CIRS 検査指標・バイオマーカー

強調オフ

生物毒素・カビ毒・3型

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MSH/メラノサイト刺激ホルモン (重要)

正常範囲:35-81 pg/ml
炎症反応・外来微生物からの防御

MSHは、下垂体で産生されるホルモンであり、炎症反応や外来からの微生物に対して防御する役割をもつ。

レプチンはMSH産生に影響を与えるが、過剰なサイトカインがレプチン受容体に干渉する炎症反応によってMSHレベルは低下する。

CIRS患者のMSH欠乏は非常に一般的であり、95%が低値を示す。

治療をおこなっても正常なレベルに戻らないことが多い。

MSH低値の症状

MSH低値は、慢性疲労、慢性疼痛(エンドルフィン産生低下)、不眠症(メラトニン産生低下)、性的機能不全および他のホルモン異常への感受性を高める。

レプチン上昇

健康な人では、レプチンレベルが上昇すると脳により多くのMSHが生成される。

生体毒素関連疾患の患者では、レプチンレベルの上昇が、レプチン受容体とのサイトカイン干渉のためにより多くのMSHの生成をもたらさないことがある。

MSHレベルが上昇しないと身体はより多くのレプチンを産生し、レプチン抵抗性をもたらし、体重増加およびタンパク質の過剰消費を引き起こす。

リーキーガットの促進

MSHは、グリアジンペプチドの増加おいても産生され、炎症を予防するために腸管ゲートを閉鎖する重要な役割も果たす。

そのためMSHレベルが低いと炎症の制御が不能になり、腸管ゲートを開いたままにしてしまい、一般に言われるリーキーガットの症候をもつことになる。

MARCoNS

MSHが低い患者では、80%がMARCoNS(Multiple Antibiotic Resistant Coagulase Negative Staph)を有している。

MARCoNSは、鼻内細菌のAPI-Staph培養により検出される。

MARCoNSはMSHを減少させる毒素を分泌する。

MSHレベルを正常に戻すためにMARCoNSを治療することが重要。

認知症患者ではMSHが低下しているといわれている。

 

TGF-β1/トランスフォーミング増殖因子ベータ1

正常範囲:<2380pg / ml
細胞増殖・免疫系の制御

細胞増殖の抑制、細胞が増殖、分化、運動、破壊(アポトーシス)のプロセス制御に関わるサイトカイン。

炎症の促進または抑制により免疫系(特に制御性T細胞)も制御する。

TGFβ-1のハプロタイプ 11-3-52B

TGF-β1の上昇

TGF-β1の上昇は、免疫応答の過剰応答を示す。

(TGF-β1は自己免疫の抑制にも働く!)

喘息、多発性硬化症、自己免疫疾患、癌など炎症性疾患を有する人において、TGF-β1レベルの上昇がしばしば認められる。

また上昇したTFG-β1は自己免疫を制御する制御性T細胞の機能を損傷し、自己免疫疾患のリスクを高める。

www.herbaltransitions.com/TGFBeta1.html

シューメーカー博士によるTGF-β1高値への対処

ロサルタン

ロサルタンは、TGF-β1を減少させる。

TGF-β1が顕著に高い場合(>5000) ロサルタンを使用し5000以下に回復するまで用いる。25mg×二回/日

 

ロサルタンのTGF-β1低減作用

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29505736

ロサルタンのTGF-β1低減作用機序

www.tmd.ac.jp/mri/cph/members/PDF/nikkei_marfanARB.pdf

クルクミン

クルクミンは強力な抗炎症剤でありTGF-β1レベルを減少させることが実証されている。

黒胡椒、天然のウコンはアフラトキシンの問題があるため避けること。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3144156/

クルクミンのPPARγ活性を介したTGF-β1抑制

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3609782/

複数の標的を介したクルクミンのTGF-β1阻害作用

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3495222/

グルテンフリー

高グリアジン抗体(AGA)が陽性の場合は、TGF-β1が回復するまでグルテンフリーにする必要がある。

制御性T細胞CD4 + CD25 ++細胞が少ない場合もグルテンフリーにする。

カビ毒

カビ曝露があるとVIP治療によってTGF-β1は上昇する。

ライム病の場合は、制御性T細胞CD4 + CD25 ++細胞とTH-17細胞の不均衡が存在する。

blog.bulletproof.com/126-dr-ritchie-shoemaker-on-surviving-mold-podcast/

biotoxinjourney.com/tgf-beta1-turmeric/

 

C4a/補体フラグメント4a

基準値50~250ng/ml 正常範囲:0〜2830ng / ml
先天性免疫

C4aは、補体カスケードと呼ばれる先天性免疫系の特定のプロセスを活性化させることに関与するバイオマーカー

WDBの評価

水災害を受けた建物の曝露(WDB)による免疫応答の評価にもっとも有用。

C4a高値

C4aレベルの上昇は、免疫細胞である好塩基球や肥満細胞を活性化し、平滑筋の収縮を増やし、血管透過性を高め、ミトコンドリアの機能障害を引き起こす。

呼吸困難、疲労、思考や記憶障害、認知能力の機能障害が症状として上げられる。

シューメーカー博士によると、C4a高値は、毛細血管への血流の減少による脳への影響によって、認知能力の低下を引き起こす。

 

MMP-9/マトリックス・メタロプロテアーゼ9

正常範囲 85-332ng/ml
MMP-9の機能

MMP-9は、MMP-9遺伝子によってコードされる酵素。

MMP-9ファミリータンパク質は、胚発生、生殖、組織の再構成など正常な生理学的なプロセス、疾患における細胞外マトリックスの分解に関与しており、組織修復に関わる亜鉛依存性酵素のひとつでもある。

血液脳関門の破壊

血管壁の細胞膜の破壊に関与する酵素であり、血液脳関門を破壊するため、CIRS感染者、アルツハイマー病患者両者とって重要なマーカーとなる。

サイトカイン活性はMMP9を増加させるため、MMP9はサイトカインのシークレットマーカーでもある。

関連疾患

神経突起成長、血管形成、排卵、創傷治療、骨形成など、多くの疾患でMMP9が増加する。

癌、炎症性疾患、ストレス、肥満、心疾患、高血圧、関節炎、糖尿病、多発性硬化症

VEGF/血管内皮増殖因子 

正常値 31-86 pg/ml
血管の成長

血管内皮増殖因子VEGFは、血液循環が不十分な場合酸素を供給するために、血管の成長を刺激する細胞を刺激する、新しい血管を作るためのシグナルタンパク質。

毛細血管の血流が減少して酸素供給が低下すると、低酸素誘導因子HIFが放出される。

HIFはVEGFとエリスロポエチン(EPO)の産生を刺激する。

VEGFは血管を新しく作り、EPOは赤血球の産生を増加させることで細胞への酸素供給を増加させる。

VEGF低値

VEGFの欠乏は生物毒素曝露の患者に非常に一般的に見られる。

CIRSではサイトカインレベルが高いことによって、VEGFが抑制される。

そのため組織への酸素供給が不十分となり、筋肉の痙攣、ポストリッチ症が起こる。

一般的には、ガンとの関連が指摘されており、抗VEGF薬が、がん治療の候補として上がっている。

ADH/抗利尿ホルモン

正常範囲 1.0〜13.3pg / ml
水分量の調節

バソプレシンとしても知られている抗利尿ホルモン(ADH)は、視床下部で産生されるホルモンであり、体内の水分を制御し保持する。

浸透圧は、血液(血清)の流体部分にあるナトリウム、カリウム、カルシウムなどの濃度と関連する。

ADH低値・塩分と水分の不均衡

生物毒素の患者では、ADHが低い(または高すぎる)が浸透圧が比較的高い(または低すぎる)ことで、、塩分と水分のバランスの調節が不十分であることが明確に示されている。患者は、頻繁な排尿、脱水、過度の渇き、および脱水関連の片頭痛を経験する。

血液中のナトリウム(塩分)レベルが水分不足のために上昇するので、患者の汗にはより多くの塩分が含まれる。増加した塩分によって、静電気による電気ショックを増加させる電池のような電気特性を生じさせる。

浸透圧の正常範囲 278〜305mOsm / kg

高コルチゾール血症、低体温症および他の異常が含まれる。

検査結果の異常には、MARCoNS(複数抗生物質耐性凝固酵素陰性ブドウ球菌)による鼻腔内コロニー形成および視覚コントラスト感度試験の低下を伴うことが多い。

VIP/血管作動性腸ポリペプチド

正常値 23-63 pg/ml
神経ペプチド

血管作動性腸管ペプチドVIPは腸、膵臓、脳の視床下部を含む体の多くの場所で産生される非常に重要な神経ペプチド。MSHと同様に、VIPは体全体の炎症制御に寄与する。

血流調節

VIPはまた、血流を調節し、肺動脈(心臓から肺への酸素を拾う動脈)の運動応答を調節するのに役立つ。VIPレベルが低い患者では、運動中に肺動脈の圧力が高まり、息切れや運動困難を引き起こす。

VIPリプレイスメント12は、慢性疾患患者の健康を回復させるDr. Shoemakerプロトコルの重要な最終ステップ。

レプチン

男性:0.5-13.8ng / ml
女性:1.1〜27.5ng / ml
満腹ホルモン

レプチンは「満腹ホルモン」として知られており、脂肪細胞によって産生される。

レプチンは空腹を妨げることによってエネルギーバランスの調節を行う。

レプチン高値・体重増加

レプチンレベルの高値は体内に蓄積された脂肪の量を増加させ、体重増加を引き起こす。

生物毒素関連疾患では、サイトカインが視床下部のレプチン受容体に結合し、レプチンシグナル伝達を妨げ、レプチン抵抗性を生じる。レプチン抵抗性による体重増加は、CIRS患者において一般的である。

ACTH・コルチゾール

ACTH正常範囲 8〜37pg / ml

コルチゾール正常範囲 午前中:4.3-22.4 午後:3.1-16.7 ncg/dl
コルチゾールの生成

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、副腎にコルチゾールを生成させるために下垂体から放出される非常に重要な調節ホルモン。

コルチゾールは副腎によって生成されるステロイドホルモンであり、グルコース(血糖)生成、肝臓でのグリコーゲン貯蔵の調節、免疫調節、そして一般に「闘争または逃走」と呼ばれるストレスへの身体的反応の準備に関与する。

コルチゾールの概日変動

コルチゾールは規則的なパターンで放出される。

早朝に上昇し(午前8時頃にピークを迎え)、夕方に降下する。

不規則なコルチゾール変動

炎症や長期の病気によって引き起こされる慢性ストレスは、コルチゾールの概日リズム産生を不規則にし、睡眠障害、血糖不均衡、または感情的なストレスなどの日常のストレス要因に対処する能力を損なわせる。

通常、コルチゾールレベルが上昇または下降すると、ACTHの産生を調節するための信号が視床下部に、そして脳下垂体に送られる。

CIRS患者では、このフィードバック機構はホルモン調節不全のために遮断され、昼間の疲労、夜間不眠、めまい、低血糖などの症状を引き起こす。

AGA(抗グリアジン抗体/Anti-Gliadin Antibodies)

正常範囲 0-19units
グルテン

グルテンは、小麦、大麦、ライ麦などの特定の穀物に含まれるタンパク質。グルテンは約45%のグリアジンと55%のグルテニンで構成されている。

グルテン・セリアック病・認知症 関連研究のまとめ
概要 グルテンとは グルテンとは小麦に含まれるタンパク質の一種。グルテンは何百もの複雑な混合物であり、主にグリアジンとグルテニンの混合で構成されている。ライ麦のセカリン、大麦のホルデイン、オート麦のアヴェンジン、などもすべて総称としてグルテンと呼ばれる。 ライ小麦、麦芽、カムート
グリアジン抗体

抗グリアジン抗体(AGA)は、グルテン中に見出されるグリアジンに応答して産生される。セリアック病に寄与する抗体の1つ。

健康なヒトの体内ではグリアジンはアミノ酸ペプチドに分解される。

腸管細胞のゲートを阻害

腸の細胞(腸管上皮細胞)は二重扉(インターロックゲート)のように閉鎖されており、分解されたアミノ酸ペプチドを取り込むには、細胞の開口部を形成しなければならない。

健康な人であれば、これらの細胞の開口部は、ペプチドを一度通過させた直後に閉じるようになっている。

一部のCIRS患者およびセリアック病患者では、グリアジンペプチドが腸細胞間の開口部が適切に閉鎖されるのを阻害し、それによって炎症性および免疫反応を引き起こす。

この場合、グルテンを含まない食生活に厳密に従うことが鍵となる。

PAI-1/Plasminogen Activator Inhibitor-1

血液凝固のバイオマーカー

・プラスミノゲンアクチベーターインヒビター-1(PAI-1)

・抗カルジオリピン抗体(ACA)

・フォンビルブラント因子/Von Willebrand Factor

これらの3つのバイオマーカーすべてが血液凝固において役割を果たす。

PAI-1の上昇

CIRSのような炎症状態は、血餅の形成ならびに線維症(結合組織の異常な形成)を増加させるPAI-1の上昇を引き起こす可能性がある。

抗カルジオリピン抗体(ACLA)

ACLAは、細胞膜中のリン脂質タンパク質を妨害することによって、ヒトの組織を標的とする抗体である。

ACLAは、強皮症および狼瘡などの結合組織障害において上昇し、初産の妊娠中絶と関連する。

PAI-1とACAの組み合わせ

同時に、PAI-1とACAの組み合わせは、脳卒中、心臓発作、および深部静脈血栓症(DVT)のリスクを強く増加させる。

CIRS患者においては、血液が適切に凝固することを防止し、女性では、鼻血などが見られる後天性フォンビルブラント症候群発症の可能性を示す。

その他

HPA軸の過剰活性

ストレスによって誘発される神経の再編成 うつ病とアルツハイマー病をつなぐ概念的枠組み
Stress Induced Neural Reorganization: A Conceptual Framework Linking Depression and Alzheimer’s Disease 要旨 慢性ストレスは、精神疾患や神経変性疾患だけでなく、心血管疾患、肥満

認知テスト

皮質に問題をきたすので、100-7などの計算問題に支障が出やすい。

www.moldillnessmadesimple.com/mold-illness-in-children-cirs-kids-dr-scott-mcmahon/

SOCS3 サイトカインシグナル抑制因子3

Suppressor of cytokine signaling 3
en.wikipedia.org/wiki/SOCS3

SOCS3の上昇がCIRSと関連している可能性

直接経路

カビなどに含まれるマイコバクテリアは、直接SOCS3を刺激する。

間接経路

炎症性サイトカイン(IL-6、IL-10、IFN-γ)のカスケードによる増強が始まると、体はSOCS3を産生して、この応答を抑制しようとする。

そのため、毒素への曝露 → 炎症性サイトカインの増強 → SOCS3の増加

という間接的に増強させる経路が考えられる。

SOCS3が低下するその他の原因

Sirt1不活性 → 視床下部のSOCS3を減少 → レプチン抵抗性低下

SOCS3が引きおこす問題

レプチン抵抗性、肥満、耐糖能異常を引き起こす。

レプチン抵抗性増加 → MSH低下

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