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APP アルファ-セクレターゼを増加させる
概要
αセクレターゼによるアミロイドβ区画の切断
αセクレターゼは、アミロイドβが作り出されるAPPを切断する切断酵素。
しかしAPPのアミロイドβとなる中央部分を切断するため、アミロイドβは切り出されず代わりにsAPPαが切り出され細胞外に放出される。
そのためαセクレターゼによるAPPα切断(プロセシング)は、アルツハイマー病の発症原因とされるアミロイドβの産生を妨害することができる。
en.wikipedia.org/wiki/Alpha_secretase
切断されたsAPPαの神経保護特性
さらにsAPPαは、それ自体が神経保護特性を有すると推定されており、αセクレターゼ切断の促進はアミロイドβ産生の阻害と神経保護のダブルの作用でルツハイマー病に対抗しえる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8863493
p3ペプチドも無毒性
APPα切断後の残りのAPPをγセクレターゼが切断することで、無毒性のp3ペプチドが放出される。
ADAM10
ADAM9、ADAM10およびADAM17は、αセクレターゼ活性を有する酵素であることが示されている。
ADAMA10は間接的にαセクレターゼの活性に寄与する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21883223
ADAM10はα-セクレターゼ活性を有するタンパク質と同定されている。
ADAM10は、中枢神経系の発達およびニューロン/グリア分化を調節する。
ADAM10はシナプス形成および可塑性を調節するために多様なニューロン基質を使用する。
ADAM10はてんかん、プリオン、ハンチントン病、アルツハイマー病に関連しており、アルツハイマー病の魅力的な治療標的。
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0301008215300460
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0301008215300460
ADAM10増加因子
ビタミンA(レチノイン酸)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19144697
メラトニン
メラトニンはADAM転写アゴニストとして明確に作用し、αセクレターゼを刺激することでβセクレターゼとγセクレターゼの両方をダウンレギュレーションする。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25491598
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28294066
メタロチオネイン3(MT3)
メタロチオネイン3(MT3)は亜鉛-銅ホメオスタシスにおいて重要な役割を果たすタンパク質。
成長阻害因子として知られており、主に中枢神経系のおいて発現される。
ヒトMT-3は、重金属の解毒、代謝の調節、および中枢神経系におけるフリーラジカルの酸化的損傷に対する保護に関与すると推定されており、重要な神経修飾物質および神経保護の役割を果たしえる。
アルツハイマー病患者の脳内ではMT3レベルの低下が観察されている。
en.wikipedia.org/wiki/Metallothionein-3
PC7およびフリンの発現を増加させることにより活性型ADAM10の生成に役割を果たす。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24859040
ドネペジル
ドネペジルはAPP代謝を非アミロイド形成経路に強力にシフトさせることが示されている。
ドネペジルは血漿膜へのADAM10の輸送を促進し、インビトロでα-セクレターゼ活性を増強する。
他のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤がADAM10活性の増加に作用するか否かはまだ検討されていない。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15341532
クルクミン
インビトロでADAM10発現およびsAPPα分泌を増強することが示された。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22796219
ジンゲロール(生姜)
レスベラトロール
高レベルのコレステロールはADAM10、BACE1の発現と局在化に変化をもたらす。レスベラトロールは、コレステロールの恒常性を回復し、Sirt1発現を増強することによりアミロイド形成の負荷を緩和させる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28059793/
アセチル-L-カルニチン
アセチル-L-カルニチンは、αセクレターゼ活性を刺激を介してβセクレターゼ媒介経路を減少させることが示されている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18801359/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16634066/
スタチン
その他
SOX-2
PAX2
ADAM10阻害
高すぎるコレステロール
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28059793/
低すぎるコレステロール
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20413873/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15718241/
αセクレターゼ活性因子
運動
運動によるBDNFはAPPのα セクレターゼ プロセシングを増強することによってアミロイドβ 産生を低下させる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28382744
緑茶カテキン EGCG
PKC経路を介してα-セクレターゼを刺激し、ADマウスの脳アミロイド沈着を減少させることが示されている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12670874
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19656855
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16624814
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16177050
レスベラトロール
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19041676
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17077308
ラクトフェリン
鼻腔内ラクトフェリン投与、ERK1 / 2-CREBおよびHIF-1α経路を介してADマウスのα-セクレターゼ依存性のAPPプロセシングを増強する。→アミロイドβ生成の低下。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28079060
ジンセノサイドRe
ジンセノサイドReはPPARγ活性を介して、BACE1を阻害し、アミロイドβ産生を減少させる。in vivo
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27840193
クリプトタンノシン
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20595051
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17714702
セレギリン
ランダム化比較試験 長期投与による有益な効果はセレギリンの神経保護またはニューロンの救済による作用機序であることを支持する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10354658
デプレニルがPC12細胞において用量依存的にα-セクレターゼ活性を増加させることができることを示した。
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0014299909002635
アトルバスタチン
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14739574
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15287907