腸管壁漏洩症候群(リーキーガット) (作成中)

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腸内微生物叢

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腸管バリア・腸管透過性の機能

概要

腸壁は400平方メートルの表面積を有しヒトのエネルギー消費量の40%を消費する!

抗原や微生物の侵入を防ぎながら、水分と電解質を調節し、食事中の栄養素を吸収する役割を担う。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21816150/

腸管バリア

腸管上皮バリア(または腸バリア)とは、細菌や微生物、毒素などが腸から侵入することを防ぐための保護成分のことであり、胃腸科医、免疫学者、微生物学者によって比較的最近作られた用語。

腸管透過性
腸の透過性が健康を維持し病気を防ぐ役割をもつ証拠は積み重なっている。

腸管上皮バリアは粘膜表面に細菌が存在し免疫システムを支えている。そして正常な腸管門は微生物と毒の侵入を守っている。

このバリアは水分や人間に必要な栄養素を吸収するためには開いてなければならず、腸管上皮バリアはこの2つの相反する目的のために、腸管透過性という複雑な仕組みによって成り立っている。

人間の免疫系の60パーセントが、腸内膜のすぐ外側にあるGALT(腸関連リンパ組織)に存在することが知られている。このシステムは、細菌、ウイルス、および寄生虫を防ぐためにも機能する必要がある。

リーキーガット(LGS)

日本語では腸管壁漏洩症候群とも呼ばれる。腸管バリアが何らかの原因で慢性的に破綻した状態を呼ぶ。

リーキーガットはもともと代替療法で使われていた概念的な用語であったが、腸管バリア、腸管透過性研究の進展によって、より実体のあるものとして考えられるようになってきている。

リーキーガットがその他多くの慢性疾患、神経変性疾患などに寄与するという理論的な作用機序と弱い相関は存在するが、臨床的な強い証拠はなく議論の段階にある。これは定義が明確には確立していないことに加え、腸管バリアの仕組みが複雑でありリーキーガットが疾患の発症に直線的な因果関係をもつわけではないこととも関連している。

タイトジャンクション(TJ)
密着結合、タイト結合とも呼ばれる。上皮細胞同士を結合させ、分子が細胞同士を通過することを制御する。

腸管透過性関連因子

オクルディン

最初に発見されたタイトジャンクションの構成タンパク質。marvelD1とも呼ばれる。

オクルディンは6.25nm以上の高分子に対するバリア機能を担っている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25220018

クローディン

ja.wikipedia.org/wiki/クローディン

クローディンは主に腸管バリア機能に関与する膜貫通タンパク質であり、隣り合う上皮細胞間のクローディン同士が結合することでジッパー状(ストランド構造)のタイトジャンクションが形成される。簡単に言うとタイトジャンクションの構造形成を担っている。

脳血管内皮細胞にはバリア型クローディンのひとつクローディン-5の発現が特に多く、血液脳関門の完全性に関わる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21430248/

クローディン-1は脳卒中後のマウスおよびヒトの微小血管で高発現している。

クローディン-1がタイトジャンクション複合体に組み込まれことで、血液脳関門の回復を妨げ漏出を引き起こす。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30504279

クローディン-3、-5、-8、オクルディンの発現低下

トリセルリン/tricellulin

3つの上皮細胞を結合させて細胞シートを構成する膜タンパク質。

オクルディンと高い相同性をもち、オクルディンがタイトジャンクション全体に広がっているのに対してトリセルリンは上皮細胞に高い濃度で存在する。

www.nips.ac.jp/dcs/kenkyu_files/seikagaku0.htm

marvelD3

オクルディン、トリセルリン、marvelD3には相同性があり、タイトジャンクションバリア機能に関してそれぞれ異なる役割と重複する役割を担う。

マーベルD3、オクルディン、トリセルリンはお互いに損失を部分的に補うことができるが、すべてが欠損すると腸管の深刻な漏出が起こる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20164257/

ムチン2

杯細胞(さかずきさいぼう)は、高度にグリコシル化された巨大網様構造であるムチンを分泌する。

ムチン2は、大腸および小腸における分泌型ムチンの主成分であり、腸内微生物を上皮表面から離れた場所に保つのに重要な役割を果たしている。

閉鎖帯タンパク質 ZO-1、ZO-2、ZO-3

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4612710/

細胞脱落部位

小腸で上皮細胞でアポトーシスを引き起こすと、死にかけた細胞を押し出そうと表面に誘導される。その際にその脱落部位において腸管バリアの完全性を損ねる潜在的な可能性があることが認識されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22504183/

この押し出しメカニズムは堅牢であるため、これによって腸管バリア機能が機能しなくなることはめったにない。

しかし、細胞の押し出しプロセスが急速に進むと脱落に伴って上皮に一時的な欠損が生じバリア機能が低下することがある。(TNFαなどの炎症性サイトカインなどは細胞の放出速度を増加させる。)

パネート細胞

パネート細胞とは小腸において微生物に対する防御因子を含む細胞であり、機能的には好中球類似する。

微生物による感染を防ぐために、細菌(グラム陽性菌、グラム陰性菌)細菌成分などの暴露に応答して、α-デフェンシン、リゾチーム、Reg3タンパク質などを含む抗菌因子を産生する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5696613/

IgA

免疫グロブリンA(IgA)は粘膜表面を環境生物から保護するために産生されるが、より抗原特異的なsIgAが腸のリンパ組織において生じる。

これは天然の抗体として知られており、多くは共生している腸内細菌叢への反応は示さない。しかしウイルスやバクテリアに結合して上皮細胞への侵入を防ぎ、粘膜表面の防御を仲介する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10864873/

セロトニン・ヒスタミン

セロトニン再取り込みトランスポーター(SERT)の喪失は、腸管バリア機能の障害によりフルクトース誘発性の炎症を生じさせる要因であることが示唆されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19713474/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19533134/

粘膜肥満細胞によって産生されるヒスタミンは、腸内の炎症誘発性メディエーターとして作用し、腸の透過性を調節する。

CB1受容体

カンナビスサティバは、嘔吐、食欲不振、下痢、腸の炎症など、消化管の多くの疾患に治療に使われてきた歴史がある。

これまでの動物実験で、腸カンナビノイド1型受容体(CB1R)の活性化によって、腸管バリア機能が調節されていることが示されている。

また腸内細菌叢や栄養素によっても、それらがCB1受容体を刺激することで腸管バリアの調節に貢献している。

カンナビノイドに含まれるアナンダミドは腸管透過性を悪化させ、CB1受容体のアンタゴニストとして作用するフィトカンナビノイドは腸管の保護、回復を促進する可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20664638/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21745190/

カンナビノイドシステムの多彩な神経保護メカニズム

腸管アルカリホスファターゼ(IAP)

Intestinal alkaline phosphatase

アルカリフォスファターゼは、タンパク質を分解することにより多彩な生理学的作用を発揮する酵素のひとつ。異なる組織(肝臓/骨/腎臓、胎盤、腸)にそれぞれ3つの異なる形態として存在する。

腸に存在する腸管アルカリホスファターゼは、腸の恒常性を維持するために重要な粘膜防御因子。

消化管全体に発現し、ストレスのある状況で細胞から分泌される炎症誘発性の分子に対して脱リン酸化を促進することにより保護効果を示す。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5339520/

最近の研究では、腸管アルカリフォスファターゼが、pHの調節、炎症の抑制、マイクロバイオームの調節、腸のバリアの完全性の維持に重要な役割を果たすことが特定されている。

www.journalacs.org/article/S1072-7515(15)01776-7/abstract

アルカリフォスファターゼ活性
  • 黒胡椒
  • ピペリン
  • 赤唐辛子
  • カプサイシン
  • 生姜
  • 酪酸ナトリウム
  • 亜鉛
  • マグネシウム
  • カルシウム
  • クルクミン
  • オメガ3脂肪酸
  • ビタミンD
  • ビタミンK2
  • ラクトフェリン
  • L-グルタミン
  • フージュン茶(Fuzhuan tea )水溶性抽出物
  • ハーブ煎じ薬(Yu Ping Feng San)
  • ルチン(おそらく)
  • アピゲニン(おそらく)
  • チタン(ナノ粒子)
  • 二酸化ケイ素(ナノ粒子)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4698684/

…www.researchgate.net/publication/269169361_Curcumin_and_Chronic_Kidney_Disease_CKD_Major_Mode_of_Action_through_Stimulating_Endogenous_Intestinal_Alkaline_Phosp

academic.oup.com/nutritionreviews/article-abstract/77/10/710/5488931?redirectedFrom=fulltext

www.foodandnutritionjournal.org/volume5number3/low-alkaline-phosphatase-alp-in-adult-population-an-indicator-of-zinc-zn-and-magnesium-mg-deficiency/

アルカリフォスファターゼ低下・阻害
  • セージオイル
  • オレガノ油
  • L-フェニルアラニン(競合的阻害剤)
  • アスパルテーム
  • BCAA(非競合阻害剤)
  • 大豆種子貯蔵タンパク質b-コングリシニン(b-conglycinin)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4698684/

プレグナンX受容体(PXR)

プレグナンX受容体は、薬物同士の相互作用、脂肪肝、ビタミンDホメオスタシス、胆汁酸ホメオスタシス、ステロイドホルモンホメオスタシス、炎症性腸疾などの正常な生理機能と疾患に関係する。

PXRは腸と肝臓で高度に発現しており、腸内細菌叢と炎症の調節を行い、腸管壁を維持し、有害物質の解毒と除去に関わる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2593625/

通常、腸の内容物は水溶性であり細胞の原形質膜は脂質であるため消化管の細胞に入ることができず腸内に保持される。しかし、脂溶性分子は細胞の原形質膜を通過し毒性作用をもたらす、または細胞死を引き起こす可能性がある。

PXRは、そういった脂溶性分子が消化管内に入り込むと結合する。これによりシトクロムP450酵素の産生が誘導され、フェーズ1、フェーズ2酵素により水溶性分子に変えて、門脈または腸管内に戻される。これらは最終的に糞便または尿として排出される。

hackyourgut.com/2016/11/28/trying-to-seal-a-leaky-gut-activate-the-pregnane-x-receptor-for-relief/

プレグナンX受容体アゴニスト

ビタミン類・栄養化合物
  • αリポ酸
  • ビタミンE
  • K2
  • リノレン酸
  • 胆汁酸
ハーブ類
  • グッグル
  • セントジョーンズワート
  • クルクミン
  • イチョウ葉
  • ケルセチン
  • ジインドリルメタン DIM(アブラナ科野菜)
  • 高麗人参(ジンセノサイドRb1)
  • バイカレイン
  • クローブ
  • ケンフェロール
  • クリシン
  • ピペリン
  • アルテミシニン(よもぎ)
  • タイム
ホルモン
  • プロゲステロン
  • プレグネノロン
  • コルチゾール
  • テストステロン
  • エストラジオール
  • T4、リバースT3
薬剤
  • ニコチン
  • リファンピシン
  • バルプロ酸
  • スピロノラクトン
  • ロバスタチン、シンバスタチン
  • フィナステリド

ファルネソイドX受容体(FXR)

farnesoid X receptor

胆汁酸によって活性化される胆汁酸受容体。胆汁酸はファルネソイドX受容体と(FXR)とGタンパク質共役胆汁酸受容体-1(TGR5)を活性化して、胆汁酸代謝とグルコースおよびインスリン感受性を調節する。FXRとTGR5は腸内分泌L細胞で共発現する。

ファルネソイドX受容体は、以下の調節作用が明らかになっている。

  • コレステロール/胆汁酸代謝
  • 肝臓の糖新生/脂質生成、
  • 炎症を含めた全身代謝

肝臓、腸、腎臓で豊富に発現しているが、肺、脂肪組織、心臓で低いレベルでの発現が観察されている。

FXRの活性化はTGR5の発現とGLP-1の分泌を誘導し、インスリンとグルコースの感受性と代謝障害の症状を改善する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28478385/

シトクロムP450と神経変性疾患

Gタンパク質共役胆汁酸受容体1(TGR5)

二次胆汁酸による活性化

TGR5は、二次胆汁酸TLCA、DCAによって活性化されるGαsタンパク質共役受容体。

胃腸管では、胆汁酸および合成アゴニストによるTGR5の活性化が腸のバリア機能を保護し、炎症を軽減し、腸内分泌L細胞からの胆嚢の補充とGLP-1分泌を刺激する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15721318/

インスリン抵抗性の改善(GLP-1分泌)

GLP-1はインスリン合成を刺激し、膵臓β細胞からの食後インスリン分泌を増加させ、インスリン抵抗性を改善する。

GLP-1分泌は、炭水化物、脂肪、タンパク質などの腸管内の栄養素によって刺激され、グルコース誘発GLP-1分泌は胆汁酸によって強化される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21718300/

甲状腺機能の活性(サイクリックAMPの活性)

TGR5の活性化は細胞内cAMPを増加させ、cAMP依存性プロテインキナーゼAを刺激する。これはcAMP応答エレメント結合タンパク質を活性化し、甲状腺ホルモン脱ヨード酵素2(Dio2)およびその他の褐変因子を誘導し、白色脂肪組織のエネルギー代謝を刺激し、肥満および肝臓脂肪症を軽減する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16400329/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19723493/

胆汁酸合成

TGR5はマウスの胆汁酸合成と空腹時の脂肪肝に重要な役割を果たしている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27351453/

腸から肝臓への軸は、胆汁酸代謝、胆汁酸プールサイズ、および胆汁酸の腸肝循環の調節に重要な役割を果たす。胆汁酸は腸内微生物叢を形成して宿主代謝を調節する

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27320064/

 

腸管透過性テスト

ラクツロース-マンニトール試験

腸の透過性を調べる、もっとも一般的な方法。

ラクツロースは小腸上皮細胞の損傷部位を通過する。透過するとラクツロースとマンニトール比率が増加する。結腸では細菌によって分解されるため結腸の透過性尺度としては有用ではない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7729650

輸血を受けている患者には不適切

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21160852/

小腸の透過性を調べるのに有用

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4253991/

ゾヌリン抗体血液検査

ゾヌリンはタイトジャンクションを開く因子であり、ゾヌリンの増加は腸管透過性の高さを示唆する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21248165

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3458511/

ゾヌリンの血中濃度は多発性硬化症で上昇しており、血液脳関門の透過性を増加と関連していることが示される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30449598

腸疾患評価尺度

IBDQ 疾患特異的尺度

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2644154/

GSRS 消化器症状評価尺度

過敏性腸症候群および消化性潰瘍疾患患者の胃腸症状の臨床評価尺度 15項目

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3123181/

WGTT 便形態尺度

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9299672/

機能性消化不良評価尺度

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16098003/

SGA 過敏性腸症候群の薬効評価

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12767407/

 

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