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アルツハイマー病アルミニウム仮説再び

アルミニウムと認知症の関連情報

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概要

至るところにあるアルミニウム

アルミニウムは地球上で最も豊富な金属元素のひとつであり、環境中いたるところに偏在しており日常的に微量を摂取している。

飲料水、加工食品、ベーキングパウダー、幼児用のミルク製品、化粧品、練り歯磨き、制汗剤等

平均的には7-9mgのアルミニウムを摂取している。

en.wikipedia.org/wiki/Aluminium

低い溶解性・低い経口毒性?

しかし、多くのアルミニウム化合物は生理的なpHレベルでは溶解せず、そのほとんどは吸収されない。(0.2%)

また血液中に吸収されたアルミニウムも、腎臓機能が正常であれば効率よく排出される。

そのためアルミニウムの毒性は、高濃度に取り込まれた時、または吸入した場合にのみ起こりうると考えられていた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28889268

アルミニウムリスク要因の増加

高まるアルミニウムのリスク評価

現在でもアルミニウムとアルツハイマー病との関連研究は行われており、従来考えられていたものよりもアルミニウムの毒性リスクは高いと考える研究者の指摘が増している。

世界保健機関の食品添加物専門家委員会によるアルミニウムの許容摂取量は7mg/kgだったが、現在では2mg/kgにまで下げられている。欧州食品安全局では1mg/kg

アルツハイマー病のアルミニウム仮説批判に関する基礎研究、疫学研究の多くは1990年代に提出されたものでもあるが、単一因子によるアルツハイマー病発症の因果関係を前提としており、脳内アルミニウムの低い解析精度の問題も研究者によって指摘されている。

腸の状態によって異なる吸収率

経口摂取によるアルミニウムの吸収率は最大で0.3%と低い吸収率であると考えられていたが、吸収率は腸管の状態によって異なり、取り込み能力に10倍以上違いが生じうることがわかってきた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4997813/

血液脳関門透過率の変動

血中のアルミニウムのほとんどは血液脳関門に阻まれるため、わずかしか脳に到達しない。(0.005%)

しかし、アルツハイマー病患者でしばしば見られる複雑な金属ホメオスタシスの不均衡と関連して、アルミニウムの脳への取り込み量が変動するにより神経変死疾患に寄与する可能性が示されている。

content.iospress.com/articles/journal-of-alzheimers-disease/jad00633

また、脳に達したアルミニウムは排出されるメカニズムをもつ一方で、特定の脳領域に選択的に蓄積される。

特に排出経路(クリアランス経路)に問題がある場合、アルミニウム蓄積は顕著なものとなる。

ラット研究では、脳内に入り込んだアルミニウムの半減期は150日

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11322172

環境からのアルミニウム摂取量の増加

さらに近年の疫学的研究から、アルミニウム曝露が従来よりも過剰となっていることを示唆する証拠が増加してきている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2946821/

一般的家庭での食品アルミニウム摂取に限っても、欧州食品安全局の基準値1mg/kgを超えることは十分にありえる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5651828/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2946821/

ケイ素の保護効果

加えて、アルミニウムとアルツハイマー病の関係性に否定的な論文の多くは飲料水に含まれるケイ素レベルについて考慮されていない。

15年間のコホート研究 飲料水に含まれるアルミニウムの含有レベルが高い地域では認知症リスクの増加と有意に関連する。

しかしケイ素の摂取量が増加すると、この関連性は見られなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19064650

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17435956

多くの要因で異なるアルミニウムリスク

その他にも、アルミニウム自体の毒性を高める代謝的、生化学的要因、遺伝子、酸化ストレス、鉄蓄積など多くの要因が関与しており、アルミニウム毒性の理解の複雑さを増させる原因となっている。

はっきりしているのはアルミニウムが神経変性を引き起こす理論的機序は存在し、交絡因子を考慮した疫学研究ではアルミニウムによるリスクの微増が認められている。

おそらくアルミニウム単独の低用量曝露によってアルツハイマー病の発症を引き起こす可能性は低い。

しかし複数の要因が重なることでアルミニウムがアルツハイマー病発症因子に寄与すると考えることには、一定の合理性と証拠が存在する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21157018

これまでアルツハイマー病のアルミニウム仮説は境界科学(フリンジサイエンス)と見なされていたが、現在の研究からは非現実的な危険認識とまでは言えないレベルにある。

神経変性作用のあるアルミニウム

アルミニウムの脳への経路

アルミニウムのもっとも一般的な曝露源経路は胃腸管であり、吸収率は約0.2%。

いったん塩化アルミニウムが血中に入り込むと、そのほとんどはトランスフェリンに結合する。

nph.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1046/j.1469-8137.2003.00821.x

アルミニウム(Al3+)は、トラスフェリンの受容体媒介性エンドサイトーシスを介して血液脳関門を透過し神経系に入り込むことができる。(約0.005%)

onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1600-0773.2001.880401.x

アルミニウムは主に海馬、前頭皮質に蓄積し、酸化ストレスによる損傷、神経細胞死、神経変性疾患の誘導につながる可能性が多くの研究で報告されている。

アルミニウム曝露源

食品

もっとも一般的なアルミニウムの曝露源は食べ物と水。

大豆由来のミルク、茶葉、タイムなどの香辛料、コーヒー豆

ベーキングパウダー

市販牛乳、チーズなどの乳製品

※グラスフェッドミルクでは少ない。

これらは許容されるアルミニウム含有量を超えていることが見出されている。

onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1750-3841.2011.02064.x

食品からアルミニウム曝露によって、欧州食品安全局の基準値1mg/kgを超えうる。

飲料水

飲料水は食品よりも多くのアルミニウムを含む

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25045935

特定の都市では水道水に0.4~1mg/Lと、高濃度のアルミニウムが含まれていたことが報告されている。

甲殻類

河川や海の汚染により甲殻類のアルミニウム汚染が報告されている。

www.researchgate.net/publication/51649130_Accumulation_and_toxicity_of_aluminium-contaminated_food_in_the_freshwater_crayfish_Pacifastacus_leniusculus

調理器具と酸性食品

酸味のあるフルーツなどをアルミニウム製の調理器具で煮沸すると、アルミニウムが溶解し煮沸された液体が高いアルミニウム濃度を示した。

www.scirp.org/(S(i43dyn45teexjx455qlt3d2q))/reference/ReferencesPapers.aspx?ReferenceID=1451841

包装容器

食品やドリンクボトルがアルミニウム由来の材質によって貯蔵されている場合、アルミニウムの含有量はそうではない容器と比べて5~7倍高い。

(Duggan et al. 1992)

医薬品

医薬品では多くの塩化アルミニウムが含まれている。

アスピリン、胃酸抑制剤には通常300~600mg/錠のアルミニウムが含まれる。

ワクチン

オキシ水酸化アルミニウム(ミョウバン)はワクチンアジュバントとして広く使用されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25699008

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23609067

bmcpediatr.biomedcentral.com/articles/10.1186/1471-2431-13-162

アルミニウムは多発性硬化症の病因と関連する環境因子である可能性。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17086897

免疫活性促進剤としてアルミニウムを含んだワクチン

制汗剤

脇の下へ使われる制汗剤に含まれるアルミニウムは、塩化アルミニウム形態である場合エストロゲン作用を妨害する可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16045991

アルミニウム含有制酸剤がパーキンソン病の病因に寄与する可能性。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10499820

職業曝露

疫学研究では、溶接機の使用によるアルミニウム吸入の報告がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19326140

アルミニウム溶接機を使用した労働者では、用量依存性の行動障害が有意に生じた。 (Giorgianni et al., 2012)

吸入

気化されたアルミニウムもその粒子サイズにより毒性が異なり(オリゴマーの高い毒性)アルミニウム曝露の潜在的リスクとなる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19251949

鉱山・焼却炉・石炭火力発電所

www.atsdr.cdc.gov/phs/phs.asp?id=1076&tid=34

アルミニウムのリスク増加要因

酸味料

クエン酸塩、乳酸塩、アスコルビン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、
酒石酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩は、アルミニウムの吸収スピードを高める可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18085482

マルトール・クエン酸

風味剤として使われるマルトールとクエン酸の同時投与は、脳へのアルミニウム蓄積を強力に増強する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8445293

低い血漿マグネシウム・鉄

高いビタミンD

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4539504/

低いカルシウム

低いカルシウムはアルミニウム吸収の増加と骨形成の異常をもたらす。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9240918/

腎疾患

アルミニウムは腎臓では処理されており、重度の腎疾患患者は、毒性レベルの高濃度のアルミニウムを排出することができない。

アルミニウムの作用

アルミニウムによるアミロイドβカスケード説

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21423554/

鉄との相乗毒性作用

アルミニウム毒性はROS産生と鉄蓄積を介して毒性を増加させる。

鉄キレートは、アルミニウム毒性を有意に軽減する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20674094/

アルミニウムの神経毒性はROS産生と鉄蓄積を介しており、アミロイドβ、タウ関連毒性とは無関係であるようである。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21423554/

アルミニウムは鉄などの金属イオンによって、血液脳関門を透過しアルミニウムを脳内へと取り込む。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17119290/

アルミニウムは鉄調節タンパク質(IRP2)の分解を阻害することで、細胞内鉄ホメオスタシスを妨げる可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10580122/

土壌中のアルミニウム

土壌中に含まれる高濃度の鉄と銅は、アルツハイマー病死亡率と関連する可能性がある。アルミニウムレベルではわずかな正の相関が存在する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25024310/

カテプシンB活性の低下

アルミニウムはカテプシンBの活性を低下させることによってアミロイドβの分解を減少させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17112520/

カテプシンBの低下と歯周病によるアルツハイマー病発症への寄与

news.mynavi.jp/article/20170623-a281/

アミロイドβクリアランスの低下

アルミニウム+ガラクトースの投与によるLRP1発現の減少、アミロイドβクリアランスの低下

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19150622/

酸化ストレスの増加

食事中のアルミニウムは脳内の酸化ストレスを増加させることによってアルツハイマー病の発症に関わる脳内のアミロイドーシス調節に寄与することを示唆する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12039845/

リン酸化タウとの相互作用

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9215989

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7609670

www.j-alz.com/content/aluminum-may-cause-hyperphosphorylation-tau-and-result-aberrant-dislocation-dendrites

PP2A活性の阻害

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17662457

プレセニリン2変異型の誘導

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15009634

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29978503

軸索機能不全

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2575787/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12881494

アルミニウムのメリット?

亜鉛・銅欠乏への保護効果

アルミニウムは亜鉛欠乏によるラットの精巣損傷に対して保護効果をもつ。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2331323

アルミニウム中毒治療・予防

EDTA

アルミニウム中毒を示した患者へのEDTA点滴投与2g/日

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26404567

デフェロキサミン

アルミニウムキレーターであるデフェロキサミンの投与によりアルツハイマー病患者の認知症患者の進行を遅らせる。一重盲検

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1674295/

デフェロキサミンは骨に蓄積したアルミニウムを動員させることで、血清アルミニウムを上昇させ認知症を引き起こす可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/3400633/

Feralex-G

デフェロキサミンよりも強力なアルミニウム(Al3+)キレーター

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12535786/

ケイ素(ケイ酸塩)

液体に含まれるケイ酸塩は、同じ液体に含まれるアルミニウムの毒性作用に対して保護効果を有する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18085482

シンバスタチン治療

シンバスタチン投与は、アルミニウム曝露させたラットの認知機能および自発運動を改善する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25802481/