細胞危険応答 / Cell Danger Response (CDR)

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慢性疾患と細胞危険応答(CDR)

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Self-defense is Nature’s eldest law.   John Dryden

自己防衛は自然界最古の法である。 ジョン・ドライデン

概要

細胞危険応答(CDR)とは

細胞危険応答(CDR)とは、宿主を侵入者から保護するための進化的に備わった細胞およびミトコンドリアの代謝応答であり、カリフォルニア大学サンディエゴ医学部小児科病理学遺伝学教授ロバート・ナビオー博士によって提唱された仮説。

細胞危険応答(CDR)は、炎症、自然免疫、酸化ストレス、小胞体ストレス応答などの他、様々な脅威によって引き起こされ、細胞外ヌクレオチド(プリン作動性)シグナル伝達によって維持される。

健康なヒトの代謝サイクルでは、感染、負傷、ストレス、またはその他の有害な外的要因により細胞の調和が乱されると、細胞危険応答(CDR)による3段階のヒーリングサイクルを代謝させることによって健康な状態に回復する。

「cdr healing cycle」の画像検索結果

Metabolic features and regulation of the healing cycle—A new model for chronic disease pathogenesis and treatment
Without healing, multicellular life on Earth would not exist. Without healing, one injury predisposes to another, leading to disability, chronic disea…

生存のための細胞危険応答(CDR)

しかし、細胞危険応答(CDR)の特定のステージの異常な持続が生じると、臓器の働きに影響を与えヒトの活動を変化させることがある。

これは何らかのエラーというよりは、環境ストレスに対して身体が生き延びるための自然な反応であり、多くの慢性疾患の中心には、こういった細胞危険応答(CDR)の障害(保護応答)が生じている可能性がある。

ウイルス

例えばウイルスを例にとると、ウイルスが細胞に侵入した際、細胞内のミトコンドリアは侵入者の存在を検出する。ミトコンドリアはミトコンドリア内の電子の流れが減少すると、瞬時に反応して酸素消費を減らす。

これは奇妙に思えるかもしれないが、細胞はミトコンドリア内の酸素濃度を上昇させ細胞の酸化還元反応をより酸化的にすることで、細胞をさらなるダメージがから保護することができる。

慢性疲労症候群

慢性疲労症候群(ME/CFS)では、冬眠のようにエネルギー代謝を低下させて生き延びるために、細胞危険応答(CDR)を介して倦怠感や体調不良を引き起こさせて活動を低下させる。

線虫では、低酸素、熱、栄養欠乏などのストレス条件下において闘争も逃走もできない状況に置かれると、フリーズ状態になることが知られている。

 

疾患を引き起こすトリガーに焦点を合わせるのではなく、トリガーによって引き起こされる体内のシステムの持続サイクルと、持続させてしまう理由に焦点をあてることで、慢性疾患を解決させるアプローチへとつながる可能性がある。

Metabolic features of the cell danger response. - PubMed - NCBI
Mitochondrion. 2014 May;16:7-17. doi: 10.1016/j.mito.2013.08.006. Epub 2013 Aug 24. Research Support, Non-U.S. Gov't; Review
Dr. Robert Naviaux – Metabolic features of chronic fatigue syndrome
Robert Naviaux, MD, PhD | ME/CFS Cell Danger Response, Metabolic Features, Low-energy in Nature
Naviaux 博士

Naviaux博士は、ヒト遺伝学、先天性代謝異常症、メタボロミクス、ミトコンドリア医学の国際的に有名な専門家。

ミトコンドリア代謝病センター創立者兼共同ディレクター、Mitochndrial Medicine Society(MMS)の前会長、Mitochondrionジャーナルの創立副編集長を務める。

細胞危険応答(CDR)を引き起こすトリガー

以下のトリガーの総負荷(通常トリガーは複合的)が代謝によって統合され細胞危険応答(CDR)を調節する。

病気を引き起こすトリガーには様々なものがあるが慢性疲労症候群の共通因子にはならない。

生物学的ストレス

ウイルス、バクテリア、真菌、寄生虫

身体的ストレス

熱、塩、pHショック、UV、電離放射線

重金属

鉛、水銀、カドミウム、ヒ素、ニッケルなどの重金属

有毒化学物質

可塑剤ビスフェノールAなどの芳香族化学物質

臭素化ジフェニルエーテル(BDE)などの化学難燃剤

クロルピリホスやDDTなどの特定のハロゲン化合物、農薬類

心理的トラウマ

家族を失う、離婚、経済的貧困など、特に小児期の間に細胞危険応答(CDR)の活性化を経験すると、慢性炎症を引き起こし多くの障害リスクを増加させる可能性がある。

遺伝子の感受性

上記の因子と複数の遺伝的感受性の相互作用により相乗効果をもたらす。

ヒーリングサイクル 3つのステージ

2つの役割をもつミトコンドリア

ミトコンドリアはストレスのある条件下では、急速に機能を全く異なる形態に変化させる。

ミトコンドリア(M2型)は抗炎症性の通常型であり、細胞危険応答(CDR)によってシフトしたミトコンドリア(M1型)は炎症性を示す。

M1型ミトコンドリアは、細胞危険応答(CDR)によって酸化的保護応答を行うことに特化したミトコンドリアで、多数の抗ウイルスおよび抗菌機能を備える。

M2型ミトコンドリアが発電所だとするなら、M1型は戦艦のような働きをするミトコンドリア。

図3

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CDR1 / M1型ミトコンドリア(炎症性・解糖)

細胞危険応答(CDR)の最初の段階

細菌、ウイルス、真菌、原生生物、化学的毒素などによって引き起こされる。

損傷した細胞、毒素、侵入者を健康な細胞から除去し隔離するために炎症反応が開催される。

ミトコンドリアは通常型であるM2型からM1型にシフトし、保護応答を開始する。

ミトコンドリアの酸素消費量の低下→ 細胞のエネルギー産生が解糖、乳酸産生に切り替わる。

修復できないほど損傷している細胞は、プログラム細胞死によって除去するか、免疫システムによって処理する。

この保護応答を解除するにはM1型から通常モードのM2型ミトコンドリアへのシフトが必要になるが、細胞はそのシフトができないままM1型でスタックしたままになることがある。

関連する疾患

慢性感染症、アレルギー疾患、多臓器障害(MODS)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、急性呼吸不全(ARDS)

関与する遺伝子

NRF2、CRF2、IDO1、NOX、NFkB、HO1、PAR、REXO2、eIF2α、STAT1 / 2、MMP9、IRF1、IRF3 / 4、SP1、IFNα/β、IL1β、UMP-CMPK2、TNFα

重要な標的経路
  • NRF2
  • HPA軸

CDR2 / M0型ミトコンドリア(中立・好気性解糖)

ステージ2では、失われた細胞を置き換えるために幹細胞が増殖する。

損傷したDNAを持つ細胞は細胞老化を起こす。この細胞は複製されないが組織の機能には寄与する。残念なことに老化細胞は、細胞老化関連分泌形質(SASP)と呼ばれる組織機能を妨げる因子も分泌する

このステージでは好気性解糖がエネルギー代謝の主な形態となる。

典型的にはステージ1と2において損傷した細胞がその他の細胞への影響を与えないよう、損傷細胞と健康な細胞との間のコミュニケーションが遮断される。

関連する疾患

糖尿病、心臓病、がん、線維症

関与する遺伝子

mTOR、HIF1α、AhR、p53、p21、p16 INK4A、c-myc、PHD、BRCA1 / 2、ATR、その他のDNA修復酵素、Nanog 、Sox2 、Oct4 、Isl1

重要な標的経路
  • HIF1α(低酸素誘導因子1α)
  • mTOR(哺乳類のラパマイシン標的)
  • アリール炭化水素受容体(AhR)

CDR3 / M2型ミトコンドリア(抗炎症性・酸化的リン酸化)

ステージ3で治癒プロセスが完成する。ヒーリングサイクルが健全に進行すれば、幹細胞は治癒因子を分泌し、幹細胞によって作られた娘細胞は、組織に組み込まれる特定の細胞タイプに分化する。

臓器間および臓器内のコミュニケーションが回復し、細胞外ATPレベルが低下するため、酸化的リン酸化はエネルギー代謝が主要な形態となる。そして健康なサイクルに再び戻る。

関連する疾患

疼痛、自律神経疾患、神経疾患、精神疾患、自己免疫疾患、マイクロバイオームの機能障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症

関与する遺伝子

AMPK、FOXO、PPAR、BCL2、P1、P2Y、P2X、CD38、RXR、CD38、CD39、CD73、IL6、FXR、IFNγ、IL17、IL4、TGF、鉄硫黄クラスタータンパク質、Mfn1 / 2、Opa1、腸管ジサッカリダーゼ

重要な標的経路
  • AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)
  • PPAR(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α、β/δ、γ)
  • RXR(レチノイド×受容体)
  • BCL2(鉄硫黄クラスタータンパク質)
  • FXR(ファルネソイド×受容体)
図2
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各疾患のヒーリングサイクル障害分類(仮)

CDR1障害

先天性免疫疾患

HPA軸、ATP、脂質、mtDNA

  • 全身性炎症反応症候群(SIRS)
  • 多臓器不全症候群(MODS)
  • 敗血症性ショック
  • 急性呼吸Res迫症候群(ARDS)
  • アレルギー、喘息、アトピー
  • 慢性感染症(真菌、細菌、ウイルス)寄生)
  • 湾岸戦争病気(GWI)
  • 足白癬、白癬ベルシカラー
  • 体部白癬、白癬性毛瘡
  • ヒストプラスマ、コクシジオイデス症
  • アスペルギルス症、慢性
  • 粘膜皮膚カンジダ症、
  • スポロトリクム症、クリプトコッカス
  • サルコイドーシス、慢性
  • 肉芽腫症、
  • クラミジア、リステリア、
  • トキソプラズマ症、バルトネラ
  • 梅毒、ヘリコバクター、ナイセリア
  • コレラ菌、結核、
  • 非結核性マイコバクテリア
  • 感染症、ハンセン病、ライム病
  • 腸チフス、マラリア、リーシュマニア症
  • オンコセルカ症、住血吸虫症
  • トリパノソーマ症、フィラリア症

CDR2障害

増殖性疾患

mTOR、p21、HIF、PHDs

  • 脂質異常症
  • 高尿酸血症
  • 糖尿病
  • 糖尿病性網膜症
  • 高血圧
  • 心臓病
  • 末梢血管疾患
  • 脳血管疾患
  • 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
  • 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変
  • 特発性肺線維症
  • 前立腺肥大症
  • ケロイド形成
  • 亜急性脊髄損傷
  • 皮膚血管炎
  • 側頭動脈炎
  • 川崎冠動脈炎
  • がん、白血病、分化障害

CDR3障害

分化障害

DARM、ミトコンドリア分極

  • 自閉症スペクトラム障害
  • 慢性疲労症候群
  • 心的外傷後ストレス障害
  • 線維筋痛症、慢性疼痛症候群、異痛症
  • 神経障害性疼痛症候群
  • 複合局所疼痛症候群
  • 強迫性障害
  • 一般的な不安障害
  • 大うつ病
  • 双極性障害
  • 片頭痛
  • POTS、PANS、PANDAS
  • 統合失調症、急性精神病
  • パーキンソン、アルツハイマー病
  • 多発性硬化症、トゥレット
  • ジストニア症候群、ループス選択てんかん、ベーチェット
  • 強皮症、シェーグレン
  • リウマチ性多発性筋痛
  • 強直性脊椎炎
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 慢性外傷性脳症
  • 外傷性脳損傷
  • 選択脳卒中後症候群
  • 覚醒デルタ波活動(EEG)
  • 橋本甲状腺炎
  • 乾癬、湿疹
  • 円形脱毛症、白斑
  • 内因子に対する自己抗体
  • 関節リウマチ
  • 変形性関節症
  • 黄斑変性症
  • 老眼、老人性難聴
  • 糖尿病性神経障害
  • 糖尿病性腎症
  • 過敏性腸症候群
エネルギー保存への適応・生存状態
  • 線虫の休眠、興奮
  • 冬眠、休止細胞
  • 植物種子胚形成
  • カロリー制限代謝
  • 長寿代謝
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細胞危険応答(CDR)による生存メカニズム

ミトコンドリア CDRストレス応答システム

  1. アポトーシスと抗アポトーシス
  2. NRF2活性
  3. サーチュインとエピジェネティクス
  4. 瘢痕形成
  5. オートファジー
  6. マイトファジー
  7. エキソソームと分泌
  8. 脂質ラフトの形成
  9. 赤血球増加症
  10. 小胞体(ER)ストレス
  11. タンパク質恒常性と変性タンパク質応答
  12. トランスグルタミナーゼ活性化
  13. DNAの損傷と修復
  14. 感覚処理
  15. 異痛症、線維筋痛症、慢性疼痛
  16. 視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸
  17. 肝臓の生体解毒
  18. 腎尿細管の分泌と再吸収
  19. 自律神経系のダイナミクス
  20. 自然免疫、炎症、アレルギー、自己免疫
  21. エネルギー、グルコース、脂質代謝
  22. 高血圧と心血管ストレス応答
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細胞危険応答(CDR)によって変化する代謝的特徴

  • ミトコンドリア
  • 酸素
  • ATP
  • システインと硫黄
  • ビタミンD
  • 葉酸・B12代謝
  • SAM
  • オルニチン
  • ヒスチジン
  • アルギニン
  • ヘム
  • リン脂質
  • トリプトファン
  • リジン
  • コレステロール
  • ビタミンB6
  • アラチドネート
  • スフィンゴシン
  • セラミド
  • ミネラル・有害金属
  • 腸内細菌叢

細胞危険応答(CDR)によるミトコンドリア保護メカニズム

ミトコンドリアの酸素濃度の上昇は、保護メカニズムを誘導するために8つのイベントを発動する。

1. 代謝の低下

細胞内の代謝は、細胞内病原体による細胞内の資源のハイジャックを防ぐためにシフトする。

ウイルスを例にとると、侵入したウイルスは自分だけで複製はできず、宿主の資源を利用する必要がある。そのため我々の細胞は、侵入するウイルスが成長し繁殖するために必要な材料を与えないように進化した。

2. 細胞膜の硬化

細胞の細胞膜はウイルスが侵入すると硬化し、ウイルス(またはその他の病原体)が細胞から離れて他へ核酸しないようにする。細胞全体の生存のために、個々の細胞が自己を犠牲にしてより被害を最小限にしようとする。

3. 抗菌・抗ウイルス作用物質の分泌

感染性病原体の拡散をさらに制限するために、細胞は細胞周囲の領域に抗ウイルス、抗菌作用をもつ化学物質を放出する。

4. オートファジーの促進

オートファジーが促進されミトコンドリア分裂が増加し、細胞内の病原体が除去される。

5. メチル化の遮断

ウイルスはメチル化経路をハイジャックしないとDNAまたはRNAを複製できない。そのため細胞はウイルスのハイジャックを防ぐために、メチル化化学反応を遮断する。(DNAメチル化とヒストンが改変され、遺伝子発現が変更される)

6. 遺伝的変異体の生成

内在性レトロウイルス、その他の遺伝的要素が動員され、遺伝的変異体を生成し、攻撃の影響を受けにくくする。

7. 他の細胞への危険シグナル

侵入者があった細胞は、隣接する細胞や遠方の細胞に向かって危険信号を発する。

8. 宿主を疲労させ動きを制限する

環境による感染の拡大を制限するために、宿主の活動性を変更しようとする。疲労感は宿主が休息を取ろうとする手段であり、エネルギーを節約するためにより多く眠る。

細胞危険応答(CDR)による細胞保護メカニズム

1. プリン作動性シグナル伝達 炎症活性

ストレスを受けた細胞は、ATPのようなプリン作動性シグナル伝達分子を放出する。

これらの分子は炎症プロセスを活性化し(NLRP3インフラマソームアセンブリを活性化することにより)、これが体を刺激してより多くのコルチゾールを生成する。

ここで特に興味深いのは、このプロセスがACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の生産に依存しないことだ。つまり、ストレスホルモンを調節する下垂体の調節作用とは別経路であるということだ。

このプロセスは、細胞危険応答(CDR)によって直接開始される。

複数ある細胞危険応答の機能の中で、この機能を標的とした治療は、細胞危険応答のリセットにもっとも適しいる重要な標的である可能性がある。

スラミン (suramin)

Naviaux博士は、プリン作動性遮断薬である(アフリカ睡眠病の治療に使われてきた薬剤)スラミン低用量使用(20mg/kg)によって、自閉症患者の治療に有益な効果を示した予備的研究を発表した。細胞危険応答(CDR)への治療として明示的に試みられた唯一の薬物。

自閉症患者の行動が劇的に改善されただけではなく腸内細菌叢も改善された。これは、細胞危険応答(CDR)をオフにすることでマイクロバイオームの自然な回復を促進することができることを示唆する。

Low‐dose suramin in autism spectrum disorder: a small, phase I/II, randomized clinical trial
No drug is yet approved to treat the core symptoms of autism spectrum disorder (). Low‐dose suramin was effective in the maternal immune activation and Fragile ...
2. 硫黄代謝 メチル化の阻害

硫黄代謝は、グルタチオンが解毒として作用する経路に調節する。

グルタチオンをより多く生成するために利用されるシステインは、硫化水素とタウリンの生成に転用される。このプロセスは生化学的バランスを回復するために重要なメチル化を妨げる。

3. ビタミンD濃度の低下

ビタミンDは、炎症に対処し自己免疫を防ぐために重要な役割を果たす。

自己免疫においては免疫システムが混乱し自身の一部を攻撃する。

細胞危険応答(CDR)は、外毒素に起因する危険に対処するために、24-αヒドロキシラーゼ酵素の活性を増加させ、活性ビタミンDの濃度を減少させ、炎症と自己免疫のリスクを直接増加させる。

4. ヒスタミン産生

細胞危険応答(CDR)は、ヒスチジン脱炭酸酵素(ビタミンB6に依存)を直接刺激してヒスタミンを生成する。ヒスタミンは、アレルギーと抗寄生虫免疫の調整においてマスト細胞と好酸球細胞の機能に重要。

5. ポルフィリン合成の阻害 ヘム代謝

細胞危険応答(CDR)が活性化されると、赤血球とミトコンドリアのヘムセンターが損傷した細胞から放出され、ポルフィリン合成が妨害される。

6. キヌレン酸、キノリン酸代謝活性 うつ・不安

必須アミノ酸であるトリプトファンの代謝は、細胞危険応答(CDR)に応じていくつかの方法で変更される場合がある。初期と後期

ヒドロキシル化経路により、セロトニンまたはメラトニンに変換される可能性がある。

ジオキシゲナーゼ経路により、それはキヌレン酸またはキノリン酸に変換される可能性があり、これがさらに炎症を誘発する。

キヌレン酸やキノリン酸レベルの上昇は、強い不安、抑うつ、およびその他の心理的問題に関連することが知られている。

7. リジンの消費 抗ウイルス

細胞危険応答(CDR)の抗ウイルス効果は、アミノ酸リジンの効果によって強く調節されている。

食事からのリジンは腸のセロトニン受容体4の拮抗薬であり抗不安効果があり、細胞危険応答(CDR)に対抗することが判明している。したがって、細胞危険応答(CDR)をリセットするための戦略として、リジンを経口摂取する治療選択が考えられる。

8. 低いビタミンB6レベル 炎症の促進

細胞危険応答(CDR)は、ビタミンB6の活性型であるピリドキサール5-リン酸(P5P)の低い血漿レベルを保つ。ここでの重要なポイントは、P5Pの欠乏はトリプトファンの代謝をキヌレン酸にシフトさせ、キヌレン酸が炎症プロセスをさらに促進し、細胞危険応答を維持することだ。

9. 有害金属の隔離→蓄積

通常有毒金属は排泄する能力は、曝露量を上回るため蓄積しない。

しかし細胞危険応答(CDR)が活性化されると、細胞の酸化の増加により、有毒金属の隔離が促進される。そのため有毒な量の重金属が蓄積する可能性があり容易には排泄されなくなる。

10. 腸内細菌叢の変化 リーキーガット

宿主が病気になると、腸内微生物叢も病気になる。慢性的に活性化されると、細胞危険応答(CDR)は腸の物理的な生息地を変化させ、腸内細菌叢が大きく変化する。

これにより、慢性的疾患患者のほぼ全員が慢性炎症と腸内細菌による「リーキーガット」を発症し、食物アレルギーが増加し、カンジダ、病原菌、寄生虫などの他の病原体が発生する可能性がある。

11. 細胞危険応答(CDR)の不適応

細胞への危険が除去されると、2つのことが起こる。

まず喪失した細胞が置き換わり、抗炎症、再生経路のプロセスが活性化される。

もうひとつは、細胞危険応答(CDR)を生じさせた危険な状態の記憶は、ミトコンドリアバイオマス、細胞タンパク質、脂質、その他の高分子量、細胞構造の永続的な変化という形で保存される。

宿主の遺伝子型、性格、発達のタイミング、曝露の頻度などが複合的に重なり合うことで細胞危険応答(CDR)の機能不全が持続的に生じ、慢性疾患を引き起こす可能性がある。

細胞危険応答(CDR)は最初は適応性があり、ミトコンドリアと細胞の密接な相互作用によって調整されるが、環境の脅威がなくなることで不適応になる。

細胞が危険信号をオフにできない場合、細胞危険応答(CDR)は危険に対する保護装置ではなく問題の一部となる。

Metabolic features of the cell danger response
The cell danger response (CDR) is the evolutionarily conserved metabolic response that protects cells and hosts from harm. It is triggered by encounte…

Metabolic features of the cell danger response
The cell danger response (CDR) is the evolutionarily conserved metabolic response that protects cells and hosts from harm. It is triggered by encounte…

細胞危険応答(CDR) 代謝の季節変動

数千年にわたって人間は2つの異なるシステムを進化させてきた。夏の食料が豊富な時期には、祖先は食物をよく食べて体重を増やし反映した。

冬に食料が不足し、種類も限られると、少ない食事量で過ごしてきた。この2つの時期は細胞がそれぞれ代謝を切り替えて生き延びようとした。

ここには2つの異なる生化学的進化があり、一つは夏季における食物の代謝方法であり、もう一つは冬季おいて食物を代謝させる方法である。

Metabolic features of the cell danger response
The cell danger response (CDR) is the evolutionarily conserved metabolic response that protects cells and hosts from harm. It is triggered by encounte…
夏季代謝 mTOR

夏は環境にカロリーが豊富にあり、身体的な活動によって収穫を得ていた。これは細胞を増殖させる時期であり、この時期に新しい細胞を生成する。

mTORは夏季の細胞内マスター燃料センサー。mTORは、環境から取り入れた新しい栄養を利用してタンパク質合成と成長を促進する。

炎症を介さずに成長を休息に促進させることができることを特徴とする。

冬季代謝 AMPK

冬はカロリー制限の時期であり、生き残るために夏と秋に収穫した資源を効率的に利用しなければいけない時期。

冬季は、AMPKに切り替わりエネルギー効率が最適化され、修復を兼ねて細胞材料のリサイクルが促進される。

我々は、あらゆる季節に好きな物を無制限に食べることで永遠の夏を過ごしており、自然な冬の代謝を失ってしまっている。

肥満が増加する問題には多くの説明がなされているが、可能な説明の一つは冬季代謝に移行できないことにある。

夏季代謝と冬季代謝のバランス

炎症が疾患に大きな役割を果たしている患者にとって、この夏季代謝、冬季代謝の区別は特に重要だ。慢性疲労症候群、線維筋痛症、ライム病、カビ毒性、慢性ウイルス感染のすべて、体が制御できない持続的な炎症を保有している。

夏季代謝と冬季代謝の自然なバランスを再び確立すれば、疾患をコントロールできるようになる可能性がある。断食は、冬季代謝への移行を刺激することができるかもしれない。

細胞危険応答を無理やりオフにしてはいけない

重要なことは、細胞危険応答(CDR)の警告をオフにするためにバランスを回復させることにある。一方で、細胞への脅威が取り除かれていない、または対処されていない段階で細胞危険応答(CDR)をオフにすることは適切な戦略ではないことに留意しておかなければならない。

慢性疲労症候群患者の生化学的特徴

男女で異なる生化学的プロファイル

メタボロミクスにより、慢性疲労症候群22人の男性と23人の女性の血液中の612種類の代謝産物を検査しコントロール群と比較した。

これらの代謝産物のうち男性で8種類、女性で13種類を特定することで男性で94%、女性で96%の精度で慢性疲労症候群を診断することができた。また、これらの生化学的プロファイルは、男性と女性で明確に異なることが発見された。

患者ごとに異なる生化学的プロファイル

さらに、発見されたコントロール群と有意に異なる代謝産物レベルのうち、25%は他の患者と共有できたが、75%では患者ごとに異なっていた。これは慢性疲労症候群が患者によって異なる生化学的プロファイルを有しており、個別治療が必要かもしれないことを示唆する。

生化学的代謝経路の異常には、リン脂質、スフィンゴ脂質、プリン、リボフラビン、P5P、分岐鎖アミノ酸、コレステロール、ミクロビオーム、ペルオキシソーム、ミトコンドリア機能が含まれる。

これらの変化はすべて、細胞内の細菌およびウイルス感染の拡大に対抗するように設計された細胞の適応的応答を表しているかもしれない。

Metabolic features of chronic fatigue syndrome. - PubMed - NCBI
Proc Natl Acad Sci U S A. 2016 Sep 13;113(37):E5472-80. doi: 10.1073/pnas.1607571113. Epub 2016 Aug 29. Research Support, Non-U.S. Gov't

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Metabolic features of chronic fatigue syndrome
Chronic fatigue syndrome is a multisystem disease that causes long-term pain and disability. It is difficult to diagnose because of its protean symptoms and the...

 

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