炎症因子NF-κBを阻害する37の因子(認知症・アルツハイマー病)

強調オフ

36の発症因子ApoE4・リスク遺伝子脳の炎症・1型

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炎症因子NF-κBの学習効果

概要

炎症の中心にある転写因子

NF-κBは炎症、ストレス応答、感染応答、免疫応答、細胞分化、増殖、細胞死などにおいて中心的役割を果たす転写因子のひとつ

複雑なシグナル伝達経路のネットワークによって、非常に多様な因子からの刺激を集約的に受ける。

外因的には、ストレスや、重金属、紫外線、酸化LDL、さらには細菌やウイルス、電離放射線にも応答して活性され多種多様な遺伝子を制御する。

炎症性因子(サイトカイン)として有名なものに、TNF、IL-1、IL-6があるが、NF-κBはそれらのサイトカイン産生を主に制御する。

サイトカインの側からもNF-κBも誘導するため、その作用は双方向的である。

NF-κBのリスクとベネフィット
ガン、炎症、自己免疫

NF-κBの慢性的な活性は、癌、炎症性の疾患、自己免疫性疾患などと広く関与する。

抗ウイルス、抗細菌感染

しかしNF-κBの活性が弱すぎてもウイルス感染、細菌感染などに対して脆弱性をもつ。

抗アポトーシス・アポトーシスの促進

またNF-κBには抗アポトーシス機能があり、炎症反応を通して上皮細胞や粘膜障壁に対しての保護作用もある。一方でNF-κBは特定の状況においては、白血球アポトーシスを促進し炎症反応の解消にも関わる。

難しい治療標的

NF-κBは長い間炎症性疾患の抗炎症薬として標的とされてきたが、NF-κBの役割が明らかになるにつれ、その動態の複雑さから難しい治療標的であることが示されてきている。

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3750319/figure/F4/

 

アルツハイマー病患者においてはNF-κBの調節不全がいくつかの研究で確認されており、過剰となったNF-κBを抑制することで神経損傷を防ぐアルツハイマー病治療研究がなされている。

しかし脳内でのNF-κB活性は、記憶の制御やシナプス可塑性とも関わっており、NF-κBを慢性的に阻害することは認知機能への逆効果をもたらす可能性もある。[R][R][R]

NF-κBの学習と記憶への影響

NF-κBの過度な活性、過度ではなくても慢性的なNF-κBの活性、いずれとも神経炎症と神経変性につながりニューロンに不可逆的な損傷をもたらす。

 しかし、NF-κBおよび、NF-κBを活性化する因子として有名なTNFαは、シナプスの可塑性および学習、記憶形成の基礎となる長期増強(LTP)を調節する事が示唆されている。

NGFもシュワン細胞(軸索を構成する細胞の一種)においてNF-κBを活性化することができる(BDNF、NT-3はNF-κBを活性化しない)

NF-κBの学習モデル

NF-κBの活性が記憶に関わり、NF-κBの抑制が学習に関わるというモデル

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5101203/

NF-κBのニューロンホメオスタシス

より最近では、ニューロンがニューロンネットワークの安定性を保つためのニューロンホメオスタシスの維持にNF-κBが関与していることが研究で示されている。

おそらく、NF-κBは健常者だけでなく、アルツハイマー病患者にとっても活性することと抑制することにはトレードオフの関係がある。

NF-κB活性化による治療効果

アルツハイマー病へのLLLT治療で小規模ながら臨床効果が認められている研究報告があるが、局所的な応用なので全身への影響をおよぼす抗炎症剤とは同じ扱いにはできないものの、これはNF-κBを急激に(慢性的ではない)活性させることによって治療効果を得ると考えられている。[R]

NF-κBはストレスによっても上昇する。

昨今ストレスにも良いストレスと悪いストレスがあるということが知られてきたように思うが、生化学的に言うならば良いストレスとは一時的に適切なタイミングと負荷量でNF-κBを急上昇させること、と言える面もあるかもしれない。

NF-κB アルツハイマー病関連因子

Egr1

海馬による認識記憶はNF-κB活性を介したEgr1の遺伝子発現が必要。

Egr1の突然変異は遅発型LTPおよび長期記憶のみが損なわれている。

Egr3はより広範囲の障害を及ぼす。

アルツハイマー病ではEgr1の調節不全(過剰なアップレギュレーション)が強く生じている。

Egr1の過剰なアップレギュレーションが神経原線維変化発生に寄与する因子の可能性。

Egr1減少はAD治療のターゲットとなりうる。

CREBとNF-κBは拮抗関係にある。

NF-κB – COX-2シグナル伝達経路

COX-2(シクロオキシゲナーゼ)別名:プロスタグランジンH2合成酵素

アルツハイマー病におけるCOX-2発現は、前頭皮質、およびニューロン様細胞系において上昇。

NF-κB活性は、ニューロンにおけるCOX-2発現をポジティブに調節する。

老化、アルツハイマー病においてはNF-κBとCOX-2の結合活性に高い相関がある。

BDNF

NF-κBはBDNF発現を上昇させる。

Egr1はBDNFとも結合する。

脳内のBDNFはアルツハイマー病初期の段階では代償応答により増加している。

ApoE4

ApoE4アイソフォームは、NF-κBシグナル伝達を活性化し、培養ニューロンにおいてSirT1をダウンレギュレートする。[R]

血管作動性腸管ペプチド(VIP)

VIPはIKKをブロックすることでNF-κBの活性化を抑制し、IκBαのリン酸化と分解を阻害する。[R]

PACAP(下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド)

NF-κB阻害による強力な抗炎症作用および神経保護作用[R]

その他

NF-kBシグナル伝達および上皮・間葉転換様転移はアミロイドβを産生、分泌

「NF-kBモード」で作動する反応性グリアおよび活性化マクロファージは、TGF-β分泌およびTGF-β受容体発現の両方をアップレギュレートすると考えられる。

そして、アミロイドβと酸化ストレスの原因である「創傷」に向かって移動し、それによって、プラークと関連する神経膠症、炎症およびTGF-β濃度がアルツハイマー病の脳全体で増加することにつながる。

NF-κB 抑制方法

NF-κB阻害因子

IL-4、IL-10、TGFβ、TNF、 H2O2、NO、グルココルチコイド、アミロイドβ

メラトニン、アスピリン、ガングリオシド、ビタミンE、デキサナビノール(カンナビノイド)、カフェイン酸フェネチルエステル(CAPE)[R][R]

NF-κBに作用をおよぼす因子は、わかっているものだけでも非常に多彩で可変的[R]

NF-kBを抑制するライフスタイル

作成中
  • カロリー制限[R]
  • ケトーシス[R]
  • 筋トレ[R]
  • 地中海ダイエット[R]
  • 瞑想[R]
  • ヨガ[R]
運動・エクササイズ

マウスでNF-κBを発現させると、持久力、認知能力、および肥満に対する抵抗力が大きくなる。[R]

野生型ラットの有酸素運動プロトコルは、加齢に伴う記憶低下を軽減し、海馬のNF-κBレベルと萎縮を減少させた。[R]

筋力トレーニング、有酸素運動、または両方の組み合わせを施したラットでは、すべてのプロトコルで炎症誘発食を与えられて上昇した肝臓と筋肉のNF-κBレベルが食事前レベルに低下した。[R]

NF-κB阻害剤であるサイトカインIL-10 は、運動によって強力に誘発される。運動の NF-κB抑制効果は、IL-10の間接的な効果を介して抑制される。[R]

睡眠の質を高める

ランダム化比較試験[R]

NF-kB を抑制する食品

一部の食品では体内ではNF-κBの阻害作用を示すが、脳では血液脳関門に阻まれて阻害しなかったり反対に活性化されることがある。[R][R]

オイル
  • DHA、EPA(低用量)[R]
  • オリーブオイル[R]オレアノール酸[R]、チロソール、ヒドロキシチロソール[R]
  • ブラッククミンシードオイル[R]
ドリンク
  • ジャスミンティー[R]
  • 緑茶
  • ルイボスティー(テアフラビンン)
  • ココア[R]
スパイス
  • にんにく[R]
  • 生姜(ジンゲロール)[R]
  • うこん[R]
  • カプサイシン[R][R]
  • クミン[R]
  • シナモン
  • クローブ[R]
  • フェンネル[R]
  • ステビア[R]
  • トレハロース[R]
食材
  • カレー
  • 大豆イソフラボン[R]
  • ごま[R]
  • ブルーベリー[R]
  • 蜂蜜[R]
  • ザクロ(エラグ酸)[R][R]
  • タルトチェリー[R]
  • アブラナ科野菜、ブロッコリー(スルフォラファン)[R]

NF-κBを抑制するサプリメント

NF-κBは炎症メディエーターの中心的存在であるため、実質ほとんどのハーブ、漢方類は間接または直接的なNF-κBを抑制作用をもつ。
ビタミン類
  • マグネシウム
  • 亜鉛
  • PQQ
  • COQ10
  • Nアセチルシステイン
  • αリポ酸
  • アスコルビン酸
  • タウリン
ハーブ類
  • 甘草
  • オリーブリーフ
  • EGCG[R]
  • ルテオリン
  • フィセチン
  • アンドログラフォライド
  • レスベラトロール[R]
  • ベルベリン
  • パルテノリド
  • テアフラビン
  • クルクミン[R]
  • アスタキサンチン
  • ピクノジェール
  • ミルクシスル
  • グレープシード抽出物
  • ゲニステイン
  • シリマリン
ホルモン・
  • メラトニン[R]
  • プロゲステロン[R]
  • エストラジオール[R]
  • プレグネノロン
  • DHEA[R]
トリクリン(TriCurin)
クルクミン、EGCG、レスベラトロールの組み合わせがNF-κBの活性を抑える。
 [R][R][R]

クルクミン、レスベラトロール、EGCGの組み合わせで、強力な相乗効果[R]

モル比で4:1:12.5  クルクミン:EGCG:レスベラトロール

トリクリンは子宮頚がんの原因とされているHPVウイルスの植物ベース治療薬(局所適用クリーム)として研究されている。[R]

NF-κBを阻害する医薬・化合物

  • フルオキセチン
  • アスピリン[R]
  • デスロラタジン
  • デプレニル
  • ヒューペリジンA
  • シルデナフィル
  • 5-HTP
  • メマンチン
  • イブプロフェン
  • セレコキシブ
  • デキサメタゾン
  • インドメタシン[R]
  • ニコチン
  • NAD+

  • テアニン
  • その他(活性化、誘導化合物を含む)

www.abcam.co.jp/reagents/nf-kb-small-molecule-guide-1

NF-κB 誘導要因

NF-κB 誘導因子

  • LPS
  • グルタミン酸
  • NMDA
  • ATP
  • 活性酸素
  • sAPP
  • APPの過剰発現
  • アミロイドβ(細胞膜を通過して活性)
  • エリスロポイエチン(EPO)
  • EGF
  • NGF
  • BDNF
  • NT-3
  • H2O2
  • TGF-β1
  • IL-1
  • IL-2
  • IL-6
  • IL-8
  • IL-12
  • TNF-α
  • COX-2
  • VCAM
  • ICAM

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2882124/#s1title

NF-κBを活性する環境因子

  • 酸化ストレス、心理的ストレス
  • 過食、大量の炭水化物、高タンパク質食、過剰の飽和脂肪酸
  • 栄養バランスの悪い食事
  • 肥満
  • アルコール[R][R]
  • 喫煙
  • 概日リズムの乱れ[R]
  • 睡眠不足[R]
  • 睡眠時無呼吸症候群[R]
  • 紫外線
  • 重金属
  • 霊芝
  • リチウム
  • ゴジベリー

参考サイト

en.wikipedia.org/wiki/NF-κB

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3750319/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2882124/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2773619/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3443185/

selfhacked.com/blog/nuclear-factor-kappa-b/

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