テアニン(認知症・アルツハイマー)
Drinking a Cup of Green Tea,I Stop the War. Paul Reps
一杯の緑茶を飲んで、私は戦争を阻止する。 ポール・レップス
概要
緑茶などに含まれるリラックス効果のあるアミノ酸の一種として知られている。
リラックスと注意効果の二つを併せ持つ。
テアニンは、グルタミンやグルタミンから産生されるGABAと類似した構造の神経伝達物質でもあり、摂取後、脳関門を通過し脳へ作用する。
カフェイン・テアニンスタック
テアニンの興味深い特徴は、カフェインなどの他の刺激的な作用を及ぼす化合物と同時に摂取すると、刺激物の神経症的な作用を緩和できることにある。
そこで、テアニンとカフェインの組み合わせ(カフェインテアニン スタック)が、海外の一部の人たちの間で認知機能を高める方法として知られており(研究報告もいくつかある)、認知力と注意力を相乗的に高めることができる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21040626
脳へ急速に到達
摂取量によもよるがテアニンは高用量だと摂取後、1時間以内に脳に到達し、5時間でピークを迎え、24時間後には排出される。
ロイシンなどが利用する中性アミノ酸トランスポーターを利用するため、空腹で摂取すると脳へより急速に大きく到達することが見込まれる。
緑茶にはテアニンおよびカフェインの両成分が含まれているため、朝の空腹時に緑茶を飲むことで認知機能改善の効果を最大化することができるかもしれない。
お茶のことわざ
ちなみに、お茶に関する昔のことわざには、やたらに朝飲めというものが多い。
「朝茶はその日の難逃れ」
「朝茶には福が増す」
「朝茶に別れるな」
「朝茶は七里帰っても飲め」
これだけ言われれば、朝飲まないわけにもいかないだろう(笑)
テアニンの効果・効能
臨床研究
二重盲検プラセボ EGCG360mgとL-テアニン60mgを一日三回 MCI軽度認知症患者への投与により、記憶検査が改善、読書後に側頭葉、頭頂葉、前頭葉、後頭部の領域で記憶や学習、深い瞑想状態などで増加するシータ波が有意に増加。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21303262
テアニンとカフェインの組み合わせが認知能力を改善し、主観的な覚醒度を高める。テアニン97mg カフェイン40mg
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21040626
L-テアニン(100mg)とカフェイン(50mg)の組み合わせは、27人の健常者の注意切り替え作業の速度と精度の両方を60分後に改善し、60分後90分後とも記憶タスクの注意散漫さを軽減した。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18681988
神経保護・グルタチオン濃度の増強
テアニンはアミロイドβによる海馬の神経細胞死を減少させる。たんぱく質と脂質の酸化障害を軽減し、脳内グルタチオンレベルを有意上昇させた(マウス)。テアニンはアルツハイマー病の予防と治療に有用でありえる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19766184
ミトコンドリア障害の改善
テアニンはミトコンドリア融合プロテインであるSH-SY5Y (APPsw)の調節に効果を及ぼすことで、アルツハイマー病のMfn (Mfn1, Mfn2)変性によるミトコンドリア障害を改善する可能性
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24710686
神経栄養因子の増加
テアニン投与により、離乳後のラットの歯状回LTPが誘導され、神経栄養因子、神経成長因子レベルが有意に高かった。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24621060
長期増強
テアニンは、おそらくNMDA依存性CA1長期増強(LTP)の減少およびNMDA非依存性CA1-LTPの増加を介して、記憶を含む認知機能の改善につながる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23883567
カドミウム障害からの保護
テアニンはAkt/mTORシグナル伝達経路阻害により、マウスのカドミウム誘導細胞傷害性を低下させる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27649883
NMDA受容体過剰活性の抑制
キノリン酸による運動障害、線条体の神経毒性誘発を防止、テアニンの線条体内の一酸化窒素、神経伝達物質への抗炎症、調整効果。 in vitro
キノリン酸は強いNMDA受容体アゴニスト、アルツハイマーなどの脳神経変性に関わっている。脳内でのキノリン酸産生はマイクログリア細胞とマクロファージだけ。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2862433
ニコチン性アセチルコリン受容体の阻害
テアニンはマウスのニコチンアセチルコリン受容体ドーパミン報酬経路を阻害して、ニコチンの報酬効果を減少させる。タバコ中毒治療の戦略となるかも。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23233221
サプリメント vs 緑茶
高純度のテアニンを作るには高い技術が必要であり、緑茶が非常に安く手に入るものであるのに対して、精製テアニン化合物は高くつくという問題がある。
わざわざサプリメントとしてテアニンを摂取することで、どれだけ緑茶摂取より有利なのか疑問がある。
またテアニンサプリメント単体では、緑茶に含まれるカフェインやカテキン類などの効果も得られない。
ちなみに緑茶に含まれれるテアニンの量は10mg 玉露、抹茶で30mg
臨床試験などでも用いられている摂取量は50mg前後が多い。
文献に目を通した印象では、テアニンは一定量超えて摂取しても、それほど効果が増強するわけではないようだ。おそらくその閾値は50~100mgあたり。
おそらく空腹時に抹茶か濃い目の緑茶を飲めば、カフェインやEGCGの相乗効果で同等かそれ以上の効果があるのではなかろうか。
結論 朝起きたら、濃い緑茶(抹茶)を飲もう!
栽培時期によるテアニン量の違い
栽培方法、栽培時期によってテアニン量は大きく変わってくる。
・栽培の特定の時期に日光の遮光を高める
・一番茶(5月の摘採)
・アンモニア態窒素の施肥量を施すなど
www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/11/9/11_9_579/_pdf
サプリメント
サンテアニン(テアニン原末のブランド品)
ノンブランドテアニン
L-テアニン カプセル 100mg
テアニンパウダー
L-テアニン粉末 28g
摂取方法
朝、一錠または50mg カフェイン(コーヒー)・EGCG(緑茶)などと一緒に
テアニン効果を得たいなら空腹時
EGCGによる食事のキレート目的なら食後
加熱、作り置きについて
テアニンは熱いコーヒーに入れてかき混ぜるぐらいでは変性しない。
しかし、例えば茶葉と一緒にぐつぐつ数分以上煮込むとテアニンがEGCGなどと相互作用し、効果が低下するかもしれない。
「宵越しの茶は飲むな」
ということばもある。