ミトコンドリア機能障害 アルツハイマー病治療標的

ミトコンドリア治療標的

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PGC- 1α(受容体γ共活性化剤1-アルファ)

PGC-1αは、現在、神経変性疾患の重要な治療標的として認識されつつある。

多くの研究で、PGC-1αの活性により高齢化マウスでのmRNAおよびタンパク質発現の減少が見られ、神経変性疾患にたいして保護的役割を果たす可能性がある。

PGC-1αの過剰発現は、Mfn2の発現を促進しROSのレベルを抑制する。

PGC-1αの活性は、ミトコンドリアの生合成を調節する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4600622/

PPAR-PGC-1α軸の活性化

ベザフィブラート

Sirt1経路

SIRT1活性化作用をもつレスベラトロールは、タウオパチーADマウスモデルにおいて、PGC-1αアセチル化の阻害およびPGC-1α活性の促進を介した神経保護を与えることを示唆する

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17581637/

PGC-1αの近位プロモーターは機能的CREB結合部位を含み、PGC-1αレベルはCREBの活性によって調節される

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11557984/

・レスベラトロールのミトコンドリア機能を改善能力は、インビボでSIRT1を介する。

中程度の用量のレスベラトロールがAMPKを活性化し、NAD+をSIRT1依存的に上昇させる。

SIRT1の非存在下でのAMPKの活性化は、ミトコンドリア機能を改善しない

・SIRT1の過剰発現は、AMPKおよびミトコンドリアに対するレスベラトロールの効果を模倣する。

Sirt3

筋肉中のSIRT3がPGC-1αを促進

「ampk pgc-1α sirt1」の画像検索結果

www.cell.com/cell-metabolism/abstract/S1550-4131(12)00143-X

PKA/cAMP経路

PKA活性化剤、cAMPの刺激がp-CREBおよびPGC-1αを増加させる。

PGC-1αの活性を介したアルツハイマー病のミトコンドリア生合成、ミトコンドリア機能を改善するにはPKA / CREBシグナル伝達経路を活性化することが望ましい場合がある。

しかし、PKA経路はアルツハイマー病におけるタウタンパク質の過剰リン酸化にも関与しており、治療標的として注意する必要がある。

PGC-1α依存性ミトコンドリア生合成を刺激するPKAの活性化は、その他の合併症を引き起こす可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3253532/

「pgc-1α pka camp」の画像検索結果

diabetes.diabetesjournals.org/content/52/3/642

PPAR経路

PPAR活性化経路によるPGC-1α活性

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20668093/

PPAR-γアゴニストであるピオグリタゾンおよびロシグリタゾン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18384649/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21718217/

「pgc-1α ppar」の画像検索結果

erj.ersjournals.com/content/31/3/502

PPARアゴニスト

ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、フェノフィブラート、ベザフィブラート

AMPK経路

AMPK活性は異化経路(脂肪酸酸化、ミトコンドリア呼吸鎖活性など)のスイッチをいれることでATP産生行うと同時に、エネルギー消費を止めるためにPGC-1αを活性化する。

「pgc-1α ampk」の画像検索結果

www.u-tokyo.ac.jp/coe/japanese/achievements/category1/base2/report02-01.html

高糖尿病薬であるメトホルミンは、ミトコンドリアの電子伝達系複合体Iを阻害することにより、ミトコンドリア生合成、インスリン感受性を活性化させる。

Nrf2経路

Nrf2は、炎症、活性酸素などによって引き起こされる酸化ストレスから保護するための抗酸化タンパク質の発現を増加させる転写因子。

Nrf2は、ミトコンドリアのホメオスタシスと構造の完全性の維持おいて重要な役割を果たす。

Nrf2はPGC-1αに対して複雑な作用を示しており、動物実験ではストレスがある状況においてNrf2がPGC1αのレベルに影響を与えていることが示唆されており、ミトホルミシスに深く関与する。

www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0891584915002129

「nrf2 pgc-1alpha」の画像検索結果

jcs.biologists.org/content/127/22/4813

概日リズムへの影響

概日リズムが正常に機能するには、Nrf2が必要

活性酸素であるH2O2が概日リズムの入力信号である。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5826263/

Drp1

ダイナミン関連タンパク質1 「分裂」

Drp1はミトコンドリア分裂に重要であり、軸索、樹状突起およびシナプスにおけるミトコンドリアの分布に必須である。

Drp1は、脳、肺、心臓、腎臓、脾臓、肝臓、肝細胞、精巣およびヒトの線維芽細胞に見出されている。

限られた研究においてGSK3βとDrp1との関連が示されている。

アルツハイマー病

Drp1は、アルツハイマー病においてAβおよびリン酸化タウと相互作用する。

Drp1の部分的な減少がAβ産生を低下させ、ミトコンドリア機能不全を軽減し、ミトコンドリア動態を維持し、APPマウスにおけるミトコンドリア生合成およびシナプス活性を増強する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27677309

DRP、Mfn2を欠くミトコンドリアは、重度の運動障害を示す。

X線照射がDrp1依存性ミトコンドリア分裂を引き起こす。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4678018/

Mfn1

ミトフシン1

ミトコンドリア外膜に存在、ミトコンドリア融合に必須

ラットの6週間のトレッドミル走行ではミトフシンの応答による変化は示さなかった。

Mfn2

ミトフシン2

ミトコンドリア融合に必須

Mfn2の過剰発現は、ミトコンドリア膜電位の上昇、グルコース酸化、核エンコードされたサブユニットOXPHOS複合体I、IV、V発現の増加を引き起こす。

小胞体をミトコンドリアに結びつける。

ヒトにおいてMFN2およびOPA1の変異が組織的な神経変性疾患を引き起こすことがある。

低温ストレス

mfn2はヒト胎児腎細胞の低温ストレスによる障害から防御する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20580691

OPA1

視神経萎縮タンパク質1

網膜全体に発現、ミトコンドリア内膜上に位置する。

ミトコンドリアの融合、リッジ構造を調節、マイトファジーの制御

このタンパク質が高い発現を示すとミトコンドリア融合、マイトファジーは減少を示す。

OPA1の喪失はアポトーシスを導く。

自発運動に応答して変化しないが、12週間の有酸素運動が高齢者の骨格筋におけるOPA1mRNAを増加させることが実証されている。

PINK1

PTEN誘発推定キナーゼ1(PTEN-induced kinase 1)

酸化的ストレス誘導アポトーシスから細胞を保護する。

PINK1欠損は、呼吸およびROS産生に大きな影響を及ぼすことが示されている。

PINK1/Parkin経路

PINK1/Parkin経路が、ミトコンドリアの品質管理に直接的かつ重要な役割を有する。

PINK1/Parkin経路は膜電位が低下したミトコンドリアの障害を特定し、マイトファジーによってそれらをミトコンドリアネットワークから選択的に排除する。

PINK1、Parkinの機能的変異は劣性遺伝性パーキンソン病と関連している。

低温活性による機能回復

いくつかのPINK1変異体の活性は、生理学的温度よりも低い温度で救済される。

温度低下によるシャペロン活性がPINK変異を有するパーキンソン病患者のPINK1機能を回復させ、おそらく疾患の経過を変える可能性があることを示唆する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3674799/

図3

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3378127/

ユビキチン-プロテアソーム系(UPS)への影響

PINK1の突然変異がUPS機能を損なう可能性

26Sプロテアソームが正常なニューロンホメオスタシスに必要

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18701681/


PINK1過剰発現している細胞では、オートファジーは発現しなかった。

PINK1機能の喪失はUPS機能喪失の補償的応答によりマイトファジーによる自食作用を促進する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19279012/

Parkin

E3ユビキチンタンパク質リガーゼ

パーキンソン病のハエ、ラット、およびマウスモデルでの異常なミトコンドリア動態におけるPINK1およびparkinの直接関与証拠

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22078885/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21145355/

Nix Nip3様タンパク質X

ミトコンドリア分裂タンパク質などのいくつかのタンパク質の適切な濃度の保存(ミトコンドリアの生合成、動態およ​​び分裂促進プロセスに関与する)

マウスの低温ストレスによりMfn1、Mfn2、Opa1、Drp1発現が減少し、ミトコンドリアの融合の減少により、細胞アポトーシスを誘導する。

煎じ薬であるMahuang Gancao Ganjiangはそれらを抑制する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28191022

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5576425/

クレアチン、コエンザイムQ10(CoQ10)、ニコチンアミド、リボフラビン、リポ酸

Nrf2(NF-E2-related factor 2

Nrf2 (核因子赤血球系2-関連因子2)
Nrf2の作用

細胞レドックスホメオスタシスの維持に重要な役割を担っている。

ミトコンドリア膜電位およびATP合成に影響を及ぼす。

ミトコンドリアの脂質酸化に影響を及ぼす。

ミトコンドリアの構造、機能的完全性をサポートする。

Nrf2活性化因子は、ミトコンドリア機能が損なわれた場合に有益な効果を有する。

天然のNrf2活性剤

スルフォラファン(ブロッコリーなど)

トリテルペノイド(オリーブオイルなどに含まれる)

ミトコンドリア機能におけるNrf2の多面的役割

図2

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5193490/

Nrf2の活性は、ミトコンドリアのROS産生を減少させる。

Nrf2は酸化ストレスの条件下で、マイトファジーを増加させる可能性。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4684526/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4208297/

p53

p53とは、細胞内でDNA修復や細胞増殖の停止、アポトーシスなどを行う機能をもつタンパク質。

p53遺伝子の機能不全は癌を引き起こすと考えられており、癌抑制遺伝子のひとつとして考えられている。

最近の研究から、p53がミトコンドリアのアポトーシス調節、マイトファジーを含むオートファジーの調節、ミトコンドリアROSの産生(細胞内のレドックスホメオスタシス)に関わることが示唆されている。

p53はニューロン内においても影響をおよぼし、ニューロンが正常に機能するためのサポートを行う。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24412988

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アルツハイマー病においてアップレギュレートされるp53

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1885960/

アルツハイマー病の初期段階で、毒性ストレスなどに対して補償応答の結果、ニューロンにp53、BRCA1が蓄積する可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4346871/

その他

Fis-1

ミトコンドリア核分裂1タンパク質

ミトコンドリア分裂を促進する外膜タンパク質で、マイトファジーの重要なエフェクター

Fis1の変異によりParkin媒介のマイトファジーが崩壊し、オートファゴソーム凝集体を生成する。

TFAM

ミトコンドリア転写因子A

高齢ラットの筋肉や脳では増加する。

非常に高齢のラットの肝臓、筋肉では減少している。

VDAC1 電圧依存性アニオンチャネル1

運動に応答しない。

Bnip3 Bcl-2 19kDa相互作用タンパク質3

運動に明確な応答を示さない。

リポフスチン

概要

ja.wikipedia.org/wiki/リポフスチン

en.wikipedia.org/wiki/Lipofuscin

リポフスチンは、細胞質内の不飽和脂肪酸の過酸化によりリソソーム内に形成される不溶性色素。加齢性色素あるいは消耗性色素とも呼ばれる。

リポフスチンは、酸化した不飽和脂肪酸とミスフォールドタンパク質に加え、水銀、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛などの金属を含むことが知られている。

リポフスチンの作用

リソソームによって細胞内で分解しきれずに残った異物の蓄積であり、リソソーム内であっても膜を破って放出されることがあり、ミトコンドリアやリソソームへ損傷を与えうる。

中枢神経系では、リポフスチンは凝集物として蓄積し、神経細胞骨格、細胞輸送、代謝を変化させニューロンの喪失、グリア細胞の増殖と活性化に関連する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6041410/

難分解性リポフスチン

リポフスチンはそのポリマー性質、複雑かつ高度に架橋されているためエキソサイトーシスでは分解されず消失することもない。

その結果、細胞寿命の長い老化した細胞のリソソーム、細胞質に蓄積しやすくなる。

そのためリポフスチンは神経細胞、心筋細胞、皮膚に豊富に存在する。

反対に増殖細胞では細胞分裂によって希釈化されるため、それらにリポフスチンが蓄積することはほとんどない。

リポフスチンは分解できる?

リポフスチンはプロテアーゼ阻害剤によってラットにおいて蓄積が誘発され、正常化したオートファジー機構ではリポフスチン様物質レベルは正常化する。

しかし、分解されないリポフスチンが存在するという試験管モデルでの証拠が存在しており、インビボで成立するかどうか論争中にある。

リポフスチンのホルミシス効果!

リポフスチンは、腫瘍細胞に対して阻害作用を有する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8821319/

リポフスチンの生成は、酸化ストレスに対する細胞の生存能力をあげるための適応応答である。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8821319/

リポフスチンが一定の閾値を超え過負荷となると、当然のことながら、このメカニズムは逆の効果を生じさせる。

リポフスチンへの潜在的治療候補

カロリー制限

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19302373/

ビタミンE

ピラセタム

セントロフェノキシン

アセチル-L-カルニチン

イチョウ葉

ジメチルエタノールアミン

メラトニン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16139799/

CoQ10

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16139799/

幹細胞ミトコンドリア治療標的候補

サーチュイン
AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)
mTOR
NAD+
核内受容体(PPAR、エストロゲン関連受容体)
PPAR(PGC1α、FOXO、NCOR)
UPR mt
ミトコンドリア融合/分裂またはマイトファジー活性化因子

www.annualreviews.org/doi/10.1146/annurev-pharmtox-010716-104908