抗認知症薬による概日リズム・睡眠の混乱(AChE阻害薬、ドネペジル)

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睡眠障害と睡眠導入剤・抗認知症薬

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コリン作動系 概日リズム

アセチルコリンは末梢と中枢神経系において重要な役割を果たす神経伝達物質。

中枢神経系において、コリン作動性ニューロンは広く分布している。

主に脊髄に見いだされるが、脳のほぼすべての領域はコリン作動性ニューロンによって支配されている。[R]

覚醒時に高まるコリン作動系

視交叉上核(SCN)は、概日リズムの主要なペースメーカーであると考えられている。

コリン作動性神経伝達は視交叉上核との相互作用による概日リズムの影響が長い間研究されてきた。

アセチルコリンは「覚醒伝達物質」と見なされており、コリン作動系は生理的には日中は活性的には働き、夜間は抑制的である。

伴って、活動期はアセチルコリン合成酵素コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)の活性が増強され、アセチルコリン分解酵素アセチルコリンエステラーゼ(AChE)の活性が低下する。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19605034

動物実験では皮質のアセチルコリン放出は睡眠時よりも覚醒時で皮質では約2倍、海馬領域では3倍異なることが示されている。

時間記憶形成・タイムスタンプ仮説
視交叉上核とコリン作動性

アセチルコリンは、視交叉上核細胞に対して興奮性の効果をもたらす。

時間記憶は、視交叉上核のコリン作動性神経伝達「タイムスタンプ」を介して形成をサポートする。

ムスカリン性アセチルコリン受容体は、タイムタンプと時間記憶の形成に重要な役割を果たす。

タイムスタンプは、コリン作動性を媒介した機能であるため、コリン作動性障害をもつアルツハイマー病患者ではタイムスタンプの障害により記憶障害の一因となる可能性がある。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21115064

睡眠を妨害するアセチルコリン

レム睡眠を増強するアセチルコリン

アセチルコリンは覚醒系の神経伝達物質であり、睡眠促進ニューロンを抑制し、睡眠中にアセチルコリンが増強されると睡眠を妨げ、睡眠時間と睡眠効率を低下させる。これらはノンレム睡眠に影響を与え、レム睡眠は強化される。

腹側外側視索前野では、部分的にノルアドレナリン放出を促進することにより、アセチルコリンが睡眠促進ニューロンを阻害することが実証されている[R]

コリンエステラーゼ阻害剤の投与は、投与量、投与時期によってレム睡眠の誘発、覚醒に寄与する可能性がある。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/176724

ノンレム睡眠中の宣言的記憶統合が低下

アセチルコリンの活性によって妨げられるノンレム睡眠は、宣言的記憶(事実や経験に関する意識的記憶)の統合(単語リストと場所記憶)と、重要な関わり合いがあると考えられている。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16494088

反対に自転車の乗り方など、身体的に覚える非宣言的記憶は、レム睡眠中が重要となる可能性がある。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15576885

運動記憶の強化に必要な低いアセチルコリンレベル

アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の投与は、マウスの睡眠中のコリン作動性の緊張を高め、睡眠後のテストにより運動技能獲得を損なうことが示された。実験は睡眠中のムスカリン受容体とニコチン受容体両方の徐波活動の増加が運動記憶の強化寄与することを示唆する。[R]

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31825510

睡眠中のアセチルコリンの役割

ウェイクオン/REMオン

アセチルコリンは「ウェイクオン/REMオン」と呼ばれるスイッチングによって、覚醒と睡眠の両方の促進に影響を与える。

睡眠中のムスカリン受容体の増加

睡眠中のアセチルコリン放出の低下とは対照的に、睡眠中のムスカリン受容体の数は増加し覚醒時の結合部位は減少する。[R]

脳幹の特定の領域でのコリン作動性ニューロンの刺激は、用量依存的にレム睡眠を促進できることが実証されている。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6466986

睡眠薬はアセチルコリン分泌に影響を与える。

橋状網形成におけるアセチルコリンの放出は、覚醒時や睡眠中よりもレム睡眠時の方が有意に大きい。睡眠薬ゾルピデム、ジアゼパム、エスゾピクロンは、橋状網形成においてアセチルコリンの分泌を変化させることがラットモデルで実証されている。[R]

アルツハイマー病

アルツハイマー病では、患者の約28%で睡眠障害が観察される。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15910515

重症度別に層別化すると、軽度から中等度では約25%、重度では50%でアルツハイマー病患者で睡眠障害が観察される。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7170052

健康な高齢者と比較すると、アルツハイマー病患者の睡眠は断続的な睡眠(睡眠開始後の覚醒頻度と覚醒時間の増加(WASO))と深い睡眠とレム睡眠の減少によって特徴付けられる。

AChE阻害剤による概日リズム・睡眠への影響

夜間のドネペジル投与によるレム潜時の減少

レム潜時とは、覚醒からノンレム睡眠を経て最初のレム睡眠が現れるまでの70~90分の期間

ドネペジルの投与は(午後8時)うつ病患者のレム潜時を減少させ、入眠を遅らせる。[R]

ドネペジルによるレム睡眠の増強が記憶能力を増強

ドネペジル投与(就寝30分前 5mg)は健康な高齢者のレム潜時を減少、レム睡眠を増強させ、夕方と朝に行われた記憶課題(単語リストの再学習)の成績が上昇した。[R]

概日リズムを妨げるドネペジルの長い薬理効果

24時間を超える長い作用を有するコリン作動性の薬物は、コリン作動系の生理学と相反することから、記憶の統合作用が妨げられる可能性がある。

アセチルコリン作動系薬物の投与は、投与タイミング、持続時間が考慮されるべき要素である。[R]

コリン増強によるSCNリセット

SCNにおけるコリン作動性活動は、概日時計の覚醒を誘発するリセット作用を有する。

時間タイミングを考えたSCNのコリン作動性を増強する治療は、アルツハイマー病患者の概日リズムの乱れを改善し、老人施設への入居を減らすかもしれない。[R]

カルバコール・パラドックス

アセチルコリン受容体のアゴニストであるカルバコール投与が、光→網膜→SCNの概日リズム位相シフトを引き起こす経路には含まれないにも関わらず、そのような位相シフトをもらたす。この矛盾をカルバコールパラドックスと呼ぶ。[R][R][R]

市販AChE阻害薬

ドネペジル

ドネペジルの血中半減期

ドネペジル投与のランダム化比較試験では、ドネペジル投与群で8%(5mg/日)と18%(10mg/日)の不眠症率が報告された。プラセボ郡は5%

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15596605

ガランタミン

ガランタミンの血中半減期

8mg投与 ピークは1時間後、半減期は7時間

レミニール 4mg 8mg

www.info.pmda.go.jp/go/pack/1190019F1028_1_11/

自然な概日リズムに適したガランタミン特性

ガランタミンは、ニコチン性コリン作動性受容体にアロステリック増強リガンドとして作用する。

そのため、ニコチン性アセチルコリン受容体を低いアセチルコリン濃度で活性化するが、高いアセチルコリン濃度では活性化しないことが示されている。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16391473

ガランタミンは血中半減期が短く、投与後血漿中の薬剤濃度が低下するため、夜間のコリン作動性シグナル伝達は低い活動に抑えられ、結果アセチルコリンの自然な概日リズムに近い作用を得れる。[R]

ガランタミンの夜間の睡眠への影響

ランダム化比較試験 1698人の患者、24 mg /日、16 mg /日、プラセボの3グループ

ガランタミンとプラセボ群の比較は、ガランタミン24 mg /日群の悪夢の発生率が高い(89%が軽度)ことを除いて、不眠症やその他の睡眠障害は統計的に有意ではなかった。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15119989

リバスチグミン

リバスタッチ・リバスチグミンの血中半減期

www.info.pmda.go.jp/go/pack/1190700S1037_1_08/

イクセロンパッチを15日間漸増投与してイクセロンパッチ18mgを除去後の消失半減期は3.3 時間[R]

リバスチグミン投与のアルツハイマー病患者では、不眠症はまれな副作用。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12094826

概日リズム・睡眠障害を改善する

日中にアセチルコリン増強策を実行

アセチルコリンの放出と貯蔵には相互関係があり、放出が抑制されると貯蔵アセチルコリンは上昇する。

アセチルコリンを増強する26の方法(ハーブ・薬剤・ライフスタイル)

昼の運動

アセチルコリンの日内変動サイクルは運動活性に反比例する。

AChE阻害薬の変更パターン

  1. アリセプトからガランタミンまたはリバスチグミンに変更
  2. アリセプトを朝に摂取する
  3. ガランタミンの摂取タイミングを朝と夕方にする
  4. ガランタミンの摂取用量を朝を多めに夕方を少なくする。
  5. アリセプトとガランタミンのハイブリッド
  6. アリセプトからフペルジンAに変更
  7. アリセプトとフペルジンAのハイブリッド
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