ヒ素中毒の研究
概要
ja.wikipedia.org/wiki/ヒ素ヒ素は金属と非金属の両方の特性をもつ半金属であり、土壌、水、空気、岩石にごく普通に広く分布している。
ヒ素は単体では破壊されないが、空気、水、土壌中の酸素や分子と反応してさまざまな化合物を形成することがある。
www.atsdr.cdc.gov/toxprofiles/tp2.pdf
ヒ素の歴史
毒薬としてのヒ素
ヒ素は人を殺す毒薬として長い歴史をもっている。容易に入手でき、無臭無味であるため、味覚ではわからないことから1850年代まで人気のある毒薬であった。
ナポレオンがヒ素で殺されたのは有名な話であり、「毒物の王」とも呼ばれてきた。
皮肉にもヒ素による殺人がヒ素の毒性学に関する知識を発展させ、ヒ素の代謝のメカニズムの理解が進んだことにより、ヒ素を使った暗殺、完全犯罪は現代では不可能と考えられている。
にも関わらず、和歌山カレー事件のようにヒ素による殺人事件自体は発生し続けている。。
治療薬としてのヒ素
ヒ素は多くの人にとって危険な毒薬として認知されているが、数千年という歴史の中では治療薬としての認識が優勢であり、実際に治療としても長く使われてきた。
医学の父と呼ばれるヒポクラテスは、潰瘍と膿瘍の治療にペースト状にしたヒ素を使用していたと考えられている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16103665/
その他、あのアリストテレス、パラケルススもヒ素を治療に用いたとされている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8505753/
18世紀後半には、マラリア、梅毒(サルバルサン)、喘息、舞踏病、湿疹、感染など様々な疾患の治療に1%の亜ヒ酸カリウム溶液が使われていた。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15821152/
梅毒、アメーバ赤痢の治療、白血病の治療
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10070961/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20052806
1940年代に梅毒の治療にペニシリンが使用されるようになるまでは、ヒ素が一般的な梅毒治療薬として使われていた。
また三酸化ヒ素が急性前骨髄球性白血病(APL)の化学治療薬として候補に上がっている。「トリセノックス」
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18282365/
農薬としてのヒ素
ヒ素は1900年代まで、蚊などの駆除目的で殺虫剤として使用されてきた。
ヒ酸塩は1900年代初頭まで、りんご園や桜の農薬としても広く使用されてきたが、1960年代までに、ヒ素の使用が農業従事者の健康への悪影響の懸念から段階的に廃止された。
ヒ酸塩農薬はそれ以来50年以上にわたってほぼ全世界で使用されなくなったが、ヒ素は環境に長期的に残留するため、現在でも数百万エーカーの土地がヒ酸塩残留物で汚染されていると推定されている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16882511
無機ヒ素と異なり、毒性の低い有機ヒ素の農薬は1950年代に始まり、まだ現代においても使用が続いている。
ヒ素の形態
無機ヒ素化合物
天然に存在するヒ素は無機ヒ素が一般的。
三価の無機ヒ素/Arsenic trioxide
マウスの経口LD50 39mg/kg
無機(3価)化合物の亜ヒ酸 14.6mg/kg
亜ヒ酸 /Arsenous acid (Arsenite)
五価の無機ヒ素
無機(5価)化合物のヒ酸 48mg/kg
ヒ酸 /Arsenic acid (Arsenate)
五酸化二ヒ素 /Arsenic pentoxide
有機ヒ素化合物
モノメチルアルソン酸 (MMA)
マウスの経口LD50 916mg/kg
ジメチルアルシン酸 (DMAA)
マウスの経口LD50 644mg/kg
毒性の高い無機ヒ素はメチル化によって解毒されると考えられていたが、研究では三価ヒ素のメチル化、ジメチルアルシン酸が非常に低濃度であってもDNA障害などを起こすなど、メチル化はヒ素の毒性が増加することも報告されている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14585726/
DMAⅤはタイトジャンクション経由ではなく、細胞内に直接取り込まれる。
チオ-ジメチルアルシン酸(thio-DMA)
グルタチオンはヒ素の毒性軽減に関わる重要な生体防御因子であるが、thio-DMAとグルタチオンの共存下では、細胞の紡錘体チェックポイント(細胞分裂の異常センサー)が抑制された。
www.jstage.jst.go.jp/article/toxpt/44.1/0/44.1_P-267/_article/-char/ja/
ジメチルモノチオアルシン酸(DMMTA)
DMAⅤの代謝物であるジメチルモノチオアルシン酸(DMMTA)がDMAの膀胱発がん性に関与することが動物実験で示唆されている。D
MMTAのLC50(半数致死量濃度)は、三価の無機水銀と同程度の細胞毒性を有する。
DMMTAⅤの細胞毒性はグルタチオン(GSH)の存在により増強される?!
トリメチルアルシン酸 /Trimethylarsine oxide (TMAO)
アルシン/Arsine
ヒ素と水素の化合物、にんにくに似た臭い。
他のヒ素化合物とは毒性が異なり、30分間の25~30ppmの濃度の曝露で致死的である。中毒症状は0.5ppmの濃度であらあれる。
アルセノベタイン /Arsenobetaine
マウスの経口LD50 10g/kg ほぼ無害であると考えられている。
アルセノシュガー /Arsenosugar
ヒ素に結合した炭化水素の総称
褐藻類>紅藻類>緑藻類の順で海藻類に高濃度に含まれる。
アルセノシュガーの代謝には個人差が大きく存在し、海産物に含まれるヒ素摂取のリスク評価に影響を与える。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19627084/
アルセノシュガーは、チオ-DMAⅤに代謝されるとDMAⅤの100分の1の濃度で毒性を示す可能性がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3739928/
アルセノシュガーは海藻の種類によって異なる形態で含まれており、摂取された海藻の種類によりヒ素の尿中排出量は異なる。これは腸の透過性、代謝を促進する酵素活性の個人差、バイオアバイラビリティーの違いが影響しているかもしれない。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25393691/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23394220/
アルセノリピッド /Arsenolipid
海産動物植物に普遍的に存在する。河川、湖よりも遠洋の魚に多く含まれる。
数種類の存在が認められるが構造解析には至っていない。
TMAO、ジメチルアルシン酸の生成が予想される。
代謝過程が未解明であり、安全性についてほとんど未解明。
ヒ素の代謝
ヒ素のメチル化
ヒ素の代謝は5つ以上の代謝を含む複雑なプロセスによって代謝される。
五価の無機ヒ素化
↓
三価の無機ヒ素
↓
大部分はモノメチルアルソン酸(MMA)にメチル化
↓
少量がジメチルアルソン酸(DMA)に代謝
↓
尿中へ排出
www.nies.go.jp/kanko/news/21/21-6/21-6-03.html
ヒ素の毒性
毒性の高い順 無機ヒ素(3価)>無機ヒ素(5価)>有機ヒ素
www.pref.aichi.jp/eiseiken/5f/as.html
PTWI(暫定耐容週間摂取量)
JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)が定めたPTWI(暫定耐容週間摂取量)
無機ヒ素 15μg/kg体重/週(体重60kgで128μg/日)
PTWIは一生涯摂取し続けても健康影響が現れないとされる体重1kgあたりの週間摂取量
肺がん発生率0.5%の上昇の無機ヒ素下限値は3μg/kg/日(体重60kgで180μg)
apps.who.int/food-additives-contaminants-jecfa-database/chemical.aspx?chemID=1863
EFSA CONTAMパネル
(フードチェーンにおける汚染物質に関する科学パネル)
新しいデータでは、無機ヒ素が皮膚の他に肺や尿路にも発がん性を示し、またJECFAが検討した量よりも低い用量でさまざまな有害影響が報告されている。
またヒ素の化学種により著しく毒性が異なるが、PTWIで採用された研究の多くはヒ素の化学種による細胞毒性の違いを区別していない。
したがって、CONTAM パネルは、評価にJECFAが設定したPTWI(15 μg/kg 体重)を用いるのはもはや適切でないとして、より低用量(0.3~8μg/kg/日)の無機ヒ素の影響をみた最近のデータを中心に評価すると結論した。(体重60kgで18μg~480μg/日)
www.nihs.go.jp/hse/food-info/chemical/arsenic/arsenic.pdf
ヒ素の評価
ヒ素の曝露-排出経路
ヒ素は吸入、または経口摂取によって吸収される。皮膚から吸収されることはめったにない。ヒ素の経口による吸収率は90%と、その他の重金属よりも高い。
吸収されたヒ素は赤血球に結合し、肝臓、腎臓、筋肉、骨、髪の毛、皮膚、そして爪に沈着するが、その後主に尿を通して排出される。
有機ヒ素の半減期は5~6時間と短い。無機ヒ素は28時間
尿中ヒ素
尿中のヒ素は、消化性、呼吸性による曝露の反映であり、ヒ素曝露を診断するもっとも適した指標と見なされている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22208756/
ヒ素の尿中排出は排出量ヒ素の化学種が個体によって異なる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8149620/
毛髪ヒ素
毛髪ヒ素は、モノメチルアルソン酸、ジメチルアルシン酸などの高レベルは全身性ヒ素中毒を反映しているためスクリーニングとして有用である。
しかし外部からのヒ素混入という不確実性、毛髪ヒ素の正常値に関する合意については解決がついていない。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30889915
ヒ素の曝露源
曝露源
- 地下水
- 木材の防腐剤
- 工業製品(医薬品、ガラス製品、合金、皮防腐剤、ヒ素含有顔料、防腐塗料、毒餌、
- 喫煙
- 食事
- 化粧品
- 大気
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4186553/
日本での平均ヒ素摂取量
日本での食事からの平均ヒ素摂取量 170μg/日
日本での食事からの無機ヒ素摂取量 62.8μg/日(2010)
www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00380768.2011.565479
日本人の食事からの無機ヒ素摂取量 50~95%タイルで19~59μg/日 米とひじきが寄与する割合はほぼ等しく、現在の無機ヒ素摂取量によるがんリスクは無視できない。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25253519
食事からのヒ素の摂取比率
- 魚介類 32%
- ひじき 28%
- 海藻 20%
- 米 16%
- 野菜 1%
食事からの無機ヒ素の摂取比率
- ひじき 50%
- 米 35%
- 海藻 5%
- 魚介類 4%
- 野菜 3%
- 果物 2%
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3675277/
世界のヒ素汚染(井戸水のヒ素)
井戸水など地下水からの水を飲料としている世界の特定の国々で、ヒ素濃度の上昇が癌などの健康リスクとして高まっていることが示されている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11019458
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14769642/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17565158/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8645353/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19797964/
米国ニューハンプシャー州の井戸水
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15286466/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16624965/
日本の水道水
日本の水道法で定められているヒ素の水質基準値0.01mg/L(10ppb)もPTWIを基に算出されており、諸外国の水質基準も同様。
日本の水道水5739地点での測定結果において、基準値を超過したものはない。(平成15年調査)
お米・穀物
地域差
比較においては日本の北部で主に育てられるキララ397と星の夢がもっとも低いヒ素レベルを示し、日本の南部で主に育てられるヒノヒカリがもっとも高いヒ素レベルであった。
ヒノヒカリは発育しない種子を多く含み穀物収量低い、ゆえにひのひかりにおいてヒ素濃縮効果を生じたい可能性がある。しかし、品種によるヒ素、特に無機ヒ素の違いには大きな差はない。(0.11~0.17mg/kg 平均濃度0.14mg/kg)
この変動幅の小ささは遺伝的多様性の喪失から生じた可能性がある。
www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00380768.2011.565479
カリフォルニア、インド、パキスタンのバスマティ白米、米国の寿司米は、他の多くのお米と比べ、無機砒素の含有量は約半分である。
アーカンソー州、ルイジアナ州、テキサス州、米国産のみのラベルが表示されている全種類のお米に、もっとも高いレベルの無機ヒ素が含まれていた。
カリフォルニア、インド、パキスタン産のバスマティ玄米は、他の玄米よりも約3分の1少ない無機ヒ素を含んでおりベストな選択。
玄米・有機栽培
玄米は白米よりも平均的に80%多い無機ヒ素を含む。
有機栽培されたお米は、一般栽培されたお米と同様にヒ素を吸収する。
穀物
グルテンフリーの穀物アマランサス、ソバ、キビ、ポレンタ(コーンミール)、グリッツ(ひき割りとうもろこし)は、無視できるレベルの無機ヒ素を含んでいた。
グルテンを含むブルグア(ひき割り小麦)、オオムギ、スペルト小麦も非常に少ないヒ素を含む。
www.consumerreports.org/cro/magazine/2015/01/how-much-arsenic-is-in-your-rice/index.htm
魚介・海藻類
日本人は一般的にヒ素を蓄積する様々な魚介類や海藻類を消費する。
www.inchem.org/documents/ehc/ehc/ehc018.htm#PartNumber:1
魚介類や海藻類は、通常無毒であるアルセノ糖などの有機ヒ素が含まれているが、海藻で検出されたアルセノ糖はより有毒なジメチルアルシン酸に代謝される。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12903988/
ひじきには有毒な無機ヒ素が含まれている
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11829668/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22878632
日本人の高い食事からのヒ素摂取
日本人の食品から摂取する平均的なヒ素濃度は、欧米諸国よりも2倍高い。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/856292/
魚介類のヒ素 化学種の推定分布 (米国と日本)
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969716328017?via%3Dihub
ハーブ・アーユルヴェーダ薬・漢方薬
インドの伝統的な医学アーユルヴェーダで用いられる多くのアーユルヴェーダ薬には重金属が含まれている。アーユルヴェーダ薬の長期使用により慢性砒素中毒症状を示した事例。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24696169
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4252284/
高い尿中ヒ素濃度を示した韓国人女性が服用した漢方薬には、鉛とヒ素の含有量が高いことが判明した。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2165417
ヨウ素(海藻)サプリメントではヒ素を多く含む場合がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2137125/
アルツハイマー病・神経変性疾患
アルツハイマー病のヒ素曝露仮説
ヒ素の曝露は、神経原線維変化脳アミロイド形成を誘導することが示されており、これはアミロイド仮説と一致する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12484777/
またヒ素の曝露は心血管疾患と関連しており、アルツハイマー病の血管仮説とも一致する。
さらにヒ素曝露は脳の炎症反応をも引き起こすことから、アルツハイマー病の炎症仮説とも関連性が疑われる。
加えて、ヒ素とその代謝産物は、フリーラジカルを生成し、酸化ストレスと神経細胞死を引き起こすが、これはアルツハイマー病の酸化ストレス仮説と適合する。
小児、青年ではヒ素曝露によって記憶力、知的能力が低下と関連性があることも報告されている。
ヒ素は、これらのアルツハイマー病仮説の生物学的経路における上流に位置する可能性がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20473132
アルツハイマー病発症リスクを先天的に高める(DOHaD仮説)
DOHaD(Developmental Origins of Health and Disease)仮説とは、胎児期や生後直後の健康・栄養状態が、成人になってからの健康に影響を及ぼすという考え方。
ヒ素の胎児期の曝露が、アルツハイマー病のDOHaD仮説を説明する生物学的経路の一つである可能性を示す。
pdfs.semanticscholar.org/3327/d346b64e74a2f9479252bc5599a19067270e.pdf
胎児期にヒ素に曝露したラットはエピゲノム変化を引き起こす。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23405071/
GSTO1遺伝子多型
軽度認知症患者においてGSH:GSSG(酸化型GSH)の比率は低下している。(特に男性)
グルタチオンS-トランスフェラーゼオメガ1(GSTO1)は、ヒ素の代謝および解毒に関わる。
GSTO1遺伝子の多型はアルツハイマー病、パーキンソン病発症年齢を変化させることがわかっており、ヒ素がアルツハイマー病発症の潜在的な役割に関与していることを示唆する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14570706
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22100662/
記憶能力の低下
亜ヒ酸に慢性曝露したラットではニューロンシナプスに有害な変化をもたらし、空間記憶障害に寄与する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22824511
亜ヒ酸ナトリウムの投与は、ラット海馬の錐体細胞密度が低下した。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24082510/
ヒ素に曝露したゼブラフィッシュの長期記憶(LTM)の低下。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19501674/
神経新生の減少
4μg/ Lのヒ素が含まれる飲料水を4ヶ月間投与すると、マウスの神経前駆細胞の増殖、成熟ニューロン数は減少した。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22561869/
ヒ素曝露は、β-カテニンシグナル伝達経路の抑制を介してP19幹細胞における筋形成および神経形成を阻害する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22641621/
NGF発現の低下
妊娠中のラットへのヒ素曝露は、ヒ素の用量が増加するつれF1世代ラットのNGF発現が減少し、学習能力および記憶能力を損ねた。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23600209/
RAGEの増加
ヒ素の慢性曝露はラットのアミロイドβ産生を増加させ、高度糖化最終産物発現の受容体を増加させる。
ミトコンドリア機能の低下
ヒ素曝露はADマウスの害汁チズム変化を示し、ミトコンドリア複合体Iの減少に伴うATPレベルの低下など生体エネルギー障害に寄与する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30141907
ヒ素はチアミン(ビタミンB1)を枯渇させる。
グルタチオンやスーパーオキシドジスムターゼなどの重要な酵素を枯渇させ、酸化ストレスを引き起こし、ミトコンドリアに障害を与える。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3183630/
セロトニン・HPA軸
低用量のヒ素曝露マウスの影響を受けた子孫マウスは、5-HT 1A受容体を増加させ、HPA軸、セロトニンシグナル伝達の調節作用を混乱させる可能性がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18573533/
ドーパミンの変化
低用量の慢性砒素曝露を受けたマウスha、雄雌両方のマウスで線条体および側坐核におけるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)およびサイトゾルチオレドキシン(Trx - 1)mRNA発現の減少が観察された。線条体および視床下部のドーパミンレベルは、雄マウスにおいてのみ減少した。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19121333
低レベルの無機ヒ素への慢性曝露は、ラットのドーパミン作動系および抗酸化系発現に影響をおよぼす。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20699118
内分泌の撹乱(エストロゲン)
ヒ素を暴露したマウスの肺腺がんにおける高いエストロゲン受容体α発現。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17650541/
ヒ素は、in vivo,in vitroの両方でエストロゲン受容体を破壊する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17283378
academic.oup.com/toxsci/article/98/1/75/1659131
ヒ素中毒の治療
タンパク質摂取の増量(メチオニン・システイン)
タンパク質、メチオニン、システインの摂取量を増やすと、尿中のヒ素排泄量が10%から15%に増加する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19165394
タンパク質不足などの栄養欠乏はヒ素の毒性を悪化させる傾向がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7819025
カゼインとえんどう豆のタンパク質
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23859609/
セレン
体内では、ヒ素、セレン、GSHがAs / Se / GSH錯体を形成することによって過剰なヒ素(セレンではない)を除去する。
セレン欠乏地域におけるセレンのサプリメント補給は、ヒ素の排出を著しく促進し、血清中のヒ素濃度を低下させる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12505432
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18028891
爪のセレン濃度の低下は、高齢者集団の認知スコアの低下と関連があることがわかっている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17272290
βカロテンレベルの欠乏を防ぐ
βカロチンの欠乏は、メチル化能力の低下と関連してヒ素の毒性を悪化させる可能性がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9264271
DMPS
DMPSによる治療は慢性砒素患者の臨床状態を有意に改善した。一方でキレート剤DMSAによる治療はプラセボ群よりも有効であるとは認められなかった。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12635824
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9865236/
DMSA&MiADMSAの併用
DMSAとMiADMSAの同時投与はヒ素による酸化ストレスを軽減し、血液や軟部組織からのヒ素除去にもっとも効果的であった。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18163546/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17086449
キレート剤の注意
キレート剤BALの投与は、実験動物の脳へのヒ素、鉛、水銀の取り込みが増加した。
CaEDTAのカルシウム塩は、鉛の脳への取り込みを増加させた。
経口によるカドミウムまたは水銀中毒では、DMSA、DMPAの早期経口投与が生存率を高め、腸内への金属取り込みを減少させた。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27150911
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5513893/
亜鉛
妊娠中に亜鉛を投与しマウスへのヒ素曝露は、オスの子孫における催奇形性、ヒ素毒性に対する顕著な保護効果を示した。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23959010/
N-アセチルシステイン
ラットへのDMSAとNアセチルシステインの併用投与は、いずれかの単独投与よりも血液および肝臓中のヒ素濃度を効果的に枯渇させることができた。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10561806
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11292581/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3952743/
クルクミン
ヒ素の曝露したラットへのクルクミン投与は、酸化ストレスを減少させ、低下した線条体ドーパミンの活性が増加した。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19631675
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20466022/
タウリン
ヒ素に曝露したラットへのタウリン投与は、撹乱されたドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニンレベルを改善させ、ヒ素の毒性効果を有意に軽減した。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23392890/
ケルセチン
MiADMSAキレートでのケルセチン併用投与は、マウスのヒ素曝露による酸化ストレスを軽減することができる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18183357
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12392791/
酪酸ナトリウム
酪酸ナトリウム投与は、ヒ素毒性によって低下したラットの脳グルタチオンを増加させ、学習、記憶、内皮機能、などを改善させた。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23921152
フルオキセチン(プロザック)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24019935/