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「災害栄養」(Disaster Nutrition)
「支援物資は、企業から日持ちのするものが来るが、現地では口内炎がよくならない。夜もよく眠れず野菜や果物が不足してビタミンがとれない。」
「最初にグループホームに行ったときはご飯が主食、おかずがあんぱんみたいな状況だった。賞味期限が切れるので食べないといけないという状況。あらかじめサプリメントみたいなのを用意するのがよいのでは。」
「最初入ってくる食料は、お米、カップラーメン、パン、おかしなどで、そういう食材ばかりだとかわいそう。」
「一番足りないものは果物と生の野菜だというがそれを持っていく手段がなく腐りかかってある。」
「女川町の避難所の食事は 2 か月後も朝はパン、夜はおにぎり。昼は炊き出して温かいものが食べられるという状態で、栄養状態の低下がみられた。」
概要
地震後の生存者が長期間非常食、保存食に依存したために生じた災害後に特有の栄養欠乏状態や引き起こされる疾患が複数の研究で報告されている。この栄養概念を「Disaster Nutrition」と呼ぶ。(日本語の正式名称はおそらくまだない)
東日本大震災では、避難所での食事提供は発生後一ヶ月が経過しても、炭水化物に偏っていた。また、タンパク質の供給が遅れ、温かい食事が提供されるまでも長い時間を要した。
食事からの不足が見られた栄養素タンパク質、ビタミンB1、B2、C
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24905001
非常食による胃腸症状
東日本大震災から1ヵ月後、被災者236人のうち、23%が体重を失い、28%が地震から1か月後に食物摂取量が減少したと報告。
便秘(10%)、食欲不振(6.4%)、嘔吐(6.4%)、吐き気(2.1%)など避難者の最大25%が胃腸症状を示した。
より多くの野菜(44%)または果物(33%)を好んだが、おにぎりやパンなど、受け取ったほとんどの食料援助は炭水化物ベースであった。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24905001
災害時に不足する栄養素
災害時は新鮮な果物や野菜が不足しているため、食物繊維やビタミンCなどの栄養素が不足。
都市農業の推奨
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5551186/
ビタミンB1、Cの不足
東日本大震災後、供給された食事の栄養調査、震災後二ヶ月後おいて、弁当を提供された避難所では、タンパク質の提供量が多く、ビタミンB1、ビタミンCの提供料が少ないことが明らかとなった。
炊き出しなどを組合わせることで、食事状況の改善につながることが考えられる。[R]
食塩の過剰摂取と慢性疾患
東日本大震災後、災害性高血圧リスクと推定されるナトリウム摂取量の間には関連性があった。[R]
魚の缶詰
伝統的に魚の缶詰は災害対策として頻繁に使用される。
調理された魚料理と比較した場合、缶詰の魚ではビタミンD、ビタミンB6、レチノールが50%低い。対照的にナトリウム、カルシウム、αトコフェロールは缶詰が高い。これらは過剰な塩分摂取による高血圧、脳卒中などの疾患に影響を与えた可能性がもっとも高い。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25606634
栄養欠乏によるストレス
災害時のストレスには、災害による栄養欠乏が役割を果たしている可能性がある。
東日本大震災では、日本市場の栄養補助食品の主要な製造会社も巨大地震のダメージを受けたため経腸栄養処方を供給することができなかった。
栄養素
避難生活での栄養ケアの重要な4つのポイント
- 十分な水の摂取
- エネルギー>タンパク質、水溶性ビタミン
- 衛生的である
- 身体活動を維持する
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25516307
- マルチビタミンミネラル
不足する栄養素・免疫力を高める
- マグネシウム
- 亜鉛
- ビタミンD
- ビタミンC
- セレン
天然の抗生物質
肺炎・感染症リスクに備えて積極的に摂取したい食品、用意しておきたハーブティー
食品
- にんにく(アリシン)生にんにくを一欠
- 生姜
- マヌカハニー
ハーブ・ティー
- エキナセア
- シナモン
- ローズマリー
サプリメント
エッセンシャルオイル
- ティーツリーオイル
- オレガノオイル
調理・調理器具
カセットガスコンロ
ライフライン(電気、電話、トイレ、水道、交通機関、ガス)の中でガスの復旧が一番時間がかかる。
東日本大震災の震度7の地域では50%の復旧率に達するのに、電気・電話が2~4日後だったが、ガスは一ヶ月半以降。
支援されない場合カセットボンベの備蓄は、最大で2~3ヶ月分必要となる可能性がある。
forr.cc.niigata-u.ac.jp/fukko/docs/data05.pdf
ガスボンベは一缶強火で約70分使用できる。
家族の人数によって異なるが、日数×0.5~1本程度のストック。
www.mlab.ne.jp/safety/bousai03_20121213/
余震対策のため室内で使えなかったり、換気扇が回らないことから窓を開放して風が吹き込む環境で使用することがあり、防風能力が重要となることがある。一般のカセットコンロは風に弱く防風タイプを選択おくと安全。[R]
イワタニ CB-KZ-2 カセットフー 風まるII
アイラップ
verafan.com/cooking/iwrap-rice-4325.html
カップ麺
カップ麺は、お湯がなくても作ることができる。水を入れて15分。
冷蔵庫に保冷剤
保冷剤が大量にあると冷蔵庫は一日以上もつ。
地震後、停電した場合、冷蔵庫のコンセントを抜いておく。またはブレーカーを落とす。
ペットボトルに水を入れて凍らせたものがあると、保冷剤と緊急用の飲水にもなる。夏場は特に活躍する。
www.pa-pa.jp/refrigerator-power-outage/
強力保冷剤
feb29.org/teiden-horeizai-logos.html
水
飲料水の確保
一人一日あたり3リットル 3日間で9リットル(食べ物に含む水を含める)が一般的な目安とされている。
安静時は2.5リットルだが、避難活動などにより必要量が高まることも計算されている。
一般的な災害では4日目から災害物資が届くことを前提に3リットル×3日=9リットルが試算されている。
南海トラフのような巨大地震では一週間以上の備蓄が望ましいとされており、約20リットル、最悪のケースを想定するなら2週間40リットルが必要となる。
500mlは水筒代わりにもなるので、2リットルと500mlを混ぜて用意しておくと便利が良い。
津波が来る場所での水の持ち出しは、他にも多くの非常用品があるため半日分(1.5リットル)が限界だろう。
飲料水の作り方
煮沸による殺菌
水を一分間沸騰させる。標高1000m以上では3分間沸騰させる。沸騰時間を短縮し燃料を節約するために鍋の場合蓋で覆っておく。[R]
塩素系漂白剤による殺菌
水が手に入らない緊急時、浄水器の使用や煮沸も難しい場合は台所用のブリーチ・ハイターなど塩素系漂白剤(キッチンハイターは洗剤が入っているので不可)を使って、川などのの水を消毒して飲料に用いることができる。
6%の漂白剤の場合1リットルあたり2滴。水が混濁している場合は量を2倍にする。かき混ぜて30分間放置。水にはわずかな塩素の臭いがする。そうでない場合は追加投与しさらに15分間放置する。塩素の味が強くて飲みにくい場合は数時間放置する。[R]
また、手作りのろ過装置で簡易的に水を濾過した場合も、細菌は除去できていないので汚染が考えられる場合は滅菌作業を行ったほうが良い。[R][R]
www.hokudai.ac.jp/eq/dept/eisei_manual.pdf
経口補水液の作り方
作成中
折りたたみウォータータンク
持ち運びを考え10リットルタンクを両手にもてるよう複数用意。