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腸内微生物叢を変える8つの要因
関連記事
脳腸相関 腸内環境と脳・アルツハイマー病
運動
幼少期の運動と腸内微生物叢
運動頻度と幼児、青年の腸内微生物叢組成との関連性が示唆されている。
Clostridiales,Roseburia ,Lachnospiraceae ,Erysipelotrichaceaeの増加
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30417607/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26647967/
毎日の運動は、腸内微生物叢の多様性が増加する。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27782912/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26924990/
胆汁酸
運動が腸内細菌叢の変化を引き起こす可能性のある要因の1つは、胆汁酸プロファイルの変更にある。いくつかの研究では、身体活動が強まると糞便中の胆汁酸量は低下する逆相関の関係が発見されており、身体活動が活発になるにつれてこの関係はより強くなる。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1665841/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19383885/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25800089/
一般に胆汁酸には抗菌効果があるが、その効果は均一ではないため、胆汁酸のプロファイルとその濃度に応じて、特定の細菌群に選択的圧力を加え細菌バランスを変更させることがある。
実際、食事にコール酸が補充されたラットでは、多様性と組成の両方で微生物相プロファイルの大きな変化が観察された。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21839040/
さらに、微生物叢は、肝臓と筋肉の受容体に結合可能な二次胆汁酸を合成できる。
胆汁酸は、脂質の吸収とコレステロール代謝に関連する機能に加えて、体重増加や肝臓と筋肉の脂肪沈着を防ぐファルネソイドX受容体(FXR)などのホルモン受容体を活性化する。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16037564/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19783811/
高脂肪食を与えられたマウスの食餌にコール酸を添加すると、エネルギー消費に関連する遺伝子、主にサイクリックAMP依存性甲状腺ホルモン活性化酵素、2型ヨードサイロニン脱ヨード酵素に関連する遺伝子の発現が増加することがわかった。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16400329/
褐色脂肪組織はヒトではあまり見られないが、D2は骨格筋で顕著に発現しているため、最終的には胆汁酸が筋肉のエネルギー消費を増加させると仮定できる。
短鎖脂肪酸
微生物叢プロファイルの変化による短鎖脂肪酸の増加は、酪酸がヒストン脱アセチル化酵素を阻害する能力を持ち、その後遺伝子調節、免疫調節、癌抑制、細胞に影響を与えることから、身体運動が健康を促進するメカニズムのひとつとなる可能性がある。
分化、腸壁の調節、酸化ストレスの減少、下痢の抑制、内臓の感受性、腸の運動性の調節など。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22797568/
微生物によって産生される短鎖脂肪酸は、筋肉内AMPKを活性化することができる。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17485860/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19270372/
トール様受容体—リポ多糖
リポ多糖(LPS)による筋肉内のTLR活性化は、筋肉と微生物叢が相互通信を粉う経路のひとつ。筋肉は、循環LPS(LPS9またはフラジェリン)によって活性化される可能性があり、腸内細菌叢の組成に依存するTLR4およびTLR5受容体を発現する。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23831839/
HPA軸
運動強度が高まると、視床下部-下垂体-副腎軸は活性化されホルモン放出を引き起こす。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9134366/
腸内細菌叢と運動の相互作用メカニズム
運動の用量反応効果
過剰な運動によるリスク
激しい運動は、血液の循環を内蔵から呼吸組織へと再分配する。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3596339/
腸の低灌流が長引くと、粘膜の恒常性が損なわれ、腸細胞の損傷が引き起こされる。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21811592/
腸の虚血状態は特に脱水された状況で起こり、腹部のけいれん、下痢、または血性下痢として現れる。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19535976/
特に持久力を要するスポーツに当てはまる。その結果、タイトジャンクションタンパク質のリン酸化によって腸の透過性が増加することが考えられる。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23134759/
このことによって、腸粘膜はエンドトキシンに透過されるやすくなる。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3375945/
適度な運動のメリット
対照的に、定期的な適度な運動は、ストレスによって誘発される腸のバリア機能障害の影響を軽減する。
適度な運動は、腸管透過性を低下させ、粘液の厚さを維持し、細菌の転座率の低下と、小腸組織における抗菌タンパク質(α-ディフェンシン、β-ディフェンシン、 Reg IIIb、Reg IIIc)の産生と遺伝子発現をアップレギュレーションさせる。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24291325/
大腸炎のマウスモデルでは、強制的なトレッドミル運動トレーニングは炎症の指標と結果を悪化させ、自発的なホイールトレーニングは保護効果を示した。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23707215/
これは、腸の健康に対する運動の二相性および用量反応効果を示唆しているが、ヒトではまだ十分に研究されていない。
食事・栄養
肉食 vs 草食
動物ベースの食事は、胆汁耐性微生物(Alistipes、Bilophila、Bacteroides)の量を増やし、食用植物多糖類(Roseburia、Eubacterium rectale、Ruminococcus bromii)を代謝するファルミクルテスレベルを低下させた。
微生物活動は、草食性哺乳類と肉食性哺乳類の違いを反映しており、炭水化物発酵とタンパク質発酵のトレードオフを反映している。
この変化は、食事が腸の遠位微生物叢に達してから、わずか1日後に生じており、食事はヒト微生物叢を迅速に変えることを示した。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24336217/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28636668/
タンパク質消費量との相関
スポーツアスリートでは一般と比べて腸内微生物叢の多様性の増加が示されている。タンパク質消費量は微生物の多様性と正の相関があることが示されており、極端な食事が関係した可能性も示唆されている。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25021423/
クルミ
クルミはファルミクルテスの豊富さを増加させ、バクテリオデテスの豊富さを減少させた。また、クルミはバクテロイデス属とアナエロトランカスを大幅に減少させながら、乳酸菌、ルミノコッカス科、ローズブリアなどのプロバイオティック型細菌の微生物相を強化した。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28797931/
オメガ3脂肪酸
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28507485/
クルクミン
細菌の豊富さの増加、乳酸桿菌の増加、コリオバクテリアの減少
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26218141/
ポリフェノール、プロアントシアニジン
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19149512/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23849454/
コーヒー
コーヒー消費は高脂肪食ラットの腸内微生物叢を変えることができる。芳香族および循環短鎖脂肪酸レベルを増加し、分岐鎖アミノ酸レベルを下げる。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24629912/
レスベラトロール・ケルセチン
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25762527/
地中海食・ウエスタンフード
赤身肉に豊富に含まれるトリメチルアミンである食物L-カルニチンの腸内細菌叢による代謝はTMAOを生成し、マウスのアテローム性動脈硬化を促進する。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24987952/
野菜・繊維質(短鎖脂肪酸)
短鎖脂肪酸は食物繊維の発酵による最終産物であり、宿主の健康に多くの有益な効果があることが示されている。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23821742/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26868600/
赤肉・コリン・L-カルニチン
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23563705/
人工甘味料
Deltaproteobacteria、Actinobacteria phylumの増加
ビフィドバクテリウム、ラクトバチルス、バクテロイデスの減少
インクレチン分泌の増加。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26932837/
乳化剤
酪酸レベルの低下、胆汁酸レベルの変化
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27144359/
プロバイオティクス
遺伝
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ストレス
概要
腸内微生物叢が、不安やうつ病などストレスと関連する行動に影響を与えることを裏付ける証拠がいくつかある。
腸内細菌叢無菌マウスの実験では、不安行動の低下が示されている。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21054680/
一方、興味深いことにストレスに敏感な無菌ラットでは不安行動の増加が示された。このことは腸内微生物叢が不安の増加と抑制の両面の作用を持つ可能性が示唆される。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24636517/
不安のような行動の減少には、認知障害、海馬脳由来神経栄養因子(BDNF)mRNAレベルの低下、視床下部におけるオキシトシンおよびバソプレシンレベルの低下が伴っていた。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25866195/
出生後の腸内微生物叢のビフィズス菌によるコロニー形成は、無菌マウスのストレスに対する過剰な視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸の反応を逆転させることが発見された。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15133062/
ストレス曝露もまた腸内微生物叢の組成を変化させる可能性があり、逆に腸内微生物叢が生物のストレス応答を形成する可能性もあることが、その後の研究で報告されている。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26135201/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26218677/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26479188/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26079804/
無菌マウスへの糞便移植により、無快感症と不安様行動が増加が示されており、微生物組成が行動の変化に因果的に影響を与えることが実証された。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22046427/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27491067/
脳の正常な発達には、細菌が必要である研究結果が積重なってきている。
神経新生やミクログリアの活性化は微生物叢によってコントロールされていることが示されている。
腸管神経系
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腸内分泌シグナル伝達
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セロトニン・トリプトファン代謝
セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン(5-HT))は、脳内および腸管神経系内の両方において神経伝達物質として機能する生体アミン。体内の5-HTの約95%は、腸粘膜の腸クロム親和性細胞と腸管神経系ニューロンによって産生される。
末梢では、5-HTは消化管分泌、運動性(平滑筋の収縮と弛緩)、および痛みの知覚調節に関与しているのに対し、脳の5-HTシグナル伝達経路は気分と認知の調節に関係している。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16869229/
5-HTシグナル伝達が機能不全を起こすと、胃腸障害と気分障害の両方と関連する可能性が高まる。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15142474/
抗うつ薬の効果
そのことから、三環系抗うつ薬や特定のセロトニン再取り込み阻害薬などのセロトニン作動性神経伝達を調節する薬物は、過敏性腸症候群(IBS)や他の消化器疾患の治療に対して効果を示すことがある。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16849340/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17241888/
トリプトファン代謝
臨床的うつ病は、血漿トリプトファン濃度の低下と酵素活性の亢進に関連している。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16952400/
腸内微生物叢は、トリプトファンの可用性と代謝に重要な役割を果たし、結果として中枢5-HT濃度に影響を与える可能性がある。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23234727/
免疫シグナリング
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大うつ病性障害
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過敏性腸症候群
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高脂肪食とストレスの相乗作用
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母から子への垂直伝播
妊娠時からの影響
遺伝が親から子孫に受け継がれるように、腸内微生物叢は母親から幼児に垂直に伝播することを示唆されている。
これまでの研究では、胎児の腸内は無菌で、出生後に腸内細菌を受け継ぐと考えられていたが、最近の研究では微生物の腸内コロニー形成プロセスは、羊水と胎盤内の微生物相によって子宮内で始まることが示唆されている。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27001291/
出生直後の影響
新生児は産道を通過する時に母親から菌を受け継ぎ、授乳などによっても菌を受け継ぐ。出産後の環境から受け取る菌も重要な要素であり、産院ごとに菌種の特徴があることも報告されている。
腸内微生物叢は生後数日で形成を整え、最初の数ヶ月間は、その多様性が増加を続ける。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28144631/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25578246/
出生時の母親から乳児への微生物叢の伝播は、乳児の腸内での微生物定着の最も重要な時期であり、伝播された腸内微生物叢の特徴は生後3年間にわたって続く。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28785253/
腸内細菌叢は時間とともに進化していき、3歳になると成人型の腸内細菌叢と似たものとなる。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22699611/
形成された成人型の腸内細菌叢は強く安定しており、微生物叢の組成の特徴は時間が経過しても、細菌レベルの変動はあっても異なるクラスターを作ることはない。
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腸内微生物叢が確立するこの重要な期間は、中枢神経、HPA軸、免疫系のの発達に重要な役割を果たす。
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幼少期の重要な腸内微生物叢形成期間
帝王切開による出産、幼少期の重要な期間中の抗生物質治療、食事または環境曝露などによる腸内微生物叢の定着異常は、異常な発達をもたらす可能性がある。慢性疾患およびアトピー性疾患の発生率の増加にも関連する。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27387886/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23153011/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25974298/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25452656/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28904336/
出生後の食事
出生後の腸内細菌叢への最初の影響は、乳児の食事(母乳または粉ミルク)。牛乳の組成は、初期の腸内細菌叢の形成に影響を与える。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23087909/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25332768/
授乳中の乳児では、腸内細菌叢を支配する種は、乳酸桿菌とビフィズス菌。
母乳には、これらの種によって簡単に分解できるオリゴ糖が含まれているため、免疫系に免疫グロブリンG発現を増加させる短鎖脂肪酸が増加する。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12420114/
乳児期に獲得された一次微生物叢は、幼児の発育中の初期免疫に重要な役割を果たす可能性があり、この期間の一次微生物叢の組成は、免疫力低下に関連する疾患から赤ん坊を保護するために非常に重要である。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25303278/
ヒトの母乳の微生物叢は、新生児のIgA産生の増加、Th1細胞の刺激など免疫学的活動に重要な役割を果たす。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20076678/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18716187/
老化
70歳以上の高齢者の腸内微生物叢の組成は、消化能力や栄養吸収の変化、免疫活動の低下の影響を受ける可能性がある。より単調な食習慣への変化も腸内微生物叢の多様性を弱める可能性がある。
高齢者ではビフィドバクテリウム属などの嫌気性細菌の減少。クロストリジウムおよびプロテオバクテリアの増加が観察されている。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27220822/
ビフィドバクテリウム属の免疫系および代謝プロセスの刺激における役割を踏まえると、ビフィズス菌の減少は、高齢の成人における低い全身性炎症状態および栄養失調を部分的に説明するかもしれない。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18090652/
加齢によって変化する腸内微生物叢
高齢者の病気の有病率の増加要因は、正常な老化によって生じる腸内微生物叢の組正の変化と多様性の減少と関連している。
若年成人と70歳の高齢者では、腸内微生物叢の組正と多様性は非常に類似するが、70歳と100歳長寿の高齢者とでは大きく異ることが観察された。
100歳以上の高齢者の腸内では10倍以上に増加したEubacterium limosumと近縁種が特定されており、この菌種の特徴として抗炎症特性が報告されている。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20498852/
加齢に伴う炎症と腸内微生物叢
正常な老化においても、慢性的な低悪性度の炎症が特徴づけられるが、この炎症は少なくとも部分的には腸内微生物叢の変化に起因すると考えられている。
しかし腸内の細菌性生物はそれ自体では老化はしないため、老化に伴う食事や身体活動の変化、生理的衰退などとの相互作用が疑われている。
食事・抗生物質
食事療法と抗生物質の使用は、地域在住の高齢者と介護施設の居住者の両方におけるこれらの変化の主要な予測因子であった。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22797518/
プロバイオティクスによる栄養補助食品は、腸内微生物叢のバランスを再調整するための最も有望な介入の1つであると思われる。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28709450/
炎症・虚弱体質
リハビリテーション施設に住む高齢者の研究では、身体の虚弱、IL-6、IL-8、CRP、およびTNF-αを含む炎症のいくつかの全身マーカーと関連していた。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26822992/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16204576/
アミロイドーシス・腸内毒素症
認知障害のある高齢者の脳アミロイドーシスと末梢炎症は、炎症誘発性および抗炎症性の腸内微生物叢の豊富さと関連している。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27776263/
加齢による腸内微生物叢のセロトニン合成の低下
老化はセロトニン作動性システムの変化と関連しており、高齢者の心理的障害の有病率の増加に寄与する。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25078296/
HPA軸の活性
HPA軸を介した炎症性ストレス反応は免疫調節不全、とマイクロバイオーム異常の両方を誘発することが知知られている。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16019599/
高齢における視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸活動
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9428819/
リーキーガット
腸内毒素症や加齢性炎症は、腸上皮バリアの物理的な変化に関与している可能性がある。最近の証拠は、腸透過性が年齢とともに増加する可能性があることが示唆されている。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25948052/
加齢に伴う腸壁のバリア機能障害が慢性的な炎症の主な原因である可能性が推察されている。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26321641/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23236133/
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26395417/
薬剤・抗生物質
向精神薬の副作用要因?
精神障害への治療として一般的利用される向精神薬、脳の化学的性質を変更する薬物療法、薬理学的介入では、吐き気、睡眠障害、体重増加、性機能障害などの望ましくない副作用を引き起こす可能性があることが知られている。
これらの副作用は、すべて微生物を介した薬物代謝の結果である可能性がある。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28186768/
抗菌作用による影響
中枢神経の受容体に影響を与えるタイプの向精神薬も抗菌効果を示すことから、脳-腸-腸内細菌軸へ意図しない影響を与える可能性がある。
これは特にうつ病や不安障害の治療で一般的に使用される多くのSSRIが該当する。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23933806/
抗生物質による悪影響
耐性菌の問題
抗生物質の耐性の病原体はヨーロッパとアメリカで年間50,000人以上の死者を出したと推定されており、2050年までに世界中で年間1,000万人の死亡者に達すると予測されている。[R]
耐性菌の発達に加えて、抗生物質の使用は、ヒト腸内微生物叢(細菌、真核生物、、ウイルス、遺伝子、代謝産物)を大きく破壊する。
多様性の減少
広域スペクトラムの抗生物質は、フィルミクテスとバクテロイデテスのバランスを崩す。投与によって細菌の多様性は減少し、細菌の量も減少する。
腸内微生物叢の組成の変化は、抗生物質のクラス、用量、曝露期間、薬理作用、標的となる細菌にも依存する。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29221800/
抗生物質誘発微生物業枯渇(AIMD)
抗生物質誘発微生物業枯渇(AIMD)は、潜在的に結腸細胞のエネルギー利用を管腔内短鎖脂肪酸(SCFA)からグルコースにシフトすることにより、グルコースの恒常性を変化させる。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30030441
ビタミン産生菌の枯渇
ビタミンK
www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/027823169290002U
アンピシリン
ラットへのアンピシリンの投与は、血清コルチコステロンの上昇を引き起こし、不安様行動と空間記憶の障害を増加させた。
プロバイオティクス(Lactobacillus fermentum NS9)の投与は、ラットのアンピシリンによって誘発される生理学的および心理的異常を逆転させる。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25869281/
抗生物質による腸内共生への影響と認知障害:腸内微生物叢と脳のコミュニケーションの分析。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26923630
ストレプトゾトシン
ストレプトゾトシン投与は、マウスの短期および長期の両方の記憶障害を示した。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27913964
ストレプトゾトシン腹腔内注射によって作られた糖尿病ラットへのプロバイオティクス投与は、減少したシナプス伝達を回復させ、海馬の長期増強を回復した。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23500100
セフェピム
セフェピム誘発神経毒性 システマティックレビュー
フェピムは広く使用されている抗生物質であり、血液脳関門を通過し、濃度依存性のα-アミノ酪酸(GABA)拮抗作用を示す能力に起因する神経毒性を有する。
神経毒性症状には、意識低下、脳症、失語症、ミオクローヌス、発作、および昏睡が含まれる。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29137682
微生物叢の組成に長期的な影響を与える抗生物質
抗生物質による認知機能の改善
アモキシシリン
ピロリ菌陽性アルツハイマー病患者へのオメプラゾール、クラリスロマイシン、アモキシシリン投与。アルツハイマー病患者の88%およびコントロールの46.7%で検出さた。治療された患者の84.8%でピロリ菌根絶に成功した。
2年間の臨床エンドポイントでは、ピロリ菌根絶が成功した患者のサブグループで認知および機能状態パラメーター(MMSE、CAMCOG)が改善された。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19240960
リファンピシン
onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/pcn.12637
ミノサイクリン
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27539598
ラパマイシン
イースター島の土壌から発見された放線菌。当初は抗真菌薬として開発されていた。しかしながら、mTOR阻害能(英語版)によって強力な免疫抑制作用と抗増殖作用を示すことが発見され、この目的では使用されなくなった。
D-サイクロリン
海馬内へのD-シクロセリン注入は、海馬におけるNMDARの機能とシナプス可塑性の強化と関連して、老齢ラットの社会的記憶、空間学習の逆転、およびシナプトフィシンレベルの低下を救済する。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29492616
ドキシサイクリン
ランダム化比較試験 アルツハイマー病の患者17人へのD-サイクロリン投与は、100 mg /日の用量で投与した場合、アルツハイマー病評価スケールの認知サブスケール(3.0ポイントの改善)のスコアの有意な改善と関連していた。
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10080566
ランダム化三重盲検 軽度から中程度の認知症の患者101人 ドキシサイクリン200 mg、リファンピン300 mg/日 3か月間の経口投与。
抗生物質群では、プラセボ群よりも6か月後のSADAScogスコアの低下が有意に少なかった(-2.75ポイント、95%信頼区間(CI)=-5.28〜-0.22、P = .034)
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14962152
薬剤・化合物
メトホルミン・ベルベリン
腸内微生物叢の構造変化、腸内微生物叢の多様性の大幅な減少
短鎖脂肪酸(SCFA)産生細菌の増加
pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26396057/