序によってNLRP3インフラマソームを阻害し炎症を予防する。[R][R][R]

スルフォラファン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26269198/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29340626

NAFLDマウスへのスルフォラファン投与は、NLRP3インフラマソーム活性化を抑制し、高脂肪食によって誘発されるNAFLDに伴う肝脂肪症症状の緩和につながる

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27075683

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26827637

レスベラトロール

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29257276

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23647015

レスベラトロールは、敗血症関連脳症(SAE)マウスの空間記憶を改善し、ミクログリアのNLRP3 / IL-1β軸を阻害する。[R][R]

レスベラトロールNLRP3インフラマソームの変化を伴うマウスの肝メタフラメレーションを改善する。[R]

レスベラトロールが、レスベラトロール進行性IgA腎症のマウスモデルにおいて、ミトコンドリアの完全性を維持し、オートファジーを増大させることにより、NLRP3インフラマソーム活性化を抑制する。[R]

アロエベラエキス

アロエベラは、プロカスパーゼ1およびP2X7R発現の阻害、Erk、p38、NF-κBシグナル伝達を阻害を介して、LPS誘発炎症性サイトカイン産生およびヒトマクロファージにおけるNLRP3インフラマソームの発現をダウンレギュレートする。[R]

アロエエモジン(アロエの皮やゼリー状に含まれる苦味成分)[R]
EGCG

EGCGはNrf2経路を増強し、NLRP3インフラマソーム活性化を阻害することによりマウスのループス腎炎を予防する。[R][R]

ビタミンB6

ビタミンB6(ピリドキサールおよびピリドキサール5リン酸)は、NLRP3インフルマソーム活性化を阻害することによってIL-1β産生を防止する。[R]

ゲニピン(ジャスミン抽出物)

肝臓や胆嚢を守る薬草として何世紀にもわたって使われてきた中国伝統薬。

ゲニピンはミトコンドリア脱共役タンパク質2(UCP2)を介してNLRP3インフラマソーム活性化を抑制する。[R][R]

朝鮮人参

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24418475

ジンセノサイドRg3

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26086107

プロポリス

ブラジルプロポリス抽出物は、インフラマソームを阻害を介してプロテアーゼカスパーゼ1の低下と相関する。[R]

プロポリスはNLRP3およびNLRC4インフラマソームの両方を調節する可能性がある。

ケルセチン

アロプリノール、ケルセチン、ルチンはフルクトース摂食ラットの腎臓NLRP3インフラマソームの活性化および脂質蓄積を改善する。[R]

ケルセチン、ルテオリン、EGCGは小胞体ストレス(ERストレス)関連チオレドキシン相互作用タンパク質(TXNIP)およびNLRPインフラマソーム活性化を阻害し、炎症およびアポトーシス損傷から内皮細胞を保護する。[R][R][R]

マンギフェリン/Mangiferin(マンゴー抽出物)

マンゴー配糖体は、IL-1を減少させるAMPK活性を調節することが報告されている。

マンゴー抽出物であるマンギフェリンはIRE1のリン酸化を弱め、ROS産生を減少させ、TXNIPの発現を低下させ、ERストレスを抑制する。[R][R]

甘草(イソリキリチゲニン)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25210146/

www.jimmunol.org/content/198/1_Supplement/138.3

パルテノライド(夏白菊)

NF-κB阻害化合物であるハーブ由来パルテノライドは、カスパーゼ1のプロテアーゼ活性を直接阻害することにより、マクロファージの複数のインフラマソームの活性を阻害する。[R]

NLRP3インフラマソーム抑制 薬剤

NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)
メフェナム酸(商品名 ポンタール)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27509875/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25446924

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5031844/

www.nature.com/articles/ncomms12504

フルフェナム酸(商品名 オパイリン)
ミノサイクリン

ミノサイクリンは、くも膜下出血モデルラットのNLRP3インフラマソーム活性化を阻害し、血液脳関門機能不全に伴う脳浮腫を著しく減弱させた。[R]

ジメチルスルホキシド(DMSO)

DMSOがNLRP3インフラマソームの選択的阻害剤であることを示唆する。DMSOは抗炎症特性を示し、NLRP3インフラマソームの活性化を減衰させ、IL-1転写の阻害を仲介する。[R]

NLRP3インフラマソーム阻害剤

NLRP3インフラマソーム阻害剤は、ADマウスのアミロイドβレベルを減少させ神経保護効果を示した。[R]

www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1286457915000830

カテプシンB阻害剤

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19635822-ca-074me-protection-against-anthrax-lethal-toxin/

  • IL-1β抗体
  • カナキヌマブ
  • アナキンラ
オリドニン
炎症性疾患の治療に広く使用されている市販薬(OTC)であるRabdosia Rubescensの主要な生理活性成分
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