書籍要約『持続可能な人口の原理に関する試論』 2020年

マルサス主義、人口抑制

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英語タイトル:『An Essay on the Principle of Sustainable Population』Toshihiko Hara 2020

日本語タイトル:『持続可能な人口の原理に関する試論』原 俊彦 2020年

目次

  • 第1章 序論:世界人口の持続可能性 / Introduction: The Sustainability of the World Population
  • 第2章 持続可能な人口の原理 / The Principle of Sustainable Population
  • 第3章 日本の人口転換(JDT) / Japan’s Demographic Transition (JDT)
  • 第4章 人口転換のシステム・ダイナミクス・モデル / System Dynamics Model of Demographic Transition
  • 第5章 日本の人口転換に関するシミュレーション・ラン / Simulation Run for the Demographic Transition in Japan
  • 第6章 結論:人類社会の人口学的未来 / Conclusion: Demographic Future of Human Society
  • 第7章 エピローグ:持続可能な社会に向けて / Epilogue: Toward a Sustainable Society

本書の概要

短い解説:

本書は、マルサスの『人口論』を批判的に再検討し、人口減少と高齢化が進む現代日本および世界の人口動態をシステム・ダイナミクス・モデルによって分析する。持続可能な人口のための原理を提示し、人類社会の未来像を描くことを目的とする。

著者について:

著者の原俊彦(はら としひこ)は、札幌市立大学名誉教授。人口学研究において、特に日本の人口転換と縮小社会に関する研究で知られる。システム・ダイナミクス・アプローチを用いた人口モデリングに精通し、国際的な人口学会でも活躍。本シリーズの編集長も務める。

テーマ解説:

  1. マルサス人口論の再検討と修正:指数関数的増加とロジスティック曲線を基に、持続可能な人口のための新たな原理を定式化する。

  2. 日本の人口転換(JDT)の歴史的・理論的解析:古典的DTおよび第二の人口転換(SDT)を再検討し、日本の人口転換を説明する因果モデルを構築する。

  3. システム・ダイナミクス・モデルによるシミュレーション:世界3(World3)を参照したDTMJモデルを用いて、日本の人口転換を内生変数のみで再現し、将来シナリオを分析する。

キーワード解説:

  • 人口転換(Demographic Transition: DT):多産多死から少産少死への歴史的過程。先進国では第4段階(出生率・死亡率ともに低水準)に到達し、人口減少局面に入っている。
  • 持続可能な人口(Sustainable Population):出生率と死亡率が均衡し、人口成長率がゼロに収束する状態。マルサスの原理を修正した新たな概念。
  • システム・ダイナミクス(System Dynamics: SD):非線形かつ相互連関的な変数間の因果関係を時間経過で表現するシミュレーション手法。メドウズらのWorld3に依拠。
  • DTMJ(Demographic Transition Model of Japan):原俊彦が構築した日本の人口転換モデル。人口・年齢構造、出生力、結婚タイミング、社会資本蓄積、寿命、移住の6部門から構成。
  • 縮小社会(Shrinking Society):合計特殊出生率が人口置換水準を下回り、人口が持続的に減少し高齢化が進行する社会。日本が先駆的例。
  • 人口波モデル(Population Wave Model):人口発展を多重のロジスティック波の連続として捉える理論。マルチフラクタル構造を持ち、長期的には単一のロジスティック曲線に統合される。

要点要約

マルサスが1798年に『人口論』を発表した当時、イングランドは人口転換の第2段階にあり、死亡率の低下と人口増加が進行していた。しかし現在、世界は人口転換の最終段階にあり、ほとんどの地域で出生率は置換水準を下回っている。この状況下で、マルサスの原理を批判的に再検討し、持続可能な人口の新たな原理を構築する必要性が生じている。

人類の人口発展は過去1万年の歴史の中で、17世紀末以降に初めて指数的な上昇を示した。コーエンが描いた絶滅曲線は、人口が指数関数的に増加する場合、いずれは限界に達することを示唆する。しかし人口波モデルが示すように、人口発展は多数のロジスティック波の連続として捉えられ、短期的には無数の波が重なり合い、長期的には単一のロジスティック曲線へと統合される。

マルサスの二つの公理——食物の必要性と両性間の情熱——は人口発展の諸条件の一部に過ぎない。重要なのは、人口成長率が正の場合に指数関数的増加が、負の場合に指数関数的減少が生じるという事実である。人口成長率が置換水準から乖離すれば、社会は持続可能性の危機に直面する。したがって持続可能な人口の原理とは、出生率と死亡率が均衡し、成長率がゼロに収束する社会のみが持続可能であるという原理である。

日本の人口転換は、古典的DTと第二の人口転換(SDT)の枠組みで分析できる。明治期以降、平均寿命の延伸と女性の生殖期生存率の上昇が置換水準合計特殊出生率を低下させ、出生抑制の圧力をもたらした。1975年以降、女性の平均寿命が75歳を超えると、結婚・出産タイミングの後期化が進行し、生殖期間の実効的利用率が低下し、出生率は置換水準を下回った。この過程には、社会資本蓄積、寿命延伸、出生制御、結婚タイミングのシフトという三つの主要なフィードバック・ループが関与している。

DTMJ(Demographic Transition Model of Japan)は、システム・ダイナミクス・アプローチを用いて構築されたマクロ・シミュレーション・モデルである。人口・年齢構造、出生力、結婚タイミング、社会資本蓄積、寿命、移住の6部門から構成され、歴史的データの使用を最小限に抑えつつ、内生変数のみで日本の人口転換を再現することを目的とする。各部門は非線形かつ相互連関的に定義され、社会資本蓄積が寿命延伸と出生制御の可能性を高めるという基本仮定に基づいている。

標準ランのシミュレーション結果は、日本の人口転換——高出生・高死亡率から低出生・低死亡率への移行と、その帰結としての急激な高齢化と人口減少——を首尾よく再現する。感度分析は、最大出生力、最大寿命、移住が人口の持続可能性を制御する鍵であることを示す。社会資本蓄積の速度が速いほど人口転換は加速し、より急速な縮小をもたらす。最大寿命が延伸されると人口転換は遅延するが、将来的にはより急激な人口減少を招く。移住は人口変化の速度に基本的に影響を与える。

世界人口の現状を国連の地域別・所得グループ別に観察すると、世界人口の波は異なる位相にある多数の波から構成されている。アフリカ(特にサブサハラ・アフリカ)以外のほとんどの地域では、人口成長率は低下し、ポスト人口転換段階に入りつつある。先進国における出生率回復には、早期結婚・出産への社会的支援と、生殖補助医療(ART)による後期出産支援の二つの方策が考えられる。移住については、後発国からの労働・生殖年齢人口の移出は出生率低下と人口成長鈍化を促進し、先進国への移入は出生率回復と高齢化・縮小の緩和に貢献する。

持続可能な人口の原理は、その論理的・量的な帰結として背景独立性を持つが、現実の歴史的過程においては背景要因が決定的な役割を果たす。したがって持続可能な人口は、持続可能な経済、持続可能な生態系、持続可能な文化、持続可能な社会を同時に要求する。縮小社会を持続可能な社会へと変革するには、分配の新しい原理、物質財から非物質的情報・対人サービスへの生産重心のシフト、食料供給チェーンの根本的改革、生涯教育の普遍化、家族制度の多様化と機能ネットワークの拡大など、現存社会の全面的な再構築が必要である。

各章の要約

第1章 序論:世界人口の持続可能性

国連の2017年人口推計によれば、世界人口は2015年の73.8億人から2100年には110億人に達し、今後85年間で40億人以上増加する。しかしこの増加のほとんどは高齢者(65歳以上)と労働年齢人口(15-64歳)によるもので、子どもの増加は極めて限定的である。増加の約80%はサブサハラ・アフリカに集中する。一方、日本は2015年の1.3億人から2100年には0.8億人に減少し、世界に先駆けてポスト人口転換段階——置換水準以下の出生率と急激な高齢化・人口減少——に突入している。世界の合計特殊出生率(TFR)は1960-65年の5.05から2010-15年には2.57に低下し、アジア(2.02)やラテンアメリカ(2.14)は置換水準に接近しているが、欧州(1.60)・北米(1.85)・日本(1.40)は大幅に下回る。純再生産率(NRR)も同様の傾向を示す。ラム教授の論考をめぐる論争では、人口増加が生態系の持続可能性を脅かすという見解が示されているが、著者はむしろ人口の人口学的持続可能性そのものに焦点を当てる必要があると主張する。サブサハラ・アフリカ以外の地域が縮小社会に入る中、世界経済を支える先進国の経済力低下は、サブサハラ・アフリカの経済成長を支援できなくなるリスクをはらむ。さらに、仮にサブサハラ・アフリカの人口転換が成功しても、やがて全世界が縮小社会に移行する。本章は、マルサスへの単純な回帰ではなく、その原理の修正が必要であると結論づける。

第2章 持続可能な人口の原理

コーエンが描いた絶滅曲線は、人類の人口発展が逆L字型の長い尾を持つ曲線であり、近い将来の絶滅を示唆するかのように見える。しかし同様の曲線は紀元前1万年から紀元0年、1650年頃など歴史のあらゆる時点で描くことができ、指数関数的成長の本質を示すに過ぎない。むしろ人口波モデルが示すように、人口発展は多重のロジスティック波の連続であり、マルチフラクタル構造を持つ。短期的には無数のロジスティック波が重なり合い、長期的には単一のロジスティック波に統合される。マルサスは「抑制されない人口は幾何級数的に増加する」と述べたが、成長率が負の場合には同様に幾何級数的に減少することも指摘すべきである。指数関数的成長では、成長率1%で倍加時間70年、2%で35年、5%で14年となる。縮小する人口も同じ時間で半減する。ロジスティック方程式は、環境収容力Kに近づくにつれて成長率がゼロに収束するS字型曲線を示す。人口生物学では密度依存効果として説明されるが、人類の人口転換は生物学的パターンとは異なる。古典的人口転換モデルは4段階——移行前期、移行初期、移行後期、移行後期——からなり、最終的に成長率ゼロの定常状態を目指す。しかしこの過程が自動的に進行する保証はなく、成長率がマイナスに転じる場合もあり得る。持続可能な人口の原理として著者は三つの公理——人間は死すべき存在であること、生涯の出産可能数には上限があること、成長の限界は事後的に存在すること——を提示し、「人口が置換水準から乖離すれば、社会経済的コストが増大し持続可能性を失う」と定式化する。生存競争で生き残るのは成長率が最も高い集団ではなく、置換水準を維持しながら最も長く持続可能な集団である。

第3章 日本の人口転換(JDT)

古典的人口転換(DT)は、前産業社会の多産多死から後産業社会の少産少死への歴史的過程であるが、その因果関係は今日まで十分に解明されていない。第二の人口転換(SDT)は、出生率が置換水準を下回り、死亡率が人口高齢化により上昇に転じる段階を追加した。日本では1846年(徳川幕府の人口調査)の約2,684万人から1872年(明治政府調査)の3,480万人へと年間0.2-0.32%で増加した後、1899年には総人口4,340万人、CBR32.0‰、CDR21.5‰、成長率1.05%に達し、第2段階(移行初期)に入った。1920年にCBRが36.2‰のピークを記録した後、死亡率の先行低下により第3段階(移行後期)へ移行した。1973年にはCBR19.8‰、CDR6.6‰で第4段階(移行後期)に入ったが、第一次ベビーブーマーの結婚による第二次ベビーブームの影響で成長率は1.28%であった。1975年にTFRが置換水準(1.90)を下回り、その後2005年に1.26の最低値を記録、2017年には1.43に回復した。女性の平均寿命延伸に伴い、生殖期生存率が上昇し、置換水準TFRは低下した。1921-25年には生存率49.4%で置換水準TFR4.02、実際のTFR5.15(NRR1.24)であったが、1975年には生存率94.9%で置換水準TFR2.16、実際のTFR1.91(NRR0.93)となった。また初婚年齢の上昇(1960年24.3歳→2016年29.4歳)により生殖期間の実効的利用率は25.7年から20.6年に低下した。これらの分析から、著者は三つの主要フィードバック・ループ——社会資本蓄積と出生制御、寿命延伸と出生抑制圧力、ライフコース変化と生殖期間短縮——を特定し、日本の人口転換の因果モデルを構築する。

第4章 人口転換のシステム・ダイナミクス・モデル

著者はWorld3(メドウズら1972)を参照し、システム・ダイナミクス(SD)アプローチを用いてDTMJ(Demographic Transition Model of Japan)を構築した。このモデルは歴史的データの使用を最小限に抑え、内生変数のみで日本の人口転換過程を再現することを目的とする。6部門——①人口・年齢構造と移住、②出生力、③結婚タイミング、④社会生産、⑤寿命、⑥人口指標——から構成される。人口・年齢構造部門は4年齢階級(0-14歳、15-44歳、45-64歳、65歳以上)を区別し、出生・死亡・年齢移動・移住を計算する。出生力部門では、合計出生力(TF)が生物学的最大出生力(TFM)と希望出生力(DTF)の間で出生制御効果(FCE)によって調整される。TFMは女性45歳の生存率に依存し、標準値15(生殖期間30年÷平均出生間隔2年)が設定される。DTFは希望完了家族サイズ(DCFS=2)を女性45歳生存率で除した値である。結婚タイミング部門では、寿命延伸に伴い結婚タイミングが後期化し、生殖期間の実効的利用率(MRTE)を低下させる。社会生産部門では、労働人口×労働生産性で社会生産が決定され、その一部が社会資本として蓄積される。寿命部門では、社会資本一人当たりが寿命変化の速度を決定する。このモデルは、社会資本蓄積が寿命延伸と出生制御の可能性を高めるという基本仮定に基づいて構築されている。

第5章 日本の人口転換に関するシミュレーション・ラン

標準ランの初期設定は、総人口100(1872年の約3,480万人に相当)、初期寿命44.3年(明治期の女性平均寿命)、最大寿命85年、希望完了家族サイズ2.08、最大出生力15、社会資本蓄積率1%、廃棄率0.1%である。シミュレーションは1872年から2072年までの200年間を対象とする。結果は、CBR42.8‰、CDR22.2‰から出発し、CDRの先行低下の後CBRが追随し、ST139(2011年相当)で両者が交差して人口減少に転じることを示す。人口ピークは602(初期比6倍)で、実際の2008年ピークよりやや高い。年齢構造では、子ども人口割合が26.5%から一旦36.9%に上昇した後11.1%に低下し、高齢者割合は9.4%から31.9%に上昇する。老年従属人口指数は14.7から55.9に上昇し、2020年代に年少従属人口指数と交差する。社会資本は100から1,229,461に増加(年間成長率4.71%)、寿命は44.3年から85.0年までロジスティック曲線を描いて延伸する。合計出生力(TF)は5.90から2.11に低下し、合計特殊出生率(TFR)は結婚タイミング効果によりさらに低下して1.14に達する。結婚タイミングは15歳から28.8歳に上昇し、生殖期間の有効利用率は54%に低下する。感度分析では、社会資本蓄積率が高いほど人口転換が加速され人口減少が早期化し、最大出生力が大きいほど転換が遅延し、最大寿命が延伸されると転換は遅延するが将来の減少はより急激になる。移住は、15-44歳の純移住がマイナスの場合、人口ピークが低下し早期に減少に転じ、プラスの場合はピークが上昇し減少が遅延する。移住は出生率低下のタイミングにも影響を与える。

第6章 結論:人類社会の人口学的未来

国連世界人口推計2019によれば、世界人口は2019年の77億人から2100年には109億人に達し、成長率は今世紀末にほぼゼロに収束する。地域別に見ると、欧州は2021年(7.48億人)、アジアは2055年(53億人)、ラテンアメリカは2058年(7.68億人)にピークを迎え、アフリカだけが4.28億人まで増加を続ける。世界人口の構成比は、アフリカが1950年の9.0%から2100年には43.9%に上昇し、欧州は21.7%から5.8%に低下する。所得グループ別では、低・中所得国が人口増加の大部分を占め、高所得国・高中所得国は人口が安定・減少する。人口転換の原動力は社会資本蓄積であり、それは人口自体の増加によって促進される。後発国では社会資本形成を加速し、個人の出生決定と家族形成タイミングの選択を可能にすることが重要である。先進国における出生率回復には、①早期結婚・出産への社会的支援と保証、②生殖補助医療(ART)による後期出産支援の二つの方策が考えられる。ARTは生殖期間の実質的延長と出産間隔の調整を可能にするが、個人の生殖権の拡大は優生学や全体主義の危険と隣り合わせである。寿命延伸は人口転換を遅延させるが、将来的な人口減少をより急激にする。縮小社会は国内需要の減少、労働力不足、世代間分配の再調整、医療・介護費の増大などの課題に直面する。移住は後発国では出生率低下と人口成長鈍化を促進し、先進国では出生率回復と高齢化・縮小の緩和に寄与するが、統制のない移住は社会システムの崩壊を招く。最終的に、世界人口の持続可能な未来は、出生・死亡・移住に関する個人の決定の自由と社会的統制のバランスにかかっている。

第7章 エピローグ:持続可能な社会に向けて

持続可能な人口の原理は背景独立性を持つが、現実の歴史過程では背景要因が方向性・タイミング・速度を決定する。したがって縮小社会を持続可能な社会に変革するには、経済・生態・文化・社会の全面的な再構築が必要である。持続可能な経済のためには、「働かない者は食べるな(自己資本を持つ場合を除く)」という産業資本主義由来の分配原理を、「働かなくても食べられる(自己資本がなくても)」という新原理に転換しなければならない。巨大な生産能力は十分な有効需要なしには無意味だからである。持続可能な生態系のためには、物質財から非物質的情報・対人サービスへの生産重心のシフトと、家畜・栽培植物に依存しない合成食品技術による食料供給チェーンの開発が必要である。これにより生物多様性の回復と農地の解放が可能になる。都市部への人口の超集中は、人工的に制御された生態環境の下で、他の地域を野生生物の回復に充てることを可能にする。持続可能な文化のためには、ユニバーサルかつ生涯にわたる教育が必要である。生涯の主たる活動は生産活動から文化的活動へとシフトする。持続可能な社会では、家族の多様性は増大するが安定性は低下し、従来の社会組織の多くは大規模な機能的ネットワークに置き換えられる。これらのネットワークは地理的境界を超えて拡大し、地球規模の共通の絆を形成する。フラーの『宇宙船地球号の操作マニュアル』のタイトルが示すように、人類は自ら惑星地球の生態環境を制御する責任を負う。

想定読者・前提知識・読みどころ

  • 想定読者:人口学、社会学、経済学、政治学を専門とする研究者および大学院生。特に人口減少と高齢化が進む先進国の政策担当者や、システム・ダイナミクスによる社会シミュレーションに関心を持つ読者。
  • 前提知識:基礎的な人口統計指標(合計特殊出生率、粗出生率・死亡率、平均寿命、純再生産率など)の理解が必要。システム・ダイナミクスや微分方程式(ロジスティック方程式、指数関数)の初歩的知識があるとスムーズに読めるが、モデル構造は平易に説明されているため、これらの知識がなくても論旨の追跡は可能である。
  • 分量・難易度:全7章、約100ページのコンパクトな構成。各章は独立して読めるが、第4章と第5章のモデル記述はやや専門的であり、数式とシミュレーション結果の解釈に集中力が必要である。
  • 読みどころ:議論の中核は第2章(持続可能な人口の原理)と第4-5章(DTMJモデルの構築とシミュレーション)にある。理論的枠組みをまず把握したい読者は第1-3章を通読した後、第6章の結論に進むとよい。モデルの詳細よりも政策的含意に関心がある読者は、第5章のシミュレーション結果と第6-7章の政策的示唆を重点的に読むことを推奨する。第7章はやや空想的な未来展望を含むが、著者の人口論全体の思想的射程を示す重要な章である。