Contents
メラトニン・ラメルテオン 摂取量・種類など
私は睡眠力は幸福力ではないかと思っている
水木しげる
メラトニン 用量
生理学的用量 0.1~0.3mg
低用量 0.5~1mg
中用量 3~5mg
高用量 10mg
超高容量 30~100mg
メラトニンの摂取量
生理学的な用量は0.3mgまで
0.3mgを超えるメラトニンの外因的投与は、生理学的なレベルを超えることは十分に照明されている。
3mg超と用量が多い場合では、より長いメラトニンの血清濃度を維持する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11600532
高用量は持続的な効果をもつ
メラトニン自体の毒性は低いが、高用量群では目が覚めた時に眠気、不安定感の問題を引き起こす可能性がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21480979
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17900408
深部体温への影響
また高用量群では、就寝中の深部体温を有意に低下させる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9850013
徐放性のメラトニン0.5mgの投与量では、概日リズム体温変動に干渉しなかった。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9485533
3mgは0.1mgと同様に睡眠効率を回復させたが低体温症を誘発し、日中を迎えても血症メラトニンは上昇したままであった。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11600532
概日リズム不均衡の改善 40~60歳未満 認知症予防
一日0.3mgからスタート 最大で1~2mgまで。
即時放出型 徐放剤は利用しない。
就寝1~2時間前 タイミングが重要
概日リズムを整えることが目的の場合、
最小量で効果があるのであれば、その量を維持する。
アルコールや他の睡眠薬とは併用しない。
抗酸化、神経保護 MCI・アルツハイマー病初期~中期
メラトニン(徐放剤を推奨)一日0.5mg~10mg 就寝1~2時間前(重要)
「リコード法」での摂取量は0.5~3mg
概日リズムの改善していくとともに、抗酸化機能、神経保護効果などを得るためには、0.5mgよりも多めの摂取が推奨される。
継続的な高用量メラトニンの使用による内分泌の乱れを防ぐために、週のうち1~2回だけ高用量を用いる方法も理論的に考えられる。
翌日眠気が残って生活に支障がある場合は、徐放剤ではないメラトニンを選択。
徐放タイプのメラトニンサプリメントについて
徐放剤 =効果を持続させるために薬物が徐々に溶け出すよう工夫をしてある薬剤
徐放タイプと即時放出タイプの効果の差は明確ではないが、メラトニンの日内変動が大きく低下した患者においては、プラセボグループと比べて徐放タイプのメラトニンがより大きく改善を示した。(研究者の主観的報告)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14655926/
また血中濃度が維持されることから、夜間徘徊などの対策には、徐放剤がより有効ではないかと推測される。
・徐放剤(特に高用量)が睡眠位相を引き伸ばし、概日リズムを整えるには、逆効果となる可能性もある。
翌日持ち越して昼の眠気を誘発するかもしれないので翌日の運転などには注意。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3682489/
※徐放剤は、分割したりするとその徐放効果が消失するかもしれないので、分割せずに利用すること。
メラトニンのメガドース(大容量摂取)
メラトニン摂取後、素早く分解され身体から排出されるため、高用量投与によるアドオン剤としての可能性が示されている。
超高用量の投与(50~70~300mg)であっても、個人の患者例では高い忍容性が示されている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20210854/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1727807/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21480979/
MCIへのメラトニン投薬による治療研究 50~100mg
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22739839/
メラトニンの長期間にわたる高用量摂取により考えられる副作用
・翌日の眠気、自然な概日リズムの混乱
・ホルモン放出に伴う低体温によるホルモンのプロラクチン過剰産生刺激
・腎臓、肝臓への負担
・脱感作により不眠症を引き起こす
これらの副作用を回避するために、週に一度だけ高用量のメラトニンを用いる方法も考えられる。
ラメルテオン(ロゼレム)
MT1受容体への作用
病院で睡眠薬として処方されるラメルテオン(ロゼレム)には、分子化合物の違いからメラトニンにある抗酸化能はないと思われる。
ただし、MT1受容体への強い活性作用により概日リズムを整える、神経保護効果といった作用は、メラトニンよりも強い可能性がある。
神経細胞の損傷による睡眠リズムの乱れには、ラメルテオンが推奨されるかもしれない。
アルツハイマー病患者に限ると、個人的には、どちらか一つを選択するなら抗酸化作用を併せ持つメラトニンだが、ラメルテオンをメラトニンと併用することで認知機能改善への補完効果がある可能性もある。
ただし、ラメルテオンの長期使用による受容体の脱感作や蓄積性、アルツハイマー病患者では代償作用によりMT1がすでに過剰活性されているなどの報告もあり、積極的に投与するメリットは感じられない。
メラトニン まとめ
生理学的用量 0.1~0.3mg 受容体への作用(生理学的なメラトニンレベルを超えない)
低用量用量 0.5~1mg 強い受容体への作用(生理学的レベルを超える)
中用量 1~3mg 受容体への作用と抗酸化作用
高用量 3~10mg 受容体への作用と強い抗酸化作用
メガドース高用量 10~100mg メラトニンの抗酸化能を最大限に利用
2mgまでの長期投与症例では離脱症状は生じない。
0.5mgと5mgでは用量依存変化がある。
メラトニンの改善効果には個人差が生じることも珍しくはない。
アルツハイマー病患者の周辺症状(特に夜間)への改善報告は多数あり。
メラトニンの投与、小規模の試験は多く行われているが、信頼性の高いアルツハイマー病患者への試験は少ない。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3004402/table/tab1/
注意
・メラトニンは受容体への作用による免疫調整作用、活性作用をもつため自己免疫疾患患者が使用する際は注意が必要。
・高血圧治療薬であるβブロッカー製剤は、メラトニン作用を阻害する。