ガソリン添加剤MTBE/ETBEの健康リスクと治療法(化学物質/産業毒素)

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化学毒素

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MTBE/ETBEの毒性と暴露経路

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概要

ガソリン添加剤 MTBE、ETBE

MTBEおよびETBEは、オクタン価を増加させるためのガソリン添加剤。ハイオクガソリンの添加剤として用いられる。

いくつかの代謝を経ることで、MTBEのバイオマーカーである2-ヒドロキシイソ酪酸(2-HIBA)が生成される。

暴露経路

MTBE、ETBEへの曝露は、地下水汚染、ガソリンまたはその蒸気、排気ガスの吸入または皮膚曝露が原因である可能性が高い。

最も高い可能性は、ガソリン添加剤への暴露。ガソリンスタンドでMTBEのガソリンが溢れたり漏れたりすると、大量の地下水を汚染する。

また、MTBE、ETBEは揮発性のため、給油中に皮膚から吸収したり、排気ガスの暴露によりドライバーが吸入する可能性がある。

MTBE

MTBE (Methyl tert-Butyl Ether ) /メチル-タート(ターシャリ)-ブチル-エーテル

ja.wikipedia.org/wiki/メチルtert-ブチルエーテル

地下水汚染

MTBEは屋外では他の化合物に素早く分解され4時間で半分が消失する。しかし地面に浸透した場合、より深い土壌に浸透し長い期間地下水にとどまり汚染する可能性がある。

アメリカでは地下水を飲用する町がところどころにあり、老朽化したガソリンスタンドのガソリンタンクからの漏洩が地下水へと混入したことが問題となったことで、2014年以降、ガソリンへのMTBE添加が禁止されるようになった。

日本ではMTBEの生産が2001年に中止され、MTBEの地下水汚染は顕在化していないと判断されている。

都市や高速道路でも、MTBEは少量が暴露源として存在する可能性がある。

savethewater.org/2017/06/19/groundwater-contamination-due-mtbe/

ETBE

ETBE (Ethyl tert-Butyl ether) /エチル-タート(ターシャリ)-ブチル-エーテル

ja.wikipedia.org/wiki/エチルtert-ブチルエーテル

 

ETBEは、バイオエタノール(エタノールとイソブテン)から合成される化学物質。

日本では二酸化炭素排出量の削減を目的として2007年からガソリンに混合されて利用するようになった。

職業暴露

ガソリンスタンド作業員のETBEへの平均暴露は、0.08ppm

これは、ACGIHが推奨するTLV-TWA 5 ppmのしきい値制限を大きく下回る。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21996930

ETBEの将来的潜在リスク

バイオエタノールから合成されるETBEは、ETBEは基本的には毒性の弱い物質だが、性別、加齢、代謝酵素などの遺伝的差異によって大きく影響され、個人の感受性の差は10倍以上に達する。

バイオエタノールの需要拡大とともに世界的に使用されようとしているが、ETBEの安全性評価はまだ十分とは言えず、今後世界的な問題となる潜在的な可能性がある。

www.jstage.jst.go.jp/article/jscejc/66/1/66_1_66/_pdf

検査指標

2-ヒドロキシイソ酪酸(2-HIBA)

2-ヒドロキシイソ酪酸(2-HIBA)2-Hydroxyisobutyric Acid (2HIBA)は、MTBE、ETBEの代謝物でありMTBEおよびETBE両方の暴露のバイオマーカーとして用いられる。

MTBEおよびETBEは体内で急速に代謝されるため、暴露後1~2日以内にテストを実施する必要がある。

MTBE蒸気を吸い込んだ場合、MTBEの代謝物であるTBAは肺を介してはほとんど排出されず体内に分布する。

健康リスク

吐き気、めまい、立ちくらみ、頭痛、鼻や喉への刺激、腎臓の損傷、白血球数の低下、

動物実験で、肝臓、腎不全、中枢神経系、末梢神経への毒性、がんを引き起こすことが実証されており、遺伝性疾患では非常に高い値が報告されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28279869

MTBEおよびETBEの代謝産物は同じ化合物であるため、ETBEにも同様に毒性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5434881/

男性での高いETBE毒性

ETBEの吸入暴露による毒性は、メスマウスよりもオスマウスにおいて白血球のDNAに酸化損傷などの障害を与えDNA鎖の断裂や染色体の異常を顕著に誘発する。

www.jniosh.johas.go.jp/publication/doc/srr/SRR-No42-4-5.pdf

ALDH2酵素欠損(お酒に弱い)

お酒の強さに影響を与える酵素として知られるアルデヒド脱水酵素(ALDH2)の欠損はETBEの遺伝毒性作用を大きく増強する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23810710

www.jniosh.johas.go.jp/publication/doc/srr/SRR-No42-4-5.pdf

治療

MTBE・ETBE共通

汚染源の地下水を飲むことを避ける。

確率的には高くない。

サウナ療法
ナイアシン補充療法
グルタチオン補充療法

経口、静脈投与、経皮、N-アセチル-システイン

グルタチオンを増やす8つの戦略

ETBE

SIRT3

SIRT3の過剰発現は、ALDH2アセチル化を減少させることで、エタノール消費に役割を果たす可能性がある。

www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnagi.2013.00048/full

スルフォラファン

アブラナ科野菜に含まれるスルフォラファンは、重要な解毒酵素であるヒト唾液アルデヒドデヒドロゲナーゼ(hsALDH)に結合し、アセトアルデヒド毒性に対する保護効果を示す。

スルフォラファンは、ALDHの誘導脳のみならず、NQO1、Nrf2を介して、ALDH多形の個人のアルコール不耐症を改善する可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5172892/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23825090

モリブデン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23595682

Essential AD2

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29509552

参考文献

www.collinslaw.com/what-you-need-to-know-about-methyl-tertiary-butyl-ether-mtbe.html

www.atsdr.cdc.gov/phs/phs.asp?id=226&tid=41

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8597131

www.greatplainslaboratory.com/

www.jstage.jst.go.jp/article/jscejc/66/1/66_1_66/_pdf

ci.nii.ac.jp/naid/10030595742/

www.jniosh.johas.go.jp/publication/doc/srr/SRR-No42-4-5.pdf

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5434881/

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