グルテン・セリアック病・認知症 関連研究のまとめ

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腸内微生物叢 小麦(グルテン)・乳製品

グルテン関連障害の症状・検査・診断・治療

記事のコンテンツ

概要

グルテンとは

グルテンとは小麦に含まれるタンパク質の一種。グルテンは何百もの複雑な混合物であり、主にグリアジンとグルテニンの混合で構成されている。ライ麦のセカリン、大麦のホルデイン、オート麦のアヴェンジン、などもすべて総称としてグルテンと呼ばれる。

ライ小麦、麦芽、カムートにもグルテンは含まれ、セリアック病を引き起こし、免疫を刺激することができる成分として同定されている。グルテンタンパク質はイオウの含有量によって異なるサブグループに分類され、さらにタンパク質の一次構造に従って、α、β、γ、ωグリアジンに分類される。

 

グルテンはパンなどの生地の状態や品質に不可欠な要素。グルテンは熱に対して安定しており、結合剤、増量剤、テクスチャー、保湿、風味を改善するために加工食品の添加剤として一般的に用いられる。

そのためグルテンはパンだけではなく、加工肉、魚介の加工物、ベジタリアンの肉代用物、アイスクリーム、バター、調味料、マリネやドレッシングの増粘剤、乳化剤、ゲル化剤、投薬、お菓子に使用される充填剤およびコーティング剤、としても用いられることがある。

西洋食での平均的なグルテン摂取量は5~20g/日

グルテンの毒性成分

グリアジン

グリアジンは胃腸管でのタンパク質分解酵素による消化に対して強い耐性をもつ。これはアミノ酸プロリン、グルタミンのペプチド配列がプロテアーゼによって切断できないためである。プロリンが豊富な残基が、セリアック病の有害な免疫応答を媒介することができる。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28244676

グルテンのオピオイド誘発作用(中毒作用)

グルテンはグルテンエキソルフィンとよばれるモルヒネ様物質に分解することがありオピオイド作用をもつことが実証されている。このオピオイド作用がグルテンタンパク質が消化管の内層や機能に与える有害作用を覆い隠す可能性がある。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26825414/

現代の小麦と古代の小麦は毒性が異なる

「kamut grain」の画像検索結果

古代の小麦カムート、ホラーサーン小麦の健康効果、低炎症性

ただしNCGSにとって有毒性をもつグリアジンは多く含む。

http://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/09637486.2016.1247434

https://www.gastrojournal.org/article/S0016-5085(05)01119-4/abstract


ヒトツブコムギ などの古代の二倍体小麦種は現代の小麦と比べてセリアック病患者にとって毒性が低い。つまり品種改良された現代の小麦は少なくともセリアック病患者にとっては毒性が高い

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26016626/

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27993525/

大麦の安全性

オートムギ(オーツ麦)は安全なのか?

「oat」の画像検索結果

多くのセリアック病患者ではオート麦摂取後のアベニンに特異性のあるT細胞反応の割合が低い。しかし一部のセリアック病患者では敏感な障害の反応を示す。

そのため、グルテンフリーにオート麦を加えるべきかどうかについては論争中となっている。

セリアック病患者のオーツ麦の長期摂取は安全 大規模な横断的研究

長年のグルテンフリーダイエットの一環としてオーツ麦を消費するセリアック病患者は、症状やセリアック血清学的には差がなく、オーツ麦を消費していないものと同じような、あるいはやや良好な生活の質を持っていたことを実証した。

さらに、グルテンフリーダイエット1年後のコントロール生検で小腸粘膜損傷のグループ間の違いはなかった。これらの知見は、セリアック病患者におけるオート麦の摂取による害はないという過去の短期研究[7,9,10]と一致しており、オート麦の長期的な安全性をさらに強く支持するものである。

 

しかし、私たちの以前の無作為化試験では、オート麦を摂取した人の方がオート麦を摂取していない人よりも下痢をしたと報告している[11]。また、ノルウェーで行われた12週間の研究では、オート麦を始めたときに腹部不快感や膨満感を経験したセリアック患者もいた[12]。しかし、食物繊維の量が急激に変化すると、セリアックでない人でも胃腸症状を引き起こす可能性があるため[32]、食物繊維が豊富なオーツ麦への反応は、真の免疫学的活性化ではなく、非特異的な適応の問題に過ぎないかもしれない。

実際、前述の2つの研究[11,12]でも、初期症状を呈したほとんどの患者は、後にGFDの一部としてオート麦を許容した。このように、オーツ麦は少数のセリアック患者に症状を引き起こすかもしれないが、通常は軽度であり、毎日の消費量を徐々に増やすことで回避可能である。

 

それにもかかわらず、上記のノルウェーでの研究[12]では、精製オーツ麦を使用している間に村の萎縮を発症した患者がおり、セリアック病の実験モデルでは、特定のオーツ麦の品種が免疫学的反応を誘発しています[27]。また、オート麦を用いたGFDを受けている患者の一部では、上皮機能やアベニン特異的T細胞刺激の変化が報告されている[39,41]。これらの問題はさらに解明される必要があるが、オーツ麦に対する真の不耐症は臨床現場では非常に稀であると思われる。長期的にはオーツ麦の安全性は、悪性腫瘍、骨粗鬆症、骨折の発生率が我々の研究グループ間で同等であることによってさらにサポートされています。また、フィンランドではオーツ麦が広く消費されているにもかかわらず(ここでは82%)、治療成績は非常に良好であり、難治性のセリアック病は例外的に稀であることも強調しておきたい[42]。

結論として、我々はグルテンフリーダイエットの一部としてオート麦を摂取することは、セリアック病患者の大多数において長期的にも安全であることを示す強い証拠を提供した。オーツ麦の定期的な消費に関連する様々な健康上の利点を考慮すると、我々は医師が低い閾値でオーツ麦を推奨することをお勧めする。これは、オート麦を含むグルテンフリーダイエット製品[44]の純度と高品質を確保することが重要であり、いつものようにセリアック病患者では、食事療法への適切な応答のための慎重なモニタリングが必須である。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28617328

麦茶は安全なのか

小麦に比べると含有量は少ないが大麦にはグルテンが含まれる。またグルテンと類似する構造をもつタンパク質(ホルデイン)を大麦は含んでおり、それがグルテン不耐症患者でも、影響を与える可能性がある。試験対象の麦茶ではグルテン陽性反応はなし。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26038920

グルテンへの感受性が高くなければおそらく気にしなくて良い。厳格なグルテンフリーダイエットにおいては避けておいたほうが無難かもしれない。

グルテン不耐症・セリアック病 定義

グルテン界隈のややこしい疾患名称

  • 「グルテン不耐症」 グルテン摂取により消化器症状を引き起こす疾患。セリアック・小麦アレルギー・NCGSなどを含む総称として使われることもあるがそうでない場合もあり、定義が曖昧であるため研究者の間ではあまり使われない。
  • 「セリアック病」 腸粘膜異常と遺伝的要因
    • 「無症候性セリアック病」 腸粘膜異常はあるが症状(自覚症状)がない。
    • 「潜在的セリアック病」 tTG抗体陽性だが腸粘膜異常はない。無症候性とは限らない。
    • 「難治性セリアック病」 グルテンフリー食を12ヶ月以上行っても症状が続く
  • 「非セリアック・グルテン過敏症(NCGS)」 グルテンフリー食により症状が改善するが、セリアック病と小麦アレルギーの定義に入らない。
  • 「フルクタン過敏症」小麦に含まれるフルクタンに反応(NCGSの可能性あり)
  • 「過敏性腸症候群(IBS)」 腹痛、腹部不快感が排便や排便習慣の変化に伴って発症する。
  • 「小麦アレルギー」 免疫系の過剰反応(小麦タンパクのIge抗体陽性)
  • 「穀物不耐症」 グルテンを含めた/または含まない穀物全般へのアレルギー
  • 「小腸内細菌増殖症(SIBO)」 小腸の中で腸内細菌が爆発的に増加する疾患。IBS、セリアック病、フルクタン過敏症との関連が疑われている。
SIBO・硫化水素SIBO・SIFOを改善する28の方法
SIBO(小腸内細菌増殖症)情報/腸内の健康 概要 SIBOとは SIBO(シーボ)とは、Small Intestinal Bacterial Overgrowthの頭文字をとったもので、日本語で小腸内細菌増殖症と呼ぶ。本来は大腸に存在する腸内細菌が過剰に小腸で繁殖してしまうことで生じる病気と定義される。 悪玉菌か善玉菌か...

症候性セリアック病 / Symptomatic CD

セリアック病の診断はtTG抗体で陽性、特定のビタミン欠乏の検査、生検によって行われる。症状の見られないセリアック病患者の存在が浮上してきたことから、その区別として症候性セリアック病という言葉も生まれてきた。

潜在的セリアック病 / Potential CD

潜在的セリアック病と無症候性セリアック病は異なる

潜在的セリアック病は、腸管の組織検査では正常だが、tTG抗体(組織トランスグルタミナーゼ抗体)または/および筋内膜の陽性によって特徴づけられる。

無症候性セリアック病を含むその他のすべてのタイプのセリアック病は、腸粘膜異常を特徴とする。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22345659/

潜在的セリアック病での食事療法は症状のある患者に必要とされる。

無症候性セリアック病患者 / Asymptomatic CD

悪性腫瘍リスクの増加は無症候性セリアック病で示されている。

無症候性セリアック病患者への無作為化グルテンダイエット食試験

グルテンフリーダイエットグループでは一年後、腸管組織は改善し、セリアック病関連抗体のレベルは減少、胃腸症状は患者に比べて大幅に改善した。グルテンを含む食事グループでは、社会的機能スコアがグルテン食グループよりも改善した。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24837306/

グルテンのオピオイド効果

グルテン由来のグリアジン、乳製品由来のカゼインはDPP4の阻害、サブスタンPの増加によりオピオイド効果をもたらす可能性がある。

このオピオイド活性が無症候性セリアック病患者が症状を表わさない理由を説明するかもしれない。

図1

https://jhpn.biomedcentral.com/articles/10.1186/s41043-015-0032-y

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5025969/

日本国内のセリアック病患者

日本人の非臨床集団でのセリアック病(CD)保有者は0.05%と少ない?

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28389733

日本の隠れセリアック病

セリアック病の発症に寄与する2つの主要なハプロタイプHLA-DQ2とDQ8、西欧諸国では30~40%。日本人集団では少ないと言われるが10~20%は存在する。

日本ではセリアック病のための臨床診断検査は行われておらず、急増するIBDなどと誤診されている可能性がある。IBD患者のtTG抗体の有病率は一般健常者よりも有意に高い。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4019828/

難治性セリアック病 refractory celiac disease (RCD)

12ヶ月のグルテンフリーダイエットを行っても症状が改善されず絨毛萎縮が持続する患者

根本原因は不明 診断が不正確であった可能性もある。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22345659/

グルテン関連障害の分類

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28244676

非セリアック病グルテン過敏症(NCGS)

NCGSバイオマーカーの欠如

NCGSの有病率は0.6~6%と10倍の差がある。一般集団におけるNCGS有病率の推定値は1%。これは症状のみに基づく高い推定値であると思われる。

有病率のバラ付きはバイオマーカーの欠如によるものと思われる。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23155333/

未診断のセリアック病患者は米国で急増しており、4倍の死亡リスク増加と関連する。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19362553/

IBSに潜む非セリアックグルテン感受性(NCGS)

セリアック グルテン感受性(NCGS)と小麦感受性過敏性腸症候群(IBS)の重複領域
図1

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29160841

NCGS診断の難しさ

バイオマーカーの欠如

非セリアック グルテン感受性患者は米国市民の6%。信頼の高い臨床検査は存在するが、信頼性のあるバイオマーカーはなく、NCGSの影響を有する個人を診断することは複雑である。

図1

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29142467

グルテン感受性の高い自己報告有病率

グルテン感受性の自己報告による有病率は13%(女性79%、平均年齢39.5歳)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24216570

グルテン関連障害の発症要因・機序仮説

脳関門の透過性増加

グルテンペプチドがゾヌリンを増加させ、腸と脳関門の透過性に関与する可能性。

https://academic.oup.com/schizophreniabulletin/article/39/4/867/1917452

フルクタンが原因?

グルテン感受性(NCGS)の発症原因はグルテンではなく、小麦に含まれるフルクタン。

低FODMAPs食(発酵性オリゴ糖、二糖類、単糖類およびポリオール)の有効性

NCGS患者へのグルテンフリーダイエットは、穀物繊維や全粒穀物の消費量を減らす可能性があるため、セリアック病ではない場合推奨されるべきではない。

http://www.gastrojournal.org/article/S0016-5085(18)30025-8/fulltext?referrer=https%3A%2F%2Fwww.ncbi.nlm.nih.gov%2F

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29102613


フルクタンはフルクトースが重合した多糖類で、グリコシド結合を加水分解する酵素がないため、腸管に侵入し腸内細菌によって過剰発酵したり水を引き込んで鼓腸や下痢を起こす可能性がある。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3934501/


フルクタンを持続的な摂取は、腸内で炎症を起こす可能性がある。

フルクタンを分解する細菌の多くが、フルクタンを生産しもする。

そのため、フルクタンの閾値を超えた量の摂取がフルクタンのさらなる増殖を誘発し、毒性フルクタナーゼ産生細菌の応答により腸内の炎症を誘発する可能性がある。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3576823/

イヌリンはフルクタンの一種

水溶性食物繊維として知られるイヌリンはフラクタンの一種。


腸内細菌によって腸管内で分解された短鎖炭水化物がアミロイドβ凝集物の形成を強力に阻害する。(in vitro)

http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/14737175.2018.1400909

NCGSは短鎖炭水化物の摂食が原因かと考えられていたが、短鎖炭水化物である高FODMAP食がアルツハイマー病対策になる?

投薬はセリアック病を模倣することがある

セリアック病を模倣する疾患に対しては多くの標的療法があり、患者に不必要なグルテンフリーダイエットを生涯要求するのではなく、正しい診断と治療を提供する必要がある。

セリアック病を模倣する疾患、投薬
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)
  • 炎症性疾患(IBD)
  • オルメサルタン
  • イピリムマブ
  • コラーゲンの沈着
  • 複合型免疫不全CVID
  • 小腸細菌の過剰増殖
  • トロピカルスプルー(TS)
  • 自己免疫性腸疾患
  • ホイップル病

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28817113

「nsaid」の画像検索結果

穀物不耐症とセリアック病

穀物不耐症はセリアック病に特異的に生じる特徴ではない。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11063153

グルテンによる神経伝達物質の撹乱

グルタミン酸脱炭酸酵素(グルタミン酸デカルボキシラーゼ)GADは、グルタミン酸をGABAに変換する。

GAD抗体はGAD酵素を減少させる。> GABA↓、グルタミン酸塩↑、概日リズムの崩れ

※ビタミンD(活性型)はGAD67を増加させる。

GADは視床下部の質室周囲核(PVN)にあり、低レベルのGADはCRHの増加によりうつ病と関連。CRHプロモータ(CRE)がメチル化されないことがCRH増加のメカニズム

ADHD症状はセリアック病で過剰発現する。グルテンフリー食で74%が改善

批判

グルテン関連障害に関する疑念

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28462603

ガイドラインと一致するサイトは3%

セリアック病(CD)、グルテン感受性(GS)、小麦アレルギー(WA)関連の115ウェブサイトのうち、3つのウェブサイトだけが欧州小児胃腸症学会、肝臓栄養学会(ESPGHAN)、世界消化器学会(WGO)のガイドラインと一致していた。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28927776

セリアック病と関連する疾患

1型糖尿病患者のセリアック病

1型糖尿病患者のセリアック病有病率は大幅に上昇している。1型糖尿病とセリアック病両方を有する患者の3分の2は、診断時セリアック病に対して無症状である。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27574884

メタアナリシス 20人中一人以上が生検でセリアック病と診断される。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25270960/

高齢者で多いセリアック病合併症

セリアック病の合併症リスクは、60歳以上の患者では18~40歳の患者よりも18倍高い。無症候性患者の合併症リスクは事実上存在しない。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29277481

関節リウマチ
橋本甲状腺炎

オランダでの橋本甲状腺炎患者104人中16人が血清学的検査によりセリアック病陽性であり、絨毛萎縮症の5人がセリアック病と診断された。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17461476/

自己免疫疾患

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16028438/

非ホジキンリンパ腫

セリアック病は非ホジキンリンパ腫、特にT細胞型のリスクと関連。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11903028/

セリアック病患者の認知機能低下リスク

セリアック病患者の脳異常

セリアック病患者の脳萎縮
セリアック病患者の皮質灰白質、尾状核の容積は対照群と比べ減少を示しており、疾患の期間と容積には負の相関が見られた。また有意に高い白質高信号(WMH)がセリアック病患者の特に両側等前頭皮質、後部頭頂皮質で見られた。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23615718

セリアック病患者の小脳異常

セリアック病を有する患者では、対照群より有意に小脳体積が少なく低い灰白質密度が見出された。これらの高い患者グループでは頭痛、バランス障害、感覚喪失などの神経学的な症状に苦しんでいた。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22906616

血管性認知症リスクの増加

セリアック病を有する患者の認知症リスクは高くないが、サブグループ分析では血管性認知症のリスクが高い可能性が示唆されている。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26444775

グルテンフリー食による認知障害・ブレインフォグの改善

パイロット研究

セリアック病患者によって報告される軽度の形態の認知障害は、「ブレインフォグ(脳の霧)」と呼ばれている。多くの患者ではグルテンフリーダイエットを実行すると、ブレインフォグが消失すると報告する。

60歳以上でセリアック病と診断された患者7人の患者のうち2人がアルツハイマー病に起因する認知低下を示したが、グルテンフリーダイエット開始後に改善を示した。3人の患者ではグルテンフリーダイエット開始後、末梢神経障害が完全に解消した。

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/apt.12809/full

認知障害に寄与するメカニズム

認知障害へのメカニズム

セリアック病(CD)および非セリアック グルテン感受性(NCGS)は、神経学的合併症、運動失調および末梢神経障害だけでなく、認知障害へも関与する。

この認知障害への関与の期間そして予後は一定しておらず、一時的かつ可逆的な関与から、認知症の発症まで変化を示す。
グルテン関連病変が認知機能におよぼす有害な影響を説明するためのメカニズム
  • 栄養欠乏
  • 全身性炎症
  • 脳のセロトニンレベル低下によるサイトカインレベルの低下

アルツハイマー病、血管性認知症、前頭側頭型認知症などがセリアック病と関連して報告されている。記憶障害、計算不能症、不注意、視空間的欠損および執行機能障害は、神経心理学的診断基準によって体系的に探求されなければならない。

認知障害に関する限り、セリアック病またはNCGSを有する患者への病理学的な放射線学的検査は存在しない。効果は議論の余地があるものの、グルテンフリー食は潜在的な保護効果があるため、可能な限り早期に実行すること。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29247390


セリアック病におけるグルテン誘導認知障害

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jgh.13706/abstract

セリアック病による認知障害 3つの仮説

仮説1 微量栄養欠乏

セリアック病では微量栄養素の欠乏が起こるため、鉄、ビタミンD、葉酸などの栄養欠乏が認知障害と関連している。しかし、研究では鉄分濃度は関連していない。

仮説2 炎症性サイトカインの上昇

全身性炎症に関連するサイトカインレベルの上昇

仮説3 トリプトファン濃度の低下

動物研究では食事中のグルテンが、脳のトリプトファン濃度を低下させる可能性があることが示されている。

グルテン摂取>トリプトファン濃度の低下>セロトニンレベルの低下>認知機能の低下

検査

認知機能検査 TRAILS A、ROCF、SCIT-RT H が非侵襲的かつ費用効果の高い腸の治療マーカーを提供する可能性を持っている。

※TRAILS AとSCIT-RT Hは処理速度に強く依存する。

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/apt.12809/full

グリアジンペプチドは、脳のレベルで解剖学的変化を引き起こす可能性がある

https://jhpn.biomedcentral.com/articles/10.1186/s41043-015-0032-y

ヒトにおける最近の研究では、神経学的症状はないものの、グルテンの摂取は脳レベルでの解剖学的変化を引き起こす可能性さえあることが示されている。解剖学的MRIは、対照群と比較してセリアック患者の皮質灰白質と尾状核の体積の両側減少を含む、静かな神経学的変化を示している[81]。疾患の持続期間と患部の体積の間に負の相関が見られた。

同様の神経学的変化は、生検で証明されたCD患者で、消化器内科医から神経学的見解を求められた患者のMRIによる脳のレトロスペクティブ検査でも観察されている[82]。患者は、主要な神経学的愁訴(バランス障害、頭痛、感覚喪失)に基づいてサブグループに分けられた。その結果、セリアック病患者は健康な対照群に比べて小脳の容積が著しく減少していることがわかった。

これらの変化は頭痛サブグループで最も高く、患者の年齢の割には予想外の変化であった。頭痛群では、これらの領域の白質の平均消失は、平衡障害のあるサブグループの2倍、感覚障害のあるサブグループの6倍であった。セリアック病を患っている人の白質の喪失の1つの可能性として、グルテン誘発性自己免疫性血管炎の存在が考えられる [83]。

補体タンパク質C1Q

グルテンに対する反応によって引き起こされる白質の喪失を説明するもう一つの最近の仮説は、補体免疫系に関連している。

補体タンパク質C1Qは、抗原に結合した免疫グロブリンの複合体を結合し、除去するのを助けることが知られている[84]。C1Qはさらに、強いシナプスによって産生され、隣接するグリア細胞による可能な貪食のために弱いシナプスをマーキングすることによって、中枢神経系の「罰因子」と考えられている[85]。

シナプス破壊のプロセスは、神経学的発達の間に中枢神経系をリモデリングする目的で、早期には正常であると考えられるべきである[86]。C1Qの発現の増加は、アルツハイマー病[87]、自閉症[88]、統合失調症[89]の患者で観察されている。Severanceら[84]は、C1Qがカゼイン抗原やグルテン抗原と結合した免疫グロブリンに優先的に結合することを示した。

彼らの結果は、C1Qの発現の増加がシナプス破壊を増加させ、統合失調症の発症に関与している可能性を示唆している。また、DPP IVの阻害によりグリアジンペプチドの存在が増加することで、C1Qの発現が促進され、統合失調症の発症に関与している可能性が示唆された。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22801085

C1qは神経突起伸長を増強し、in vitroで神経細胞のストレス、炎症を抑制する遺伝子プログラムの発現を誘発する。アルツハイマー病では補体C1qが、脳の損傷応答として合成されていることが示されている。一方、補体C3aおよびC5aは直接的な神経保護作用を有さず、C1qの神経保護作用を低下させる。

http://www.jneurosci.org/content/31/9/3459

グルテン摂取によるグルコース恒常性の改善

グリアジンペプチドによるDPP IV遮断はグルコースの恒常性を改善する

カゼインは、DPP IVの基質としてグルテンと競合する唯一のタンパク質ではない(天然DPP IV基質の素晴らしい概要は、Gorrelら[52]によって提供されている)。インクレチン、GLP、グルコース依存性インスリン刺激性ポリペプチド(GIP)のような第2位にプロリンを持つ他のN末端ジペプチドは、両方ともグルコース代謝の重要な調節因子であり、腸の機能に不可欠であり、DPP IVの基質としてグルテンと競合している[52-57]。

炭水化物の摂取は、通常はDPP IVによって迅速に分解される両方のインクレチンの分泌を増加させる[58]。最近のレビュー[58]では、天然のDPP IV阻害剤として全粒小麦を用いることで、DPP IVに対するグリアジンの阻害作用がGLPおよびGIPの存在を増加させることが記載されている。

グリアジンによるDPP IV阻害は、GLPとGIPの分解を抑制することで抗糖尿病効果があることから、全粒小麦の摂取による「健康促進」効果を説明できる可能性がある[58](図1)。

対照的なデータは、無作為化、対照、非盲検化試験で発見された[59]。2日間のDPP IV阻害はGLPとGIPレベルを上昇させたが、健康な被験者ではグルコース値、通過時間、胃の空腹感には影響しなかった。後者は、天然のDPP IV阻害剤としてのグルテンの毒性効果を観察すると、理にかなっている。

NCGSを患っている患者がグルテンフリーの食事をとり、グルテンの摂取を再チャレンジしたところ、新たな症状が誘発されるまでに約7日かかった[60]。グルテンおよび合成DPP IV阻害剤の長期使用は、胃の空っぽ化および通過時間に有意な影響を与えることが示されている。経過時間の減速および減速は、DPP IV阻害薬がグルコースの恒常性に影響を及ぼす最も重要なメカニズムと考えられていることは、それにもかかわらずである[56, 61, 62]。

https://jhpn.biomedcentral.com/articles/10.1186/s41043-015-0032-y

診断

NCGS・セリアック病・IBS・小麦アレルギーの診断

組織トランスグルタミナーゼ

セリアック病を診断するための正確な検査方法

tTG IgA検査のおよびEmA IgA検査の感度にすぐれた特異性がある。

DGP IgAおよび免疫グロブリンG試験の感度は、tTG IgAの場合よりもわずかに低い。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26937544

グルテン関連障害による症状
  • 腹痛(68%)
  • 湿疹と発疹(40%)
  • 頭痛(35%)
  • “脳の霧” ブレインフォグ(34%)
  • 疲労(33%)
  • 下痢(33%)
  • うつ病(22%)
  • 貧血(20%)
  • 脚、腕または指のしびれ(20%)
  • 関節痛(11%)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29057833

遺伝子

セリアック病とPTPN22塩基多型

セリアック病と関連する可能性のあるPTPN22変異体はrs1310182のみであった。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28481156

グルテンフリーの食事療法で改善例

血清アルブミン低値、血清コレステロール低値、血清組織トランスグルタミナーゼ免疫グロブリンA(IgA)および内分泌抗体は陽性、HLAタイプはDQ2

食道胃十二指腸内視鏡検査(EGD)は、十二指腸の第2部分への球からモザイク模様の粘膜を示す。

組織病理学的所見は、セリアック病の改変MARSH分類のMARSHタイプ3cと一致。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29094324

グルテンフリーダイエット

グルテンフリーの定義

グルテンフリーの定義のコンセンサスが不足している。ニュージーランドとオーストラリアでは、グルテンフリーの最も感度が高い試験方法によって検出されない値5ppmとされている。

米国FDAでは20ppmまでが検出可能なため、20ppmがグルテンフリーの定義となっている。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28244676

グルテンフリーダイエット

「gluten free diet」の画像検索結果

寛解・無症状には厳格な遵守が必要

セリアック病患者では、グルテンフリーダイエットの厳格な尊守が胃腸症状、腸管外症状の解消にむすびつく。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28514243

グルテンフリー食の厳格な実行は、セリアック病の治療のファーストチョイス。

グルテンフリー食はNCGSも改善するが、長期間のグルテンフリー食は栄養欠乏と関連するため経過観察と指導が必要

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29413009

20ppmで多くはOK

ほとんどの患者は20ppmの閾値以下でグルテンは許容されるが、一部のグループでは更に敏感に反応する可能性がある。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29057833/

若年者では回復が容易

セリアック病診断時の年齢が低いと、グルテンフリー食による腸粘膜の回復が容易、メタアナリシス

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29095937

グルテンフリー食品の課題

グルテンフリー食による栄養欠乏
グルテンフリーダイエット 健康的なダイエットのためのギャップと必要性
Gluten-Free Diet: Gaps and Needs for a Healthier Diet 要旨 グルテンフリーダイエット(GFD)は、現在、セリアック病(CD遺伝的に影響を受けやすい個人のグルテンタンパク質に永久的な不耐症によって引き起こされる慢性的な全身性自己免疫疾患の症状を寛解するための唯一の効果...
グルテンフリー食による金属蓄積リスク

グルテンフリー食には高濃度の金属を含む魚や米などを多く摂取しており、グルテンフリーダイエット参加者の金属蓄積が増加する。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28223206

未加工グルテンフリー食(GCED)による改善

グルテンフリーダイエットで改善を示さない17人の患者は、食事から微量のグルテンを排除するため未加工のグルテンフリー食品を用いたグルテン汚染除去ダイエット(GCED)を3~6ヶ月実行すると82%で無症状を達成することができた。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23448408/

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6267495/

グルテンフリー食は一生続けなければならないのか

セリアック病と子供の頃診断された患者が粘膜および臨床的に改善した後、グルテンを含む通常の食事を再開したところ、約5分の4で絨毛萎縮を示したが症状は現れなかった。(無症候性セリアック病。)

残りの5分の1では十二指腸生検では萎縮を示さなかった。(潜在的セリアック病)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17303598/

症状の改善 ≠ 粘膜の改善

グルテンフリーダイエット開始後2年で35%の改善、5年で66%の腸粘膜改善が見られた。しかし82%で症状の改善は見られた。臨床的な改善は粘膜の信頼できる指標ではない。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20145607/

グルテンフリーダイエットを中止したが、無症状を維持する患者の症例が報告されている。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29620596/

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の改善

グルテンフリー食は、セリアック病の子どもの閉塞性睡眠時無呼吸症候群を改善する可能性がある。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29415685


非セリアック小麦感受性(NCWS)患者は、グルテンフリーダイエットによって有意に症状が緩和されるが、数年経過しても腸または腸以外の症状を訴える。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29306516

その他のグルテン毒性緩和策

小麦の発芽

小麦を発芽させることで、セリアック病に関連するグルテンペプチドを46%減少させることが可能。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29059515

天然のグルテン分解酵素

グルテンが腸に影響をおよぼす前に、グルテン分解酵素(酵素アスペルギルス・ニガープロリルエンドプロテアーゼ(AN-PEP)/クロコウジカビ)を摂取して有害作用を無効化する治療戦略

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26040627/

麹、醤油、味噌、甘酒(手作り)と一緒に食べると、グルテンを分解してくれるかも。

グルテン消化酵素サプリメント

栄養補助食品として市販されているグルテン分解酵素があるが、グルテンの有毒エピトープを消化することが実証されていない。

セリアック病のために現在利用可能な唯一の有効な治療オプションは、グルテンフリーダイエットに生涯のアドヒアランスであることに変わりはない。

市販のグルテン分解酵素 セリアック病における潜在的な危険性
Commercially available glutenases: a potential hazard in coeliac disease 要旨 背景 セリアック病(セリアック病)の唯一の治療法はグルテンフリー食(グルテンフリーダイエット)である。しかし、患者の間では、グルテンフリーダイエットに代わる、あるいはグルテン...

グルテン消化酵素の併用は非セリアック型グルテン過敏症の症状を改善した。無作為化単盲検、プラセボ対照クロスオーバー試験

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6143542/

序章

近年、セリアック病ではないが、グルテンフリー食で症状の改善を示す非セリアック性グルテン過敏症(NCGS)患者の人口が増加している。消化酵素を用いた酵素補充療法は、消化器系で難消化性のグルテン関連タンパク質がNCGSの誘因と考えられていることから、NCGSの症状改善と持続性が期待されている。

方法

NCGS患者をスクリーニング人口統計学的面接、医学的評価、抗グルテン抗体検査、グルテンチャレンジ検査により選抜した。これらの被験者を対象に、酵素混合物を用いたグルテンチャレンジまたはプラセボを用いた単盲検クロスオーバー臨床試験を実施した。酵素混合物には、Aspergillus oryzae、Aspergillus melleus、Penicillium citrinum、Carica papaya L.由来のペプチダーゼ、半アルカリ性プロテアーゼ、deuterolysin、システインプロテアーゼがそれぞれ含まれていた。

研究成果

有害事象のないNCGS患者において,酵素混合物の投与は,プラセボ投与と比較して,グルテンチャレンジ前後の症状質問票のスコアの変化を有意に減少させた。特に、グルテンによる不完全な避難感と頭痛のスコアの変化が有意に改善された。被験者のインターロイキン(IL)-8、腫瘍壊死因子(TNF)-α、およびregulated on activation, normal T cell expressed and secreted(RANTES)の血清レベルは、先行研究から予想されるように、グルテンによって有意な変化はなく、酵素混合物はこれらの炎症性マーカーに影響を与えなかった。

結論

このヒト臨床試験では、微生物とパパイヤ由来の酵素混合物がNCGSの症状改善に有効であることを示した。

グルテン分解酵素サプリメント

グルテン消化酵素

※アスペルスニガー由来のグルコアミラーゼ消化酵素含有