アロマオイルの研究
総合
アロマテラピーの臨床研究
たぶん、一番有名なアロマセラピーの臨床研究(日本)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20377818
アルツハイマー病患者へ28日間のアロマセラピー(ローズマリー、レモンバーム、ラベンダー、スゥィートオレンジ)により、GBSS-J およびTDASテストスコアで有意な改善を示した。
GBSS-J:知的機能・自発性・感情機能・その他の精神症状 ・運動機能の痴呆行動評価尺度
TDASテスト:ADASをタッチパネル化したテスト
プラセボと嗅覚刺激の相互作用
エッセンシャルオイルの嗅覚刺激は、主観的な注意が相互作用を引き起こし、作業成績に高い影響を及ぼす。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20923005
皮膚への塗布による効果
製品、品質による効果のばらつきがある。
アロマオイル(30%1ml)の腕への塗布では効果が見られたが、噴霧では見られなかった。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3827620/
マッサージとの組み合わせ効果
21人の認知症患者の無秩序行動に対して、アロマセラピーとマッサージの組み合わせが(それぞれを単独で用いるよりも)最も行動抑制の効果を示した。
apt.rcpsych.org/content/10/4/296.full
認知症のタイプによっては効果がないかも
中等度から重度の認知症患者15名のアロマテラピー投与
9人に改善が認められ5人には変化が見られず1人は激越行動を示した。
レビー小体型の認知症の患者へのラベンダー使用は有益な効果があまり見られなかった。(Holmes et al, 2001)
抽出物のオイル成分の変化により、アセチルコリンの分泌に影響を与えている可能性がある。
アロマオイル各種
ローズマリー オイル
AChE阻害作用
ローズマリー精油に含まれるロスマリン酸が、強力なAChEおよびブチリルコリンエステラーゼ阻害作用をもつとの報告がある。
ローズマリーに含まれるフェノール化合物であるジテルペンが、アルツハイマー病への潜在的な治療効果をもつ可能性。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4749867/
AChE阻害薬と類似する作用機序
Keap1 / Nrf2経路の活性化によるニューロン保護効果
ジテルペンの一種であるカルノシン酸はα-セクレターゼを増強させる作用、βセレクターぜ阻害効果は示されていない。
※ジテルペノイド(カルノシン酸、ロマノール、カルノソール)
ローズマリーに多く含まれる(37%)1,8-シネオール化合物の濃度と、認知課題のパフォーマンスが有意に関連。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤と類似する働きによって認知機能、記憶力が改善されているのではないか。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23983963
認知能力の変化に気が付かない
ローズマリーに含まれる1,8-シネオールへの曝露が、健常者の認知能力と相関する。興味深いことに、自己報告と認知能力の関連には一貫性がない。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3736918/
朝、昼、活動前に使用
レモンバーム オイル
介護者からの評価の改善
二重盲検プラセボ 介護スタッフによって重度の認知症患者の顔および腕に1日2回塗布、CMAIが有意に改善。
CMAI(Cohen-Mansfield Agitation Inventory)コーエンマンスフィールド焦燥評価票 = 介護者による具体的な症状、行動障害の評価。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12143909
記憶の正確さと落ち着きへの効果
レモンバームの使用量が1600mgにおいて、記憶の正確さおよび、穏やかさに有意な改善を示した。
www.life-enhancement.com/magazine/article/906-can-high-quality-lemon-balm-ease-dementia
朝、昼、活動前に使用
ラベンダー オイル
ラベンダーの多彩な効果
HSP70発現の可能性
リナロールによる弱いコリン作動性阻害
神経保護、抗酸化活性、
GABA作動性シナプスを調節
脂肪分解と熱生成によるエネルギー消費を低下 → ラットは体重増加
健康な女性の眼窩前頭、後部帯状回、脳幹、視床、小脳のニューロンを増強
in vivo でエストロゲン、抗アンドロゲン活性あり
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3612440/
空間記憶
ラベンダーオイルへの7日間曝露によりラットの空間記憶が改善
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22402245
NMDA受容体の拮抗作用
ラベンダーのもつ抗不安、抗うつ作用は過酸化水素によって生じる神経毒性を調節することによる、NMDA受容体に対する拮抗作用、SERT阻害に起因する可能性がある。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28579958
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5437114/
投与方法が重要
アロマセラピーによるBPSD症状への治療成績のバラ付きは、治療期間や、オイルの種類、研究集団の違いではなく、明確に投与方法に起因する。精油が嗅覚の近くで塗布されたときには、結果はポジティブであった。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27159213
AChE阻害薬と類似するメカニズム
ラベンダーオイルは、酸化ストレスおよびアセチルコリンエステラーゼ阻害調節により、神経保護効果を示しえる。(in vivo)( in vitro)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27558947
リラックス効果
ラベンダーオイルによる、血圧、心拍数、皮膚温度の有意な低下、自律神経の活動を低下させリラックスさせる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22612017
攻撃的な症状の改善
ラベンダーオイルはホホバオイルとの比較で、アルツハイマー病高齢者の感情および攻撃的な行動に有意な影響を示した。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15860944
夕方、夜、寝る前に使用
オレンジ オイル
夕方、夜、寝る前に使用
ペパーミント オイル
記憶力の増強
ランダム割付 コグニティブドラッグリサーチ・コンピューター評価システムにより、ペパーミントが有意に記憶力を強化。一方イランイランは記憶力を損なうが処理速度を高めた。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18041606
処理速度の増強
ペパーミントがタイピング作業の総スピード、精度に有意差があることを示した。しかしタイピングの持続力と記憶力は改善しなかった。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14738372
※ペパーミントによる記憶力の改善については、有意差を示さなかった研究も多い。
朝、昼、活動前に使用
セージ(サルビア)オイル
セージの豊富な抗認知症成分
セージはイギリスで記憶力を高める薬として知られ、長い歴史をもつ。
160以上のポリフェノールを含み、その中にはカフェイン酸、ロスマリン酸、サルビアノール酸、サグクマリン、リソスペルミジン酸、セイレン酸およびユナン酸が含まれる。
フラボノイドには、ルテオリン、アピゲニン、ヒスピドリン、ケンペロール、ケルセチンなどが含まれる。
サルビア属の植物には精油が豊富で、α、β-ツヨン、カンファー、1,8-シネオール、α-フムレン、β-カリオフィレンおよびビリジフロロールを含む多数のテルペノイドが豊富。
ジテルペンおよびトリテルペン、(カルノシン酸、ウルソール酸、カルノソールおよびタンシノンの豊富な供給源)
アセチルコリンエステラーゼ阻害作用
ロスマリン酸、カフェ酸、カルノソール、タンシノン、ケルセチンはBDNFを増強
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5318325/
こうしてみると、サルビアは認知機能を高める成分がてんこもり、オイルというか、経口摂取すべきハーブかもしれない。
想起能力
プラセボ二重盲検、クロスオーバー、コグニティブドラッグリサーチのコンピューター評価システムで、健康な若者の瞬間的単語想起を有意に改善した。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12895685
朝、昼、活動前
ゆず
抗ストレス効果
日本代表のアロマ ゆず
ランダム化クロスオーバー ゆずの香りを嗅ぐことで唾液中のクロモグラニンA(ストレスマーカー)が有意に減少
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24742226
エッセンシャルオイル その他
学習・記憶
ベルガモット、フランキンセンス、
集中力、注意力
イランイラン
マウスの線条体のドーパミン濃度を低下させ、海馬のセロトニン濃度を増加させる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27912874
サンダルウッド
その他
カモミール、ベチバー、ゼラニウム、マンダリン