認知症の総合的な疾病費:日本の公的統計に基づく時間推移分析

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認知症の社会的課題

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Comprehensive cost of illness of dementia in Japan: a time trend analysis based on Japanese official statistics

要旨

目的

認知症の社会的負担の経年変化を分析する。我が国における認知症の社会的負担の時系列的変化を分析し、適切な資源配分と質の向上に向けた政策的意味合いを持つようにする。デザイン。2002年から 2014年までの全国的な人口ベースの観察研究。

設定

日本の公的統計から得られた全国7つのデータセット。

方法

包括的疾病費法。

主なアウトカム指標

アウトカム変数は、医療サービス、介護サービス、インフォーマルケア(家族や親族が提供する無報酬のケア)死亡率費用、罹患率費用であった。

結果

認知症の患者数は 認知症患者数は2002年の042万人から 2014年には105万人と2.50倍に増加した。在宅や地域で暮らす患者数は3.22倍に増加したが、介護施設で暮らす患者数は1.42倍に増加した。社会全体の負担額は、1.84~2.42 兆円から 2.06~2.27倍に増加し、3.79~5.51 兆円(1 兆円=1,000 億ドル)となっている。負担総額については、インフォーマルケアの提供割合が36.6~51.9%から37.7~57.2%に増加した。また、70 歳以上の一次介護者の割合は 27.6%から 37.6%に増加した。

結論

「退院」(介護現場の施設から在宅・地域への移行)「高齢者による高齢者介護」、「認知症の早期診断」の推進により、1 人当たりの平均費用は 437~577 万円から 360~524 万円へと 0.82~0.91 倍に削減された。したがって,患者の安全性とケアの質を維持しつつ,患者の介護者の許容範囲を超えないインフォーマルケアの管理が必要である。

キーワード

疾病費、社会負担、認知症、高齢者、医療政策

序論

世界の人口増加と同期して、認知症患者数も増加傾向にある。2015年の推定認知症患者数は4,680万人、世界の認知症の総費用は8,180億米ドル(約81兆円)であった[1]。

2015,日本では65歳以上の人口の割合が25.7%に達した。高齢化と認知症患者の増加に対する社会的関心の高まりを反映して、日本政府は2012年に「オレンジプラン」[2] 2015年に「新オレンジプラン」[3]を開始した。

1961年に導入された日本の国民皆保険である国民健康保険は、ほぼすべての医療サービスをカバーしている。しかし、高齢化の進展に伴い、高齢者介護の需要が増加し、1990年代には社会問題化した。2000年には、介護保険(LTC)が導入された。国民健康保険もLTC保険も、被保険者(LTC:年齢、40歳)に所得に応じた保険料を支払い、費用総額の30%(医療)または10~20%(LTC)を自己負担することを義務付ける社会保険制度である。各サービスの料金は国が決定し、2年(医療)または3年(LTC)ごとに料金が改定され、日本国民全体を一律にカバーする制度である。被保険者になるためには、市区町村の要介護・要支援認定を受ける必要がある。また、要支援1~2級から要介護1~5級(数値が大きいほど障害の程度が高い)までの区分がある。これらのレベルに基づいて、利用できるLTCサービスの上限量が決められている。2000年には218万人が認定されていたが 2015年には2.8倍の608万人に増加している[4]。LTCサービスは、居宅サービス、地域密着型サービス、施設型サービスからなる。

本調査で使用した公式統計は、ウェブ上で公開されている(http://www.e-stat.go.jp/)。2001 年の生活実態総合調査と 2013 年の調査を比較すると、75 歳以上の LTC 保険被保険者のうち、認知症のために在宅で生活している割合は 79.9%から 89.1%に増加している。さらに、70歳以上の主な介護者が同居している割合は27.6%から37.6%に増加した。これらの結果から、高齢者の親族が高齢者の介護を行っていることが浮き彫りになり、いわゆる「老老介護」が進んでいることを示している。2012年には218万人が親族の介護をしながら働いていた。就業状況調査によると、介護のために仕事を辞める労働者は2002年の7.9万人から 2012年には10.1万人に増加しており、深刻な社会問題となっている[4]。

 

日本人の精神障害者は長らく精神科病院に入院していたが 2004年に「精神保健医療福祉改革ビジョン」を実行して以来、入所廃止政策が推進されている[5]。同様に認知症についても、特に 2012 年の「オレンジプラン」[2] や 2015 年の「新オレンジプラン」[3] を経て、「退院」(介護の場を施設から在宅・通所に移すこと)が進んでいる。

しかし、社会的負担の構成比の変化を年代別に調査したものはない。適切な資源配分による質の評価や改善のための臨床的・政策的意味合いを検討するためには、一次データを抽出することが極めて重要である。例えば、在宅ケアは医療システムの中で最も急速に成長しているセグメントであるが、患者の安全性に関する研究は施設内で行われてきたため、在宅ケアにおける患者の安全性に関する知識のギャップが大きい[6, 7]。2018年の「患者の安全に関する東京宣言」でも、通所・在宅包括ケアの患者安全の重要性が強調されている[8]。日本では、一次データが不足しているため、患者の安全性のこの側面に関する研究は限られている。そこで本研究では 2002年から 2014年までの日本における認知症の社会的負担を評価し、「脱院」政策の進展における医療・介護政策の改善に資することを目的とする。

表1 本研究で使用した日本の公的統計

原文参照


 

研究方法

本研究では、認知症を「血管性認知症(国際疾病分類-10コード:F01)」、「特定不能認知症(F03)」、「アルツハイマー病(G30)」と定義した。

本研究で使用した公的統計を表 1 にまとめた。我々は、Rice[10-12]によるCost of Illness (COI)法の拡張版であるComprehensive Cost of Illness (C-COI)法[9]を採用した。日本では広く用いられている手法である[13-18]。Rice [10-12] が直接費(医療費)と間接費(罹患費と死亡費)で構成されていたのに対し、C-COI 法では直接費(LTC)とインフォーマルケア(家族や親族が提供する無報酬のケアと定義される)が組み入れられている。認知症ケアでは、LTC とインフォーマルケアの占める割合が大きく [1] 、C-COI の方が COI よりも優れていることが明らかになっている。

直接費とは、疾患の治療、入院、検査、投薬などに直接関連する医療費である。直接費は、国民医療保険調査のデータを抽出して算出したものである。直接費(LTC)は、「生活実態総合調査」、「介護保険実態調査」、「介護施設・事業所実態調査」をもとに、自己負担額(10%)を含めたLTC保険給付の総額として算出した。

地域密着型サービスは 2006 年以降、地域密着型サービスが LTC 保険に組み入れられるようになり、地域密着型サービス(居宅)は在宅で提供される サービス、地域密着型サービス(施設)は施設内で提供されるサービスと定義されている。

間接コストは、疾病に起因する機会費用(罹患コスト)と死亡に起因する機会費用(死亡コスト)で構成されている。また、C-COI には新たにインフォーマルケアを追加した。これらのコストを以下の式を用いて算出した。

罹患コスト

– 外来総受診日数

◦1人あたりの1日労働値÷2+総入院日数

◦ 一人当たりの一日労働値

死亡コスト

– 死亡者数×一人当たりの生涯労働価値

インフォーマルケア

– 一次世話人の数

◦平均介護時間

◦ 管理人の平均時間単価×365日

患者調査をもとに、性別・5 歳階級別に外来通院総日数と入院総日数を算出した。また、賃金構造基本調査および無給労働の貨幣価値評価の推計[19]に基づき、性・5 歳階級別の労働価値を求めた。一人当たりの生涯労働価値は、平均寿命までの将来の潜在的な収入の合計として評価した。mor-bidity costは、入院1回あたりの1日労働価値喪失と外来1回あたりの半日労働価値喪失を想定して決定した。さらに、生活状況総合調査に基づき、性別別、5歳代別、1日平均介護時間を算出した。

一人当たりの一日労働値と延べ宿泊日数は以下のように算出した。

一人当たりの一日労働価値

– 1人あたりの年収+1人あたりの未払い労働の年間金銭評価額)÷365

入院日数

– 年間入院患者数×平均在院日数

これまでの研究[1]では、インフォーマルケアには以下のような効果があることが実証されている。

負担全体に占める割合が大きく、推定アプローチによって大きく影響を受けた。以下のようなアプローチを行った。

ケース1:介護者の平均時間当たりの費用 1

– 1人あたりの1日労働価値総額/8h/1次介護者数

ケース2:管理人の平均時間単価2

– (5840円+(平均介護時間-1.5時間)

◦1660円)/平均介護時間

ケース3:管理人の平均時間単価3

– (5840円+2100円+(平均介護時間-1.5~1.17)×1660円)/平均介護時間

ケース1では、性別と5年の年齢層別の1人当たりの平均1日労働価値をオポチュニティ・コスト・アプローチ[13-18]で算出している。ケース1では、1人1日の労働価値と主な介護者数を性別・年齢層別に掛け合わせ、主な介護者数と8時間(平均労働時間)で割って、介護者1の平均時間単価を算出している。事例2と事例3では、介護者2と3の平均時間単価は、LTC保険適用の訪問介護の料金と同じ単価を用いて、立替費用方式で推計している。排泄や入浴などの身体介護が必要な場合は、最初の1.5時間は5840円を基本とし、その後0.5時間ごとに830円を加算する(ケース2)。また、掃除や洗濯などの生活援助が必要な場合は、1.17hまで2100円が加算される(ケース3)。

次の退院率の上昇は、患者の生活圏や在宅での社会的負担の増加に相関している。これは、施設での医療・介護が患者の生活圏・在宅に移行していることを示している。

退院率

– 外来+居宅サービスの直接費用(医療))について

◦地域密着型サービス+インフォーマルケア)

/ (直接費用+インフォーマルケア)

将来の労働価値は、COI法が多用されている日本や米国の先行研究で広く報告されているように、3%の割引率を用いて現在価値に調整した。

研究計画書は東邦大学医学部倫理委員会の承認を得た(参考番号:A16019)。

表2 日本における認知症の総合的な疾病費(C-COI)(単位100万円)

Year

2002

2005

2008

2011

2014

Direct cost Direct cost (medicine) Outpatient

34 429

30 761

64 414

63 950

88 054

Inpatient

141 345

152 925

270 068

227 936

260 002

Direct cost (long-term care) In-home services

188 648

315 920

440 201

597 991

684 865

Community-based

11 707

27 583

38 597

services (in-home)
Community-based

113 578

148 871

186 850

services (facility)
Facility services

745 021

848 639

775 046

858 891

846 071

Indirect cost Morbidity cost

31 176

62 821

77 203

82 265

116 617

Mortality cost

24 125

44 111

44 942

86 139

134 663

Informal care Total Case 1

672 702

837 800

1 081 385

1 297 288

1 422 871

Case 2

1 245 433

1 719 510

2 287 619

2 729 620

3 109 699

Case 3

1 258 562

1 739 033

2 315 028

2 763 183

3 149 452

Total C-COI Total Case 1

1 837 446

2 292 977

2 878 544

3 390 913

3 778 589

Case 2

2 410 177

3 174 687

4 084 777

4 823 245

5 465 417

Case 3

2 423 306

3 194 210

4 112 187

4 856 809

5 505 170

Per person Case 1

4.37

3.90

3.79

3.81

3.60

Case 2

5.74

5.40

5.37

5.42

5.20

Case 3

5.77

5.43

5.41

5.46

5.24

Deinstitutionalization Case 1

50.3%

54.2%

62.1%

66.3%

68.6%

rate (%) Case 2

62.4%

67.4%

73.6%

76.7%

78.8%

Case 3

62.6%

67.6%

73.8%

76.8%

78.9%

Nominal gross domestic product (GDP) per capitaa

3.91

3.96

3.82

3.70

4.08

2015-Based consumer price indexa

97.5

96.9

98.6

96.3

99.2

試験結果

表 2 は,一人当たりの名目 GDP と 2015 年ベースの消費者物価指数が調査期間中に少し変化したことを示している。したがって、C-COI の結果は、物価の変動の影響をほとんど受けていないと考えられる。

C-COI は 2002 年の 1.83-2.42 兆円から 2014 年には 3.78-5.51 兆円と 2.06-2.27 倍に増加しており、そのうち直接費(医療)は 1.98 倍、直接費(LTC)は 1.88 倍に増加している。また、在宅サービスが3.63倍、地域密着型サービス(在宅)が3.30倍、インフォーマルケアが2.24倍に増加したのに対し、施設サービスは1.14倍、地域密着型サービス(施設)は1.65倍と微増している。その結果 2002年の50.3~62.6%から 2014年には68.6~78.9%に増加している。

表3を見ると、認知症の人が2.50倍に増加していることがわかる。また、在宅・通所型認知症患者は3.22倍に増加したのに対し、施設型認知症患者は1.42倍にとどまっている。LTC保険の平均認定等級は、前者は3.0倍から2.3倍に減少したが、後者は3.5倍から3.8倍に増加した。

表4は、平均介護時間が0.77倍に減少したことを示している。介護者の平均時間単価は、事例1では0.90倍に減少したが、事例2では1.07倍、事例3では1.07倍に増加した。

議論の内容

表 5 は、先行研究のいくつかをまとめたものである [20-28]。レビュー論文[29]では、認知症に関連するコストは、含まれているコストカテゴリーの数が可変であるため、文献ではかなりばらつきがあると報告されている。

疾患の社会的負担を公的統計を含めたマクロデータでしか評価できない国は、日本を除いては少ないかもしれない。特に、これまでの研究では、インフォーマルケアがボトムアップ方式でマイクロデータから算出されているものが多く、日本の研究と単純に比較することは困難であった。

日本の研究については、佐渡[25]が2014年の認知症の社会的負担を10.4~15.6兆円と推計しているが、これは過大評価である可能性がある。佐渡は、介護者の平均時間当たりの費用を「立替費用法」と「失われた賃金法」で算出し、前者では LTC 保険による訪問介護サービスの単価を 4955 円/時と試算している。実際には、1.5 時間後の単価が 830 円/0.5 時間に減少するため、ケース 1,ケース 2 では 2139-2307 円/時と再計算した。

Wimo[24]は、日本の認知症患者数を235万人と計算し 2009年の社会負担額を449~624億ドルと試算している。Wimoの研究は、国内総生産と平均年齢所得に基づく国際比較を目的としているため、日本の社会文化的文脈を抽象化している。

 

Princeら[27]によると 2013年の英国の認知症患者数は約81万人、社会的負担総額は3.2~5.5兆円(217~371億ポンド)と推計されている。

Hurdら[28]は 2010年の米国の認知症患者数を約380万人と推計し、総社会負担額は15.9~21.5兆円(1,590~2,150億米ドル)と推計している。これらの研究を通じて、Princeら[27]とHurdら[28]は、社会経済的文脈の異なる複数の方法によるインフォーマルケアを推計しており、一人当たりの社会的負担は、米国の州(416~562万円)英国(397~679万円)日本(316~524万円)では同程度であると思われる。

一方、日本(39~57%)は、英国(32.7~44%)米国(31~49%)に比べてインフォーマルケアの割合が高いようである。2002 年から 2014 年までの日本の直接費用(LTC)とインフォーマルケアの比率は、1.39 から 1.23 へと時系列的に減少しており、直接費用(LTC)からインフォーマルケアへの移行が徐々に進んでいることを示唆している。

 

日本では、地方自治体が支出を抑制するために介護施設の病床数を大幅に規制し、軽度・中等度の認知症患者には自宅や地域での生活が求められるようになった。

2002年から 2014年までの間に、施設内で生活する認知症患者は1.42倍に増加したが、施設外で生活する認知症患者は3.22倍に増加した。LTC保険の平均認定等級は、施設入所者では3.5から3.8に増加したが、施設外入所者では3.0から2.3に減少した。その結果、退院率は50.2%から69.6%に上昇し、重度の認知症では施設サービスの利用が優先されたのに対し、軽度・中等度の認知症ではインフォーマルケア、居宅サービス、地域密着型サービスで支援されていることがわかった。特にインフォーマルケアは 40.3%増、居宅サービスは 25.7%増となっており、寄与率(各費用の増減/総 C-COI の増減×100%)では約 40.3%の増加をインフォーマルケアのみで説明できることがわかる。

表 4 によると、ケース 1 では 1 人当たりの C-COI が 0.82 倍に減少しているが、その主な要因は、平均時間当たりの介護費用が 0.90 倍、平均介護時間が 0.77 倍に減少したことである。特に、介護者の平均時間単価の低下は、日本におけるいわゆる「老老介護」が進んだことに起因していると考えられる。日本の定年が60歳になると、平均時給は60歳の1789円から61歳では1100円に激減する。

加齢が認知症患者の増加の引き金になることはわかっていても、認知症に対する意識が高まることで、早期発見による診断数の増加につながるかもしれない。特筆すべきは、全国主要5紙(朝日、読売、毎日、産経、日経)の認知症に関する記事数が 2000年の1284記事から 2017年には4628記事に増加していることである[30]。

 

LTC保険(2000年から実施)の被保険者になるためには、希望者全員が医師による認知機能のチェックを受けなければならない。認知症の早期診断」に影響を与える可能性がある。表 3 は、認知症患者の急増と LTC 保険の平均認定等級と平均介護時間の減少を示している。施設入所者では、この傾向は顕著ではなかったが、これは介護施設の病床数が地方自治体によって大幅に規制されていたためと考えられる。簡単に説明すると、認知症の患者数が増加している背景には、「認知症の早期診断」があると考えられる。

当初、日本の伝統的な家族介護が核家族化や介護者の高齢化により維持できなくなったことから、LTC 保険が開始された[31]。世帯あたりの平均家族数は、1953 年の 5.00 人から 2014 年には 2.49 人と 0.5 倍に減少している[4]。したがって、先に述べたように、家族の介護のために退職せざるを得ない労働者の増加が予想される。LTC 保険の当初の目的は、公費負担による家族の負担軽減であった。しかし、財政的な制約から施設サービスの割合は増えず、居宅サービスや地域密着型サービスの割合が増えている。そこで、患者の安全性を確保しつつ、LTC保険の介護とインフォーマルケアをどのようにバランスさせていくか、日本の社会や各家族の介護者の許容範囲を超えないようにするかを議論していく必要があると考える。

限界

この研究にはいくつかの限界がある。2010年に行われた疫学研究[32]では、認知症患者数は350万~497万人と推定されている。我々の推計は現実を過小評価している可能性がある。本研究では、主に認知症が原因であるLTC保険利用者のみを対象とした。障害の主な原因が認知症ではなく、認知症が日常生活に支障をきたしている人や、軽度の認知症でLTCサービスを利用していない人は本研究には含まれていない。九州の小さな町(人口8400人)を利用したコホート研究である久山研究[33]では 2012年の認知症患者数は約461万人で、そのうち48%がLTCサービスを受けていないと推計されている。

認知症に関する世論調査[34]では、日本人の34%が「認知症が進行しても、社会的な支援を受けながら地域で生活できる」と考えていることが明らかになった。このことから、軽度の認知症と認知症の併存疾患としての認知症に焦点を当てた研究が必要である。

 

本研究は、日本では十分に可視化されていない認知症の社会的負担を定量的に推定する上で意義がある。今後は、施設での評価から在宅・地域での評価へと、質の評価と改善に向けて議論の焦点をシフトさせていく必要がある。また、我々が開発した C-COI 法は、様々な疾患の解析を容易にするものである。このようなC-COIの応用研究は、社会資源・医療資源のより良い配分のための重要な手がかりとなり得る。

結論として、高齢化と認知症人口の増加に伴い、認知症人口は2002年から 2014年までに2.50倍に増加したが、C-COIは2.06~2.27倍にとどまり、1人当たりのコストは「退院」「高齢者介護」「認知症の早期診断」の進展により0.82~0.91倍に圧縮された。インフォーマルケアの対照率は約40%と高かったことから、患者の安全とケアの質を維持しつつ、日本社会とインフォーマルケアの許容範囲を超えないように、LTC保険とインフォーマルケアのバランスをどのようにとるかを議論することが急務である。

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