アリセプトの少量投与は正しいのか?

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アリセプトの少量投与

当初うちの母のアリセプト投与量は、医者の指示通り5mgだった。しばらくして、まあ怒る怒る。おとなしい性格の人だっただけに、その落差には驚いた。家族の縁を切るんじゃないかというぐらいの勢いで自分(息子)に怒りを向けてきて、家に帰るのを父親から止められたことすらあった。。

アセチルコリンが作動するには、シナプス間で放出されて受容体に届かなければならない。しかし脳の仕組みには一定の量に調節しようとする恒常性があり、アセチルコリンが大量に放出されると受容体が反応して逆にその数を減らしてしまう。(ダウンレギュレーション)

で、信号を受け取る側が減ってしまったことで、アセチルコリンの伝達力が弱まる

→ もっと多くのアリセプトを投与してアセチルコリンを増やす

→ 受容体の数がますます減って作用が弱まる

という悪循環が繰り返される。(脱感作)

ではアリセプトを大量に与えるのはまずいんじゃないの、という話しになるのだが、これ以上は減らないという閾値があって、(当たり前だけど受容体が無くなり続けると死んでしまう)アリセプトの投与量を増やして、その閾値をアセチルコリンの量が一定量上回ればアセチルコリンの増加作用が続くことになる。

だからむしろその閾値に届く程度には大量に投与しなければならないだろう。

で、おそらく、この閾値には個人差があって、この閾値をあまりに大きく超えるとアセチルコリンが過剰になりすぎて、ある患者が興奮したり怒りっぽくなったりして、手に負えないみたない話しなのだと思う。

だから、その「閾値が高めの人は、それに合わせてアリセプトを少量投与にしたほうがいいということなんじゃないか、」というのが最近言われている少量投与の考え方につながるのだろうと勝手に想像している。

ただ、別記事で書いたようにアセチルコリンが海馬新生を促す効果を最大化させたいのであれば、シグナル伝達の適正化を狙った、もしくはQOLを目指したアリセプトの適正値とはまた別の話になってくるんじゃないかも思うのだ。

アセチルコリンの生理作用は、海馬新生のみならず多岐にわたっていて、よくわかっていないことも多い。

そして、実際に二重盲検の長期投与試験で5mg投与グループが、それ以下の投与グループと比較して施設に入居するまでの長さが2年近く長かった結果がある。

自分も一時期、母の一件があって、「大量投与なんてとんでもないっ!」って考えててアリセプト少量投与に傾倒しかけていた時期があったけど、例えば、単純に「症状が穏やかになったから、この量でいいか、」とかまでは言えないんじゃないだろうか、と思うようにもなってきた。

それは、少量投与を始めてから穏やかにはなったものの、他の時期とくらべて短期記憶の悪化スピードが増したようにも感じたからだ。

単に減らしすぎたんじゃないか、とか言われそうだが、これもいきなり減らしたのではなく、注意深く観察しながら数ヶ月単位で減らしていった結果ではある。

一日当たりの投与量を0.5mg単位で一ヶ月かけて下げ、最も低かった時期で一日2mgだった。

ただ、2mgで投与していた時、これはまずいなとすぐに気がついたため思ったため、2週間程度で引き上げている。

ひとつ注意をしておきたいのは、最近の少量投与のはやりは、認知症患者や家族のQOLにもっと重点を置いたものであって、必ずしも少量投与することで、進行がそれだけ遅くなるということではないとうことだ。(極端な過剰投与を減薬するという場合はまた別の話になってくる)

このブログでは、アルツハイマー病を抑制や改善していこうとする考えの比重が高いため、そこからでてくる対策は周辺症状への対策がメインであるコウノメソッドなどとはまた変わってくる。

そこで少なくとも初期の段階では、家族や周囲に負担が来ない範囲で、上限ぎりぎりの投与量を目指すぐらいが妥協点であるように思っている。

またこの上限値は変化する印象をもっている(つまりアセチルコリンの受容体感度は準備期間後であっても変化する)ので、注意が必要だ。

それと、「怒りっぽくなったな」というのはすぐに気がついて投与量を減らせるが、逆のケースで「記憶力が低下したな」というのは些細な変化でもあるため見過ごしやすい。

今のところ、母の場合、3.5~4mgぐらいがその上限量のように感じる。

(これは後で書くがコリン系のサプリも含めた上での数字だ。)

※消化器官の副作用もあるから、興奮の度合いだけでも判断できないのだが。

コリン系サプリの影響

そう、意外に他で触れられていない気がするので書いておくと、個人差以外にも食事やサプリもアセチルコリンの増加による怒りや興奮に関係しているかもしれない。

例えば、卵黄や大豆には認知症に良いとされるホスファチジルコリン、ホスファチジルセリンなどが含まれている。これらは、アセチルコリンの材料でもあるため、これらを摂取するとアセチルコリンを増強させる可能性が高まる。

またビタミンB12などもアセチルコリンの合成を促進する栄養素として知られている。

当時母はすでに、これら栄養素をサプリメントの形で摂取させていたため、アセチルコリンが過剰に働いてしまったということも十分考えられる。

普通の人が摂取したからといって怒りっぽくなるようなものではないのだが、アリセプトのアセチルコリンエステラーゼ阻害作用は強力なので、相乗効果を考えればそれはあり得る話だ。・・というか、実は自分で実際に少量摂取してみて、それはわかったのだが(汗)

コリンなどは単にアセチルコリンの元となるだけでなく、神経細胞膜のリン脂質など脳の材料でもあるため、少なくとも必要量以上は摂取する必要がある。

アリセプトだけでアセチルコリンを増やそうとするよりも、アセチルコリンの材料でもあるリン脂質(ホスファチジルコリン)やアセチルコリンの合成に必要なビタミンB12、B1、Cなども摂取した上で、アリセプトの摂取量を上限値ぎりぎりにもっていくのがベストではないかだろうかと個人的には思っている。

※医師の指示と違う服薬方法を推奨するものではありません

アルハカ的まとめ

・QOLではなく改善目的であれば、アリセプト投与量は家族が耐えれる範囲で、上限側に持っていく。

・怒りっぽい時は、まず抑制系の薬(メマリー・抑肝散)で改善をはかる。その次に投与量を減らすことを検討。

・上限値が変化するかもしれないので、怒りっぽさよりも穏やかさの方に注意を配る。※怒りっぽさはすぐに気がつくが、穏やかさから下の変化は気づかずに過ごしやすい。

・アセチルコリンの材料にも気を配る。食生活・サプリ

・アリセプトの有効性は長くてもって2年、ただし2年して進行の抑えが効かなくなるという意味であって、アリセプトの効果自体は抑制効果として働いている。

この記事では触れていないこと

・日内変動を考えて摂取したほうがいいかもしれない。別記事に記載

・一般的にはアリセプト投与は早ければ早いほど、進行抑制効果は高まる。

・MCIの段階でMEDNプログラムを本格的に実行する予定なら、早期のアリセプト投与は逆にネガティブな効果をもたらす可能性もある。

・逆耐性目的での少量投与という考え方もあるのかもしれない。その場合は閾値から大きく離れた低用量になるはず。

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