Every Second Child – January 1, 1981
by Archie Kalokerinos (Author)
Examines the effectiveness of vitamin C in helping to prevent Sudden Infant Death Syndrome, and describes an Australian physician’s efforts to save Aboriginal babies
https://archive.org/details/everysecondchild00arch
書籍『Every Second Child』1981年 Archie Kalokerinos
「健康チームがやってきて、アボリジニの赤ん坊たちを並ばせて予防接種する。検査も病歴の聴取も、栄養不足のチェックもない。ほとんどの赤ん坊は風邪をひいている。そりゃ死ぬわけだ。」 アーチー・カロケリノス医師… pic.twitter.com/60hmU5uceL
— Alzhacker ᨒ zomia (@Alzhacker) April 24, 2025
Archie Kalokerinos was an extraordinary doctor who in 1957 chose to devote himself to helping the Aboriginees in Australia. There he discovered:
•Vitamin C deficiency killed a lot of people.
•It made vaccines much more deadly.
These interviews are profound and I learned a… pic.twitter.com/0P8mhwRAQd— A Midwestern Doctor (@MidwesternDoc) April 23, 2025
本書の要約
『Every Second Child』はオーストラリアの医師アーチー・カロケリノス博士による回顧録である。1957年に彼はニューサウスウェールズ州のコラレンブリという小さな町で診療を始め、アボリジニの乳幼児死亡率の高さに衝撃を受ける。当時、アボリジニの乳児は白人の乳児と比較して約5倍もの死亡率を示していた。
カロケリノス博士は徹底的な観察と臨床実験を通じて、これらの死亡の多くがビタミンC欠乏症（壊血病）によるものだと突き止めた。特に、感染症や予防接種によってビタミンCの必要量が急増する時期に、栄養不足の乳児が急激な欠乏状態に陥り、突然死に至るケースが多いことを発見した。
この発見は医学界から強い反発を受けたが、博士はビタミンC注射による治療を実践し、乳児死亡率を劇的に減少させることに成功した。また、アボリジニが直面する過酷な社会的・文化的状況や、彼らの伝統的な生活様式が白人の入植によって破壊されたことにも触れている。
本書は単なる医学的発見の記録ではなく、アボリジニの子どもたちの命を救うための闘いの記録であり、オーストラリアの人種差別と医療政策の問題点を鋭く批判している。ノーベル賞受賞者のライナス・ポーリングによる序文も寄せられており、カロケリノスの発見の重要性を強調している。著者は最終的に、アボリジニの子どもたちの健康を改善するための具体的な提言をまとめている。
目次
序文（ライナス・ポーリング）
アメリカ版への序文（アーウィン・ストーン）
著者による本版の序文
謝辞
1 白人がやってきたとき（When White Men Came）
2 コラレンブリの墓（The Graves at Collarenebri）
3 アボリジニの生活（Aboriginal Life）
4 最初の観察（First Observations）
5 ビリー（Billy）
6 一人が生き残った（One Survived）
7 クーバー・ペディ（Coober Pedy）
8 困難（Trouble）
9 ある犬について（About a Dog）
10 最初の発見（First Discoveries）
11 歯が生える時（Teething）
12 乳児突然死（Sudden Unexpected Infant Deaths）
13 疾病パターン（Disease Patterns）
14 彼らは耳を貸さなかった（They Refused to Listen）
15 ナンシー・ヤングの裁判（The Trial of Nancy Young）
16 栄養失調（Malnutrition）
17 双子（The Twins）
18 テディ（Teddy）
19 最初の証拠（The First Evidence）
20 予防接種の危険性（Dangers of Immunizations）
21 研究と陰謀（Research and Conspiracy）
22 もう一つの死（Another Death）
23 海外からの支援（Overseas Support）
24 フレッド・ホロウズ（Fred Hollows）
25 耳を貸す者も（Some Listened）
26 いくらかの認知（Some Recognition）
27 なすべきこと（What Must Be Done）
付録 – アーウィン・ストーンからの手紙
参考文献
索引
序文（ライナス・ポーリング）
ノーベル賞受賞者のポーリングは、カロケリノスのアボリジニ乳幼児の高死亡率に対する取り組みを評価している。彼はビタミンCの最適摂取量が一般的に推奨される60mgではなく、1000〜5000mgの間にあるという論を支持し、カロケリノスの発見がアボリジニだけでなく世界中の人々の健康に貢献する重要なものだと述べている。(186字)
アメリカ版への序文（アーウィン・ストーン）
ストーン博士はカロケリノスの発見、特に乳幼児突然死症候群（SIDS）と急性壊血病の関連性に注目している。彼は米国でも同様の発見をしたF.R.クレナー博士の例を挙げ、妊娠中から授乳期間中の母親へのビタミンC大量投与が子供のSIDSを防止できると主張している。また、医学界がこの簡単で効果的な方法を無視することで、米国だけで年間約10,000人の乳児が犠牲になっていると批判している。(213字)
著者による本版の序文
原著出版から7年が経過し、カロケリノスはアボリジニの健康状態の改善と課題について振り返る。彼はF.R.クレナー博士との出会いでビタミンCの臨床応用がさらに進んでいることを知り、自分の研究が隠されていたことに憤りを感じる。また、亜鉛の医療応用に関する彼の研究が正当に評価されなかったことも指摘している。アボリジニ医療サービスの設立など自治に向けた前進や、法的サービスなど社会的進歩も言及している。(199字)
謝辞
カロケリノスは研究に協力した多くの人々への感謝を述べている。特にハロルド・ホッジズ夫妻、コラレンブリの住民と病院スタッフ、政治家のラルフ・ハント、ジェフリー・ケラーマン准教授、シドニー大学のJ.S.ガン教授、ジュリエン・ベヴァリッジ教授、F.ホロウズ准教授、タムワース基地病院のダグラス・ハービソン博士とピーター・ウェイクフォード博士、オーストラリア生物医学科学大学のグレン・デットマンなどの協力者の貢献を強調している。特に兄のジェームズを最初の支援者として感謝している。(196字)
第1章 白人がやってきたとき（When White Men Came）
約200年前、オーストラリアのアボリジニは約30万人、500部族に分かれて独自の文化を維持していた。彼らは土地と自然に深い宗教的意味を持ち、知識と法を持つ社会であった。1770年のクック船長による「発見」以降、ヨーロッパ人の入植により伝染病が持ち込まれ、免疫のなかったアボリジニは大量に死亡した。社会秩序の破壊、土地の収奪、アルコールの導入などにより、彼らの生活と文化は壊滅的な打撃を受けた。また、定住生活への変化は栄養問題をもたらし、多くの乳幼児の命を奪った。(222字)
第2章 コラレンブリの墓（The Graves at Collarenebri）
著者はニューサウスウェールズ州の田舎町コラレンブリで医師として赴任する。彼はヨーロッパ人の赤ん坊3人が突然死亡する衝撃的な経験をする。解剖では肝臓に黄色い斑点が見られたが、正式な病理検査では異常なしと報告された。後にアボリジニの墓地を訪れた著者は、墓の半分以上が幼児のものであることを発見し、アボリジニの乳児死亡率が白人の5倍以上であることを知る。この高い死亡率の原因について調査を始めるが、当初は同僚や医療当局から理解されなかった。(199字)
第3章 アボリジニの生活（Aboriginal Life）
コラレンブリのアボリジニは悲惨な環境下で生活していた。多くは保留地のハンピー（粗末な小屋）に住み、適切な水道や衛生設備がなかった。アルコール問題も深刻で、アボリジニは特にアルコールに弱く、飲酒すると危険で暴力的になることが多かった。しかし供給者である白人が罰せられることはほとんどなかった。女性の間では賭博が蔓延し、子供たちが放置されることも多かった。警察による差別的な取り締まりも行われていた。著者は当初、アボリジニたちを「汚く、怠惰」と見なしていたが、次第に彼らが直面する社会的不正を理解するようになった。(217字)
第4章 最初の観察（First Observations）
著者はコラレンブリでアボリジニの乳幼児疾患パターンを観察し始める。最も一般的だったのは上気道感染症で、多くのアボリジニの赤ん坊は常に鼻水や耳の感染症に苦しんでいた。また栄養失調、胃腸炎、肺炎も頻繁に見られた。初期の医療アプローチには多くの誤りがあった。例えば胃腸炎を単に細菌感染と見なし、抗生物質を乱用する傾向があった。また、上気道感染症と胃腸炎の関連性や、栄養吸収不良の可能性が考慮されていなかった。医学的知識の不足と、アボリジニの母親を「無知」と決めつける偏見により、真の原因究明が遅れていた。(212字)
第5章 ビリー（Billy）
ビリーはコラレンブリで生まれたアボリジニの赤ん坊で、一見正常に成長していたが、母親の食事はビタミンが不足していた。生後1ヶ月で軽い中耳炎を発症し、その後回復したように見えたが、ビタミンCの体内レベルは危険なほど低下していた。医師はペニシリンを処方したがその効果は限定的だった。一時的に入院して回復したように見えたが、退院後に再び衰弱。著者は予防接種も与えたが、これがビタミンCの使用を増加させた。再入院させるも、ビリーの状態は悪化し、5日目に突然ショック状態になって死亡した。解剖では肝臓に同じ変化が見られただけだった。(224字)
第6章 一人が生き残った（One Survived）
ビリーに続いて更に2人のアボリジニの赤ん坊と1人の白人の赤ん坊が同様の症状で死亡する。著者は長期間の入院による栄養改善を試みるがそれも失敗する。経口抗生物質から注射での投与に切り替えたところ改善が見られるようになった。アボリジニのリーダー、ミック・フリックとの会話から伝統的なアボリジニ社会では子供たちがこのように病気になることはなかったと知る。転機となったのは、同様の症状を持つ赤ん坊をシドニーの専門医ダグラス・ハービソンに送った時だった。ハービソンは壊血病と診断し、ビタミンC注射で劇的に回復させた。しかし著者はまだこの診断を疑っていた。(224字)
第7章 クーバー・ペディ（Coober Pedy）
医師としての仕事に疲れた著者は、オーストラリア中央部のオパール採掘地クーバー・ペディに移る。そこで彼はアボリジニたちとより密接に接触するようになる。性病、特に淋病が深刻な問題であったが、著者は未治療の淋病でも必ずしも深刻な合併症や不妊につながらないことを観察した。また、一部の患者が抗生物質に反応しないケースを見て、耐性菌の問題に気づく。現地のアボリジニたちはひどい眼病に苦しんでおり、膿や蛆が目や耳、鼻から出ているのを目にする。また部族の伝統に従って双子が殺される事例も知った。文化的に重要な部族の秘密の儀式用具についての話も聞いた。(213字)
第8章 困難（Trouble）
クーバー・ペディでの生活は様々な困難に満ちていた。著者は5人のアボリジニが砂漠で死亡した事件について知る。彼らは部族の秘密の儀式用具の管理者だったが、水不足で死亡。アボリジニの信仰では彼らの霊は夜に出るため、遺体近くでの宿営は恐怖を伴った。また「ビッグ・チムニー」というアボリジニが部族の秘密の儀式用具を白人に売ろうとして殺された事件も起きる。著者はこれらの儀式用具と「プッシー・キャット・クリーク」と呼ばれる神聖な地域との関連を探ろうとする。同時にオパール採掘に関わる犯罪にも巻き込まれ、命の危険を感じて医療に戻ることを決意する。(226字)
第9章 ある犬について（About a Dog）
クーバー・ペディでの3年間で著者がアボリジニに医療を提供できたのは一度だけだった。ある日、ひどい眼病に苦しむアボリジニの少年を治療しようとしたが、彼の母親と他のアボリジニたちに脅され断念する。しかし偶然、オーストラリア人鉱夫の犬のトプシーが事故で足を骨折し、著者がそれを治療する様子をアボリジニたちが目撃した。翌日、同じ少年が連れてこられ、眼病の治療を受け入れるようになった。著者は犬の治療の成功が、アボリジニたちの信頼を得るきっかけになったと理解する。また少年がギリシャ人鉱夫との混血であることから、混血児が部族から引き離されて施設に入れられる社会問題にも思いを巡らせる。(223字)
第10章 最初の発見（First Discoveries）
コラレンブリに医師として戻った著者は、ダグラス・ハービソン博士が壊血病だと診断した症例について考察する。一見矛盾する事実（十分なビタミンCを含む食事をとっていたにもかかわらず壊血病になった）に疑問を抱きながらも、実験的にビタミンC注射を試みる。メアリーという赤ん坊は典型的な脳の過敏症状を示し、ビタミンC注射後20分以内に劇的に回復した。翌日、彼女の体は典型的な壊血病の症状である打撲痕で覆われていた。この観察から、ビタミンC欠乏症がウイルス感染によって悪化し、脳の生化学的障害を引き起こすという理論を発展させるが、オーストラリアの医学界はこれを拒絶した。(211字)
第11章 歯が生える時（Teething）
著者は乳児壊血病の新しい症状として脳の過敏性（irritability）を認識した。これは軽度（不平を言う赤ん坊）から重度（脳炎のような症状）まで様々で、必ずしも出血が原因ではなく脳内の生化学的障害によるものと考えられた。特に「歯が生える」時期の赤ん坊に見られる過敏性に注目し、ビタミンCの筋肉注射がこれを劇的に改善することを発見した。十分なビタミンCを含む食事を与えられた赤ん坊でもこの症状が現れることから、感染や身体的ストレスによってビタミンCの利用が増加することが示唆された。著者は歯が生える時期の問題に新たな洞察をもたらしたと確信したが、医学界は彼の発見を受け入れなかった。(222字)
第12章 乳児突然死（Sudden Unexpected Infant Deaths）
コラレンブリでの治療法が進化し、抗生物質とビタミンCを組み合わせた注射が標準となると、乳児死亡率が激減した。著者は以前の突然死がビタミンC欠乏症と関連していたのではないかと考える。肝臓の圧痛が重要な指標であり、これが消えるまで赤ん坊は完全に回復していないことを発見した。また、ビタミンC欠乏状態の赤ん坊がショック状態から蘇生するケースを観察し、ビタミンC欠乏症が乳児突然死症候群の主な原因である可能性が高いと確信する。特に感染症に罹患中やその後の回復期、下痢の時期、予防接種後に突然死のリスクが高まることを観察した。(205字)
第13章 疾病パターン（Disease Patterns）
コラレンブリのアボリジニ乳児に最も多く見られた疾患は中耳炎だった。これは上気道感染症が原因で、白人の赤ん坊よりもはるかに頻繁に発生した。著者は鼻水や耳の感染症、気管支炎、肺炎、下痢などが単一の症状として現れるのではなく、互いに関連していることを発見した。これらはすべて粘膜の免疫学的欠陥が原因であり、特にアボリジニの赤ん坊に顕著だった。感染症によって腸管粘膜が損傷すると、食物の吸収障害が起こり、栄養失調につながる。また、寄生虫感染も頻繁に見られた。著者はアボリジニの赤ん坊の健康問題を単なる栄養失調や衛生問題ではなく、免疫学的問題として捉え直す必要性を説いた。(225字)
第14章 彼らは耳を貸さなかった（They Refused to Listen）
1968年末、著者は1年間のビタミンC治療と疾病観察から重要な進展があると確信していた。兄のジェームズの勧めで、Medical Journal of Australiaにアボリジニの高い乳児死亡率が認識されていない壊血病によるものだという手紙を投稿した。この主張に対して医学界は敵対的な反応を示した。特にアリス・スプリングスの医師グループは著者の主張を否定するための調査を行い、ビタミンC欠乏症はまれだと結論づけた。この報告は著者の信頼性を損ない、保健当局は彼の発見を無視した。著者は自分の主張を証明するためにカメラで壊血病の症例を写真に撮り始めたが、それでも同僚たちは無視し続けた。(211字)
第15章 ナンシー・ヤングの裁判（The Trial of Nancy Young）
クイーンズランド州カナマラに住むアボリジニのナンシー・ヤングは、娘のエブリンを虐待して死亡させた過失致死罪で告訴された。エブリンは生後6ヶ月で極度の衰弱状態で入院し、数日後に死亡。体に打撲痕があったことから母親の虐待が疑われた。しかし著者が詳細を調査すると、エブリンは「サンシャインミルク」（ビタミン強化なし）のみで育てられ、明らかな壊血病の症状があった。裁判で著者は証言したが、裁判官からは信用されなかった。ナンシーは有罪となり収監されたが、ABCテレビのドキュメンタリーがこの不当な状況を全国に知らしめた。最終的に小児科専門医フェリックス・アーデン博士の新たな証言により、エブリンの症状は生体の化学的障害によるものだったと認められ、ナンシーは釈放された。(234字)
第16章 栄養失調（Malnutrition）
著者は36歳で心臓発作により死亡したアボリジニ男性トムの解剖を行い、アボリジニの健康問題の根本的な原因について考察する。砂糖、白パン、ジャムなどの西洋式食事がビタミンC不足を引き起こし、血管疾患や成人発症型糖尿病につながることを指摘する。アボリジニの赤ん坊の栄養問題は出生前から始まり、母親の栄養状態が悪いと母乳のビタミン含有量も低下する。生後6週間頃に最初の上気道感染症が起こると、ビタミンCの消費が増加し、欠乏症リスクが高まる。感染症、栄養吸収不良、ビタミン欠乏症が悪循環を生み、病気と死亡のリスクが高まる。著者は免疫機能、ビタミンC、全般的栄養の順に重要だと結論づけた。(228字)
第17章 双子（The Twins）
コラレンブリで健康なアボリジニの双子が生まれるが、退院後の訪問で著者は彼らの様子を確認せず、数日後に双子が餓死寸前の状態で連れてこられる。部族の伝統では双子は「悪」とされ、著者は母親が意図的に双子を死なせようとしていたことを知る。すぐに治療を開始するが、担当看護師は「脳に損傷があるから放っておくべき」と治療を拒否した。著者は独力で静脈注射を行い、双子を救う。コラレンブリでも部族の伝統が生きていることに驚き、また乳幼児をアボリジニとして完全に認める割礼の儀式が拒否されていたことから状況を理解する。裁判所は著者を双子の後見人に指名し、病院で2歳まで育てることになった。(230字)
第18章 テディ（Teddy）
テディは最も良く世話をされていたアボリジニの赤ん坊だったが、著者が講演旅行中に別の医師から予防接種を受け、風邪が肺炎に悪化した。その医師は抗生物質を処方せず、腹部膨満を見て腹膜炎や腸閉塞と誤診し、手術のために別の病院に移送した。その病院で肺炎と診断されたが手遅れだった。著者が戻ると同様の症状を持つジェニーという赤ん坊も見つかり、彼女も亡くなった。著者はこの事件から予防接種が免疫系を弱め、ビタミンCを消費し、感染症を悪化させることを確信した。土の床のある環境から赤ん坊を移すことが感染予防に重要だと認識し、政府の住宅改善プログラムによって状況が改善した。(221字)
第19章 最初の証拠（The First Evidence）
著者の観察がなぜこれほど物議を醸したのかは謎だが、アボリジニの食事（砂糖、パン、ジャム、ソーセージ）を見ればビタミン不足は明らかだった。彼は「科学的」データがないと批判され、複雑なビタミン測定を行うための設備を要求したが拒否された。最終的にオーストラリア生物医学科学大学の専門家グループが彼を救い、グレン・デットマンらがコラレンブリに来てアボリジニの尿中ビタミンC濃度を測定した。結果は衝撃的で、ほとんどのアボリジニの尿にはビタミンCの痕跡すらなかった。風邪のある双子に200mg、もう一方に100mgのビタミンCを注射したところ、風邪がある方は翌日も尿中にビタミンCがなく、利用増加を示していた。これは著者の主張を裏付ける最初の科学的証拠となった。(237字)
第20章 予防接種の危険性（Dangers of Immunizations）
著者は北部準州の乳児死亡率が倍増した理由を考察する。内務大臣ラルフ・ハントの言葉「予防接種キャンペーンを強化した」がきっかけとなり、予防接種と乳児死亡の関連を確信する。健康診断なしに全ての赤ん坊に予防接種を行うことで、ビタミンC欠乏症を急激に悪化させていたのだ。この発見を伝えるためアリス・スプリングスを訪れるが、現地の医師たちは拒否的だった。病院の100人近い乳児を撮影する中で、多くが食べることを拒否し、チューブ栄養を受けていることに気づく。この症状は特定の疾患だと考えたが、原因は不明だった。また、症状のない耳の感染症の高発見率も発見し、予防接種を受けると突然悪化するリスクがあると確信した。(210字)
第21章 研究と陰謀（Research and Conspiracy）
アリス・スプリングスでの成果がなかったため、著者は保健当局に登録郵便で手紙を送り、自分の観察が正しければ無視した者に法的責任があると示唆した。これにより即座に調査が約束される。エバン・ヒプスリー博士が研究を指揮し、ロシェ・プロダクツ社のシルビア・ノビル博士が無料でビタミン分析を提供することになった。コラレンブリとウォルゲットの調査結果は衝撃的で、アボリジニの70%が深刻なビタミンC欠乏症を示し、全員が何らかのビタミン不足だった。白人の29%もビタミンC不足だった。しかし調査団がアリス・スプリングスに到着する3か月前に、当局は赤ん坊たちにビタミン補給を開始しており、正確なデータが得られなかった。著者はこれを「犯罪行為
続けます。
第21章 研究と陰謀（Research and Conspiracy）
アリス・スプリングスでの成果がなかったため、著者は保健当局に登録郵便で手紙を送り、自分の観察が正しければ無視した者に法的責任があると示唆した。これにより即座に調査が約束される。エバン・ヒプスリー博士が研究を指揮し、ロシェ・プロダクツ社のシルビア・ノビル博士が無料でビタミン分析を提供することになった。コラレンブリとウォルゲットの調査結果は衝撃的で、アボリジニの70%が深刻なビタミンC欠乏症を示し、全員が何らかのビタミン不足だった。白人の29%もビタミンC不足だった。しかし調査団がアリス・スプリングスに到着する3か月前に、当局は赤ん坊たちにビタミン補給を開始しており、正確なデータが得られなかった。著者はこれを「犯罪行為」と考えた。(229字)
第22章 もう一つの死（Another Death）
著者は匿名の田舎町で起きたアボリジニ乳児の死亡事件に関わる。その町は人種差別、疾病、アルコール中毒、犯罪などの問題を抱えていた。15歳のアボリジニ少女が出産した赤ん坊は、生後6週間で下痢と嘔吐を発症。母親が医師に連れて行ったが、診察もせずに下痢止めを処方されただけで2時間後に死亡した。著者が解剖を行い、死因は脱水症と胃腸炎、栄養不良と判断した。著者は医師が診察をしなかった理由について考え、地元のアボリジニと話し合った結果、「医師がアボリジニに触れることを恐れていた」という驚くべき事実を知る。その後、専門小児科チームが定期的に訪問する体制が整えられた。(220字)
第23章 海外からの支援（Overseas Support）
1972年8月、著者とグレン・デットマンは世界一周の旅に出発した。ハワイでミツオ・ヨコヤマらのアルファ・アンチトリプシン酵素の研究に触れ、アボリジニの免疫問題にも同様の遺伝的マーカーがあるのではと考えた。メキシコシティでの国際栄養学会議では、ビタミンCと乳幼児突然死症候群の関連を調査する実験が始まっていることを知る。また獣医学者からの情報で亜鉛欠乏症が食欲不振の原因になり得ることを知り、アボリジニの子どもたちの食欲不振の原因を理解する。米国マイルズ研究所では予防接種とビタミンC欠乏の関連を証明する実験結果に触れ、また血中ナトリウム・カリウム濃度を測定する簡易装置の開発進捗も確認した。(227字)
第24章 フレッド・ホロウズ（Fred Hollows）
著者はシドニー大学の眼科医フレッド・ホロウズ教授と連携する。ホロウズは北部準州を訪れた際、トラコーマという眼病でアボリジニが大量に失明していることに衝撃を受け、ボランティアチームを組織して治療を行っていた。彼はラブラドール角膜炎という紫外線過剰曝露による眼病も発見し、また心血管疾患や成人発症型糖尿病による失明の高発生率も指摘した。これらの疾患は砂糖、白パン、小麦粉、ジャムという典型的な食事が原因だった。ホロウズはシドニーのレッドファーンにアボリジニ医療サービスを設立し、著者の観察した疾病パターンと同様の症例を確認した。医師、歯科医、栄養士などの専門家チームを編成し、ニューサウスウェールズ州全域にサービスを提供し始めた。(223字)
第25章 耳を貸す者も（Some Listened）
オーストラリアの多くの医師が著者の研究を無視する中、ニューサウスウェールズ州の小さな町で重要な事件が起きる。ある医師が風邪の症状を持つ2人のアボリジニの赤ん坊を入院させたところ、1人が突然死亡し、もう1人も同様の症状に陥った。あらゆる蘇生処置が失敗する中、ナンシー・ヤング裁判の報道を思い出した誰かがビタミンC注射を提案。注射から20分後、瀕死だった赤ん坊は突然起き上がった。西オーストラリア州の医師からの手紙も届き、彼もまた著者の方法を試して乳児死亡率を劇的に減少させた経験を報告した。シドニー大学の無機化学部門のハンス・フリーマン教授らとの会議では、亜鉛欠乏と肝臓酵素の関係について議論し、アボリジニのアルコール耐性の低さも亜鉛含有酵素の欠如に関連する可能性が示唆された。(228字)
第26章 いくらかの認知（Some Recognition）
1973年3月、オーストラリア耳鼻咽喉科学会クイーンズランド支部がブリスベーンで「オーストラリアのアボリジニにおける耳の疾患」をテーマにシンポジウムを開催した。3年前に著者が助言したジョン・スチュアート博士らの研究結果が発表され、アボリジニの子どもたちにおける中耳炎の深刻さと頻度、それに伴う聴力問題が確認された。ロリー・ウィリスは北部準州で調査し、免疫学的問題が主因と結論づけた。ダグデイル博士も中耳炎の頻度が遺伝的要因によると結論づけた。著者の観察が正しかったことが証明されたが、誰も彼の貢献を言及しなかった。同年、チャーバーグ・アボリジニ・ミッションで天然痘予防接種後に問題が発生し、予防接種の危険性に関する著者の主張も再考されるようになった。(215字)
第27章 なすべきこと（What Must Be Done）
アボリジニの健康問題解決のために必要な対策をまとめている。高い乳児死亡率（1000人あたり500人）の地域では、ビタミン補給、食事改善、予防接種の慎重な管理が必要。特に感染症のある赤ん坊や、繰り返し感染している赤ん坊は予防接種を避けるべき。BCG接種（結核予防）も制限すべき。住環境改善も重要で、土の床は上気道感染症を促進する。比較的死亡率の低い地域（1000人あたり40人）では、筋肉注射による抗生物質投与、下痢時の塩分保持の早期発見なども効果的。成人の場合は心血管疾患や糖尿病予防のため、出生前からの食事改善が最重要。また亜鉛欠乏と食欲不振の関連や、アルコール解毒酵素の遺伝的欠損についても研究が必要。アボリジニの健康問題の解決は世界中の人々にも利益をもたらすと著者は信じている。(229字)
付録 – アーウィン・ストーンからの手紙
グレン・デットマン宛の手紙でストーンは「ビタミンCが少なすぎる危険性」について言及している。彼は1934年からビタミンCを研究し、壊血病は単なる食事障害ではなく、L-グロノラクトン酸化酵素というタンパク質に関する遺伝子欠損による遺伝性肝臓酵素疾患「低アスコルビン血症」だと主張している。この欠陥遺伝子は約6000万年前のPalcocene時代に霊長類の祖先に生じた条件付き致死突然変異だという。人間は肝臓で生成されるはずのビタミンCを毎日数グラム摂取すべきだが、ほとんどの医師はその1%も推奨していない。彼は『The Healing Factor: Vitamin C Against Disease』という本でこれらの概念をまとめた。(215字)
『医学的異端と先住民医療の革命』についての考察 by Claude 3
アーチー・カロケリノス博士の『Every Second Child』は、単なる医学的回顧録を超えた、多層的で複雑な文書である。この著作は医学的発見の記録であると同時に、植民地主義の遺産との格闘、科学的権威主義への挑戦、そして無力な人々のための正義の追求という物語でもある。私はこの文書を様々な角度から分析し、その複雑さを掘り下げていきたい。
歴史的・社会的コンテキスト
まず、カロケリノスの物語は1950年代から70年代のオーストラリアという特定の文脈の中で理解する必要がある。第二次世界大戦後のオーストラリアは、「白豪主義」政策の名残が強く残る社会であった。1967年まで、アボリジニはオーストラリア国勢調査にさえ含まれず、市民としてではなく「フローラとファウナ」の一部として扱われていた事実は象徴的である。
白人入植者たちはアボリジニから土地を奪い、彼らの部族的規律と法の体系を破壊し、アルコールという彼らが耐性を持たない薬物を導入し、性的関係の法を破った。彼らは価値あるものをすべて破壊し、アボリジニたちは方向を失い、誇りを失い、伝説の美しさを失い、すべてを失った。
この歴史的背景は重要である。カロケリノスが直面した医学的問題は、単に生物学的なものではなく、植民地主義の構造的暴力の直接的結果だったからだ。アボリジニの子どもたちは、彼らの伝統的な生活様式と栄養源から切り離され、栄養的に貧弱な西洋食（砂糖、白パン、ジャム、ソーセージ）に依存するようになっていた。
また当時のオーストラリア医学界は、ヨーロッパ、特にイギリスの医学教育に強く影響されており、地元の問題に対する感受性が低かった。カロケリノスが医学部で「アボリジニ」という言葉すら聞かなかったという記述は、このギャップを鮮明に示している。
カロケリノスの医学的発見とその革新性
カロケリノスの中心的発見は、アボリジニの乳幼児の死亡率が驚くほど高い（白人の5倍以上）原因が、従来の壊血病の理解を超えたビタミンC欠乏症であるというものだった。この発見の革新性を理解するには、当時の壊血病に関する医学的理解を検討する必要がある。
1950年代、壊血病は「歴史的な病気」とみなされていた。古典的な壊血病は出血症状（皮下出血、歯茎の出血など）を特徴とし、診断は比較的容易だと考えられていた。推奨されるビタミンC摂取量は1日30〜60mgで、通常の食事でこれは十分に達成できると信じられていた。
カロケリノスの革新的な観察は三つあった：
1. 亜急性または「前臨床的」壊血病は、典型的な出血症状が現れる前に神経学的症状（「過敏性」など）として現れることがある
メアリーは回復し、20分以内に劇的に回復した。彼女の頭は後ろに投げ出されなくなった。彼女の背骨の弓形は通常のリラクゼーションに道を譲った。信じられないほどだった。翌朝、メアリーの体は打撲傷だらけだった – 古典的な小児壊血病の典型的な兆候だ。
2. ビタミンC欠乏症は「突然死」の主要な原因になり得る
乳児が生後6週間頃になると、何かが起こって彼らの栄養を妨げ始める – 上気道感染症だ。感染症は免疫力が低いために起こる。ほとんどの白人の赤ん坊は持っている免疫をアボリジニの赤ん坊は持っていない。
3. 感染症、ストレス、特に予防接種などのイベントは、ビタミンCの利用を急激に増加させ、栄養状態が限界的な乳幼児を突然の重度の欠乏状態に追い込む
ビタミンC欠乏状態の赤ん坊が予防接種を受けると、予防接種剤がビタミンCを使い果たし、急性欠乏症を引き起こす。一部の赤ん坊は数時間以内に死亡する。
特に第三の観察は、当時の医学的思考に挑戦するものだった。ビタミンCは単なる「必要栄養素」ではなく、生理的ストレスに応じて需要が変動する動的な代謝因子だという考えは、当時のビタミン学では一般的ではなかった。
予防接種の複雑な位置づけ
カロケリノスの最も物議を醸した観察の一つは、「予防接種キャンペーンの強化」と北部準州のアボリジニ乳幼児死亡率の倍増の関連性だった。この主張を理解するには、より微妙なニュアンスが必要である。
重要なのは、カロケリノスは予防接種そのものに反対していたわけではないということだ。彼自身も予防接種の恩恵を受けており、ディフテリアで死亡した子どもたちについても言及している。彼の批判は予防接種の実施方法に向けられていた：
健康チームがやってきて、アボリジニの赤ん坊たちを並ばせて予防接種する。検査も病歴の聴取も、栄養不足のチェックもない。ほとんどの赤ん坊は風邪をひいている。そりゃ死ぬわけだ。
これは単なる理論的懸念ではなかった。彼はマイルズ研究所で、ビタミンCを補給した動物と補給していない動物で予防接種後の死亡率が大きく異なるという実験結果を目撃している。しかし、予防接種政策が高度に政治化された領域であるため、彼の警告は「反ワクチン」の立場として誤解されやすかった。
ビタミンCの生理学的役割：新たなパラダイム
カロケリノスの同盟者となったライナス・ポーリングとアーウィン・ストーンは、ビタミンCの理解に関する根本的な再考を主張していた。従来のビタミン概念とは異なり、彼らはビタミンCを進化的に喪失した必須代謝物として位置づけていた。
ストーンによれば：
壊血病は単純な食事障害ではない。むしろ、臨床的壊血病は、私が低アスコルビン血症と名付けた遺伝性肝酵素疾患の前死亡性続発症である。
この視点では、アボリジニの子どもたちが直面していた問題は、単なる「ビタミン不足」ではなく、遺伝的な生化学的脆弱性と環境的ストレスの組み合わせによる複雑な生理学的危機だった。
ポーリングは序文で、ヒトに推奨される一日あたりのビタミンC摂取量（60mg）と実験動物（サル）に推奨される量（2000mg）の矛盾を指摘し、「2つ目の委員会の方が、推奨を裏付ける信頼性の高い実験情報を持っているだろう」と皮肉っている。
医学界の制度的反応
カロケリノスの発見に対する医学界の反応は、科学の社会学に関する貴重なケーススタディを提供している。彼の主張は最初、広く拒絶された。この拒絶には複数の次元があった：
1. 専門的階層性：地方の一般開業医の観察は、学術機関や専門医の知識に比べて重みが低いとみなされた
あまりにも多くの同僚たちが私は「間違っている」と明言し、彼らが私の仮説を受け入れる前に「適切な」証拠が必要だと言った。
2. パラダイム防衛：栄養とビタミンに関する既存の理解が脅かされた
「ビタミンCの利用増加？ くだらない！」「1日30mgより多く必要？ くだらない！」「生化学的障害？ くだらない！」
3. 機関の自己防衛：政府の健康政策（特に予防接種プログラム）の批判は威嚇的だった
アリス・スプリングスに調査団が到着する3ヶ月前に、当局は赤ん坊たちへのビタミン補給を開始していた。ヒプスリー博士は、病院がほぼ空で、病気の赤ん坊がおらず（アリス・スプリングスの歴史で初めて）、ビタミン補給された人口を発見した。
この制度的抵抗にもかかわらず、カロケリノスの観察の多くは最終的に確認された。1973年のブリスベーンでのシンポジウムでは、アボリジニの子どもたちにおける中耳炎の驚くべき頻度と、それが免疫学的問題に起因することが確認された。また、チャーバーグ・アボリジニ・ミッションでの予防接種後の問題も、彼の警告の有効性を示している。
ナンシー・ヤング裁判：臨床的・社会的正義の交差点
ナンシー・ヤングの裁判は、この物語の最も心を打つエピソードの一つである。彼女の娘エブリンは、非常に衰弱し、体に打撲傷のある状態で病院に連れてこられ、数日後に死亡した。彼女の母親は虐待の疑いで訴追され、有罪判決を受けた。
この裁判は、医学的無知と構造的人種差別の悲劇的な重なりを示している。エブリンの症状は、実際には壊血病の典型的な症状だった—彼女はビタミンを強化していない「サンシャインミルク」だけで育てられていた。しかし、彼女の体に見られた打撲傷は虐待の「証拠」と解釈された。
探偵は言った、「子供の体にたくさんの打撲傷があり、それは彼女が何者かに殴られた可能性があることを示しています。」ナンシー・ヤングは答えた、「私はしていない。」
カロケリノスの証言は、裁判官から信用されなかった。この裁判は、アボリジニの人々の経験に対する司法制度の無感覚さを浮き彫りにした。ABCテレビのドキュメンタリー「This Day Tonight」がこのケースを取り上げるまで、ナンシーの運命は事実上封印されていた。
アボリジニの免疫学的および遺伝的特性
カロケリノスの観察の中で最も意義深いものの一つは、アボリジニの子どもたちが白人の子どもたちよりも感染症に弱いという観察だった。彼は、これが単に「衛生状態の悪さ」のせいではなく、生物学的な違いに起因するという証拠を積み重ねていった。
双子は美しい男の子たちで、看護師や一般スタッフに簡単に愛されるようになった。食事が正しく、ビタミンが追加され、一般的なケアの面で何も欠けていないことを確認した。それにもかかわらず、彼らは予約地の栄養不足で十分なケアを受けていない親類と同じように、アボリジニの乳児の病気の恐怖を経験した。
彼はまた、アルコールの代謝に関する観察から、生化学的な違いの可能性を推測した。後にハンス・フリーマン教授との会議で、アルコールを解毒する酵素（亜鉛含有酵素）の遺伝的欠損の可能性が議論された。
これらの観察は、当時の医学的思考において革命的だった。彼は人種間の生物学的均質性という仮定に挑戦し、特定の集団に特有の生理学的脆弱性があり得ることを示唆した。現代の遺伝学はこの視点を支持しており、様々な人口集団間の遺伝的多様性と、それが健康に与える影響に関する理解が深まっている。
現代的視点からの評価
カロケリノスの著書が出版されてから約50年が経過した現在、その主張はどのように評価されるべきだろうか？
まず、彼の中心的主張、つまりビタミンC欠乏症がアボリジニの乳幼児死亡の主要な原因であるという主張は、部分的に確認されている。ビタミンC欠乏症は確かに重大な健康リスクであり、特にストレス下では必要量が増加するという理解は、現在では広く受け入れられている。しかし、乳幼児突然死症候群（SIDS）の原因についての現代の理解は複雑になっており、複数の要因が関与していると考えられている。
予防接種と死亡率の関連についての彼の懸念は、予防接種前の健康状態の評価の重要性という形で、現代の予防接種プロトコルに反映されている。世界保健機関（WHO）は現在、「軽度の疾患を持つ子どもへの予防接種は延期すべきだが、中程度または重度の疾患の場合は回復するまで延期すべき」と勧告している。
アボリジニの健康に関するより広範な問題については、進展はあるものの、依然として大きな格差が存在する。2020年のオーストラリア「クロージング・ザ・ギャップ」レポートは、アボリジニの乳幼児死亡率が非アボリジニの約2倍であることを示している。
他の医学的「異端者」との比較
カロケリノスの物語を理解するもう一つの方法は、他の医学的「異端者」や反対派と比較することだ。彼の経験は、ハンガリーの医師イグナッツ・ゼンメルワイスの物語と類似点がある。ゼンメルワイスは産褥熱が医師の手を介して伝染することを発見したが、当時の医学界からは拒絶された。
より近年では、オーストラリアのバリー・マーシャルとロビン・ウォーレンが胃潰瘍の原因としてのヘリコバクター・ピロリの役割を発見した際、医学界からの同様の抵抗に直面した。彼らは最終的に認められ、2005年にノーベル医学生理学賞を受賞した。
これらの例は、医学的思考における「パラダイムシフト」の難しさを示している。トーマス・クーンが『科学革命の構造』で論じたように、支配的なパラダイムは容易に変化しない。カロケリノスの経験は、医学的知識の社会的構築の一例として見ることができる。
多角的な視点：患者、医療提供者、政策立案者
カロケリノスの物語を理解するには、関与した様々な利害関係者の視点を考慮することも重要である。
アボリジニの母親たちの視点からは、この物語は複雑な感情を喚起する。彼らは子どもたちが苦しみ、死ぬのを見ながら、西洋医学への不信感と無力感を感じていた。ナンシー・ヤングの例は、彼らが直面する司法制度の非情さを明らかにしている。同時に、部族の伝統（双子の一方または両方を殺すなど）も、現代の文脈では複雑な倫理的問題を提起している。
医療提供者の視点からは、カロケリノスの物語は専門的な謙虚さと観察の重要性についての物語である。看護師の反応は、例えば双子の一人が入院した際、「彼は脳に損傷があるから、放っておけ」と言ったように、様々だった。一部の医師は彼の観察を検証し、同様の結果を得た。
過去9ヶ月間、満足に説明できない死亡はなかった。2人の赤ん坊がブドウ球菌性膿胸から生き延び、1人の子どもが髄膜炎菌性敗血症から急速に回復した。看護スタッフとメイドたちは非常に感銘を受け、治療の熱心な支持者になった。
政策立案者の視点からは、カロケリノスの物語は医療介入の複雑さと、単一の解決策に頼ることの危険性を示している。彼は環境改善（再住宅化）、栄養補給（ビタミンC）、予防接種プロトコルの修正、そして医療提供者の教育を含む、多面的なアプローチを提案した。
科学的探求と臨床的知恵の緊張関係
カロケリノスの物語の中核には、科学的厳密性と臨床的知恵の間の緊張関係がある。彼は「科学的」証拠（ビタミンCレベルの血液検査など）の欠如を理由に批判されたが、彼の観察と推論は生命を救う洞察をもたらした。
この緊張関係は今日も続いている。証拠に基づく医療（EBM）は正当に重視されているが、その厳格な適用が時に臨床的観察や患者の経験を軽視することがある。カロケリノスは「疑わしきは行え」の原則を実践した—非常に単純で安全な介入（ビタミンC注射）で生命を救う可能性があるなら、完全な科学的証明を待つべきではないと主張した。
彼の実用的なアプローチは、現代の「実用的臨床試験」や「実世界のエビデンス」の概念に通じるものがある。彼の観察は制御された実験室環境ではなく、差し迫った医学的必要性のある遠隔地で行われた。
結論：遺産と教訓
アーチー・カロケリノスの物語から学ぶべき教訓は多い：
1. 臨床的観察の力：日々の患者との交流から生まれる洞察は、正式な研究と同じく価値がある
2. 医学における異論の重要性：支配的なパラダイムへの挑戦は、しばしば進歩をもたらす
3. 文化的文脈の重要性：医学的問題は社会的、歴史的、文化的文脈の中で理解する必要がある
4. 構造的不正義の健康への影響：健康格差は単なる生物学的または行動的要因ではなく、社会システムに根差している
5. 「一般的な治療法」の問題点：人口集団には様々な生理学的差異があり、それに応じた医療アプローチが必要
最後に、カロケリノスの物語は深い倫理的問いを提起する：患者の命が危険にさらされている時、どれほどの証拠が「十分」なのか？医学的真実の追求と弱者への配慮はどのように両立されるべきか？現代医学はこれらの問いと今も格闘し続けている。
この本の最後に著者が書いた言葉は、その遺産を要約している：
私たちは、アボリジニの子どもたちの健康が無視されることはもはやないと確信できる。問題はただ、いつか？私はそれが、アボリジニの生活の伝統が生き残り、その文化の美しさが世界で正当な場所を占めるのに十分早くあることを願う。