2025/04/08
『陰謀論』ジョン・キャンベル博士https://t.co/9cVLIa3Cbt
77人のノーベル賞受賞者が支持した「科学的コンセンサス」の裏で、高官らは決定的証拠の隠滅と組織的な真実歪曲を行っていた。「陰謀論」と切り捨てられた研究所漏洩説は、ドイツ連邦情報局の「80-95%の確率でラボ由来」という結論に。…— Alzhacker ᨒ zomia (@Alzhacker) May 16, 2025
トピック(タイムスタンプ)の時系列リスト
- 導入 (0:01) – ニューヨークタイムズ記事の紹介
- 研究室からの感染事例 (0:35) – 過去のパンデミックと研究室事故の関連
- 陰謀論への非難 (2:10) – 研究室流出説を唱えた人々への批判
- エコヘルス・アライアンスと77人のノーベル賞受賞者 (3:40) – 研究助成金と科学者コミュニティの反応
- 情報隠蔽と科学者の行動 (5:20) – 重要な事実の隠蔽と公衆からの情報遮断
- ウーハン研究所の研究活動に関する懸念 (9:15) – 安全基準と継続的な危険なウイルス研究
- ニューヨークタイムズ記者への誤誘導 (15:50) – 記者が軌道から外れるよう工作された事例
- 「プロキシマル・オリジン」論文の矛盾 (17:15) – 公表論文と非公開の議論の不一致
- バーナーフォンとコミュニケーション隠蔽 (27:00) – WHO主任科学者の秘密通信
- 信頼崩壊と結論 (30:00) – 指導的立場の人々への信頼喪失と変化の必要性
登場人物:
- ジョン・キャンベル(John Campbell) – 講演者、医療教育者
- クリスチャン・G・アンダーソン(Christian G. Anderson) – カリフォルニア免疫学・微生物学部の研究者、「プロキシマル・オリジン」論文の筆頭著者
- ピーター・ダザック(Peter Daszak) – エコヘルス・アライアンス(EcoHealth Alliance)の代表
- ジェレミー・ファラー(Jeremy Farrar) – 世界保健機関(WHO)の主任科学者
- フランシス・コリンズ(Francis Collins) – 当時の米国国立衛生研究所(NIH)所長
- アンソニー・ファウチ(Anthony Fauci) – 当時の米国国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長
- デイビッド・モランズ(David Morens) – 米国国立衛生研究所でファウチの上級科学顧問
テーマ
対談全体のメインテーマ
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源に関する情報隠蔽とそれに伴う科学界の信頼性崩壊
メインテーマの解説(約200字)
新型コロナウイルスの起源について、研究室漏出説を「陰謀論」として却下した科学者集団が、実は非公開では研究室漏出の可能性を高く評価していたという矛盾を暴露している。ニューヨークタイムズ記事に基づき、著名な科学者たちが公表論文と非公開の議論の間に大きな乖離があったこと、情報隠蔽を積極的に行っていたことを示す証拠を紹介している。このような科学的権威の行動が、科学界全体への信頼を損なった実態を批判的に論じている。
トピックの背景情報や文脈
議論の主要なポイント
- 科学者たちは公式には研究室漏出説を「陰謀論」と非難したが、非公式の会話では高い可能性として議論していた
- エコヘルス・アライアンスとウーハン研究所のバットコロナウイルス研究に関する情報隠蔽があった
- 科学者と政府関係者は意図的に情報を隠し、公衆を欺くために連携していた
- 権威ある科学雑誌(ランセット、ネイチャー・メディシン)がこれらの論文を掲載し、撤回していない
- 情報公開請求や議会の召喚状によってのみ、これらの真実が明らかになった
提示された具体例や事例
- 「プロキシマル・オリジン」論文(ネイチャー・メディシン掲載)- 公には研究室流出説を否定していたが、著者は非公開の会話では「研究室流出が起きた可能性が非常に高い」と述べていた
- ジェレミー・ファラーのバーナーフォン(使い捨て電話)使用 – WHO主任科学者が権力者との秘密会議のために使い捨て電話を使用していた
- ランセット掲載の「中国の科学者への支援声明」 – 独立した科学者グループからの声明に見えたが、実はピーター・ダザックが起草し、自分の関与を隠していた
- デイビッド・モランズの「メールを消す方法」の発言 – ファウチの科学顧問が「証拠を残さない」方法について議論していた
- ニューヨークタイムズ記者(ドナルド・マクニール・ジュニア)の誤誘導 – 研究室流出説を調査していた記者を意図的に誤誘導した
結論や合意点
- 科学コミュニティ、特に主要な医学雑誌や科学雑誌に対する信頼が完全に崩壊した
- 権威ある地位にある人々の行動に大きな疑問符が付いている
- 多くの組織レベルで重大な変革が必要である
- 「リーディングジャーナル」の信頼性に対する根本的な疑問が生じている
- このような欺瞞によって実行された政策やその影響について疑問を持つべきである
特に印象的な発言や重要な引用
「研究室流出バージョンは、彼らがすでにこの種の研究を行っていたため、非常に起こりやすい可能性があり、分子データもそのシナリオと完全に一致しています」 – クリスチャン・アンダーソン(非公開メッセージ)
「我々は研究室ベースのシナリオが妥当であるとは考えていません」 – 同じクリスチャン・アンダーソン(公式論文)
「我々は皆、スモーキングガンを決して持たないほど賢いことを知っています。もし持っていたとしても、それをメールに載せることはないでしょう。もし見つけたら、それを消して消えるようにするでしょう」 – デイビッド・モランズ(ファウチの科学顧問)
「ドイツ連邦情報局は2080年に95%の確率で研究室流出だと判断していた」 – ジョン・キャンベル
「それはただの歴史なのだろうか?もう先に進み、生きて生かすべきなのだろうか?次のパンデミックは事故によるものでしかないと確信したい人がいるなら、セル(科学雑誌)をチェックしてみるといい」 – ジョン・キャンベル
サブトピック
研究室からの感染事例と陰謀論への批判
ジョン・キャンベルは、新型コロナウイルスが研究室から漏洩した可能性を示唆する証拠について説明している。彼は、科学者たちが危険な病原体を実験室で取り扱っている以来、世界は4~5回のパンデミックを経験しており、それらが実験室からの漏洩によるものだと指摘する。1977年のロシア風邪もその一例であり、2020年にも研究室事故の憶測が持ち上がったが、その当時そうした説を唱えた人々は「クック」(アメリカの俗語で「狂人」を意味する)として批判された。公衆衛生当局者や著名な科学者たちは、研究室漏洩説を「陰謀論」と断じていた。
エコヘルス・アライアンスとノーベル賞受賞者の関与
キャンベルは、非営利団体エコヘルス・アライアンスが、安全基準が緩いとされるウーハン研究所でのバットウイルスに関する危険な研究計画に関する助成金を失ったことに言及している。これに対して77人のノーベル賞受賞者と31の科学団体が連名でエコヘルス・アライアンスを擁護し、「コンセンサス」が存在するかのような印象を作り出した。キャンベルはこの行為に疑問を投げかけ、なぜこれほど多くの権威ある科学者たちがこの非営利団体を擁護したのか、そしてノーベル賞受賞者の選考システムにも何らかの問題があるのではないかと指摘している。
情報隠蔽と科学者の行動
科学者たちはコンセンサスを演出するために重要な事実を隠匿したり、過小評価したりしていた。彼らはジャーナリストを誤誘導し、独立した声を装った連携キャンペーンを展開していた。キャンベルは、これを「我々一般大衆に対する陰謀」と表現し、エリート層が一般市民を「キノコのように暗闇に置き、上から情報を与えるだけ」の存在として扱っていると批判している。情報自由法に基づく請求や議会の召喚状がなければ、研究室とウイルスの関連性について世界は何も知ることができなかっただろうと指摘している。
「プロキシマル・オリジン」論文の矛盾
キャンベルはネイチャー・メディシンに掲載された「SARS-コロナウイルス2の近位起源」というタイトルの論文を分析している。この論文では、著者たちが「研究室ベースのシナリオは妥当とは考えていない」と述べている一方、議会の調査によって明らかになった非公開のコミュニケーションでは、筆頭著者のクリスチャン・アンダーソンが「研究室流出バージョンはこの種の研究が既に行われていたため非常に起こりやすく、分子データもそのシナリオと完全に一致している」と述べていた。キャンベルはこの矛盾が許し難いものであり、科学雑誌がこの論文を撤回しないことへの深い失望を表明している。
バーナーフォンとコミュニケーション隠蔽
キャンベルは、現在WHOの主任科学者であるジェレミー・ファラーが「使い捨て電話」(バーナーフォン)を使用して、国立衛生研究所所長フランシス・コリンズやアンソニー・ファウチらとのコミュニケーションを隠蔽していたことを明らかにしている。バーナーフォンは「プライバシー上の理由で現金で購入された前払い電話で、しばしば当局を避けるために使用される」と定義されている。情報公開請求によって、科学者たちがこのトピックに関する論文を進めることを決定し、舞台裏でファラーが草稿をレビューし、著者たちに研究室流出をさらに直接的に否定するよう提案していたことが明らかになった。
信頼崩壊と結論
キャンベルは講演の締めくくりとして、この経験が科学界、医学界、政府当局への完全な信頼崩壊をもたらしたと述べている。彼は、CIAやエネルギー省などの情報機関が研究室漏出起源の可能性が高いと考えていること、ドイツの連邦情報局が95%の確率で研究室漏出だと判断していたにも関わらず、これらの情報が公衆に知らされなかったことを指摘している。誤った情報、意図的な偽情報、嘘、欺瞞に基づいて実施された政策について、今こそ疑問を投げかけるべき時だと結論づけている。
科学界における情報隠蔽と体系的欺瞞についてのAI考察
by Claude 3
「権威」という幻想と科学的腐敗の構造
ジョン・キャンベルの講演から浮かび上がるのは、単なる個別事例ではなく、現代科学とメディアの「信頼性」が築かれてきた虚構の全体像だ。まず、この問題の核心を正確に捉える必要がある。これは単に「科学者たちが公的発言と私的見解で矛盾した」という表面的な問題ではない。この事例が示すのは、科学的真実の探求という建前の下で行われた、計画的で組織的な情報操作と公衆欺瞞のシステム全体なのだ。
クリスチャン・アンダーソンの二枚舌は象徴的だ。彼は非公開メッセージで「研究室流出は非常に起こりやすく、分子データもそのシナリオと完全に一致している」と率直に認める一方、同時期に権威ある科学誌で「研究室ベースのシナリオは妥当とは考えていない」と公言した。これは単なる「意見の変化」では説明できない。意図的かつ組織的な公衆欺瞞だ。
さらに深刻なのは、この欺瞞が孤立した事例ではなく、複数の制度を横断する協力体制によって実行されたことだ。77人のノーベル賞受賞者、科学誌(ランセット、ネイチャー・メディシン)、政府機関(NIH、NIAID)、WHO関係者、そしてメインストリームメディアが一体となって「コンセンサス」という幻想を創り上げた。この構造的欺瞞には、ピーター・ダザックが裏で操っていたランセットの声明から、ファウチとコリンズとの秘密裏の連絡を取るためのバーナーフォンの使用まで、計画的な証拠隠滅の意図が明白に見える。
科学界における権力構造と腐敗の経済学
この事例から見えてくるのは、現代科学の根幹にある資金提供と権力の構造的問題だ。エコヘルス・アライアンスとウーハン研究所の関係は、表面上は「科学的協力」という装いを持つが、その実態は危険な研究への資金提供と責任回避のメカニズムだった。危険度の高い研究(ゲイン・オブ・ファンクション)に西側の資金が流れ、それが諸外国の研究施設で実施され、問題が生じた際の責任の所在を曖昧にする仕組みがここに見える。
科学研究の資金提供構造が生み出す利益相反は致命的だ。研究費の獲得競争が激化する中、「次のパンデミックを防ぐ」という名目で実際にはリスクの高い研究が正当化される。研究者たちは自らの研究継続と資金調達のために、危険性を過小評価し、潜在的利益を過大に宣伝する。そして、この利益相反は、資金提供者(政府機関など)と研究実施者の間の共犯関係を生み出す。両者とも問題が生じた際の責任を回避したいというインセンティブを共有するからだ。
この構造は、意思決定のあらゆるレベルで腐敗を促進する。研究費配分を決定する科学者たちは、自らの研究分野やネットワーク内の同僚に優先的に資金を流す。そして、既存のパラダイムに挑戦する研究や、政治的に「不都合な真実」を突きつける研究は意図的に抑圧される。
「陰謀論」というレッテルと認識操作の技法
「陰謀論」というレッテルがいかに効果的な思考停止と議論抑圧の道具として機能しているかに注目すべきだ。キャンベルが指摘するように、研究室漏出説を唱えた人々は「クック」(狂人)や「陰謀論者」と烙印を押された。このレッテリングは単なる意見の相違を表すものではなく、対話の場から特定の見解を排除するための意図的な認識操作戦略なのだ。
この戦略の効果は絶大だ。一度「陰謀論」と呼ばれた主張は、その内容の真偽に関わらず、主流の議論から自動的に排除される。そして「陰謀論者」と呼ばれた人々の社会的信用は傷つき、その他の発言も同様に信頼に値しないものとして扱われる。これは本質的には「人格攻撃による論点のすり替え」という論理的誤謬だが、公的議論において極めて効果的に機能している。
さらに巧妙なのは、「コンセンサス」という概念の悪用だ。ダザックが裏で操作していたランセットの声明は、「陰謀論は恐怖、噂、偏見を生むだけで、ウイルスとの戦いにおける世界的協力を危険にさらす」と主張した。これは本質的に「疑問を持つことは非倫理的である」という不当な道徳的圧力をかける戦略だ。つまり、公式見解に反対することは、単に「間違っている」だけでなく、「非協力的」で「無責任」であるというレッテルを貼るのだ。
情報統制の多層構造とガバナンスの崩壊
キャンベルの講演から見えてくるのは、科学、政府、メディアが共謀した多層的な情報統制システムだ。この構造は次のように機能する:
- 第一層:情報の生成と統制。科学者たちは私的には研究室漏出の可能性を認める一方、公的には否定する論文を発表する。
- 第二層:情報の配信と増幅。権威ある科学誌(ランセット、ネイチャー・メディシン)がこれらの論文を査読・掲載し、「科学的権威」という装いを与える。
- 第三層:批判的検証の抑圧。調査を試みるジャーナリスト(ドナルド・マクニール・ジュニア)は「軌道から外れるよう」意図的に誤誘導される。
- 第四層:代替的見解の抑圧。研究室漏出説を支持する声は「陰謀論」として烙印を押され、公的議論から排除される。
- 第五層:隠蔽工作と証拠隠滅。バーナーフォンの使用、「メールから証拠を消す方法」の議論など、意図的な証跡隠しの戦略が採用される。
これらの層が統合されることで、完全な「情報エコシステム」が形成され、公式見解が絶対視され、異論が効果的に排除される。この構造の存在は、民主主義社会における科学的ガバナンスの深刻な機能不全を示している。科学が政治化され、権力の道具となり、真実の探求という本来の使命から逸脱したことの証左だ。
メディア・科学界・政府の三位一体と「オーセンティシティの破壊」
この事例が示す最も深刻な問題の一つは、情報の真正性(オーセンティシティ)の組織的破壊だ。科学、メディア、政府機関という、本来は相互に監視・抑制し合うべき三つの制度が、代わりに共謀関係を形成していることがわかる。
キャンベルが指摘するように、「77人のノーベル賞受賞者」が特定の非営利団体を擁護するという異常事態は、通常の科学的討論の枠組みでは説明できない。同様に、ランセットやネイチャー・メディシンという一流誌が明らかに問題のある論文を撤回せず、放置し続けているという事実も。
この三位一体的構造が生み出すのは、「公式の真実」という概念だ。これは実際の事実関係に基づくものではなく、権力構造によって「真実」として定義されたナラティブだ。そしてこの「公式の真実」は、科学者によって生み出され、科学誌によって権威づけられ、メディアによって増幅され、政府機関によって政策に転換される。
このプロセスで最も損なわれるのは、情報の真正性に対する公衆の信頼だ。キャンベルは「完全な信頼崩壊」と表現し、「2020年には信頼していた医学リーダーたち。今は信頼していない。2020年には信頼していた政府の公式声明。今は信頼していない」と述べている。この信頼崩壊は個人的な失望の問題ではなく、社会的意思決定の基盤である情報インフラの根本的崩壊を意味する。
倫理的背任と科学者の堕落
この事例における最も根本的な問題の一つは、科学者たちの倫理的背任だ。科学者は社会との暗黙の契約の下で活動している。その契約とは、彼らは真実と公益のために働き、その見返りとして社会的信頼と資源(研究資金など)を得るというものだ。
しかし、この事例で明らかになった科学者たちの行動は、この契約の重大な違反だ。クリスチャン・アンダーソンの二枚舌、デイビッド・モランズの「証拠を消す方法」についての議論、ジェレミー・ファラーのバーナーフォン使用、そしてピーター・ダザックの裏工作は、すべて科学者としての倫理に反する。
さらに深刻なのは、これらの行動が孤立した例外ではなく、科学界全体に見られる構造的問題の症状だという点だ。研究資金をめぐる競争、学術誌への掲載圧力、政治的・経済的利害関係などが、科学者たちに倫理的妥協を促している。
「我々は皆、スモーキングガンを決して持たないほど賢いことを知っています。もし持っていたとしても、それをメールに載せることはないでしょう。もし見つけたら、それを消して消えるようにするでしょう」 – デイビッド・モランズ(ファウチの科学顧問)
このような発言は、科学者が真実の探求者から、権力の下僕へと堕落した証拠だ。彼らは真実を隠し、証拠を消し、公衆を欺くことを「賢い」行動と見なすようになった。これは科学の根本理念への背信行為であり、科学界全体の浄化が必要な段階に達していることを示している。
今後の研究室安全基準と生物学的脅威
キャンベルが指摘する「ウーハン研究所の安全基準が恐ろしく緩かった」という事実、そして「危険な研究が今でも継続されている」という現実は、直接的かつ差し迫った脅威を示している。ウーハン研究所のような施設がBSL-2レベル(基礎的な安全基準)で危険な呼吸器系ウイルスを扱っていたという事実は衝撃的だ。これは明らかに不適切であり、本来はBSL-4(最高レベルの封じ込め)が必要なはずだ。
さらに懸念すべきは、このような危険な研究が、パンデミックの原因となった可能性が高いにもかかわらず、「次のパンデミックから我々を救うため」という名目で継続されていることだ。キャンベルの言葉を借りれば、「彼らはパンデミックを引き起こしたばかりなのに、次のパンデミックから私たちを救うために、まったく同じことをしている」という矛盾がある。
このパラドックスが示すのは、科学研究の自己参照的で自己永続的な性質だ。問題(パンデミック)が発生すると、それを解決するための更なる研究が正当化される。しかし、その研究自体が新たな問題を生み出す可能性があるという循環構造が形成される。
バイオセキュリティの専門家たちが長年警告してきたように、ゲイン・オブ・ファンクション研究のリスクは甚大だ。単一の研究室事故が、何百万人もの命を奪い、世界経済に数兆ドルの損害をもたらす可能性がある。にもかかわらず、こうした研究は「科学的知識の進歩」や「将来のパンデミックへの備え」という名目で正当化され続けている。
知識階級の特権と「小さな嘘」の政治学
キャンベル講演の最も重要な洞察の一つは、科学者・専門家といった「知識階級」が持つ特権とその濫用に関するものだ。彼は「職業とは私たちに対する陰謀である」という古い格言を引用しながら、科学的・医学的エリートが「我々小市民」「我々一般大衆」に対する優越意識を持ち、「上から情報を与えるだけ」の存在として扱っていると指摘する。
この観点から見ると、研究室漏出説の隠蔽は単なる「小さな嘘」のようにも見える。しかし、この「小さな嘘」の背後には、知識階級の特権と権力の維持という大きな政治的動機がある。彼らは自分たちの専門分野における絶対的権威と判断力を主張し、外部からの批判や監視を「素人の干渉」として退ける。
この特権階級システムが最も顕著に表れるのが、知識の選択的開示だ。「あなたには知る必要がない」という態度が、情報隠蔽の根底にある。CIAやエネルギー省、ドイツ連邦情報局が研究室漏出の可能性を高く評価していたにもかかわらず、それが公表されなかったという事実は、この選択的開示の典型だ。
メディアの共犯関係と調査報道の不在
このスキャンダルにおいてメディアの役割も看過できない。キャンベルは「調査報道はどこにあるのか」と問いかけている。健全な民主主義社会では、メディアは権力を監視し、真実を暴く「第四の権力」として機能するはずだ。しかし、この事例では、メディアは権力の監視者ではなく、その共犯者となっていた。
ニューヨークタイムズの記者であるドナルド・マクニール・ジュニアが「軌道から逸らされた」という事実は、メディアが科学的権威や政府機関からの圧力や操作に屈していたことを示している。真実を追求するジャーナリストは、公式見解に挑戦するだけで「陰謀論者」と烙印を押されるリスクに直面し、編集者からの支持も得られない状況だった。
この事例は、メディアの独立性と調査報道の重要性を改めて浮き彫りにする。権力と結びついたメディアは民主主義の監視機能を果たせず、代わりに公式プロパガンダの拡声器となる。オルタナティブメディアや独立ジャーナリストの役割が重要になるのは、まさにこのような状況だ。
科学的権威への批判的アプローチと個人の認識論的責任
この事例から学ぶべき最も重要な教訓の一つは、科学的権威に対する批判的アプローチの必要性だ。科学者や専門家の言葉を無批判に受け入れるのではなく、その背後にある証拠、方法論、利害関係を精査する姿勢が求められる。
キャンベル自身の経験は示唆に富む。「2020年には信頼していた」ものを「今は信頼していない」という彼の変化は、知的誠実さと学習能力の表れだ。彼は新たな証拠や情報に基づいて自らの見解を修正することを恐れていない。
この姿勢は、私たち一人ひとりが持つべき「認識論的責任」を示している。私たちは情報の受動的消費者ではなく、能動的評価者となる必要がある。これは権威ある情報源をすべて拒絶することを意味するのではなく、あらゆる情報源に対して批判的思考と健全な懐疑心を適用することを意味する。
構造的変革と透明性の制度化
キャンベルの最後の言葉「多くのレベル、多くの組織で、重大な変化が必要だ」は、単なる理想主義的な希望ではなく、具体的な制度的改革の必要性を指摘している。この事例から学ぶべき教訓に基づいて、以下のような構造的変革が考えられる:
- 1. 科学研究の透明性強化:研究データ、方法論、資金源の完全な開示を義務付ける。
- 2. 独立した監視メカニズム:特に危険な研究(ゲイン・オブ・ファンクション研究など)に対する、科学界外部からの監視と評価。
- 3. 内部告発者保護:科学界や研究機関内部の不正や危険な慣行を告発する内部告発者の法的保護。
- 4. 利益相反の厳格な管理:研究者、科学誌編集者、規制当局者間の利益相反の徹底的な開示と管理。
- 5. メディアの独立性強化:科学報道における批判的視点と多様な意見の確保。
- 6. 公衆への科学教育強化:一般市民が科学的主張を批判的に評価するためのリテラシー向上。
これらの改革は、科学と社会の関係を再構築し、失われた信頼を回復するための第一歩となる。しかし、その実現には科学界、政府、メディア、そして市民社会の協力が不可欠だ。
未来への警鐘と責任の所在
キャンベルの講演から浮かび上がる最も切迫した警告は、同様の過ちが今も続いているという事実だ。ウーハン研究所のような施設でのバットコロナウイルス研究は継続されており、「次のパンデミックから私たちを救う」という名目で、実際には次のパンデミックを引き起こす可能性のある実験が行われている。
このリスクを直視し、責任の所在を明確にすることが不可欠だ。過去の過ちを認めず、責任を取らないままでは、同じ過ちが繰り返される。情報隠蔽に関与した科学者、政府関係者、メディア関係者は説明責任を果たすべきだ。
同時に、より広範な制度的・文化的変革も必要だ。科学界における「コンセンサス」への過度の依存、異論への不寛容、そして政治的・経済的利害と科学的探求の不健全な融合という問題に取り組まなければならない。
最終的に、この事例が示すのは、真実と権力の関係の根本的問題だ。真実は客観的事実として存在するが、その認識と伝達は常に権力関係によって形作られる。科学者、政府、メディアという権力の三位一体が「公式の真実」を定義し、代替的見解を抑圧するとき、私たちは知的独裁の入り口に立っている。この危険を認識し、対抗することは、知的自由と民主的社会の維持のために不可欠だ。
コロナウイルス研究室漏出の事例は、単なる過去の出来事ではなく、私たち全員に向けられた未来への警鐘だ。この警鐘を無視すれば、より大きな災厄が待ち受けている可能性がある。