葉酸・5-MTHF(認知症・アルツハイマー)

サイトのご利用には利用規約への同意が必要です

3型 (生物毒素・感染症) ビタミン類 ビタミンB

葉酸(ビタミンB9)・ 5-メチルテトラヒドロ葉酸

概要

葉酸は、ビタミンB9とも呼ばれる。

活性型葉酸と言われる5-メチルテトラヒドロ葉酸は、省略して5-MTHFと書かれる。

葉酸の主な役割

メチル化の寄与、核酸、アミノ酸の生合成、アミノ酸の変換、DNA/RNAの複製など

葉酸の効果(認知症)

・ホモシステイン濃度を下げる。(高用量摂取)

・血管機能の改善

葉酸の解毒作用 3型アルツハイマー

・フリーラジカルの消去活性、(一酸化窒素、ヒドロキシラジカル、MDAの抑制)

・砒素中毒の解毒 尿中のヒ素排出が促進

・肝臓の損傷を軽減

・葉酸摂取がグルタチオン、メチオニン濃度を上昇させる。

抗うつ作用

葉酸はセロトニンとドーパミンの合成にも関与しており、うつ病治療としての葉酸摂取には一定の役割がある模様。

フルオキセチンによる精神治療を受けている女性では、5mgの葉酸が1.5mgよりも有効。血中の葉酸濃度が低い女性に、より良い効果があるかもしれない。

活性型葉酸(5-MTHF) を摂取すべき理由

葉酸には、葉酸(folate)、葉酸塩(folic acid)、5-MTHF(L-methylfolate)の3つのタイプがある。

単に葉酸、またはfolateと書かれてあるものは、ドラッグストアなどで売られているもっとも一般的なタイプ。しかし葉酸(folate)を有効に利用するためには体内の中で葉酸、葉酸塩から5-MTHFに変換していく必要がある。

葉酸は一定量(400μg)を超えて摂取すると、5メチルテトラヒドロ葉酸(5-MTHF)を形成し、体内でS-アデノシルメチオニン(SAMe)を間接的に産生するようになる。

葉酸から5-MTHFへの変換が必要な酵素(MTHFR)を生成が低い遺伝的な変異を持つ人が多いため、大量の葉酸摂取はかえって害を及ぼす可能性がある。

大量の葉酸摂取を数千回繰り返しても即時には害は及ぼさないが、他のビタミンB大量摂取と異なり、高用量での摂取を続けるとガンのリスクを上昇させる。(特に高齢者の大腸癌)

5-MTHFの代謝物であるSAMeを摂取するという方法もあるのだが、SAMeが高価なサプリメントであり、また5-MTHFがより多くの経路で作用するため、一般的には5-MTHFが推奨されている。

MTHFR遺伝子に異常があるかどうかは、23andmeなどの遺伝子検査で調べる。

葉酸の検査

血清葉酸の正常値または参照値にはかなりばらつきがある。[R][R][R][R][R]

食事やサプリメントによって変動が激しく、正確に測定したい場合は赤血球葉酸の測定が望ましい。

遺伝子変異(多型)

MTHFR C677T(rs1801133)のホモ変異(TT型)

MTHFR A1298C(rs1801131)

国内での検査

葉酸(MTHFR C677T)代謝遺伝子検査キット

質問1 葉酸レベルの一般基準値とリコード法基準値の違い

こんにちは!いつも参考にさせて頂きまして有難うございます! 葉酸についてお聞きしたいと思います。

目標値は「血清葉酸レベル10-25の範囲」との事ですが、一般的な血液検査での基準値は「3.6から12.9ng/ml」と書いてあります。

「10-25」というのはアルツハイマーの治療に関してと言うことで宜しいのでしょうか?

私は「8.9」でしたので、サプリメント(今は1,000mgで継続中)を増やした方が良いか、考えています。

お時間のあります時に教えて頂けると有り難く思います。どうぞ宜しくお願い致します。

回答

こんにちは!参考いただきありがとうございます!

血清葉酸の正常と考えられる基準値は検査会社や、クリニックによってかなりのばらつきがあります。

25ngは長期的な万人向けの安全上限

以下のサイトでは上限値の12.9というのは過去の基準となっており、検査方法の違いからか 3.89~26.8ng/mL に変更されています。

https://www.okayama-u.ac.jp/user/kensa/kensa/sisitu/fola.htm

葉酸に関しては少なくとも短期的には高レベルでの悪影響は知られていません。主に下限値を気にしたほうがいいのですが、正常な血清葉酸レベルの下限値も研究によって異なり、2~7あたりでばらついています。

一般的な葉酸の下限値の3あたりの数値は、欠乏症状を示すラインでありそれ以上であっても葉酸低値の影響がないという意味ではありません。葉酸はそれ自体においても神経新生の維持に重要な役割果たします。

B12と併用することが重要

脳に脆弱性がある認知症患者さんで、一般下限値ぎりぎりの葉酸レベルが、認知機能へ生化学的なレベルでなんらかのネガティブな影響があったとしても不思議ではありません。

また、葉酸レベルはビタミンB12と代謝経路で強く連動しており、リコード法ではB12も高レベルを目指すため、葉酸レベルも伴って一定レベルの高値の必要性が高まります。

ただ、葉酸投与はB12との併用でホモシステインを低下させることも同じかそれ以上重要な役割をもつため、ホモシステイン値を検査し、最適化(7以下)していくことを目指してまずは葉酸の投与量を調節したほうが良いかと思います。

イメージとしては、ホモシステインが仮にすでに正常値であれば少量の増量投与で葉酸レベルをリコード法の最適値内にすることを目指し、(8.9はそこまで悪い数値ではありませんが)ホモシステインが6~7以上であれば、葉酸レベル25を大きく超えない範囲で葉酸をより多く増量していく(B12も忘れずに)といった感じでしょうか。若干超えるのはそれほど気にしなくて良いと思います。

妊娠予定の女性では欠乏と過剰の両方に注意が必要

認知症とは異なりますが、女性の妊娠時の葉酸レベルは子供の神経管欠損症を予防するために13あたりが推奨されています。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5597708/

高レベルの葉酸リスク

通常、生理学的用量を大きく超える血清葉酸値に関して、安全な上限は知られていない。45ng/ml超える葉酸値が超生理学的な葉酸レベルと見なされている。このような超生理学的レベルの葉酸は米国の23%で見つかっている。

ある研究者は安全な上限として26ng/mlを提案されている[R]

59 nmol / L(23ng/ml)を超える葉酸の血漿中濃度は、高齢者の特定のグループでの有害性と関連している可能性があることを示唆する。[R]

B12欠乏によるリスク

葉酸補給の潜在的なリスクは、ビタミンB12の欠乏が伴うことによる神経障害の悪化。B12の欠乏状態での過剰な葉酸は、拡散合成の代謝阻害を促進する可能性がある。[R]

骨髄の細胞分裂を継続させ、貧血をマスキングする可能性がある。メチル基の枯渇(特に非分裂細胞)[R]

高濃度の葉酸はジヒドロ葉酸への変換により葉酸拮抗薬として作用する可能性がある。[R](ジヒドロ葉酸は、MTHFRの強力な阻害剤)

ビタミンB12が低い正常高齢者の高い葉酸レベル(59nmol/L)は、認知症がリスクを70%増加させた。

喫煙者と非喫煙者

低レベル葉酸塩の喫煙者では、MTHFRのT対立遺伝子の保有はリスクが高い。

葉酸レベルが高い喫煙者ではT対立遺伝子はより高いリスク。

対照的に葉酸レベルが高くCC遺伝子型の喫煙者では、リスクは大幅に増加した[R]

世代を超えた影響

葉酸が豊富な食事誘発性のエピジェネティックな変化は、将来の世代に(数十年後に生まれる孫に)伝達される可能性がある。[R][R][R]

 

質問2 高用量葉酸のがんリスク

「大量の葉酸摂取を、数千回繰り返しても即時には害は及ぼさないが、高用量での摂取を続けるとガンのリスクを上昇させる」とのことですが、「リコード法の目標値の葉酸=10~25(ng/mL)の上限を超えなければ、その人の摂取している葉酸摂取量は、高用量とはいわない」と思ってよいでしょうか?

回答

がんリスク

腫瘍性病巣の形成前に葉酸補給が開始された場合、ガンの発生と進行を抑制する。

腫瘍病巣の形成後に葉酸補給が開始された場合、ガンの成長と進行を促進する。[R]

大腸がん

長期的な葉酸補給は大腸がんの発症率の増加の可能性があるという疫学的データがあります。[R]

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17626997/

大腸がんの病因のひとつに異常なメチル化(遺伝子発現の変化や抑制)が起こっているという潜在的な可能性があります。

過剰なDNAメチル化

葉酸はDNAのメチル化に影響を与えることから、葉酸の過剰または欠乏は、ガンの発症に影響をおよぼす可能性があるメカニズムのひとつとして考えることができます。

epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/312.html

しかし、ランダム化比較試験のメタアナリシスでは、そういった効果は観察されていません。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20085565/

ガンをすでに保有しているかどうかで異なるリスク

大腸がんは20年かけて発症する複雑なガンであり、すでに極めて初期の大腸がんを有している個人に対して葉酸摂取が影響を与えた可能性があります。

また、葉酸が欠乏する場合において適切な葉酸摂取はむしろ大腸がんのリスクを40%低下を示します。

葉酸摂取そのものではなく、血漿の葉酸濃度がリスク要因ではないかという研究データがあります。

以下の研究では、1mg(1000mcg)の葉酸サプリメントを3年間摂取することによち、結腸がんの前駆体である結腸がん腺腫のリスクをむしろ低下させています。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23682073/

過去に大腸がんを発症したことがある、前がん病変、遺伝的な大腸がんリスク、前立腺ガンリスクが高い。場合厳密に問われるなら研究途上であり、わからないという言い方になってしまいます。前立腺がんリスクを低下させる可能性と、上昇させる可能性(わずかではある)の両方のデータがあります。

ods.od.nih.gov/factsheets/Folate-HealthProfessional/

通常の葉酸と活性型葉酸での異なるリスク

ただし、これらのデータはみなアルサプなどで紹介している活性型のメチル葉酸ではない(体内を循環していない)葉酸です。(市販サプリメントの多くがこの一般的なタイプの葉酸)

発がんリスクは、おそらく、この代謝されていない葉酸の蓄積が原因ではないかと研究者の間で考えられています。

葉酸遺伝子(MTHFR677)の変異を有する男性では、このタイプの葉酸摂取によりリスクの増加が観察されています。

journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/2326409816661357

リコード法で設定されている10-25のレンジの理由は明確にはわかりませんが、一般的に安全だと合意されている葉酸の範囲だと思います。

より高用量の葉酸摂取ではこのレンジを大きく越えることはよくありますが、そのことによってガンのリスクが高まるかというといくつかのコホート研究ではそうでもないようです。むしろ低下させる可能性もあります。

テロメア長の短縮

ガンリスクではありませんが、高い血漿葉酸濃度ではテロメア長が短くなるという研究があります。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4218881/

まとめると、

・メチル葉酸塩の摂取
・B12など他のビタミンBと併用
・血清葉酸レベル10-25の範囲。

を守っていれば、高用量かどうかと関係なく摂取リスクはほとんどないか、むしろ多くの疾患リスク低下させるように思います。

葉酸の摂取

リコード法

ホモシステイン濃度 6μmol/l以上の場合 一日 0.8mg~5mg