ボーンブロスの効果と危険性について調べてみた

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ボーンブロス(骨スープ) 効能とリスク評価

https://draxe.com/recipe/chicken-bone-broth-2/

概要

ボーンブロスとは長時間煮込まれた骨スープのことで、近年、アメリカを中心にスーパーフードとして宣伝され広がりを見せている。

リコード法でも、リーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)の治療としてボーンブロスの摂取が推奨されているため、あらためてどういった効能があるか、そしてリスクがあるか調べてみた。

風邪治療

伝統的には、ボーンブロス(チキンスープ)は、風邪を引いた時などの上気道感染の治療として有効であると考えられてきた。

チキンボーンブロスが好中球走加性因子を阻害することによって炎症反応を抑制することが、動物モデルの研究で証明されている。

※好中球 = 細菌感染防御の最前線で戦う歩兵、真っ先に感染箇所に動員される。

※走加性因子 = 好中球などの白血球は感染防御時、走加性因子に導かれて炎症箇所へ向かう。

Chicken Soup Inhibits Neutrophil Chemotaxis in Vitro - PubMed
Chicken soup has long been regarded as a remedy for symptomatic upper respiratory tract infections. As it is likely that the clinical similarity of the diverse

 

炎症抑制効果は濃度に依存

ボーンブロスの好中球走加性因子阻害効果は、スープの濃度の高さに依存する。

煮込まれた時間が長いボーンブロスほど、炎症抑制効果が高いといえるかもしれない。

同研究では、ボーンブロスの骨や肉などの固形部分以外の、スープだけでも炎症抑制効果があることがわかっている。

実証がむずかしい料理の効能

ただ、チキンスープの調理過程は多段階のプロセスであり、多くの複雑な化学的相互作用が起きているため、それらの厳密に実証することはむずかしい。

ボーンブロスに限った話ではないのだが、科学的な厳密性を適用して料理のような込み入ったものの薬効を証明しようとするのは非常にむずかしい。

 

ボーンブロスの主要成分

  • コラーゲン コンドロイチン硫酸
  • ゼラチン
  • グリコサミノグリカン(GAG)
  • グリシン
  • プロリン
  • グルタミン(グルタミン酸塩)
  • 骨髄
  • ミネラル (下記参照)

ボーンブロスの効果・効能

関節炎を緩和

シリコン、カルシウム、マグネシウム、GAGが関節や靱帯機能を正常化し、関節炎の影響を軽減する

セルライトの減少

コラーゲンが結合組織を作り、セルライトを減少させる

免疫システムの改善

ブイヨンによる腸内機能の正常化

抗炎症効果

プロリン、グリシン、アルギニンによる抗炎症効果

解毒効果

グリシンとプロリンによる解毒効果

脳・神経細胞

コンドロイチン硫酸が、中枢神経系の新生と可塑性に重要な影響を与える。

適度なカルシウム補給は神経伝達物質の働きに不可欠。

グリシン補給は、虚血性脳卒中後の神経細胞死を防御する可能性がある。

リーキーガットの改善メカニズム
ゼラチン

ゼラチンが水分を吸収し、粘液層を強化する。

Gelatin tannate ameliorates acute colitis in mice by reinforcing mucus layer and modulating gut microbiota composition: Emerging role for ‘gut barrier protectors’ in IBD?
Gelatin tannate, a gelatin powder containing tannic acids, is commonly employed as an intestinal astringent. Neither information nor animal model exist to confi

ゼラチンは腸管上皮細胞のリポ多糖類の炎症増強を減少させる。

Gelatin tannate reduces the proinflammatory effects of lipopolysaccharide in human intestinal epithelial cells
Gelatin tannate is a mixture of tannic acid and gelatin. Tannic acid has astringent properties, due to its capacity to form protein–macromolecular complexes, as
グリシン

グリシンは、リポ多糖類によって引き起こされる小腸の損傷を軽減することが示されている。

Glycine Selectively Reduces Intestinal Injury During Endotoxemia - PubMed
The present results demonstrate that glycine selectively protects the small intestine during subacute endotoxemia, even after manifestation of a severe systemic

グリシンはラットの胃液分泌を減少させ、抗潰瘍および細胞保護活性効果を有する。

Europe PMC
Europe PMC is an archive of life sciences journal literature.
グルタミン

グルタミンは小腸粘膜の成長を刺激し、消化管粘膜と腸壁の機能を維持することに役立つ。

Glutamine and intestinal barrier function
The intestinal barrier integrity is essential for the absorption of nutrients and health in humans and animals. Dysfunction of the mucosal barrier is associated
サプリメント
上記成分を個別にサプリメントで摂取する場合

グルタミン

L-グルタミン(粉末)

グリシン 

グリシン(カプセル)

ゼラチン

ボーンブロスの危険性

必須ミネラルと有害ミネラルの増加

スープのphを8.38から5.32に低下させると、カルシウムの抽出量が15.3倍、マグネシウムの抽出量が15.3倍に増加

酸性化による銅の抽出量は2倍、鉛、クロム、アルミニウムの増加はそれより小さい。

対照的に鉄は酸性化によって抽出量が減少、亜鉛は酸性化では変化せず。

8時間を超える調理時間は、短時間での調理よりも有意にカルシウムとマグネシウムの抽出量が高い。

Essential and toxic metals in animal bone broths
Background: This investigation examines the extraction of metals from animal bones into broth, and assesses whether bone broths are good sources of essential me

ボーンブロスの有害ミネラルリスク

ボーンブロスに鉛が肉と比べて数倍多く含まれることを指摘した研究

The Risk of Lead Contamination in Bone Broth Diets - PubMed
The preparation and consumption of bone broth is being increasingly recommended to patients, for example as part of the gut and psychology syndrome (GAPS) diet

しかし一食のボーンブロスに含まれる鉛は数μg以下であり、一日の平均的なお米消費量に含まれる鉛の量よりも少ない。

煮込まれた動物が汚染地域で育てられたものでない限り、鉛を含めた有害金属の過剰摂取リスクはない。

 鉛 摂取量調査 食品別平均値

平成17~26(2005~2014)

食品からの鉛の摂取量:農林水産省

牛骨は豚骨よりも銅の抽出量が多い。

鉄は酢を入れ長時間煮込むことで若干減少する。

長時間加熱されたスープには、高カルシウム血症を起こす可能性のあるビタミンDが高濃度で含んでいるかもしれない。

Essential and toxic metals in animal bone broths
Background: This investigation examines the extraction of metals from animal bones into broth, and assesses whether bone broths are good sources of essential me

高濃度のグルタミン酸

長時間煮込むことで、アミノ酸が分解されグルタミンだけでなく、遊離グルタミン酸塩濃度が増加する。

また理論的には、酢を加えることでタンパク質の加水分解が加速し、さらに遊離グルタミン酸の含まれる量は増加する。

グルタミン酸の効果
  • ピロリ菌の抑制効果
  • 小腸の粘液を分泌促進することで粘膜層のバリア機能を強化する
  • 迷走神経の活性
過剰摂取のリスク

長時間かけて作られたボーンブロスには、グルタミン酸塩が多く含まれており、大量に摂取することで、グルタミン酸過剰症を生じる可能性もある。

特にリーキーガット症候群、リーキーブレイン(血液脳関門の異常)を抱える(認知症)患者は、グルタミン酸塩が安全なグルタミンに代謝されずに血液脳関門を超え、ニューロンの興奮毒性、神経細胞死をもたらす可能性も潜在的に考えられる。

グルタミン酸とグリシンの過剰摂取は、脳卒中による死亡リスクと有意に関連している。

Dietary Intakes of Glutamic Acid and Glycine Are Associated with Stroke Mortality in Japanese Adults
Abstract. Background: Dietary intakes of glutamic acid and glycine have been reported to be associated with blood pressure. However, the link between intakes o

煮込まれたボーンブロスの遊離グルタミン酸塩が、実際どれくらい含まれているか、調べた限りでは研究は見つからなかった。

他のグルタミン酸を多く含む一般的な食品と較べて特段多いというわけでもないという批判意見もあり、適切な摂取量を見出すことができなかった。

リーキーガットでの高リスク

消化管機能が正しく働いている限り、グルタミン酸のほとんど(95%以上)は消化管粘膜上皮で、他のアミノ酸やタンパク質合成に利用さる。(in vivo)

そのため大量に摂取しない限り安全とは思われるが、念のため、グルタミン酸(MSG)感受性を持つ人や、リーキーガット、リーキーブレインを抱えている人は摂取量を控えるなど注意しておいたほうがいいかもしれない。

ラクトバチラス・プレビスによるグルタミン酸分解

ザワークラウト、ピクルス、キムチなどに含まれる乳酸菌ラクトバチラス・プレビスはグルタミン酸ナトリウムをGABAへと代謝する機能を高くもつ。

研究で実証されているわけではないが、ボーンブロスと併用することでグルタミン酸毒性を軽減し、認知症患者で低下が見られるGABAを増加させることができるかもしれない。

グリシンのベネフィット

血管拡張作用

グリシンはラットの脳および腸間膜の微小血管拡張作用をもつ。

Assessment of Microcirculatory Effects of Glycine by Intravital Microscopy in Rats - PubMed
Experimental studies using laboratory animal models have shown a potential vasoactive effect of natural metabolites such as glycine. The present study used intr

ラットへのグリシン投与40mg/kgは強力な血管拡張作用をもたらす。

細動脈の直径は投与後1~3分で250%に増加し5~10分間持続した。

グリシンを繰り返し投与することにより、細動脈の拡張も誘導された。

Effect of Glycine on Microcirculation in Pial Vessels of Rat Brain - PubMed
Single application of glycine in a final dose of 40 mg/kg to the surface of the parietal area of rat brain produced a potent vasodilatory effect. The diameter o
脂質代謝の改善

アルコール処理によって脳浮腫を示したラットは、グリシン処置によって有意に緩和された。

ラットの脳におけるコレステロール、リン脂質、遊離脂肪酸およびトリグリセリドの蓄積を著しく減少させた。

Glycine Modulates Hepatic Lipid Accumulation in Alcohol-Induced Liver Injury - PubMed
We studied the effect of administering glycine, a non-essential amino acid, on serum and tissue lipids in experimental hepatotoxic Wistar rats. All the rats wer
グリシンの鉄吸収リスク

グリシンは鉄の代謝吸収経路にも関わるため、毎日飲み続けることで体内の鉄濃度を高めるかもしれない。

鉄分がアルツハイマー病を引き起こす?

グリシンが鉄の貯蔵経路に関与していることから、グリシンが鉄の貯蔵を高め酸化反応を促進し脳卒中のリスクに関連している可能性がある。

Glycine Metabolism in Animals and Humans: Implications for Nutrition and Health - PubMed
Glycine is a major amino acid in mammals and other animals. It is synthesized from serine, threonine, choline, and hydroxyproline via inter-organ metabolism inv
Iron Behaving Badly: Inappropriate Iron Chelation as a Major Contributor to the Aetiology of Vascular and Other Progressive Inflammatory and Degenerative Diseases - PubMed
Overall we argue, by synthesising a widely dispersed literature, that the role of poorly liganded iron has been rather underappreciated in the past, and that in

アスパラギン酸、グリシンと鉄との混合溶液は鉄吸収を有意に増加させる。

Effects of Divalent Amino Acids on Iron Absorption - PubMed
Solutions of each of 10 amino acids or ascorbic acid were mixed with iron and orally administered to rats. Iron was absorbed to a statistically significantly gr

ボーンブロス まとめ

鶏の手羽先

煮込む骨は牛、豚、にわとり、基本どれでも成分的には大きな差は生じない。

骨以外の肉も一緒に煮込むなら、おすすめとしては鶏の手羽

  • 鉄、銅が少ない
  • 骨容積が小さいため短時間抽出が可能
  • ゼラチンが豊富で飽和脂肪酸が少ない
  • 低コスト
  • 平飼いの有機的な鶏手羽も、牛豚に比べれば入手しやすい
お酢を入れる

ボーンブロス お酢を入れて煮込むことで一時間程度でも骨からのミネラルは一定量抽出できる。 ※マグネシウムを除く、骨の大きさにも依存する

一般的には浸透圧をあげて抽出量を高めるため、煮込むときには酢をのぞき塩などの調味料は入れないほうがいい。味付けは直前に行う。

発酵食品との併用

グルタミン酸対策として、キムチやピクルスなどに含まれる乳酸菌(ラクトバチルス・プレビス)を併用することで、グルタミン酸毒性を無毒化してくれる潜在的な可能性がある。

認知機能を改善する乳酸菌(プロバイオティクス)

長時間煮込んだボーンブロスについて

長時間煮込んだボーンブロスは、アミノ酸とマグネシウムの含有量が多い。

成分的には長時間煮込むことで、身体の修復作用が高まる成分に変化する。

一方で長時間煮込まれたボーンブロスはグルタミン酸濃度が高まっている可能性もあり、グルタミン感受性をもつ人は煮込み時間を短め(4時間未満)にしておいたほうが良いかも。

薬効スープとしてのボーンブロス

骨だけのボーンブロスの場合、大量に摂取するとアミノ酸バランスが良いとは言えないので、メインの栄養源ではなく薬効的な用い方が中心となる。

総合的に考えると、ボーンブロスは年中大量に飲み続けるものではなく、腸粘膜修復のために期間限定で時々取り入れるべき食事法として提案したい。

ただし、少量を食事に取り入れていくというのは、むしろ普段の偏ったアミノ酸バランスの補正、有用なミネラル補給源として悪くないアイディアだ。

 

ボーンブロスのレシピ研究

参考記事
Bone Broth Benefits: Everything You Need to Know | Chris Kresser
Regularly drinking bone broth benefits your skin, heart, muscles, joints, and gut. Find out more about this incredibly nutritious food.
Glutamine and intestinal barrier function
The intestinal barrier integrity is essential for the absorption of nutrients and health in humans and animals. Dysfunction of the mucosal barrier is associated
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