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概日リズム障害とアルツハイマー病(作成中)

サーカディアンリズム

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はじめに

すべての生物は24時間リズムをもっている
地球の自転周期による昼夜の24時間サイクルによって、光(UV)、気温、pH、酸素、活性酸素種など多くの変化が環境では生じており、地球上の生物はこの環境に適応することによってより有利になった。

現在、知られる限り地球上で24時間の概日リズムのメカニズムをもたない生物は存在しない。

60兆個の時計遺伝子

時計遺伝子とは概日リズムの発生に必要な遺伝子の一群をさし、概日リズムの下流での生成経路の活性因子として重要な役割を果たしている。

ja.wikipedia.org/wiki/時計遺伝子

動物にでは大脳視床下部に位置する視交叉上核(SCN)が中心となって概日リズムの同期を制御することが知られている。(中枢時計)

さらに最近の研究で、ヒトでは生殖細胞をのぞく60兆個すべての細胞が概日リズムの仕組み(末梢時計)を備えているがわかってきた。

アミロイドβの概日リズム

ヒトの概日リズムを示す代表的なものには、睡眠、覚醒、コルチゾール(グルココルチコイド)、成長ホルモン、メラトニン、体温、血圧、免疫応答、さらにはアミロイドβ!まで非常に多く概日リズム因子が存在する。

健常者の通常の生活においてはこれらの周期(位相)に個人差はほとんどないが、概日リズム障害、うつ病、神経変性疾患、アルツハイマー病などの精神・神経障害において周期がずれていたり、変動幅が喪失していることが多くの研究によって報告されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25774133/

25時間の体内時計

体内に固有に備わる体内時計は実際には約25時間と24時間よりも少し長く、外因的な環境(特に光)が途絶えると環境の時間周期とずれていくことがわかっている。

そのため環境の外因的刺激(同調因子)によって、内因的リズムを微調整することで体内の概日リズムと環境が同調するようになる。

同調にもっとも重要な役割を果たす因子は光だが、それ以外に食事、運動、温度、湿度、騒音、振動、社会的事象(仕事、家庭、定時の作業、認知活動など)などによっても調節される。

健常者の概日周期

概日リズムを示す体内の因子は相互に影響を与えうるが、それぞれのピーク時間は異なる。

ヒトは昼行性であり、夜行性であるマウスやラットなどとはピークが真逆になる(12時間のズレ)ことがあるが、すべての位相が反対になるわけではない。

  • 0時 グレリンの上昇
  • 1時 コリン作動性の最下点(ラット)
  • 2時 BMAL1のピークコリン作動性活性の最下点(ラット)、最も深い睡眠
  • 2時30分 グレリンのピーク→成長ホルモン
  • 3時 TRHの急上昇→TSH→T4,T3、メラトニン濃度のピーク
  • 4時 体温の最下点
  • 6時 コルチゾールのピーク、VIPの上昇、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)
  • 6時45分 血圧の上昇の開始
  • 7時 CRH、ACTHの上昇
  • 9時 テストステロンのピーク
  • 9時-12時 レプチンピーク
  • 10時 コリン作動性活性のピーク(ラット)、最高の注意力、健常者の脳脊髄液アミロイドβ40,42のの最下点、Rev-erbα(Nr1d1)(ラット)
  • 12時 エストロゲンのピーク、Nrf2の上昇の開始
  • SCN ZT6 Per1,Per2,Dec1,Dec2ピーク(ラット)
  • 14時 胆汁酸合成、TG合成
  • 14時30分 最大の協調、マルチタスク能力
  • 15時30分 有酸素運動能と筋力のピーク
  • 17時-18時 男性BDNFのピーク(女性BDNFはより可変的) ラットでは脳内のBDNFは逆相を示す
  • 18時 Nrf2のピーク、VIP最下点
  • 18時30分 ANF、ADHの変化 血圧ピーク
  • 19時 深部体温のピーク
  • 21時 メラトニン分泌の開始
  • 22時 健常者の脳脊髄液アミロイドβ40,42のピーク、オレキシン濃度のピーク
  • 23時 プロゲステロンのピーク

「circadian rhythm」の画像検索結果

en.getmoona.com/blogs/mission-sleep/how-your-circadian-rhythm-influences-your-sleep

徐波睡眠(SWS)

ぐっすり睡眠

ノンレム睡眠で出現する脳波の低い周波数(2~4Hz)が中心となる睡眠を徐波睡眠と呼び、ヒトにおいてはステージ3とステージ4がそれに該当し、総睡眠時間の20%を占める。

このステージはヒトでは深い睡眠に該当し,健常者ではぐっすり眠れた感覚と関連すると考えられている。

徐波睡眠の主な役割は、日常的な活動からの回復と考えられており、徐波睡眠注は脳内のグルコース代謝が増加し、成長ホルモンが最も多く分泌される。

en.wikipedia.org/wiki/Slow-wave_sleep

加齢・認知症により減少する徐波睡眠

健常若年成人における徐波睡眠の出現は睡眠の初期の3分の1に頻繁に見られるるが、その量は加齢と共に減少していくことが知られている。

認知症の初期においても、徐波睡眠が同年代の健康成人よりも減少しており、睡眠依存性の記憶統合を妨げることによって記憶障害に寄与することが示唆されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22300710/

徐波睡眠中では脳の代謝率が43.8%低下する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2350676

徐波睡眠不足によって増加するアミロイドβ

徐波睡眠はシナプスからのアミロイドβ放出を低下させることで、間質液中のアミロイドβ濃度へ強く影響を与える。睡眠不足などにより徐波睡眠が得られない場合、より高いアミロイドβレベルの放出をもたらす。

徐波睡眠中の低いコリン作動性によって記憶統合が行われる

AChE阻害薬であるフィゾスチグミン投与は、ラットの徐波睡眠による記憶の統合を妨げた。これは、海馬の記憶統合と再生そして新皮質における長期記憶には徐波睡眠の低いコリン作動性レベルが必要であることを予測する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14766981

ドネペジルが徐波睡眠を増強?

健常高齢者へのドネペジル投与(5mg)はステージ2ノンレム睡眠中のシグマ活性の増加と徐波睡眠中のデルタ活性の増強をもたらした。これらは睡眠中の神経可塑性を促進することを示唆する。

これは、低レベルではあるが一定レベルのアセチルコリンがノンレム睡眠中の記憶統合に不可欠であることを示唆する。

www.thieme-connect.com/products/ejournals/abstract/10.1055/s-0028-1083820

ドネペジルによる慢性的な治療は、アルツハイマー病患者のレム睡眠を増加させデルタ活動を減少させることを示唆する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16494088

ドネペジル投与によるレビー小体型患者のSWSの減少と紡錘体活動の増加

onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1479-8301.2012.00411.x

徐波睡眠を増やす

炎症を鎮める

炎症性サイトカインIL-6、IL-4、IL-10、IL-13、TGF-βは徐波睡眠を減少させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20656013

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10956235

ストレスを緩和する

ストレスによって分泌されるコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)のヒトへの静脈投与は、徐波睡眠を減少させる。GHRHの阻害。

gut.bmj.com/content/42/6/845.full

運動

激しい運動はラット脳の睡眠促進物質であるアデノシンを増加させ、徐波睡眠を増やすことができる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18031936/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3916307

マグネシウム

マグネシウムの経口投与は、徐波睡眠の有意な増加をもたらす。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12163983

バレリアン

バレリアン投与は不眠症患者の徐波睡眠を増加させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10761819

テアニン

テアニンはカフェインによる徐波睡眠の減少を部分的に回復させる。しかし用量依存効果は見られなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22285321

プレグネノロン

プレグネノロンはGABA A受容体へアロステリックに調節することを介して、徐波睡眠を増加させるかもしれない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8395958

プロゲステロン

ランダム化比較試験 閉経後女性へプロゲステロンを300mgを、11時に投与すると徐波睡眠時間は50%増加した。この効果は睡眠が妨げられた時にのみ回復を示した。このことは、プロゲステロンが催眠薬ではなく「生理学的」調節因子として作用することを示す。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21289261

CBD

CBDの投与はラットの睡眠潜時を有意ではないが増加させ、総睡眠時間を有意に増加させた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23343597

THC

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18313952

ケトンダイエット

ケトンダイエットなどの炭水化物の少ない食事は、健康な人のデルタ活動量と徐波睡眠を増加させることが示されている。

en.wikipedia.org/wiki/Delta_wave

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24361452

デフォルトモード・ネットワーク(DMN)

睡眠中に減少するDMN

前頭皮質のDMNは睡眠中に減少することがMRI研究で示されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19549821/

睡眠中のDMN増加はアミロイドβを放出する
質の悪い睡眠は、睡眠時間中のDMN接続の増加をもたらし、ニューロン活動が活性されることでアミロイドβ放出をもたらす可能性が示唆される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21330468/

アルツハイマー病の不規則な睡眠

コルチゾールレベルの日内変動検査において早期アルツハイマー病患者の活動リズムは、健康な同年齢の被験者と同様の活動リズムをもっている。しかし中等度認知症被験者では、活動リズムの安定性が低下しており、睡眠の断片化と睡眠周期の喪失を示した。

しかし概日リズムの乱れの程度は認知症の重症度とは相関していなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14998915/

早期アルツハイマー病患者の睡眠障害

軽度から中等度アルツハイマー病患者の睡眠障害の有病率は24.5%

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15978517/

アルツハイマー病患者の不規則な睡眠・覚醒リズム

高齢のアルツハイマー病患者の睡眠量は変化していないが、睡眠は分散しており、通常の睡眠覚醒が乱され睡眠効率が低下している。

これらは遺伝子、薬、うつ病、および環境要因などの多くの変数が影響となっている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20804113/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23479184/

アミロイドβ

睡眠・覚醒リズムによって調節されるアミロイドβ

アミロイドβ濃度はオレキシンと睡眠・覚醒サイクルによって調節されており、睡眠中に間質液のアミロイドβ量は睡眠遮断によって有意に増加する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19779148/

加齢によって低下するアミロイドβの日内変動

アミロイドβレベルの日内変動は、アミロイド沈着の存在する高齢者ではアミロイド沈着のない健常者と比較して増加が観察されなかった。

アミロイドβの日内変動パターンの減少はアミロイドβ動態の正常な生理機能を崩壊させ、アルツハイマー病の発症に寄与し得る。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21911660/

オレキシン

アルツハイマー病患者の低いオレキシン濃度

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21546124/

85%のオレキシン受容体を喪失したナルコレプシー患者では、アルツハイマー病と同様の神経病理学を有する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21257235/

アルツハイマー病リスク遺伝子と関与するオレキシン

オレキシンシグナル伝達は、海馬の概日リズム周期およびアルツハイマー病リスク遺伝子であるBACE2、ApoEなどの概日周期を調節する。

写真、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はsrep36035-f7.jpgです。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27796320

BMAL1,CRY1,PER1周期性の喪失

前臨床および臨床アルツハイマー病患者の松果体では、BMAL1、CRY1、 PER1の周期的な発現が失われている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23273723/

コルチゾール

健常者のコルチゾールは早朝に上昇し夜間に最低値を記録する。

この変動は、アルツハイマー病、または認知症が疑われる個人において観察される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14998915/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9263193/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26858531/

メラトニン

アルツハイマー病に加えてパーキンソン病、ハンチントン病においてはこのコルチゾールの変動性が平坦化している。

夜間のメラトニン分泌の減少は、認知症症状の兆候を示す個人において観察されており、日中の眠気の強さと関連している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14671188/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24566763/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10071710/

深部体温

深部体温の順応能力の低下

健常者と高い頻度で夜間活動を行うアルツハイマー病患者の深部体温の概日リズム変動に差はなかったが、アルツハイマー病患者では深部体温を順応させるタイミングが遅れていた。

このことはアルツハイマー病患者が体温を概日リズム周期と同期させる能力が低下している可能性があることを示唆している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8532109/

パーキンソン病における体温調節とレム睡眠行動障害との関係

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23991135/

夕暮れ症候群(日没症候群)

認知症患者における日没から夜の間で高まる混乱、不安、うつなどの神経精神症状(NPS)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16409163/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11329390/

アルツハイマー病患者の20%

アルツハイマー病と診断された患者の最大で20%が夕暮れ症候群を経験する。

この減少は血管性認知症、前頭側頭型認知症、レビー小体型認知症に関しても報告されている。

www.alz.org/help-support/caregiving/stages-behaviors/sleep-issues-sundowning

非薬理学的アプローチ

認知症に関わる介護者、看護師、医療関係者など間ではよく知られている症状だが、日没に関する定義の合意が得られていないため、診断のための標準化された基準は策定されていない。

非薬理学的なアプローチを第一選択として検討するべきだとの合意が増しつつある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23168825/

逆効果の向精神薬

夕暮れ症候群の症状に対してベンゾジアゼピン、睡眠薬などの使用を支持する証拠はなく、むしろ逆説的に行動障害(NPS)の増加と関連している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5187352/

コリン作動性の異常

視交叉上核(SCN)はコリン作動性の刺激に対して高い感受性をもっており、アセチルコリンの変性は、日没症候群の根本的なメカニズムとして示されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21115064/

コルチゾール

日没症候群を示すアルツハイマー病患者は、日没症候群を示さない患者よりも有意に高いコルチゾールレベルを有する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24219216/

抗うつ薬、ドーパミン作動性療法

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22216036/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22216036/

認知症患者の夕焼け症候群と関連する要因

神経生物学的因子
  • 視交叉上核の変性
  • メラトニン産生の減少
  • 概日リズムの乱れ
  • コリン作動性神経伝達障害
  • HPA軸の調節異常
薬理学的因子
  • 抗精神病薬
  • 抗コリン作用薬
  • 抗うつ薬
  • 催眠剤
生理的要因
  • 疲労
  • 空腹・飢餓
  • 満たされていない身体的または心理的な欲求
  • 体温の概日リズム変化
  • 血糖値の概日リズム変化
  • 血圧の概日リズム変化
医学的要因
  • 睡眠障害
  • 感覚の剥奪
  • 疼痛
  • 気分障害、気分変動
  • 認知障害(失語症など)
環境要因
  • 不適切な光量の暴露
  • 居住施設での患者に対する少ない介護職員
  • 在宅介護者の高い不在頻度
  • 介護者の疲労
  • 環境からの過大な刺激(ランダムな雑音)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5187352/

BMAL1

Bmal1は代謝を調節する遺伝子であり、時計遺伝子を含むゲノムの150を超える部位を標的とする。

mcb.asm.org/content/30/24/5636

概日リズム、高血圧、糖尿病、肥満に対する感受性に関与する遺伝子としても同定されている。

BMAL1を分解するアミロイドβ

アミロイドβはBMAL1、CBP1の両者を分解に関わり、下流のPER2の発現を乱すことを示唆している。これはアルツハイマー病において観察される概日リズム障害の重要な原因因子がアミロイドβであることを示唆する。

アルツハイマー病初期のBAML1変化

異常なDNAメチル化がアルツハイマー病の概日リズム変化と関連している。

このエピジェネティクパターン変化はアルツハイマー病初期の病理に起こっており、おそらく異常なBMAL1発現と概日リズム障害をもたらす。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27883893

BMAL1の低下による神経変性

BMAL1発現の低下は睡眠・覚醒リズムが維持されているにも関わらずマウスの神経病理を引き起こした。

抗酸化反応の重要なメディエーターであるNQO1とALDH2の両方はBMAL1によって直接的に調節されており、BMAL1の低下が脳の酸化還元防御遺伝子の発現を損なうことで酸化ストレスを悪化させ、神経変性を促進する可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24270424/

血液脳関門の完全性

Bmal1の破壊は血液脳関門の完全性を損なう。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28912161

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24442997

体内時計は血液脳関門の維持に重要

research-er.jp/articles/view/63349

REV-ERBα(Nr1d1)

核内受容体REV-ERBα(Nr1d1)は肝臓代謝において強力な調節機能を示しメタボリックシンドロームと関連していると考えられている。

REV-ERBαは、Bmall1プロモーターに直接結合し、特定の時間帯にREV-ERBα発現レベルが上昇することでBMAL1発現の抑制に重要な役割を果たす。

またBMAL1 / CLOCKも核内受容体REV-ERBα(NR1D1)の発現を誘導する。

Rev-erbα、脂肪酸結合タンパク質7(Fabp7)は概日リズム周期を示し、活性することで海馬神経発生を調節する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24932636/

「Rev-erbα(Nr1d1)bmal」の画像検索結果

ruo.mbl.co.jp/bio/product/circadian/pickup/bmal1-clock-chrono.html

GSK3β阻害剤であるリチウムがRev-erbalphaをリン酸化し安定化させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16484495

IGF-1によるBmal-1活性

EGF、NGFではなくIGF-1のみがBmal1プロモーターの活性を増強する。

GSK3β阻害剤であるリチウムはBmal1プロモーターに対するIGF-1の効果を低下させた。

GSK-3β

「GSK3 circadian rhythm」の画像検索結果

jcs.biologists.org/content/123/22/3837

L-カルニチン

PER1のタンパク質レベルの増加およびBmal1、Per1、Cry1およびDec1のmRNAレベルの増加は、L-カルニチン含有飼料によって明らかに下方制御される。

Bmall1遺伝子

rs6832769

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26782499

Clock

en.wikipedia.org/wiki/CLOCK

rs6832769

Per1(時計遺伝子Period1)

en.wikipedia.org/wiki/PER1

PER1はSCNで発現するCLOCK遺伝子ファミリーメンバー、哺乳類の末梢組織全体に発現しており、哺乳動物の脳の主要な概日リズムのペースメーカーでもある。

PER1は光の合図を借りなくとも概日発現を示すが、光によっても周期的に転写される。

SCNのリセット

網膜に入り神経節細胞で受容された光シグナルは、電気的シグナルに変換され網膜視床下部路を経由して視交叉上核(SCN)へ到達する。

SCNの神経終末からグルタミン酸が放出されSCNのNMDA受容体が活性化される。

NMDA受容体の活性化は、細胞内Ca2+濃度を上昇させカルモジュリンキナーゼのリン酸化を介してCREB(c-AMP応答配列結合タンパク)が活性化する。

CREBの活性化によりPer1遺伝子の転写が促進される。

このメカニズムによってSCNはリセットされる。

science.sciencemag.org/content/320/5878/949

Per1遺伝子とパーキンソン病

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26507264/

Per2(時計遺伝子Period2)

en.wikipedia.org/wiki/PER2

ヒトPER2は睡眠障害と癌形成に関与する。

マウスPER2は強い光によって安定する。PER2の安定化は酸素利用の効率化による解糖能力を増強によって虚血からの心臓保護の役割を果たし心臓発作の危険性を減らす可能性があると推測されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3378044/

PER2の発現

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22634208/

PER1とPER2の強固な協調作用と柔軟性の低さ

短周期のPER1タンパク質と長周期のPER2タンパク質は協調して、概日周期を約24時間に限定しているが、この機構は強固な反面、柔軟性が低い。

柔軟性の低い概日リズムが人工照明の多い現代社会では仇となり、せん妄を始めとする概日リズム障害の素因となっていることを示唆するものである

www.natureasia.com/ja-jp/srep/abstracts/80670

パーキンソン病とPER2

ドーパミンD2受容体の活性化はPER2の発現リズムを調節する。パーキンソン病による線条体ドーパミンの枯渇が概日リズムの異常に影響を与える可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20962226/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21484443/

CRY1

CRYはCLOCK-BMAL1による転写を抑制する、その結果Per遺伝子とCry遺伝子の発現を抑制する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10531061

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10807566

アルツハイマー病患者のCRY1はおそらくSCNの機能的破壊による中断によって増加する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16818472/

CRY2

DEC1

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28730830

DBP

Chrono

GNAT2

VIP

血管作動性腸管ペプチドは、哺乳類神経細胞の概日リズムの同調性を媒介する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15750589/

睡眠とアルツハイマー病発症のフィードバックループ

写真、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はnihms-561990-f0001.jpg

睡眠の質の低下 ← 睡眠時無呼吸症候群 → 低酸素症、炎症カスケード

徐波睡眠の低下 → 神経認知機能の低下

ニューロン活動の増加

アミロイドβの放出

脳間質液のアミロイドβレベルの増加

アミロイド凝集物の形成(前臨床性アルツハイマー病リスク)→ アストロサイト機能不全

症候性アルツハイマー病 → 生活習慣の変化による日光照射のズレ → 睡眠の質の低下(繰り返し)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3979317/

AChE阻害剤の概日リズムへの影響

覚醒時に高まるコリン作動系

コリン作動系は生理的には日中は活性的には働き、夜間は抑制的である。

動物実験では皮質のアセチルコリン放出は睡眠時よりも覚醒時で皮質では約2倍、海馬領域では3倍異なることが示されている。

しかしムスカリン受容体の数はアセチルコリン放出とは逆に、時睡眠中にその数が増加し覚醒時の結合部位は減少する。

europepmc.org/abstract/med/2085868

概日リズムと相反するドネペジルの長い薬理効果

24時間を超える長い作用を有するコリン作動性の薬物は、コリン作動系の生理学と相反することから、記憶の統合作用が妨げられる可能性がある。

アセチルコリン作動系薬物の投与は、投与タイミング、持続時間が考慮されるべき要素である。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16391473

運動によって高まるアセチルコリンの日内変動

アセチルコリンの日内変動サイクルは運動活性に反比例する。

アセチルコリンの放出と貯蔵には相互関係があり、放出が抑制されると貯蔵アセチルコリンは上昇する。

ノンレム睡眠を増強するアセチルコリン

アセチルコリンは覚醒系の神経伝達物質であり、睡眠促進ニューロンを抑制し、睡眠中にアセチルコリンが増強されると睡眠を妨げ、睡眠時間と睡眠効率を低下させる。

これらはノンレム睡眠に影響を与えレム睡眠は強化される。

ノンレム睡眠は宣言的記憶の統合(単語リストと場所記憶)と重要な関わり合いがあると考えられている。

カルバコールパラドックス

アセチルコリン受容体のアゴニストであるカルバコール投与が、光→網膜→SCNの概日リズム位相シフトを引き起こす経路には含まれないにも関わらず、そのような位相シフトをもらたす。この矛盾をカルバコールパラドックスと呼ぶ。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7225860

europepmc.org/abstract/med/8551357

www.jneurosci.org/content/13/4/1454.short

コリン増強によるSCNリセット

SCNにおけるコリン作動性活動は、概日時計の覚醒を誘発するリセット作用を有する。

時間タイミングを考えたSCNのコリン作動性を増強する治療は、アルツハイマー病患者の概日リズムの乱れを改善し、老人施設への入居を減らすかもしれない。

www.pnas.org/content/113/47/13498

ドネペジルによるレム潜時の減少

ドネペジルの投与は(午後8時)うつ病患者のレム潜時(覚醒からノンレム睡眠を経て最初のレム睡眠が現れるまでの70~90分の期間)を減少させ、入眠を遅らせる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11922879

ドネペジルによるレム睡眠の増強と記憶能力の増強

ドネペジル投与(就寝30分前 5mg)は健康な高齢者のレム睡眠を増強させ、記憶能力を増強する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11226748

腸の時計遺伝子

腸管では時計遺伝子が発現しており、腸管上皮の増殖、腸管透過性など遺伝子発現の約30%が概日リズムを示すことが報告されている。

腸細胞の時計遺伝子はおそらく視交叉上核から分泌されるホルモン、ニューロンシグナルによって引き起こされる。

食物同調振動子

腸や肝臓などの末梢組織は、光→視交叉上核の経路によって引き起こされるメカニズムとはまたある程度独立に、食事などの摂取によって時計遺伝子の発現レベルが変化する。

肝臓の同調振動子は80%が食事依存性である。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/4556464/

腸の活動の多くは時計遺伝子によって調節されており、これらの活動が混乱をきたすと胃腸の不快感を引き起こす可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26269217/

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4381220/

腸管のタンパク質吸収

PEPT1

腸管内で加水分解されたタンパク質は、トリペプチドまたはジペプチドとなって腸細胞の表面(頂端膜)にあるペプチドトランスポーター1(PEPT1)を介して取り込まれる。

PPAR-αはPEPT1の発現レベルを低下させるが、概日リズムの調節には関与していない。

胆汁酸分泌は時計遺伝子の制御下にあり、胆汁酸の変動がPEPT-1の変動に関連している可能性がある。

アミノ酸とグルコースの組み合わせによるリセット

アミノ酸とグルコースを組み合わせることによって、ラット肝臓の時計遺伝子は概日リズムのリセットを引き起こすことができたが片方だけではできなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21901130/

タンパク質またはシステイン投与によるIGF-1産生・グルカゴン分泌を介した体内時計の同調

www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2018/009548.php

www.ebiomedicine.com/article/S2352-3964(18)30015-X/fulltext

L-セリンの概日リズム調整作用

L-セリン投与は、この作用はGABA-A受容体を介してマウスの光誘発性の概日リズム位相シフトを増強した。

L-セリン単独(その他のアミノ酸も含む)ではこの増強作用を示されず、光暴露と組み合わせることによってその効果が示された。

またL-セリンは視交叉上核(SCN)の時計遺伝子(Per2、Bmal1)発現の長期的な変化を誘導する。

被験者へのL-セリン投与量3g

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29070712

九州大学(日本語)

www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/186

アミノ酸・L-セリンの神経保護作用

腸管の炭水化物吸収

SGLT1

グルコース、ガラクトースはナトリウム依存性グルコーストランスポーター1(SGLT1)によって腸細胞に取り込まれる。

末梢体内時計の位相にはSGLTが関与する。

academic.oup.com/jn/article/140/5/908/4689043

高血糖による肝臓時計の同調

血糖値を急速にあげる炭水化物(αスターチ)は、そうではないβスターチよりもマウスの肝臓概日時計の位相の遅れを誘発した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23399661/

インスリン

絶食後のマウスへのインスリン注入は、PER2遺伝子およびREV-ERBα遺伝子発現の急激な増加をもたらし位相シフトを引き起こした。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21628550/

腸管の脂質吸収

血漿中のトリグリセリドは日内変動を示す。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/4685092/

胆汁合成は概日リズムを示す。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4381220/

血漿中の脂肪酸の概日変動は食事や睡眠とは関係なく、内因性の概日リズム時計によって駆動されることが示唆される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22308371/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23946426/

コレステロールによるRORα活性

レチノイン酸受容体関連オーファン受容体(RORα)は概日リズムおよび、脂質代謝に関与するいくつかの遺伝子の発現を調節する。

RORαはコレステロールおよびその誘導体を含むステロール、いくつかのレチノイドによって活性化される。(候補としてメラトニン、ピオグリタゾン)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21526899/

オメガ3脂肪酸のリセット作用

DHA・EPAはGPR120アゴニストとして作用することでGLP-1を上昇→インスリン分泌上昇により体内時計のリセットを引き起こす。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29321394

腸内脂質吸収の概日リズム

腸管細胞への脂質の吸収ステップ

胆汁による乳化 → リパーゼによる加水分解 → 輸送体による取り込み

吸収後 脂肪酸結合タンパク質によって細胞内に輸送 → 小胞体にてトリアシルグリセロール、リン脂質、コレステロールエステルの合成に使用 → これらの脂質はカイロミクロンと呼ばれるリポタンパク質にパッケージされる。

いくつかの研究では、カイロミクロンを介した腸内脂質吸収が24時間にわたって有意に概日リズム変化することを示している。

カイロミクロン

カイロミクロンは、リン脂質とコレステロールも含む、非常に大きな球形のトリアシルグリセロールの豊富な粒子。

これらの粒子の表面は、リン脂質単層、遊離コレステロール、いくつかのアポリポタンパク質で覆われている。

カイロミクロンを作るには、アポリポタンパク質B(apoB)とミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(MTP)の2種類のタンパク質が必要。

高脂肪食・PPARγ

高脂肪食は、正常な概日周期を乱すが、それに加えてPPARγなどの遺伝子発現の振動を誘発することにより概日リズム(トランスクリプトーム)の再プログラミングを引き起こす。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24360271/

PPARα

ベザフィブラートによるPPARαの活性化は、ラットの概日リズムによる摂食を促進する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22064158/

PPARαに作用するベザフィブラートの投与はマウスの概日時計の位相を3時間早めた。PPARαはSCNとは無関係に概日時計の制御に関与しており概日リズム障害を治療するための潜在的な薬物治療標的であることを示唆する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17449013/

PPARδ

核内受容体PPARδは暗期の摂食周期において脂質生成遺伝子の概日リズム発現を制御する。

PPARδ発現は夜にピークに達する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24153306/