毛髪ミネラル検査の信頼性と評価(総論)

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毛髪・爪検査

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概要

毛髪の低い信頼性?

毛髪の分析は元素分析に関しては多くの批判を受けている。これは測定値を一貫した方法で解釈できないことによる。毛髪の成分濃度に影響を与える多くの変数が存在し、正確にはそれらが特定または理解できていない。

毛髪元素分析の解釈には複雑さが伴うにも関わらず、毛髪ミネラル検査は商業的に取り扱われ一般大衆に人気がある。

毛髪ミネラル分析会社はいくつか存在するが、会社によって推奨値が異なるだけでなく、測定値も異なることがある。

このことから一般的に医療従事者は、毛髪ミネラル分析は信頼性が低いとみなしており、そのような分析を用いて栄養状態や環境暴露を評価することを推奨しない。

毛髪分析のメリット

通常、汚染物質や毒素の暴露評価は尿と血液型が用いられる。それらはよく理解されており、通常の分析は一般に信頼できる結果を提供する。

しかし、尿の問題として、通常最大36~72時間の検出ウインドウしかなく、その濃度は個人の水分補給の用量と時間によって大きく違いを示す。毛髪分析はそれらを補完する可能性をもっている。

血液分析は、非必須元素のモニタリングに日常的使用できるが、急性暴露の場合、濃度が急速に低下することがある。また血液採取には侵襲性があり検査費用、元素によっては検査機関そのものを見つけることがむずかしい。

爪はメラニンが含まれていないため解釈はより簡単になる。しかし分析ウインドウの定義が不十分であり、薬物濃度と暴露期間を検出するには理解が不足している。薬物は髪よりも低い濃度で含まれている可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10709775

病気との関係

元素の血中濃度は、うつ病におけるマグネシウム、高血圧症とカドミウムなど相関することが有る。しかしこれらが因果関係となっているかどうかは必ずしも明確ではない。

銅と亜鉛は発がんに重要な役割を果たす。

亜鉛濃度の変動は、アテローム性動脈硬化に影響を与える可能性が細胞の調節作用をもつ。

有害金属のスクリーニング

毛髪分析は個人の毒素暴露のスクリーニング検査として費用効果の高い手段

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9676882/

毛髪中のミネラルと有毒な微量元素の摂取量には相関が見られない。

毛髪中の元素濃度は、食事、空気、水、土壌など様々な要因のために変化しやすい。

男性と女性の間でも、毛髪ミネラルの有意差が観察された。

ミネラルの拮抗作用には有意に生じるため、低レベルの金属曝露であっても、体内のミネラル恒常性バランスによって調節される。

摂取量と毛髪中のミネラルはカドミウムのみが相関を示した。

www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691508002925?via%3Dihub

毛髪ミネラル検査の妥当性

毛髪中の、ヒ素、カドミウム、コバルト、ゲルマニウム、鉛、リチウム、マンガン、水銀、ニッケル、タリウムは、体重、投与量、暴露または毒性と関係を示した。

毛髪中のアルミニウム、バナジウム測定による毒性の証拠を見出すことはできなかった。

クロム、セレン、亜鉛は栄養価の高さと関連性があった。

毛髪ミネラル同士の比率に臨床的な重要性は見いだせなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12117220

日本人の毛髪中のカルシウム、銅、鉄、マグネシウム、リン、セレニウム、亜鉛の濃度は、内蔵に蓄積されている濃度と有意には相関しない。(Yoshinaga et al., 1990)

毛髪分析に影響を与える変数

大気中の汚染

製錬所の労働者の毛髪検査では、毛髪に金、鉛、鋼の蓄積があることが明らかになった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16749716

毛髪の自然ダメージ

枝毛、長い髪など、自然劣化した髪では、脂質の損失、ケラチンタンパク質が徐々に失われていく。これらが元素濃度に影響を与えることが予想できる。

UVダメージ

紫外線はメラニンを劣化させ、赤外線波長はトリプトファンを劣化させることで髪の色も変化する。このような変化は元素組性を大幅に変化させることが羊毛繊維で示されており、元素濃度の変動要因となる可能性がある。

europepmc.org/abstract/med/20709563

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17627835

ヘアトリートメント・染料

シャンプーには、フケ防止のセレンや亜鉛を含んでいることがある。毛髪染料は銅やカルシウムなど多くの化学的変化をもたらす。

citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.862.3050&rep=rep1&type=pdf

漂白

毛髪の漂白は、元素組性に劇的な影響を与え、汚染物質の蓄積が促進するかもしれず、元素濃度の解釈が非常に複雑となる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15713330

カールとストレート

カールまたはストレートの毛髪は、細胞外マトリックスたんぱく質の発現と、接着性接合部の破壊に影響を与えることで髪の毛の形態に違いをもたらす。この細胞表現の違いは、金属を結合する能力にも違いがある可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20944648

年齢とBMI

亜鉛は加齢とともに毛髪亜鉛レベルは有意に低下する。

毛髪ナトリウム、カリウム、クロムの濃度はBMIと有意に正の相関を示す。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2808721/

年齢

年齢によるホルモンの変化はたんぱく質の変化にも影響をおよぼす、これらの変化は、血中濃度、そして毛髪濃度に影響を与える可能性がある。

加齢に伴う酸化ストレスはメラニン生成に影響を及ぼす。髪の毛の多くのメラニンは金属、メタロノイド、有機汚染物質、薬物と結合していることが報告されている。

カルシウム、マグネシウム、鉄は年齢によって減少する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19002389

子供の年齢による元素組成の違い

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17646682

性別

女性で高いカルシウムとマグネシウム

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16325536

Zn、Na、Pbは男子で高く、FeとBiは女子で高い。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17646682

Au、Ca、Mg、Srは男性で高く、Cl、Fe、I、Sc、Se、Smは女性の髪の毛よりも低い。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19629406

民族

民族によって髪の形態、色、メラニン含有量が異なり、組成も異なってくる可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8934709

毛髪分析における洗浄方法

洗浄を行わない場合、汚染物質が残留する可能性が高まるが、洗浄の手順を厳しくしすぎると毛髪から成分が除去されてしまい正確に分析ができなくなる可能性もある。

分析会社によって洗浄手順が異なる場合、その結果にも大きなばらつきが生じる可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12117220

www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/10807039.2014.950908?scroll=top&needAccess=true&journalCode=bher20

毛髪ミネラル分析の洗浄方法比較

それぞれの洗浄方法によって、鉄以外のすべての元素は、毛髪の表面及び内部から除去できる。鉄はほとんどの洗浄手順によって除去できなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22639387

各研究所における毛髪ミネラル分析の信頼性

同一人物の毛髪の分析結果は研究所間で有意な差はなかったが、特定のミネラルに対しての分析、解釈についてはラボによって異なった。(血清 銅、亜鉛、鉄)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3582931/

栄養素と毛髪ミネラル

毛髪ミネラルと摂取栄養素の相関

毛髪中のナトリウム

カリウムおよびビタミンC摂取と有意な正の相関を示す。

毛髪中のクロム

コレステロールおよびタンパク質のカロリー摂取率と正の相関を示す。

毛髪中のマンガン

タンパク質カロリー摂取率と正の相関を示す。

毛髪中のモリブデン

脂質、ビタミンA、B2、B6、硫黄、多価不飽和脂肪酸の摂取と負の相関を示す。

毛髪中の硫黄

多価不飽和脂肪酸と有意な正の相関

毛髪中のカドミウム

食物繊維、ナトリウム、ビタミンC摂取と正の相関を示す。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2808721/

毛髪ミネラル

生殖年齢の女性の毛髪中のミネラル濃度と摂取ミネラルの間に関連性は見いだせなかった。他の研究では、毛髪中の銅と銅以外のミネラル摂取に負の相関関係が見られた。

他の研究では、鉄欠乏性貧血患者では、毛髪中の亜鉛と銅の濃度が低いことが示されている。

他の研究では女性の経口避妊薬使用で、毛髪中の銅が減少し、毛髪亜鉛が増加したことが示された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3241917/

健康状態と毛髪ミネラル

メタボ

メタボリックシンドローム患者の毛髪中のカルシウム、マグネシウム、銅の含有量は有意に低く、ナトリウム、カリウム、水銀の含有量は有意に高かった。毛髪組織中のカルシウムおよびマグネシウム濃度が最適であることは、メタボリックシンドロームのリスク低下を反映していると考えられ、一方、毛髪組織中の水銀濃度が高いことは、メタボリックシンドロームのリスク上昇を反映していると考えられる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3250020/

肥満女性

肥満女性の毛髪中のカリウム、水銀、鉛の濃度が増加

カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ヨウ素の濃度は減少

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18039500/

骨密度

血清および毛髪中のマグネシウムは閉経前女性の骨密度(BMD)と関連いしていた。

血清カルシウム/マグネシウムの比率は、骨密度の重要な指標である。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17848724

炎症性腸疾患小児の栄養状態

炎症性腸疾患小児の栄養状態指標としての毛髪ミネラル検査

毛髪中の鉄、セレン、マンガンの濃度は、クローン病、潰瘍性大腸炎、対照群の3グループ間で有意に異なっていた。

しかし、カルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、亜鉛、銅、クロム、ホウ素、コバルト、モリブデン、硫黄は、3つのグループ間での有意差はなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29282618

がん

癌と関連する毛髪ミネラル メタロミクス研究

毛髪中のヨウ素、ヒ素、亜鉛、ナトリウム、臭素レベルは癌と有意に相関する。

毛髪中のセレン、マンガン、バナジウムレベルは発がんリスクと逆相関する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2728251/

健康アセスメントにおける毛髪ミネラル分析

患者の毛髪検査において健常群と比較して有意に異なった毛髪ミネラル。

自閉症患者

ヨウ素、リン濃度 高値

乳癌患者

ヒ素、コバルト 高値

乳がん患者の毛髪ミネラル分析

乳がん患者の毛髪は、正常対照群に比べて、カルシウム、マグネシウム、亜鉛が低く、ヒ素、ナトリウム、カリウムが高かった。また、乳がん患者の毛髪の亜鉛濃度はBMIと有意な負の相関があったが、正常対照者では見られなかった。 乳がん患者の毛髪の鉄濃度は有意に低く、毛髪のカルシウムおよびマンガン濃度と関連していることが示されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3250020/

前立腺癌患者

銅、鉄 高値

肺がん患者

カドミウム 高値

肺がん患者(および喫煙者)では、対照群と比較して、さまざまな段階で毛髪の平均カドミウム濃度が高くなっている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3250020/

高血圧患者(男性・女性)

カドミウム 高値

鉄 低値

高血圧患者(男性)

亜鉛 低値

ニッケル、鉛 高値

心筋梗塞患者

カドミウム、ニッケル、鉛 高値

亜鉛 低値

腎疾患患者

クロム、鉄、マグネシウム 高値

真性糖尿病患者

銅 高値

亜鉛 低値

脳性麻痺患者

マグネシウム 著しい高値

銅 著しい高値

精神遅滞患者

銅 低値

 

上記結果の分析は、多くのケースで個人によって異なっていることも示されている。

特定のミネラルが対照群よりも患者の毛髪においてより高いと記載される論文がある一方で他の論文では、より低いまたは対照群と変わらないといったケースも存在した。

その差は、例えば検査された被験者の数、年齢、性別、地理的位置、試料の採取方法および分析技術など、多くの理由から生じている可能性がある。

www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0009898113000405?

小学生の慢性ストレス

毛髪コルチゾン濃度は、毛髪中のカルシウム、マグネシウム、亜鉛濃度、およびカルシウム / リン比率と逆相関した。

生命にリスクのある小児(CLES)では、カルシウム / マグネシウム比率の上昇を示した。これらの知見は、交絡因子の調整後も持続していた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23546894

慢性腎不全患者の毛髪ミネラル分析

毛髪ミネラル分析は慢性腎不全患者のミネラル分布をよく反映する。

特に、カルシウム、マグネシウム、鉄、クロムの異常を診断するために用いることができる。しかし元素の濃度には強い変動が見られた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18705539

自閉症患者における関連性

鉛濃度高値

音声コミュニケーションの障害や一般的な印象に関連

水銀濃度高値

物体の使用、聴覚障害と関連

クロム濃度高値

味覚、嗅覚反応、音声コミュニケーション、および一般的な印象の障害に関連

ウラン濃度高値

音声コミュニケーション障害に関連

亜鉛濃度低値

音声コミュニケーションによる恐怖、緊張、神経症と関連

リチウム低値

人の感情や変化への適応、視覚的反応、その他多くの

モリブデン低値

一般的な印象、音声コミュニケーションの障害と関連

セレン低値

変化に対する適応への障害と関連

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3484795/

自閉症児の毛髪サンプルでは、銅、鉛、水銀、ウランが有意に高く、マグネシウム、亜鉛、セレンが有意に低い(自閉症の重症度/機能の程度と相関あり)。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3250020/

てんかん患者

てんかん患者は、コントロールと比較して、Cuと鉄のレベルが有意に低く、Cu/Fe比が高い(女性はMgが低い)ことが示されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3250020/

 

慢性消化器疾患

毛髪の亜鉛、セレン、銅の欠乏が指摘されている。非経口栄養は毛髪の亜鉛濃度を著しく低下させる(フッ化物の毒性を高める可能性もある)。毛髪のセレン濃度は、脱毛、脆い毛髪、および毛髪色素の喪失と相関しており、セレンの補給は脱毛症を改善することが示されている。亜鉛は円形脱毛症、特に広範囲で長期化し、治療に抵抗がある場合に特徴的に低下する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3250020/

 

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