アルブミン・グロブリンを悪化させる原因
概要
アルブミンとグロブリン
アルブミンは、ヒトの血液に含まれるもっとも豊富なタンパク質。全タンパク質の50~60%を占める。肝臓で作られるため肝臓に異常や障害があるとアルブミン値は下がる。
グロブリンは免疫システムと関わり、感染症と闘うための栄養素をサポートする。感染症、外傷などで炎症を起こすと免疫が応答してグロブリン値が高くなる。
アルブミン/グロブリン比率
A/G比の不均衡は、炎症、肝臓疾患、まれに免疫不全を意味することがある。
腎臓や胃腸に異常があってもA/G比率は減少する。
低い比はガンのリスクと関連することがある。またガンや心臓病患者の悪い予後を予測できる可能性がある。[R] 慢性心不全[R]、ガン[R]
健康な人のアルブミンとグロブリンの比率はほぼ 2:1
一般的な基準値 1.3~2.0
一般的1.1~2.5の間は正常と見なされるが、検査機関によっても解釈が異なる。[R]
リコード法目標値 1.8以上
検査
テストを受ける前に十分な水を飲んでおくこと(テスト結果が変わる可能性がある)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4789584/
アルブミン
一般基準値 3.9~4.9 g/dL 3.5g/dlを下回ると通常低値と見なされる。
アルブミン値は総合的な健康の指標だが、通常病歴、症状その他の検査結果などと合わせて結果が解釈される。
アルブミンの役割
浸透圧維持
体内の水分を保持し、血液を正常に循環させるために浸透圧を維持する。
運搬
ホルモン、ビタミン、薬物、脂肪酸、ミネラルなどと結合して、全体の身体組織へ運ぶ。
抗酸化物質
金属と結合することで、フリーラジカルを減少させ組織への損傷を防ぐ。[R]
アルブミンを高めるには
通常、アルブミン低値は病気の原因ではなく症状であるため、アルブミンレベルを低下させている原因を突き止める必要がある。
原因特定および解決してもアルブミンの低値が見られる場合は、炎症を鎮める改善策がアルブミンを低下させる次善の方法となるかもしれない。
グロブリン
一般基準値 2.0-3.9g/dl 検査機関によってばらつくことがある。
グロブリン高値の原因
- ウイルス、細菌感染
- 脱水
- 重鎖病
- 炎症性または免疫障害
- ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫などの癌
- 特定の薬剤(抗不整脈薬などのアミオダロン)
www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK204/
ガンマギャップ
ガンマグロブリンが3.1を超えるとグロブリン比率とは関係なく全死因死亡率(特に肺原因)が高まる[R]
「ガンマギャップ」(総血清タンパク質マイナスアルブミン)は、死亡リスクを予想する。[R]
グロブリンレベルを低下させる方法
アルブミンと同様に、グロブリンを上昇させている原因を見つけ治療する必要がある。
アルツハイマー病
アルツハイマー病におけるA/G比
血清アルブミンとグロブリンの比の変化は、恒常性機能の変化の反映であり認知低下と関連する。
血清アルブミン/グロブリン比はアルツハイマー型認知症の認知機能と関連する。[R]
IL-6レベルは認知症と正常な老化を区別することができる。
IL-6のカットオフ値 14.25 pg / ml
α1およびα2グロブリンはアルツハイマー病と血管性認知症を区別できる。[R]
A/G比低下による恒常性の障害と認知機能低下
いくつかの研究から、認知機能の低下はアルブミンレベルではなくアルブミンとグロブリンのA:G比率と関連していることが観察されている。実際、対照群と認知機能低下の患者ではアルブミン濃度自体に差はなかった。[R]
抗酸化物質アルブミンの抗アルツハイマー作用
アルブミンは抗酸化物質として予防的な作用、毒素を除去し、アミロイドβペプチドの原線維形成を阻害する。[R][R]
ホメオスタシス指標としてのA/G比
アルブミン:グロブリン比率はホメオスタシスの破壊によって引き起こされる認知機能低下の非常に信頼できる指標でありえる。
A:G比は認知低下のスクリーニングとして用いることが期待される。症例対照研究[R]
アルブミン・グロブリン異常の原因
アルブミン低値の原因
ピロリ菌除菌
ピロリ菌の感染は血清アルブミンの低下と相関する[R]
ピロリ菌の血清陽性率も、重篤な認知機能の低下発症率と関連する傾向がある。
ピロリ菌の根絶は、おそらくアルツハイマー病患者の認知機能を改善するために有益である。[R]
炎症
病気にかかったり怪我をしたりすると、身体は炎症反応によって身体を保護するためにCRPなどのタンパク質を産生する。[R]
CRP、アルブミンともに肝臓で作られるため、CRPへのリソースの優先的な割当から結果的にアルブミン産生が低下する。
栄養失調
通常先進国で発生することはないタンパク質不足の栄養失調。
アミノ酸を補給(特に分岐鎖アミノ酸)して治療[R]
肝臓疾患・肝硬変
アルブミンは肝臓で産生されるため、肝疾患はアルブミン低値を引き起こす可能性がある。[R]
その他
がん、糖尿病、甲状腺機能低下症、感染症、腎疾患、肝障害、ネフローゼ症候群、うっ血性心不全、カルチノイド症候群
外科手術後の死亡率を示す
血清アルブミン値は、疾患を抱える患者、健康に見えるが低アルブミンを示す被験者の両者において、外科手術中の死亡率および手術後の罹患率および予後の強い指標である。
一般基準値 3.9~4.9 g/dL
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27486341
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9250267
感染症
ピロリ菌、クラミジア・ニューモニエ(C.肺炎)、サイトメガロウイルス、、単純ヘルペスウイルスタイプ1 [R]
Chlamydia pneumoniae、Helicobacter pylori、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス1,2
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23530151
ウイルス
[R]
アルブミンを高める
運動
直立姿勢による激しい運動は、アルブミン合成増加させる。[R]