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水銀デトックス 6つのアプローチ
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1 水銀摂取制限
大型魚を食べない
体内に蓄積されたメチル水銀は糞便や尿として排出される。
そのため水銀摂取を完全にストップすれば体内の水銀量は約二ヶ月で半分になる。
水銀の経口摂取は42日間で摂取量の80%が半減期をむかえる。残りの20%は不明
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3253456/
脳細胞に蓄積した水銀の半減期は7~18年と言われている。
禁煙
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26051388
アマルガムの除去
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16891999/
www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra022471
水銀を含むクリームやローションを避ける
無機水銀化合物を含む皮膚美白製品や化粧品
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14669908
2 水銀の排出 ライフスタイル
サウナ・汗をかく
www.hindawi.com/journals/jeph/2012/184745/
メタアナリシス ヒ素、カドミウム、水銀などの有害金属を多く有する人の汗には、尿や血清よりも高濃度に毒性要素が含まれている。
真皮に含まれる毒性要素は尿排泄と同等かそれを超える可能性がある。
継続的なサウナによる発汗は、有毒成分のデトックス手法として考察する価値がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22505948
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21057782
3 水銀キレート効果をもつ食品の摂取
システインを多く含む食品の摂取
スルフォラファンなどのアブラナ科の野菜を食べる。
過剰システインのリスク
EDTAと水銀の結合した複合化合物は、水銀よりも微小管に対して毒性が高い。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15364276
食物繊維
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10552878
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7713018
水銀曝露後のマウスの食餌に30%のふすまを配合した場合にのみ、脳、血液、小腸における総水銀濃度が有意に減少した。5%、15%配合では減少が見られなかった。
また他の組織の水銀レベルにはほとんど影響を与えなかった。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3019277
コリアンダー
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8686573
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11535365
4 水銀キレート サプリメント
クロレラ
クロレラの継続的な摂取は、メチル水銀の排出を促進しマウスの組織水銀レベルを低下させる。この作用はグルタチオンの代謝の変化を伴なったものではない。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21297350
www.jstage.jst.go.jp/article/jts/36/1/36_1_121/_article
メラトニン
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24628077
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24195647
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21138989
メラトニン >クルクミン>アンドログラフォライド
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25645230
セレニウム
マグロに含むメチル水銀毒性を低下させた。ラット
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/5062150
link.springer.com/article/10.1007%2Fs12011-015-0403-7
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19406194
水銀曝露した50名の水銀鉱業の地元住民に100μgのセレンを投与、有機セレンの補給が水銀排出を増加させる可能性。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23033886
タウリン
αリポ酸
水銀とヒ素に対するキレート作用(鉛は除去しない)
水銀そのものに吸着するのではなく、水銀を離脱させる作用による。
そのため他の水銀キレート剤との併用が必須となる。
水銀キレート作用をもつグルタチオンを高める。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12870874
単独大量使用による副腎疲労の可能性
グルタチオン
グルタチオンとメチル水銀の同時投与は、グルタチオンだけを投与した群と比べメチル水銀をマウスの脳へと移行させる。
www.jstage.jst.go.jp/article/joh1959/30/1/30_1_46/_article
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17905226
5 水銀キレート 専用キレート剤
全般的にDMSA、DMPSは多くの水銀中毒に対して毒性が低く、有効性が高い解毒剤。
慢性的な水銀中毒ではDMSA(DMSAイソアミルエステル、特にイソアミルエステル)がDMPSよりも有効。
DPAおよびNAPAは、DMSAおよびDMPSよりも劣っている。
DMSA (Dimercaptosuccinic acid)
概要
重金属のキレート剤として40年前に研究で見出され、中国、日本、ロシアでも20年以上研究されている。
BALのアナログであり、経口または静注で用いられるが親水性の性質により経口投与においてBALより優れている。
鉛、ヒ素、水銀、カドミウム、銀、スズ、銅と広範囲の金属に対してのキレート作用をもち、ジチオール化合物の中ではもっとも毒性が低い。
亜鉛、鉄、カルシウム、マグネシウムなどの必須金属の有意な損失は見られない。
血液脳関門を通過しない。
DMSAの半減期は3.2時間
動物モデルの実験では脳からのメチル水銀除去にはDMSAが優れている。
有機水銀中毒ではDMSAが効果的(DMPSと比較して)
DMSAのデメリット
細胞膜を通過することができないため、細胞外でしか分布されない。
胃腸の不快感、皮膚の反応、軽度の好中球減少症、肝酵素の上昇。
無機水銀に暴露した後のDMSA処理は、腎臓や肝臓などに蓄積していた水銀の再分布によって運動ニューロンの水銀沈着を増加させる可能性がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8856730/
DMSAの投与法
最初の5日間は10mg/kgを一日3回 その後14日間 10mg/kgを一日2回
毒性が最も低いが、一部の患者では、好中球減少症が報告されているため、CBC、腎機能および肝機能は、開始前および治療中にチェックする必要がある。
αリポ酸との併用で金属の排出が速まる。
DMSAの副作用
DMSAの副作用には、消化器系疾患、皮膚発疹およびインフルエンザ様症状がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17408840
タウリンとDMSAの併用
タウリンをDMSAと併用すると、ヒ素と鉛の負荷を相加的に軽減する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12107644
入手先
eBayで販売されている。
DMPS (Dimercaptopropane-sulfonate)
キレート金属
水銀、ヒ素、鉛、カドミウム、スズ、銀、銅セレン、亜鉛、マグネシウム
ドイツでは水銀中毒治療として登録されているが、米国FDAでは承認されていない。
BALの類似体、水銀に対する高い親和性をもつ。半減期は20時間
DMPSは親水性であり、細胞外に分布するが、特異的な輸送機構によって細胞内に入る可能性がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11749497/
DMPSは鉛や水銀を脳へ再分配しない
DMPAは血液脳関門を透過しない。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8619252/
無機水銀への効果
DMPSは無機水銀を効果的に移動させるが、それによって体内の水銀蓄積が解消されたかは明らかではない。
DMPSは(誘発試験で)水銀を動員させ再分配することにより、脳にダメージを与える可能性。
www.quicksilverscientific.com/images/ChallengeTestsForMercury20140508.pdf
腎臓組織に蓄積した水銀を除去し尿中に排泄するのに有効、ただし脳からのメチル水銀を除去するのには有効ではなかった。
無機水銀、塩化水銀の中毒治療にはDMPSがもっとも有効(in vitro)
治療
経口、または静注、最初の48時間は4時間ごとに250mg IVを投与、
次の48時間は6時間ごとに250mg IVを投与、
その次に8時間ごとに250mg IVを投与する。
治療期間は、血液および尿中の水銀の濃度に依存する。
副作用はまれであるが、発疹、悪心、および白血球減少症が観察されることがある
デトックスキューブ/DETOX QUBE
リコード法でも取り上げられているクイックシルバー・サイエンティフィック社が開発した水銀キレートシステム。
www.qssjapan.com/quicksilver-scientific/ (日本語)
www.quicksilverscientific.com/2-uncategorised/87-deluxe-detox-qube-protocols (プロトコル 英語)
モノイソアミルDMSA(MiaDMSA)
DMSAの類似体キレート剤 親油性である。
研究途上の段階にあり薬理学的プロフィールは確立されていないが、これまでの動物実験研究での鉛、ヒ素の急性毒性および慢性毒性における有効性と安全性は見出されている。
DMSAとMiaDMSAの同時投与は、MiaDMSA単独投与よりもヒ素誘発性酸化ストレスをより効果的に減少させる。
チオラ錠100(Tiopronin)
体内で重金属と結合して重金属解毒作用をもつ。特に水銀の排泄促進効果を示す。
日本で水銀中毒の診断を受けた場合の水銀排泄増加に通常用いられる。
水銀中毒の診断があれば病院で保険適用で処方してもらえるかもしれない。
理論的にはチオプロニンに結合した水銀が脳内で再分配される可能性もある。(チオプロニンは血液脳関門を通過する)
急性ではない慢性水銀中毒(過剰症)である場合、少量投与で長期的にキレートしていったほうが副作用のリスクも少なく安全かもしれない。
100mg1錠/日を寝る前に摂取3ヶ月後に再チェック。
チオプロニンと結合した水銀は尿中へ排出されるため、キレート中は水分を多めに摂取して体内からの排出を促進する。
添付文書
database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00048867.pdf
個人輸入での入手が可能。
メチル水銀へのキレート作用
メチル水銀の毒性中毒改善にDMSA、DMPS、Tioproninが有効
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7795320
www.sciencedirect.com/science/article/pii/0890623894000603?via%3Dihub
DMSAと同レベルの効果
チオプロニンは鉛および水銀を安全に排出する。DMSAの効率とほぼ同じ。
200mgを4週間投与
en.cnki.com.cn/Article_en/CJFDTOTAL-LCZZ199902004.htm
チオラ錠の毒性評価
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11813292
EDTA/エデト酸 (Ethylenediaminetetraacetic acid)
DMPSに比べ低い水銀親和性をもつ
EDTAは鉛、カドミウム、ニッケルなどの有害金属の除去に効果的
その他、亜鉛、Caをキレートすることが多くの論文で報告されているため、亜鉛の補充は必須かもしれない。
EDTAと結合した金属は水溶性であり、通常尿中に排出される。
EDTAの腎臓保護効果
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12087562/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16536881/
血液脳関門
EDTAは、通常血液脳関門を等価しないと考えられているが、炎症に依存して透過性が増加する可能性がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15024715/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5118545/
HDAC阻害剤
チメロサール(チオサルチル酸エチル水銀)誘導性アポトーシス細胞死を阻害。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27660204
DPCN (D-penicillamine)
ペニシリンの水溶性誘導体
尿中へ鉛と水銀を排出させる。
Klaassen CD. Casarett & Daull’s toxicology the basic science of poisons. New York: McGrowHill; 2007.
BAL (British Anti-Lewisite)
ソ連と中国で70年前に開発された解毒剤
BALは水銀中毒では用いるべきではない。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3846971/
キレート剤と抗酸化剤の併用療法
水銀の毒性作用メカニズムのひとつに酸化ストレスの誘発の可能性がある。
グルタチオンの枯渇は、水銀毒性の機能障害を引き起こすことが示されている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9727078/
6 メタロチオネインの適正化
メタロチオネイン(metallothionein)とは金属結合性のタンパク質で、すべての動物細胞に存在する。
必須微量元素の恒常性を維持し、重金属元素の解毒の役割をもついわば内因性のキレート剤。その他、抗酸化能ももちあわせる。
メタロチオネインが結合する金属は、亜鉛、銅、セレン、カドミウム、水銀、鉛、銀、ヒ素、ビスマスなど18種類。
メタロチオネインは、亜鉛やカドミウム、銀等の金属曝露の他に、酸化ストレス、グルココルチコイド、ビタミンD、過酸化水素、IL-6など多くのの刺激により誘導される。
多くのメタロチオネインは亜鉛シャペロンとして作用し、高レベルの亜鉛によってアップレギュレートされる。
メタロチオネインIII(MT3)
脳のメタロチオネイン MT3
メタロチオネインのアイソフォームはI、II、III、IV(MT1~4)の4種類で、脳に発現しているのはメタロチオネインIII(MT3)
メタロチオネインは細胞内の亜鉛シグナル伝達系の重要な成分でもあり、このシステムは脳の神経細胞間で行われる亜鉛シグナルにおいて特に重要。
MT3は mRNAは、大脳皮質、海馬、扁桃体、および小脳の基部の核内に特に豊富に存在し、亜鉛と複合体を形成してニューロンの調節を行っている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7931547/
神経成長阻害作用
MT3のみ神経成長阻害作用を持ち、中枢神経系に重要な機能をもつと考えられている。
アルツハイマー病患者ではMT3の発現が健常者と比べ有意に少ないという、MT3の神経成長を抑制する作用とは相反する結果が出ている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1873033/
グリア細胞の保護
MT3はグリア細胞保護的に作用し、一方、MT3の欠落が、ヒトAlzheimer病脳病変の進行に関与している可能性が示唆された。
kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-15K09372/
アミロイドβクリアランス
MT3の不在はアクチン重合の異常を介して、アストロサイトによるアミロイドβの取り込みを減少させる。>アミロイドβクリアランスの低下 > アミロイドβの細胞外蓄積の悪化
molecularbrain.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13041-015-0173-3
MT3の複雑な役割
www.ihop-net.org/UniPub/iHOP/gs/90320.html
MT3アップレギュレーション
有酸素運動
鉛の慢性的曝露したラットのトレッドミル走行により、MT3が増加
低酸素
酸化ストレス
加齢
IL-4
molecularbrain.biomedcentral.com/articles/10.1186/1756-6606-3-30
アンジオテンシンII
インスリン
亜鉛?
亜鉛はMT2を過剰発現させるがMT3への本質的な影響はない。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5485957/
低い亜鉛対銅の比率は、自閉症のバイオマーカーとして用いられ、メタロチオネイン系が影響を受けていることを示唆している。
www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/13547500902783747?journalCode=ibmk20
MT3ダウンレギュレーション
リチウム
リチウムはマウスの脳におけるMT3レベルの低下をもたらす。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18349697/
極低周波電磁場(ELFEMF)
onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/bem.22046/abstract