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ニセルゴリン(サアミオン)の多彩な脳機能増強効果

ニセルゴリン(サアミオン)

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概要

ニセルゴリンは、脳梗塞、急性慢性末梢循環障害、血管性痴呆、アルツハイマー病として、50カ国以上で30年に臨床使用実績がある古い薬剤。

血流改善剤としても知られているが、多くの異なるメカニズムによる認知機能改善メカニズムを有し、一部の人たちで低用量をアンチエイジング、ヌートロピクスとして用いられることもある。

現在、麦角系の誘導体であること、単剤投与ではアルツハイマー病に控えめな効果しかないと考えられていることからアルツハイマー病治療薬としては承認されていない。

適用は脳梗塞、急性及び慢性末梢循環障害、血管性認知症など。

ウィキペディア

ja.wikipedia.org/wiki/ニセルゴリン

ニセルゴリン 添付文書

www.info.pmda.go.jp/go/pack/2190021F1488_1_01/

アルツハイマー病

老年性のアルツハイマー病、多発性脳梗塞の治療におけるニセルゴリン使用は有効性が証明されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7604138

また、軽度から中等度の慢性脳血管障害、アルツハイマー病患者の行動障害を有する高齢患者への臨床的に有益な効果を示す。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11687175/

ニセルゴリンの作用機序・効能

α-1Aアドレナリン受容体拮抗薬

半合成麦角誘導体 強力な選択的α1Aアドレナリン受容体アンタゴニスト

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10027088/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3624843/

ノルアドレナリンとドーパミンの増強

カテコールアミン作動性(ノルアドレナリン及びドーパミン)代謝サイクルの増強

コリン作動性神経伝達の刺激

コリン作動性神経終末からのアセチルコリン放出の増加、およびコリンアセチルトランスフェラーゼ酵素の選択的増強の両方によるコリン作動性神経伝達の活性

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18666801/

神経成長因子(BDNF・NGFの増加)

神経成長因子欠乏を誘発されたラットへのニセルゴリン投与10mg/kgは、NGF、BDNFの両方が基底前脳において観察された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11823061/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9593228/

TGF-β・GDNFの増加

ニセルゴリン投与は、アミロイドβ毒性からのニューロンを保護する作用として知られる細胞内のTGFβおよびグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)レベルを増加させた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15882840/

抗血小板凝集作用

血小板凝集抑制(血小板ホスホリパーゼの阻害を介した抗血栓活性)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6715702/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1107066/

脳の代謝活性の促進(酸素・グルコース利用能の増加)

脳代謝活性の促進により、酸素とグルコースの代謝が増加する

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3009777/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18666801/

神経保護(抗酸化特性)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10193666/

ホスホイノシチド経路の刺激

アルツハイマー病で特異的に損なわれているホスホイノシチド経路およびプロテインキナーゼC(PKC)αおよびβ転座の刺激

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18666801/

PI3k/AKTシグナル伝達経路

海馬細胞PI3K / AKTシグナル伝達経路に作用することによって、アルツハイマー病マウスの運動注意障害および認知能力を改善することが実証された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29568940

血清サブスタンスPの上昇(嚥下障害の改善)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20029189

「サブスタンスP」は中枢神経、末梢神経ニューロンに発現しており、ストレスや不安の多い状況で増加する。

食べ物を正常に飲み込んだり、咳をしたりできるように神経に働きかける役割も併せもち、ニセルゴリンの高齢者への投与は嚥下障害の改善、誤嚥性肺炎のリスクの低下と関連する。

アセチルコリン阻害薬による治療ができない高齢者への有益な嚥下障害治療法である可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21694649

bsd.neuroinf.jp/wiki/サブスタンスP

免疫応答におけるサブスタンスPの役割
  • Th1/Th2バランス調節 中枢神経系の免疫調節
  • タイトジャンクションの破壊によって血液脳関門透過性を高める
  • mTOR経路の下方制御
  • 抗炎症性サイトカインIL-10の発現低下
  • 炎症誘発性サイトカインIL-12p40、IL-23のアップレギュレーション
  • 角膜血管新生の直接的な刺激
  • ナチュラルキラー細胞によるIFN-γ産生のアップレギュレーション→細菌感染に対する保護効果

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5056132/

アルツハイマー病患者脊髄液中のサブスタンスPは上昇している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26453765

アルツハイマー病におけるサブスタンスPの神経保護作用

アルツハイマー病患者の脳領域および脊髄液中のサブスタンスPレベルは低下しており、神経変性に重大な影響を与える可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27033058

サブスタンスP投与は、アミロイドβ誘導性認知障害のラットを回復させる。このメカニズムには機能不全となったカリウムチャネルの調節による改善が関与していることを示唆する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24265678

中枢神経系感染後のサブスタンスP(SP)による神経炎症性損傷の悪化

www.frontiersin.org/articles/10.3389/fncel.2016.00296/full

ニセルゴリンの臨床研究

ニセルゴリン システマティックレビュー・メタアナリシス

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4120366/

ニセルゴリン メタアナリシス

軽度から中等度の慢性脳血管障害、アルツハイマー病患者、および行動障害を有する高齢患者で認知機能および行動に関して好ましいいくつかの証拠が示された。

ニセルゴリンの治療効果は2ヶ月後に観察され6ヶ月間維持される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11687175/

ニセルゴリンの副作用・安全性

ニセルゴリンの研究は数多くあるものの、そのほとんどは1980年代、1990年代に発表されており、最近の安全性評価に関する試験はほとんど発表されていない。

ニセルゴリンの有害事象は中枢神経系、胃腸系、心疾患系と関連していることがほとんどであり、主に一過性かつ軽度である。

麦角誘導体は、線維症、麦角中毒を引き起こす可能性が高いことからアルツハイマー病、認知症を除いて、高齢者への神経感覚障害への処方は中止すべきであると医療専門家(EMEA)は推奨している。

しかし、ニセルゴリンの麦角誘導体は他の麦角誘導体(エルゴタミン、エルゴトキシン)とは異なり、軽度で一過性であるため、安全で忍容性の高い薬であることがシステマティックレビューで示唆されている。

bmjopen.bmj.com/content/bmjopen/4/7/e005090.full.pdf

一般的な副作用

食欲不振(0.39%)、下痢(0.39%)、便秘(0.29%)

吐き気、ほてり、軽度の胃の不調、低血圧、めまい

高用量での副作用

食欲増進、興奮、下痢、発汗

発汗、睡眠障害、失神、攪拌、眠気、めまい、不眠、不穏、紅潮、食欲の増加、ホットフラッシュ、射精障害、いずれも軽度で一時的であり忍容性は高い。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4163411/

禁忌

頭蓋内出血後

薬物動態

Tmax 2~4時間(15mg)

www.info.pmda.go.jp/go/pack/2190021F1488_1_01/

薬物相互作用

ニセルゴリンはプロプラノロールの心臓抑制作用を増強することが知られている。

CYP2D6

ニセルゴリンはCYP2D6によって大部分が代謝されるためCYP2D6の基質である薬(カルベジロール、S-メタプロロール、アミトリプチリン、クロミプラミン、ハロペリドール、アリピプラゾール、クロルフェニラミン、オンダンセトロンなど)との相互作用の可能性がある。

CYP2D6(デキサメタゾンおよびリファンピン)

CYP2D6阻害剤

ブプロピオン、フルオキセチン、キニジン、シタロプラム、H 1 – 抗ヒスタミン薬、メトクロプラミドなど

血小板凝集薬との併用

ニセルゴリンは強力な血小板凝集阻害剤であるため、その他の抗凝固薬、抗血小板薬との同時併用には注意が必要。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6715702/

摂取量

アンチエイジング 5mg/日(2.5mg×2回/日)

めまい、耳鳴り、偏頭痛、難聴、血管障害、血管疾患など 5~10mg/日(3回に分ける)

認知症・アルツハイマー病治療向け一般用量 30mg×2回/日 (有害事象の可能性)

ニセルゴリンのサブスタンスP増加作用、中枢神経系への作用、炎症誘発特性から、(特に高用量では)午前中一回の使用に留めるが良さそうだ。