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活性酸素(ROS)ラジカル
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用語
活性酸素
活性酸素とは反応性の高い酸素分子の総称であり、ラジカル(フリーラジカル)とも呼ばれる。
狭義には、スーパーオキシド(O2-)、過酸化水素(H202)、ヒドロキシラジカル(OH)、一重項酸素(1O2)の4種類とされている。
厳密には反応性の高い原子・分子団の中には酸素分子を含まないものもあるためラジカルのすべてが活性酸素とは限らない。
ラジカル
原子は通常原子核の周りを電子が対になって回ることで安定している。
ラジカル(フリーラジカル)は、ペアを組んでいる電子がなくなり他の電子との反応性が高くなってしまった不安定な原子・分子団のこと。
フリーラジカル
ラジカルの中には不対電子を持たない反応性の高い原子・分子団も存在するため、それらを区別する用語として中でも不対電子をもつラジカルをフリーラジカルと呼び分けられることがある。
神経変性(ミトコンドリア)と関連する酸化、硝化代謝図
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4537740/
スーパーオキシド O2-
スーパーオキシドアニオンは最も研究されているラジカルのひとつ。
ミトコンドリアが電子伝達系においてATPを生成する際に生じるため、体内には大量のスーパーオキシドが生じる。
スーパーオキシド(O2-)自体の反応性はそれほど高くないが高濃度で毒性をもち、過酸化水素と結合すると反応性の高いヒドロキシラジカルが生じる。
O2-+ H2O2 → 2HO・+O2
スーパーオキシド(O2-)はスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)によって過酸化水素(H202)に変換される。
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0891584903004647
スーパーオキシドの抗酸化酵素であるSOD-2の欠損は、アミロイドβ、リン酸化タウの蓄積を増加させることがマウスモデルで示されている。
抗酸化剤
水素水
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18706888
アントシアニン
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17015281
PQQ
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12383230
抗酸化酵素
SOD
脱共益タンパク質(UCP)はスーパーオキシド産生を減少させる。
過酸化水素 H2O2
ミトコンドリアの電子伝達系において生成されたスーパーオキシド(O2)はスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)によって過酸化水素(H2O2)に変換される。
過酸化水素(H2O2)はカタラーゼによって水と酸素に分解される。しかし分解率は100%ではなく、残留過酸化物が細胞質内に残る。
酸化的損傷の蓄積は老化の一因であり、認知機能障害につながる可能性がある。
過酸化水素は安定的で寿命が長く、膜を通過して拡散することができる性質をもつ。
過酸化水素自体はそれほど強い酸化力はないが、スーパーオキシド(O2)との結合によって凶悪なヒドロキシラジカルが生じる。
過酸化水素は鉄(Fe2+)や銅(Cu+)を触媒としてもヒドロキシラジカルを生じる。
courses.washington.edu/conj/bloodcells/oxygenradicals.htm
抗酸化酵素
カタラーゼ
グルタチオンペルオキシダーゼ 材料:セレン
ペルオキシレドキシン(Prxs) 過酸化水素を水に還元する
グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx) アルキルヒドロペルオキシド、H 2 O へ還元を触媒する。
抗酸化剤
ビタミンA、カロテノイド、ビタミンC、ビタミンE、α-リポ酸、CoQ10、NADH、mitoQ、Szeto-Schiller、グルタチオン
ヒドロキシラジカル ・OH
ja.wikipedia.org/wiki/ヒドロキシラジカル
ヒドロキシルラジカルは、ヒドロキシ基(水酸基)に対応するラジカル。
もっとも凶悪な活性酸素
いわゆる活性酸素と呼ばれる分子種のなかでは最も反応性が高く、最も酸化力が強い。糖質やタンパク質や脂質などあらゆる物質と反応する。
またヒドロキシラジカルはスーパーオキシドなどとは異なり、SODなどの酵素によって除去することができない。
しかし、その反応性の高さゆえ通常の環境下では長時間存在することはできず、生成後速やかに消滅する。
鉄によって触媒されるヒドロキシラジカル
アルツハイマー病患者の鉄による神経毒性メカニズムは、フェントン反応によるヒドロキシラジカルの生成。
ヒドロキシラジカルは、細胞、ミトコンドリア膜のリン脂質、タンパク質、核酸に影響をおよぼすだけでなく、アミロイドβモノマーの共有結合を促進することで、より毒性の高いアミロイドβオリゴマーの産生に寄与する。
アミロイドβは鉄と反応して過酸化水素(H2O2)を生成し、酸化的損傷を悪化させる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10794591/
細菌曝露による生成
神経変性疾患
ヒドロキシラジカルは黒質線条体において、軸索切断に関与する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12498986/
ミトコンドリア機能不全は重金属触媒の酸化的損傷を増大させ、アルツハイマー病に至る異常カスケードを開始させることが示唆される。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15231239/
抗酸化剤
グルタチオン
カロテノイド
ビタミンC
ビタミンE
CoQ10
フラボノイド
一重項酸素 1O2
一重項酸素は活性酸素の一種だが、不対電子をもたないためフリーラジカルではない。
紫外線を浴びることなどで、一重項酸素が発生する。
生体分子と反応して破壊するため、生体は防御機構を備えている。
生物系における一重項酸素の潜在的な供給源は、脂質、リン脂質、コレステロールヒドロペルオキシド
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28768713/
抗酸化酵素
SOD
カタラーゼ、
グルタチオンペルオキシダーゼ
グルタチオン
外因性抗酸化剤
ビタミンB6
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10687384
ビタミンC
ポリフェノール
スルフォラファン
クルクミン
アントシアニン(ベリー系)
CoQ10
尿酸
カロテノイド
アスタキサンチン
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4730345/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25897101
リコピン(トマト)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25897101
βカロテン
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25897101
キサントフィル(ルテイン、ゼアキサンチン)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12646267
アスピリン
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25653236/
ジアリルジスルフィド(にんにく等)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15886420/
チオスルフィン酸(にんにく)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12601669/
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11238829/
βカロテンは哺乳動物では一重項酸素を失活させない
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23231017
ビタミンC、E、Kは一重項酸素の除去にはむかない
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5874521/
一酸化窒素 NO
一酸化窒素は、血管拡張、血流、ミトコンドリア呼吸、血小板機能の調節など体内において多くの重要な役割を果たす。
生体内では一酸化窒素は、一酸化窒素合成酵素 (NOS) によってアルギニンと酸素とから合成される。
マクロファージ
免疫に関与する細胞の一種マクロファージは病原体を殺すために一酸化窒素を産生する。
神経伝達物質
一酸化窒素は神経伝達物質としても働く。
シナプス間隙のみで働く多くの神経伝達物質と異なり、一酸化窒素分子は広い範囲に拡散して直接接していない周辺の神経細胞にも影響を与える。
このメカニズムは記憶形成にも関与すると考えられている。
cGMP
一酸化窒素はサイクリックGMP (cGMP) の合成に関わる。
発毛剤ミノキシジルは cGMP 分解を抑制して毛細血管の血流量を増やす。
一酸化窒素は陰茎の勃起でも働いており、cGMP 分解抑制薬シルデナフィル(バイアグラ)はこのメカニズムを利用したもの。
一酸化窒素を気管内に吸入させることにより、肺動脈の血管平滑筋を弛緩させ、肺高血圧を改善させることができる。
静脈に比べ、動脈は酸素が多く、NOはNO2やHb-NO (ニトロソヘモグロビン) になりやすい。
二酸化窒素 NO2・
en.wikipedia.org/wiki/Nitrogen_dioxide
曝露源
化石燃料の燃焼、自動車の排気ガス、ブタン、灯油ヒーター、ガスストーブ、核実験、穀物の破砕過程(農業従事者の高いリスク)
気道炎症、喘息、呼吸器系疾患、目の刺激
ヒドロペルオキシルラジカル HO2
スーパーオキシドのプロトン形態
細胞質中のスーパーオキシドの0.3%がこの形態
ja.wikipedia.org/wiki/ヒドロペルオキシラジカル
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12042065
オゾン O3
環境オゾン
長期間のオゾン曝露は、呼吸器疾患による死亡リスクを増加させることが示されている。
pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/cen-v087n011.p009a
ヒューストンやロサンゼルスなど、オゾン層が高い都市に住む人々では肺疾患による死亡リスクが30%以上増加している。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19279340
コピー複写機などによって室内の空気がオゾンに汚染されている可能性もある。
花粉、真菌の胞子、雷によって引き起こされるオゾンと喘息患者の入院との間にも関連が存在することが知られている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11493720
大気汚染によるアルツハイマー病リスクの増加
オゾンおよびPM2.5への長期間の曝露は、アルツハイマー病リスクの増加と関連することが示唆されている。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25310992
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3317180/
次亜塩素酸 HClO
漂白剤、酸化剤、消毒剤などで利用される。
ペルオキシナイトライト ONOO-
抗酸化剤
PQQ
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12383230