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小胞体 概要
小胞体は、真核生物の細胞小器官のひとつ。発見された当初は細胞核で作られたたんぱく質をゴルジ体へと橋渡しする輸送のための廊下程度にしか考えられていなかったが、その後の研究で多くの細胞機能に関わっていることがわかってきた。
小胞体の主な役割
- タンパク質の折り畳み、切断、糖鎖の付加など
- たんぱく質の品質管理(分子シャペロン、UPS系)
- たんぱく質の輸送
- Ca2+の恒常性(Ca2+濃度の調整、緩衝帯)
- コレステロール合成
小胞体ストレス
小胞体ストレスとは、誤って折り畳まれたタンパク質や、正常な修飾を受けていないタンパク質などが小胞体内腔に蓄積したストレス状態のこと。
多くの遺伝的、環境的な傷害は、小胞体の機能を乱し小胞体ストレスを誘発する可能性がある。またストレス要因がなくとも、小胞体の処理能力を超えるタンパク質が小胞体内に輸送される場合にも生じる。
小胞体ストレスを誘発する折りたたみ不全タンパク質(unfolded protein)は、小胞体内のカルシウム枯渇、細胞への酸化ストレス、変異タンパク質の発現、低グルコース状態や低酸素状態、ウイルス感染など、様々な生理的ストレスによって生じる。
小胞体と神経変性
小胞体ストレスと神経変性を結びつける最初の研究は、20年以上前に発表された。
当初は小胞体ストレスは一次病因の下流で起こる事象としか見なされていなかったが、この10年間の研究でより複雑なメカニズムが存在することが明らかにされてきた。
小胞体ストレス応答(UPR)
小胞体ストレスなどによって生じた折りたたみ不全たんぱく質を、正常な元の状態に戻そうとするストレス応答のこと。頭文字をとってUPR(Unfolded protein response)と呼ばれる。
たんぱく質の総体の30%以上が、小胞体とゴルジ体を介して合成されるため、UPRはプロテオスタシス(たんぱく質恒常性)の主要な役割を担う。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26646497
UPRの主な役割
- 翻訳の抑制
- 分子シャペロンの転写誘導
- プロテアソームによる異常たんぱく質の分解
UPRの陰陽特性 陽のGPR78 /陰のCHOP
異なる疾患において、そして異なるシグナル伝達成分が制御されるとき、異なる結果をもたらす可能性がある。
また、UPRは病期に応じて、反対の効果を示す可能性がある。UPRは軽度の短期間のストレスである場合にはストレスを中和させ適応するために生存を促進しようと試みるが(GRP78発現)、対照的に重度または長期のストレスが続くと、バランスを細胞死(プロアポトーシス)へと促進させる。(CHOP発現)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3820435/figure/fig1/
癌、悪性新生物ではプロアポトーシスの増強が有益でありえる。
ネガティブフィードバック
小胞体ストレスおよびUPRは、分泌経路に対する有害な影響の結果であるだけでなく、疾患関連タンパク質の凝集を増加させることによってネガティブフィードバック(悪循環)を引き起こす可能性がある。
UPRの長期活性とアルツハイマー病
アルツハイマー病神経細胞では、皮質、海馬のUPR活性化が神経原線維変性の初期段階で起こることを示しており、Braak病期と正の相関を示す。
UPRの初期の短期的活性化は折りたたみ不全たんぱく質の有毒な蓄積を防ぎ、細胞を保護するが、長期的な活性化は細胞死を誘導し、タウリン酸化およびアルツハイマー病神経変性の両方に関与していることを示唆する。
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002944010609832
タウ病理は小胞体ストレスを誘発すると仮定されている。
タウと小胞体膜の相互作用はERADおよびUPRの活性を損なうことが示さている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23719816/
UPRの軸索再生
坐骨神経挫滅マウスモデルでは、XBP1発現によるUPR活性が軸索再生を加速する。おそらくマクロファージ浸潤の増加およびMCP-1ケモカインレベルの増加により、再ミエリン化、軸索屑片の除去の効果と関連している。
www.nature.com/articles/srep21709
小胞体構造
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3666557/figure/F1/
小胞体ストレスセンサー
小胞体内腔には、小胞体膜上に3種類のストレスセンサー(IRE1, PERK, ATF6)が存在し、折りたたみ不全たんぱく質のモニターを行なっている。
この3つUPR経路はしばしば同時に活性化されるが、複雑なネットワークを構成しており、相互作用して小胞体ストレスを軽減しようとする。
IRE1
酵母から保存されている古い経路。哺乳類ではIRE1α、IRE1βの二種類のパラログが存在する。ほとんどの細胞にはIRE1αが存在し、腸管上皮にはIRE1βが発現する。
IRE1αはXBP1のスプライシングに寄与し、UPRを推進する。Ire1βではRNAを切断しタンパク質合成を阻害する。
IRE1 – XBP1経路
活性化型IRE1は、XBP-1mRNAをスプライシングし、GRP78/BiP領域のERSE、ATF6サイトに結合して分子シャペロンや小胞体関連分解(ERAD)関連遺伝子の転写を促進する。PERKと比べ転写にまでは時間を要することから後期応答として異常たんぱく質を除去、分解する役割がある。
XBP1sはアルツハイマー病に関与するUPR経路のひとつ。アルツハイマー病患者の脳サンプルからは対照と比較して増強されたXBP1を示す。中国人集団においてXBP1遺伝子多型とアルツハイマー病リスクの関連が明らかとなっている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17612490
UPRの一部であるXBP1は、BDNFに応答して神経突起で活性化され、神経ペプチドやシナプス遺伝子の発現を調節することを示唆する。
www.jbc.org/content/282/47/34525
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18809377
IRE1 – JNK経路
強い小胞体ストレスの条件下で、ASK1は活性化され、カスパーゼ12の活性により細胞死を誘導する。
XBP1、JNK活性化の両方が、細胞内栄養素、エネルギー利用可能性の主要なセンサーとして存在する。
PERK
PERKはeIF2α、ATF4、CHOP、それぞれとの相互作用により細胞保護または細胞障害など様々な働きを示す。
小胞体ストレス下ではPERKは、eIF2aリン酸化によってタンパク質合成を低下させる。たんぱく質合成の低下は小胞体へ輸送するたんぱく質が低下させ、小胞体ストレスが低下する。
PERKはそれらの役割に加え、栄養欠乏、低酸素症、放射線に対する生存メカニズムとしてオートファジー活性化に重要な役割を果たす。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16290097/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14978030/
PERK – eIF2α 経路
ストレスのない条件では、GRP78はPERKに結合して不活性のままになるが、ERストレスはGRP78をPERKから解離させ、PERKを活性化し、eIF2α、ATF4の活性化をもたらし、細胞死を誘導する。
eIF2αのリン酸化は、ウイルス感染、栄養欠乏、ヘム欠乏など、さまざまな刺激によって引き起こされ、ストレス反応経路の収束点でもある。
ニューロンeIF2αのリン酸化はBACE1発現を調節することが示されており、過剰なリン酸化によってシナプス機能不全と記憶喪失をもたらすことから、アルツハイマー病病態に重要な意義をもつと考えられている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25857551
PERKは膜脂質飽和の不均衡によっても活性化される。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23487760/
PERK – Nrf2 経路
PERKはNrf2を直接リン酸化し、酸化還元恒常性を維持することで細胞生存に寄与する。ストレスがない状態ではKeap1と結合して不活性な状態に保たれる。
mcb.asm.org/content/23/20/7198.short
神経変性疾患におけるPERK経路の適応型(左)と不適応型(右)
適応状態でのPERK経路の刺激は有益でありえるが、病理学的な状態での刺激は状況を悪化させるかもしれない。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4541706/#CR6
ATF6
ATF6は、IRE1と共同で働く時は細胞保護的に作用し、
PERKと共同で働くときは細胞障害的に作用する。
IRE1、ATF6の活性は持続的な小胞体ストレスによって減弱するが、PERKシグナル伝達は減弱せず、持続的な活性によって細胞増殖を損ないアポトーシスを促進する。
低酸素にさらされた肺動脈高血圧症患者の平滑筋細胞において、ATF-6の活性に依存してNOGO-Bタンパク質レベルが増加する。
HRD1
HRD1は活性化型ATF6やXBP1の過剰発現によって誘導される。
HRD1発現は脳神経細胞においてAPPのユビキチン化、分解を促進しアミロイドβを減少させる。HRD1発現の抑制はAPP蓄積を誘導し、小胞体ストレス関連によるアミロイドβ産生の増加をもたらす。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20237263
www.jneurosci.org/content/30/11/3924/tab-article-inf
www.cell.com/trends/molecular-medicine/fulltext/S1471-4914(11)00145-6?large_figure=true
MAM(Mitochondria-associated membrane)
小胞体膜とミトコンドリアの接触する部位をMAM(Mitochondria-associated membrane)と呼ぶ。
MAMの役割
- 脂質代謝(コレステロール代謝、ホスファチジルコリン合成酵素)
- 細胞内カルシウムの恒常性
- 小胞体からミトコンドリアへのCa2+輸送
- アポトーシスシグナル伝達
- 小胞体の酸化還元状態の維持
- 炎症シグナル伝達(NLRP3)
- 抗ウイルス反応
- ミトコンドリアの形態(ミトコンドリアの分裂位置の決定、Drp1)
- オートファジーシグナル伝達(飢餓にともなうオートファゴソームの形成)
- 小胞体ストレスシグナル伝達
- γセクレターゼ(APP切断)
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167488912001048
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167488914000937
MAM機能不全 → ERストレス → AD
アルツハイマー病患者では小胞体ストレスが活性化され、アポトーシスが増加することが示されており、MAMは小胞体ストレスおよびアルツハイマー病の病因に役割を果たしている可能性がある。
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0959437X16300296
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002944010609832
MAMと炎症(NLRP3)
MAMはNLRP3インフラマソーム形成に必須の分子プラットフォーム
α-シヌクレイン、プレセニリンなどのMAM常在タンパク質は、パーキンソン病およびアルツハイマー病の病因において重要な役割を果たす。
www.nature.com/articles/s41419-017-0027-2
Drp1
ダイナミン関連タンパク質1(Drp1)は、ミトコンドリアの形状、大きさ、分布、リモデリング、維持など、ミトコンドリアと重要な関連をもつ。
アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ALSなど多くの神経変性疾患は、Drp1と相互作用し、ミトコンドリアの分裂機構を過剰に活性化し、ミトコンドリアを過度に断片化し、そしてミトコンドリアの輸送およびミトコンドリアの動態を損ない、最終的にミトコンドリア機能障害およびニューロン損傷を引き起こす。
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S016501731000130X
ミトコンドリアの分裂に関わるMAMとDrp1
ミトコンドリアの分裂が起こる部位に小胞体膜が巻きつき(MAM),そこへDrp1が集積・会合することでミトコンドリアの分裂が引き起こされる。
science.sciencemag.org/content/334/6054/358
アルツハイマー病MAM仮説
content.iospress.com/articles/journal-of-alzheimers-disease/jad100495
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211124716305800
ホスファチジルセリンとコレステロール
MAMによるミトコンドリアコミュニケーションは、リン脂質合成に必要であり、ホスファチジルセリンはMAMで合成される。合成されたホスファチジルセリンはミトコンドリアに転移し、ホスファチジルエタノールアミン(PtdEtn)に変換される。
PtdEtnはMAMに移動し、そこでPAMTによってメチル化され、ホスファチジルコリン(PtdCho)が生成される。
コレステロールおよびホスファチジルセリン産生の量は、MAMの機能性が増加することを示している。
www.embopress.org/doi/full/10.1038/emboj.2012.202
アルツハイマー病患者のMAM関連たんぱく質はアップレギュレーションを示していた。
www.pnas.org/content/110/19/7916.short
神経変性疾患
神経変性疾患のUPR機能不全
神経変性疾患において折りたたみ不全たんぱく質やそれらの凝集は、一般的な特徴として認識されている。
神経変性疾患と関連しうるコレステロール代謝,リン脂質代謝、細胞内カルシウムホメオスタシスの異常,ミトコンドリアの機能不全は、潜在的に小胞体ストレスを誘発する可能性がある。
そのことからUPRまたはその機構の一部が、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症およびプリオン病のような神経変性疾患に関与し得るという提案がなされていた。
アルツハイマー病
海馬・即答皮質でのGRP78増加
アルツハイマー病では様々な研究により脳組織のURPが正常対照と比べて増加している。GRP78はアルツハイマー病海馬および側頭皮質で増加しており、ニューロンにおけるリン酸化(p)PERK、pIRE1、p-eIF2αの存在の増加が示されている。
これらは、健康なニューロンまたは異常リン酸化タウを有するニューロンのいずれかに現れるが、神経原線維変化を含むニューロンにはほとんど存在しない。
アルツハイマー病の進行とPERK
全体として、GRP78レベルおよびアルツハイマー病ニューロンにおけるpPERKの発生は、異常リン酸化タウおよび神経原線維変化と関連するブラーク病期分類と非常に強く相関しており、UPRがアルツハイマー病の初期発症に関わることを示唆する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2671357/
孤発性アルツハイマー/
孤発性アルツハイマー病はPERK-eIF2α経路、ユビキチンリガーゼHRD1などがアルツハイマー病の発症に関わることが示唆されている。
アルツハイマー病症例では、認知症ではない対照と比較して、皮質、海馬のUPR活性化が神経原線維変性の初期段階で起こることを示している。
リン酸化PERKは、アルツハイマー病海馬の錐体ニューロンに存在するが、新皮質領域にはほとんど存在しない。
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002944010609832
批評的レビュー アルツハイマー病の病因と小胞体ストレスの間には関係性がない。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5936719/
家族性アルツハイマー病/IRE1阻害
家族性アルツハイマー病の原因遺伝子のひとつである変異PS1は、小胞体ストレスセンサーIRE1の活性化を阻害することで、小胞体ストレス感受性を亢進させて神経を細胞死に導く。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10587643
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4541706/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10587643
パーキンソン病
プロテイン恒常性(プロテオスタシス)のいくつかの分子的機構の破壊がパーキンソン病で確認されている。
α-シヌクレインの凝集体は、おそらくは小胞体シャペロンとの異常な会合を通して、小胞体内腔に蓄積し小胞体ストレスを誘発する傾向をもつ。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21166675
αシヌクレインは、小胞体からゴルジ体へのタンパク質の輸送を阻害し、それによりたんぱく質の成熟に影響をおよぼし、その結果小胞体ストレスを引き起こす。
europepmc.org/articles/pmc1983366
除草剤パラコート
パラコートがパーキンソン病(PD)の環境病因因子であり得ることが疫学研究、実験研究において示唆されている。
パラコートによる小胞体ストレスの誘導は、IRE1/ASK1/JNK経路を活性化し、ドーパミン作動性ニューロンの細胞死を媒介することが示されている。
science.sciencemag.org/content/334/6054/358
多系統萎縮症
MSAでは、アルファシヌクレイン沈着の初期において、pPERK、p-eIF2α、およびpIRE1は、α-シヌクレインを含むグリア細胞質内封入体で増加していた。
UPRの活性化が疾患過程の初期段階で誘導され得ることを示唆している。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20667553
プリオン関連疾患
プリオン病、アミロイドβ病態の動物モデルにおいて、eIF2αリン酸化によるタンパク質合成の持続的な阻害がPERK活性の結果を増加させたことを示している。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22622579
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24107777
小胞体ストレスの軽減
GRP78 IRE1-XBP1経路
EGCG
EGCGはGRP78活性の阻害作用を有し、カスパーゼ12発現を有意に減少させる可能性をもち、マウスモデルの小胞体ストレス誘発性アポトーシスを減弱する。
journals.sagepub.com/doi/10.1177/1535370215573394
ニコチン
ニコチンは、GRP78、ATF6、およびIRE1-XBP1の発現低下を介して、PC12細胞の小胞体ストレス誘導アポトーシスを減少させることが実証されている。
academic.oup.com/jb/article-abstract/144/2/251/2182522
シス-レスベラトロール
シス異性体 レスベラトロールは、GRP78発現を阻害し、ヒトマクロファージにおけるROS産生を減少させる可能性がある。
journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1753425913507096
ケルセチン
ケルセチンは、マクロファージに傷害をもたらし蓄積後、小胞体ストレスを引き起こし、CHOPを介したアポトーシスを誘導する。
IRE1-XBP1およびATF6の発現の減少が示唆されており、ケルセチンは小胞体ストレスを有意に弱める可能性がある。
journals.sagepub.com/doi/abs/10.1258/ebm.2012.012027
ケルセチンは、XBP1を介した保護活性の増強をもたらす。ケルセチンはHsp70遺伝子プロモーターの領域に結合して、その発現を阻害する可能性がある。
Hsp70サイレンシングはGRP78の発現を下方制御するが、CHOPの発現は下方制御しない。そしてヒト白血病U937細胞においてアポトーシスを誘導する。
これらは、ケルセチンがHsp27、Hsp72のサイレンシングを介してアポトーシスに対する脆弱性の誘導を示唆する。
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0041008X13004341
トリテルペノイド
IRE1→XBP 経路
GRP78 & CHOP 両経路
TUDCA
TUDCAはIre1、Bip、Chopの発現を有意に減少させることができる。このことは血清中の飢餓によってひきおこされる小胞体ストレスを効果的に軽減することを示す。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5931650/
TUDCAはGRP78のPERKへの結合を調節することによってERストレスから細胞を保護することを示唆している。
TUDCA はMSC におけるPrP Cの発現を促進することを示している。
www.nature.com/articles/srep39838
プテロスチルベン
プテロスチルベンは、GRP78、p-eIF2αなどのTNFα誘導性小胞体ストレス関連タンパク質の発現を下方制御する。
www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1043466615300946
小胞体ストレスは網膜の血管変性に寄与する。レスベラトロールは網膜虚血/再灌流を抑制し、eIF2α-CHOP、IRE1α-XBP1シグナル伝達経路を下方制御する。
iovs.arvojournals.org/article.aspx?articleid=2128667
イカリイン
イカリインは、GRP94、GRP78、CHOP発現およびROS生成のダウンレギュレーションを示しており、イカリインが小胞体ストレスの低下を通して心血管保護的役割を果たす可能性がある。
www.mdpi.com/1422-0067/14/9/17845
ヒト食道扁平上皮癌では、イカリインはp-PERK、p-eIF2α、CHOP、GRP78、およびATF4を含むERストレス関連タンパク質の発現を活性化し、Bcl-2の発現を下方制御し、EC109の感作につながる可能性がある。
www.nature.com/articles/srep21145
イカリインはヒト肺腺癌A549細胞において小胞体ストレス誘導性アポトーシスを促進する
link.springer.com/article/10.1007%2Fs10495-015-1142-0
小胞体ストレス ROS経路
アスタキサンチン
アスタキサンチンは小胞体ストレス、ROS産生、および脂質蓄積を軽減し、JNK1およびNF-κBシグナル伝達の発現を低下させるメカニズムをもつ可能性があり、インスリン抵抗性を改善するための有益な薬剤として研究されている
アスタキサンチンは、高フルクトースおよび高脂肪食を与えたマウスの肝小胞体ストレスおよび核因子κB媒介炎症を軽減する。
link.springer.com/article/10.1007%2Fs12192-013-0443-x
ケルセチン・クロシン
クロシンはクロッカスやクチナシの花に含まれるカロチノイド化合物。主にサフランの色の原因となる化学物質。
ケルセチンとクロシンは、相乗的に作用してROSを介した小胞体ストレスと脂質過酸化を軽減し、ミトコンドリア膜電位の維持とカスパーゼカスケードの阻害をもたらす。
onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/tox.22185
ケルセチンとクロシンの組み合わせはまた、マイコトキシンであるフザリウムの二次代謝産物であるZearalenone(ZEN)によって誘発される小胞体ストレスを軽減し、ROS生成、脂質過酸化、細胞アポトーシスを阻害する。
link.springer.com/article/10.1007%2Fs12192-015-0613-0
未調査
リチウム
バルプロ酸
ベンゾジアゼピン
カルノシン酸
バイカレイン
ベルベリン
www.nature.com/articles/aps201030
アストラガルス(アストラガルシドIV)
www.karger.com/Article/Abstract/362974
小胞体ストレスの誘導
PERK-eIF2α-CHOP経路
バイカレイン
www.hindawi.com/journals/bmri/2014/732516/
クルクミン
mcr.aacrjournals.org/content/9/7/878
レスベラトロール
link.springer.com/article/10.1007%2Fs00125-012-2691-1
胡椒(ピペルログミン)
コショウから単離されたピペルロングミンは癌細胞に対して細胞傷害活性を示し、ROS依存的にMAPK / CHOPシグナル伝達を介してHCC細胞の遊走を優先的に抑制する。
…www.oncotarget.com/index.php?journal=oncotarget&page=article&op=view&path%5B%5D=3444&
アナカルジン酸
アンフィプテリギウム・アドストリンゲン Amphipterygium adstringens
es.wikipedia.org/wiki/Amphipterygium_adstringens
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0378427414002173
GRP78・CHOP 両経路
アシュワガンダ
アシュワガンダ(Withania somnifera)の抽出物成分であるWithaferin Aは、ROS依存的にCaSki細胞でGRP78、CHOP、eIF2α、XBP1の発現を誘導し、細胞アポトーシスを引き起こす。
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0887233311000233
レスベラトロール
レスベラトロールはヒト肺腺癌A549細胞において、ミトコンドリア機能障害およびCHOP、GRP78、およびカスパーゼ-12を含む小胞体ストレス関連タンパク質の発現増加をもたらし得る。
レスベラトロールおよびAs2O3誘発性のERストレスおよびミトコンドリア機能障害の影響は、抗酸化剤N-アセチル-L-システインによって遮断される可能性がある。
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0009279716300047
レスベラトロールは、ROS生成の減少ならびにCHOPおよびXBP1発現の増強を介してパルミチン酸誘発細胞死を促進する。
journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0113929
骨格筋管では、レスベラトロールはCHOPの発現を増加させ、ROS産生を上昇、小胞体形態の変化、脂質ラフトでのカベオリン3とフロチリン1の発現の減少を軽減する。
insights.ovid.com/crossref?an=00002030-201006190-00005
心血管疾患のROSを介した小胞体ストレスへのレスベラトロールとオメガ3脂肪酸の有益な効果、包括的レビュー。
www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcvm.2015.00038/full
黒胡椒(ピペリン)
ブラックペッパー由来のアルカロイドであるピペリンは、サイクリンD1 / D3およびCDK4 / CDK6の調節を介してHT-29細胞をG1期で停止させ、CHOP、GRP78、JNKの発現増加を介して小胞体ストレス関連アポトーシスを誘導する。
onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/mc.22176
ユリ
ツクバネソウ(Paris polyphylla)から分離されたポリフィリンDは、GRP78、CHOP、カスパーゼ-4の発現増加を示し、小胞体ストレスを介したアポトーシスを誘導する。
onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/pmic.200700829
ROS経路
キキョウ
キキョウ(Platycodon grandiflorum)から単離されたPlatycodin Dは、ROSを介したASK1およびERストレスの上方制御を介してアポトーシスを引き起こす。
www.liebertpub.com/doi/10.1089/jmf.2011.2024