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神経変性疾患の治療標的HSP90 16のHSP90阻害剤

ヒートショックプロテイン HSP90

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ヒートショックプロテイン(分子シャペロン)

シャペロン介在性オートファジー(CMA)と神経変性疾患

HSP70の抗アルツハイマー病作用 30の活性方法

神経変性疾患の治療標的HSP90 16のHSP90阻害剤

ミトコンドリア熱ショックタンパク質 HSP60

低分子量HSP(スモールヒートショックプロテイン)

概要

熱ショックタンパク質(HSP)は、タンパク質のミスフォールディングと凝集の防止に重要な役割を果たすタンパク質。

Hsp90は、熱ショック応答のマスターレギュレーターである転写因子熱ショック因子1(HSF-1)の活性を調節する役割をもつ。

Hsp90は、Hsp60およびHsp70と同様に、アルツハイマー病の病因に潜在的に関与している分子シャペロンと見なされている。

Hsp90を阻害する薬剤は、HSF-1の活性化、Hsp70などの誘導により、アルツハイマー病での異常タンパク質凝集を減少させ保護する可能性があることから、治療研究が行われている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25374890

HSP90アイソフォーム

ヒトHsp90では少なくとも5種類のアイソフォームがあることがわかっている。

・サイトゾル HSP90A

・小胞体 HSP90alpha、HSP90beta、HSP90B(またはGrp94)

・ミトコンドリア TRAP

Hsp90は、他の分子シャペロンと同様に、ほとんどの細胞区画(サイトゾル、小胞体、ミトコンドリア、葉緑体)に存在する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25374890

アルツハイマー病患者の低いHsp90

MCI、若年性アルツハイマー病、老年性アルツハイマー病患者では、健常者と比較して有意に血清Hsp90が低い。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23948885/

筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の高い血清Hsp90、Hsp70

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27112486

Hsp90阻害の神経変性保護経路

アルツハイマー病治療におけるHsp90阻害作用には、さまざまなメカニズムが存在する。

Hsp90シャペロンネットワークは、多くのタンパク質神経変性疾患を促進すると思われる。

Hsp70発現を増大化させHsp90を阻害する組み合わせ作用が、治療効果を最大化させることを示唆する。(Hsp70は熱ショックによる応答によって大きく増加)

Hsp阻害剤はHSF-1活性および、Hsp70の誘発から生じる間接的保護効果

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4172285/

TLR4経路(アミロイドβ)

これまでの多くの証拠からHsp90がアミロイド凝集を阻害することが実証されている。

Hsp90とHsp70、Hsp40の複合体はアミロイドβ形成を阻害できる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27495389

神経系では、細胞外Hsp90が、Toll様受容体4(TLR4)経路の活性化によりアミロイドβ分解を促進するミクログリア食作用の活性化を決定する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11919167

HSF-1活性(シャペロン活性、クリアランス)

熱ショック応答の転写調節を行うHSF-1の活性化は、Hsp70などのHSPを誘導する。

HSF-1の転写活性により誘導されるHSPには、Hsp27、Hsp40、Hsp70、Hsp90が含まれる。

これらのシャペロン活性により、ストレスに対する細胞の緩衝能力を拡大し、タンパク質の恒常性を回復する可能性がある。

HSF-1は、Hsp90によって厳密に制御されており、ストレスによって解離する。解離したHSF-1は、三量体を形成して核に侵入し熱ショック応答を調節する要素に結合する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22840743/

HSF1

HSF1は長寿因子として特定されている因子のひとつ。食事制限は、HSF1のメカニズムによって長寿を促進する可能性がある。HSF1を不活性化すると線虫C. elegansの寿命を短かくすることが示されている。

onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1474-9726.2008.00385.x

HSP合成の調節の主な経路には転写因子HSF1が関与するため、この因子の調節不全が各疾患の発症に決定的な役割を果たす可能性があることが示唆されている。

mTORはHSF1を活性することができる。

www.frontiersin.org/articles/10.3389/fnins.2017.00192/full

アミノ酸欠乏は、HSF1活性を制限する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22797943/

CHIP活性(タウタンパク質)

CHIPはHsp70とHsp90のコシャペロンであるタウユビキチンリガーゼ。

HSF1の三量体化は、CHIPによって媒介する。ミスフォールディングされたタンパク質の分解が完了すると、CHIPはHsp70を分解し始める。

Aktは主要な細胞キナーゼであり、CHIPによってユビキチン化や分解を行う。これは主にCHIP/Hsp90複合体に依存する。

Hsp90によって適切な形状に折りたたむことができないタンパク質は、CHIPによってユビキチン化され、プロテアソームで分解される。

Hsp90の(ATPase)阻害によるCHIPの活性化は、タンパク質の過剰リン酸化と凝集を改善する可能性がある。

www.pnas.org/content/114/36/9707

AktとCHIPは相互作用によりタウの分解を調整する。タウとクライアントタンパク質として競合することにより、CHIPによるタウのユビキチン化そしてその後の分解を妨げてしまう。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18292230/

FKBP51の阻害(タウオリゴマー)

若年者と比較して、高齢者では内分泌ストレス応答の重要な調節因子であるFKBP51が海馬、嗅内皮質で3~4倍発現している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25258700

Hsp90はタウ原線維形成を悪化させることが示されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23999428

Hsp90とFKBP51は組み合わさることで、タウタンパク質を毒性の高い可溶性タウオリゴマーに変える可能性がある。FKBP51遺伝子を欠損させたマウスは健康状態を維持する。

FKBP51阻害剤またはHsp90とFKBP51との相互作用を弱めるアルツハイマー病の治療戦略が考えられる。

dislocon.blog.fc2.com/blog-entry-494.html?sp

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25258700

STI1

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5433227/

HSP90阻害作用

Hsp90阻害による異常タンパク質の阻害作用

試験管モデル
  • タウタンパク質(アルツハイマー病、CBD、PSP、FTDP-17)
  • αシヌクレイン(パーキンソン病、レビー小体、多系統萎縮症)
  • LRRK2(パーキンソン病原因分子)
  • SOD1(筋萎縮性側索硬化症)
  • TDP-43(筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭葉変性症)
  • ハンチントン(ハンチントン病)
  • アンドロゲン受容体(球脊髄性筋萎縮症)
動物研究
  • タウタンパク質(アルツハイマー病、CBD、PSP、FTDP-17)
  • αシヌクレイン(パーキンソン病、レビー小体、多系統萎縮症)
  • TDP-43(筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭葉変性症)
  • ハンチントン(ハンチントン病)
  • アンドロゲン受容体(球脊髄性筋萎縮症)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25258700

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25258700

神経細胞の成長の促進

Hsp90阻害剤は、突然変異によって起きるニューロンの軸索成長の遅延を回復させる。パーキンソン病治療薬の潜在的な可能性

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18367605/

エキソソーム

エキソソームは、後期エンドソームと細胞膜の融合後に細胞外空間に放出される。

初期のエンドソームは多胞体(MVB)の一部となり、小胞(管腔内小胞(ILV))のタンパク質組成を徐々に変化させる成熟プロセスを経る。

この成熟過程で、MVBに蓄積された小胞はリソソームと融合し、タンパク質含有量の低下を引き起こす可能性がある。

Hsp90は、細胞外環境で遊離するか、エキソソームと結合することができる。

journals.sagepub.com/doi/full/10.5772/58721

プリオン

Hsp90とSTI1の相互作用はPrP C依存性STI1神経保護を低下させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27208175/

分泌されたHsp90がSTI1とPrP Cとの相互作用を妨害する可能性があることを示唆する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24109600

がん治療

がん細胞では、Hsp90が過剰発現しており、膀胱がん、乳がん、肺がんなどいくつかの腫瘍の悪性形質転換や進行、白血病と関連する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25075042

Hsp90の阻害は、多発性骨髄腫など特定の腫瘍で臨床的な効果を示す治療標的となっている。

Hsp90の阻害は、UPS経路を介してタンパク質の分解を引き起こし、細胞の生存の延長と腫瘍の発達をダウンレギュレーションの両方を同時に誘導するメカニズムにより抗腫瘍効果をもたらすことができる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23896275/

HSP90の活性

有害金属

ニワトリ胚の水銀、カドミウム、亜ヒ酸塩への曝露は、Hsp24とHsp90のレベルの増加を示す。

金属曝露後のHsp発現の増加が、発生毒性に対する生物の保護メカニズムと相関している可能性があることを示唆する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14745979

揮発性有機化合物

ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、塩素化誘導体などの揮発性有機化合物によって培養ヒト細胞で過剰発現する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12183065

ダイオキシン

Hsp90は、アリール炭化水素受容体(AHR)の結合のリガンドとして機能するシャペロン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15900503

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3526753/

HSP90阻害剤

ハーブ・天然化合物

エピガロカテキンガレート(EGCG)

緑茶のポリフェノール抽出物

HSP90、HSP70両方の発現を阻害する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2927993/

EGCGは、Hsp90に直接結合し、Hsp90複合体を安定化させることができる。

パーキンソン病におけるミクログリア媒介性のドーパミン作動性ニューロン損傷を緩和として使用可能。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15794642/

en.wikipedia.org/wiki/Hsp90_inhibitor

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2659174/

ファルカリノール/Panaxynol(田七人参)

伝統的な漢方薬、田七人参に含まれるサポニンの一種、BBBを通過

Hsp70発現は誘導しない。

セラストロール Celastroltripterine

中国の植物Tripterygium wilfordii Hook F(TWHF)中国名・雷公籐/lei gong teng/Demethylzeylasteralから単離されたキノンメチドトリテルペンニシキギ科植物のファミリーに属するキノンメチド。

en.wikipedia.org/wiki/Tripterygium_wilfordii


抗リウマチ薬として使用されてきた。

ATP結合を阻害することなくHsp90 ATPアーゼ活性を阻害する。

セラスロトールはHsp70発現を誘導する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2790967/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29274099

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18202019


セラスロトールはプロテアソーム活性を阻害

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20188206


セラストロールはインビボで、NF-κB活性化を強力に抑制、BACE-1発現を阻害、アミロイドβの阻害作用、慢性的な投与によりアミロイドβ班の負荷を緩和しミクログリア活性化が低下した。

Hsp90阻害はAPPプロセシングBACE1発現には影響しない。

セラスロトールはHsp90ではなくcdc37と直接相互作用し、複合体の形成防止によりNF-κB活性化を阻害 > BACE1発現の調整 > アミロイドβ産生の阻害

jneuroinflammation.biomedcentral.com/articles/10.1186/1742-2094-7-17

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2841120/

10~30mg/日? 栽培雷公籐(セラストロール0.4%)

ベルベリン

ベルベリンはHsp70、90を阻害

journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0054234

sphinxsai.com/2015/ch_vol7_no5/1/(2130-2132)V7N5.pdf


ラディシコール Radicicol

Hsp90の最も強力な天然生成物阻害剤

機序的に発がん作用の可能性、インビボでの発がん活性は示されていない。

タキソール
イチイの樹皮から取れる化合物、
紀元前からアメリカ先住民で消毒薬、皮膚癌の治療薬として利用されてきた。

臨床的に20年以上にわたって使用されている。

現在パクリタキセルという抗がん薬として世界各国で使用されている。

ネフェリン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30866043

デラボン Derrubone

インドの樹木(Derris robusta)から単離されたプレニル化イソフラボン

ポコニン Pochonin

ポコニンAおよびDは、Hsp90を直接阻害することが示されている

ゲドニン gedunin

インドのニームの木から単離されたアザデラクタインディカ

hsp70をわずかに誘導

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23355466

ガンボゲン酸 Gambogic acid

ガルシニア・ハーベリー(Garcinia harburyi)からの抽出液

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21486005

天然物kongensin A

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27028885

薬剤

ゲルダナマイシン Geldanamycin

ベンゾキノンアンサマイシン系の抗生物質

強いHsp90阻害作用 しかし高い肝毒性のため臨床応用には適さない。

40mg/m2

17-N-Allylamino-17-demethoxygeldanamycin(17AAG)

ゲルダナマイシンの半合成誘導体、ゲルダナマイシンよりも毒性が低い。

ノボビオシン Novobiocin(albamycin、cathomycin)

抗癌特性もち長年診療所で用いられている抗生物質

ブドウ球菌などのグラム陽性菌および一部のグラム陰性菌に有効

ハービマイシン Herbimycin

除草剤から見つかったベンゾキノンアンサマイシン系の抗生物質

クメルマイシンA1

ノボビオシンと同じくクマリン系抗生物質

安息香酸

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30989449