医薬品メマリーの多彩な作用

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認知症治療薬メマンチン(メマリー)情報

概要

はじめに

メマンチンの基本情報や一般的なメカニズムは、多くの他サイトで解説されているのでここでは省略する。

https://ja.wikipedia.org/wiki/メマンチン

メマンチンはNMDAグルタミン酸受容体の部分的阻害作用により、神経保護効果をもつと考えられているが、意外にもそのすべての作用機序が解明されているわけではなく、異なるメカニズムによる神経保護効果を含め、多彩に生体への影響をおよぼす可能性がある。

NMDA受容体の光と影

メマンチンの多彩なメカニズム

アミロイドカスケードに対するメマンチンの抑制効果

 

画像、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はjad-62-jad170672-g002.jpgです。

・神経炎症の低下

・記憶力の改善

・アミロイドレベルの低下

NMDA受容体の阻害

BDNFの増加

・酸化ストレスの低下

BACE-1の低下

Memantine for the Treatment of Dementia: A Review on its Current and Future Applications
Alzheimer’s disease (AD) is a neurodegenerative disorder characterized by the presence in the brain of extracellular amyloid-β protein (Aβ) and intracellular ne

 

メマンチンは海馬のCdk5活性化を妨げる

CDK5(サイクリン依存性タンパク質キナーゼ5)は、神経突起および軸索成長を含む神経系における多数の生理学的機能の活性化および維持を行う。

NMDA受容体はアミロイドβの蓄積、酸化ストレスなどの興奮毒性により、カルシウムの増加を介してカルパインの活性化をもたらす。カルパインはCdk5に結合して、タウの過剰リン酸化に影響を与える。

アルツハイマー病ではCdk5上昇することで、タウタンパク質の過剰リン酸化と神経細胞死をもたらすという仮説がある。

A hippocampal Cdk5 pathway regulates extinction of contextual fear
Treatment of emotional disorders involves the promotion of extinction processes, which are defined as the learned reduction of fear. The molecular mechanisms un

メマンチンは海馬のCdk5活性化を妨げることがマウスモデルで実証されている。

PubMed

メマンチンはGSK3βの活性化を抑制する

グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3(GSK3)は、アルツハイマー病(AD)の神経病理に関与する。

GSK3はセリンリン酸化によって阻害されるが、メマンチンまたはメマンチンとフィゾスチグミンの投与は、いずれもマウスの脳におけるGSK3のセリンリン酸化を増加させることにより、GSK3を阻害する。
PubMed
GSK3β

アルツハイマー病においては、GSK3のアイソフォームGSK3β活性の調節不全が示されている。

GSK-3βの活性は、タウのリン酸化と相関。

GSK-3βは、微小管関連タンパク質(MAP)との相互作用を介して、軸索の安定性を調節する。

GSK-3βは、プロアポトーシスおよび抗アポトーシスの両方の効果を促進する。

GSK-3βの過剰発現は、シナプス密度数と体積の著しい減少を引き起こす。

GSK-3βは、インターロイキン-6(IL-6)、IL-1β、、腫瘍壊死因子などの様々な前炎症性サイトカインの産生を促進する。反対に抗炎症性サイトカインIL-10の産生を減少させる。

GSK-3β, a pivotal kinase in Alzheimer disease
Alzheimer disease (AD) is the most common form of age-related dementia. The etiology of AD is considered to be multifactorial as only a negligible percentage of

GSK3の概日リズム変動

GSK3アイソフォーム(αとβ)の慢性活性化は、GSK3の標的BMAL1のリズムを損なう。

GSK3の活性状態は概日クロックによって調節され、GSK3がフィードバックすることで視交叉上核(SCN)の分子時計振幅を調節する。

 

画像、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はnihms-722840-f0001.jpgです。

Circadian Rhythmicity of Active GSK3 Isoforms Modulates Molecular Clock Gene Rhythms in the Suprachiasmatic Nucleus
The suprachiasmatic nucleus (SCN) drives and synchronizes daily rhythms at the cellular level via transcriptional-translational feedback loops comprised of cloc

 

ミクログリア活性の抑制

アルツハイマー病におけるミクログリア

アルツハイマー病患者では通常ミクログリア細胞は高度に反応性であり、アミロイドプラークの周辺に位置する。

ミクログリアはアルツハイマー病の初期においては、アミロイドβペプチドを貧食する保護的役割を果たしている。

疾患が進行すると、炎症性サイトカインの誘発と神経毒性をもつ細胞となる。

PubMed
+(Kir)チャネルの阻害

メマンチンは、+(Kir)チャネルの阻害によって、ミクログリア細胞への抗炎症作用を有する。

PubMed
抗炎症作用

メマンチンはグリア細胞NMDA受容体の阻害を通した抗炎症作用を介して神経保護効果を発揮する。

PubMed
グリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)産生の増加

メマンチンは、ミクログリアの活性を防止することにより、アストログリアからのグリア細胞系由来神経栄養因子(GDNF)産生を増加させる。加えてLPS誘発性のドーパミンニューロン損傷への保護効果も示す。

PubMed
初期におけるメマンチンの低用量投与

神経炎症疾患の発症早期における低用量メマンチン投与は、ミクログリアの活性抑制を介して、神経保護および認知保護効果をもたらす可能性がある。

PubMed

 

Mikroglej 1.jpg

https://ja.wikipedia.org/wiki/小膠細胞

メマンチンによるBDNFの増加

NMDA受容体阻害とは異なる機序によるBDNF発現の促進

メマンチンは、NMDA受容体の阻害とは異なる機序によってBDNFタンパク質発現を促進する。

PubMed
BDNF増加による抗うつ作用

うつ病の動物モデルにおいて、メマンチンの投与が海馬のBDNFを増加させ抗うつ作用を示している。

PubMed
パーキンソン病への記憶と海馬シナプスの効果

メマンチンは、パーキンソン病動物モデルのBDNF低下を防ぎ、記憶および海馬のシナプス可塑性の喪失を防ぐ。

PubMed

メマンチンの糖尿病への効果

膵臓ベータ細胞のNMDA受容体

膵臓β細胞にNMDA受容体が発現しており、マウスの膵島NMDA受容体の阻害が、グルコース応答性インスリン分泌(GSIS)および膵島細胞の生存を増強することを示した。

NMDA受容体アンタゴニストであるデキストロメトルファンはマウスの耐糖能を増強する。

小規模の臨床試験において、デキストロメトルファン治療により2型闘病病患者の血清インスリン濃度および、グルコース耐性が向上していることが見出された。

PubMed

ApoE4キャリアへの効果

ApoE4対立遺伝子を保有する中期のアルツハイマー病患者へのメマンチン、リバスチグミンパッチの併用投与は、非ApoE4キャリアよりも日常生活動作のより有益な効果を示した。

PubMed
ブチリルコリンエステラーゼK変異体のApoE4

ブチリルコリンエステラーゼK(BCHE-K)の変異体を有する患者では、リバスチグミンとメマンチンの併用療法に対して乏しい応答を示しており、特にApoE4保有者ではADAS-cogに対する悪い応答を示した。

PubMed

メマンチンはニコチン受容体を阻害する

PubMed

メマンチンの慢性曝露によるミトコンドリア活性

メマンチンの慢性曝露により、ミトコンドリアの酸素消費量が増加し、NMDA受容体複合体I活性も増加した。

しかし、メマンチンのより高い濃度では、シトクロムオキシダーゼおよびクエン酸シンターゼ活性は減少した。

これらの根本的なメカニズムはわからないが、メマンチンが刺激薬としてミトコンドリアに作用している可能性が高い。

Effects of Memantine on Mitochondrial Function
Because NMDA complex and mitochondrial function are related, we hypothesized memantine would influence mitochondrial function. We addressed this in vitro by stu

メマンチンの臨床効果

痛みの緩和・恐怖の克服

Cdk5は痛みの伝達に必要なキナーゼであることを示唆しており、恐怖学習において海馬の酵素活性が増加する際に持続する。

Cdk5の活性の阻害は、恐怖記憶を忘れて克服するために役立つ可能性がある。

A hippocampal Cdk5 pathway regulates extinction of contextual fear
Treatment of emotional disorders involves the promotion of extinction processes, which are defined as the learned reduction of fear. The molecular mechanisms un

メマンチンは、局所性疼痛症候群の患者の痛みを緩和する。
PubMed
PubMed

メマンチンは行動症状に用いるべき

無作為化二重盲検プラセボ対照試験

メマンチンは中等度から重度のアルツハイマー病患者の行動症状の治療と予防に有効である。妄想および激越、被害妄想の症状について利益が持続的に観察された。

PubMed
PubMed

メマンチンの副作用

メマンチンは耐用性の高い薬である。

転倒

メマンチン投与された患者の約10%で転倒やけがが経験されている。

PubMed
傾眠

メマンチン療法は、総有害事象、重篤な有害事象、死亡の発生率を有意に増加させなかったが、傾眠のリスクを増加させた。

PubMed
2%以上の有意な副作用

疲労、痛み、高血圧、めまい、頭痛、便秘、嘔吐、背痛、混乱、不眠症、尿路感染症、インフルエンザ様症状、異常歩行、うつ病、上気道感染、不安、末梢浮腫、気分障害、喘息、喘息、吐き気、食欲不振、関節痛

重度の腎障害を有する患者では、1日2回5mgを超えないことが推奨される。

アルツハイマー病以外の疾患への効果

レビー小体型認知症

パーキンソン病

前頭側頭葉変性症

ハンチントン病

PubMed
PubMed

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

ALSモデルのマウスの疾患進行を有意に遅らせる。

PubMed

うつ病

ランダム化比較試験 アルコール依存症を伴う大うつ病性障害治療

メマンチン投与が選択的セロトニン取り込み阻害剤抗うつ薬であるエスシタロプラムと同様にうつ病および不安レベルを有意に低下させた。

PubMed

ランダム化比較試験 早期発症の大うつ病性障害患者へのメマンチン投与(20mg/日)の有効性を示した。

PubMed

難治性偏頭痛

メマンチン10~20mgの投与 3ヶ月後に有意に頭痛頻度が低下

PubMed

その他

自閉症
PubMed
PubMed
PubMed
統合失調症
PubMed
PubMed
注意欠陥障害(ADHD)
PubMed
オピオイド依存症
PubMed
過敏性摂食障害

メマンチンは過食、軽度の重症度、障害の軽減に効果があったが、BMIと体重にはほとんど影響しなかった。

PubMed
強迫性障害

強迫性障害患者へのメマンチン10mg/日投与による有意な改善

An open-label trial of memantine in treatment-resistant obsessive-compulsive disorder
Obsessive-compulsive disorder (OCD) is often refractory to treatment. Glutamatergic neurotransmission modulating agents like memantine, an N-methyl-D-aspartate

オープンラベル試験 メマンチンによる強迫性障害および全般性不安障害への有効性

PubMed

併用投与

メマンチンとビタミンDの併用投与

ビタミンD(400~1000IU)とメマンチン(20mg)を6ヶ月間併用投与されたアルツハイマー病患者では、MMSEを4ポイント上昇させたが、メマンチンまたはビタミンDの単独投与では効果を示さなかった。

PubMed

メマンチンとビタミンDの組み合わせは、アミロイドβまたはグルタミン酸塩に曝露された後の皮質軸索の変性をより低下させることで、神経保護効果を発揮する可能性がある。in vitro

PubMed

メマンチン併用投与によるビタミンEの効果の喪失

2000 IU / dのアルファトコフェロール単独投与は、軽度から中等度のアルツハイマー病患者の機能低下を遅らせるのに効果的であり、患者の介護時間を短縮するのにも有効であることを見出した。

メマンチン単独(20mg)またはアルファトコフェロールとメマンチン(20mg)の併用は、軽度から中等度のAD患者では臨床的利益を示さなかった。

Effect of Vitamin E and Memantine on Functional Decline in Alzheimer Disease: The TEAM-AD VA Cooperative Randomized Trial
Although vitamin E and memantine have been shown to have beneficial effects in moderately severe Alzheimer disease (AD), evidence is limited in mild to moderate

メマンチンとテヌイゲニン(遠志)、βアサロンの併用投与

ランダム化二重盲検プラセボ対照試験 中等度から重度のアルツハイマー病患者152人

テヌイゲニンとβアサロンとメマンチン(5~20mg)を投与された患者では、メマンチンだけを投与された患者と比べ、MMSEスコア、ADLスコアおよびCDRスコアが有意に高かった。

PubMed

 

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