ミクログリア クリアランス・活性化を調節する32の因子

強調オフ

36の発症因子5型 外傷性ApoE4・リスク遺伝子アミロイド

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概要

アミロイドβは脳内において平衡バランスを保っており、アミロイドβの恒常性バランスが崩壊することによってアルツハイマー病を発症するという仮説が存在する。

アミロイドβのクリアランスメカニズムは複雑で複数の経路が存在するが、ミクログリアの食作用が、アミロイドβ原繊維、可溶性アミロイドβのクリアランス(排出)を媒介する経路の一つとして報告されている。[R]

毒にも薬にもなるミクログリア

アルツハイマー病初期においてミクログリアが活性化され、脳の修復作用をもつという知見は十分に確立されている。

一方で、グリア細胞の活性化は特定のサイトカイン、活性酸素種などの前炎症性サイトカインの分泌を促進することにより有害な影響を与えうる。

ミクログリアがアルツハイマー病の神経細胞損傷の原因となるという証拠も多く存在する。(マウスモデルで多い)

グリア細胞の調節不全によりアミロイドのクリアランスに失敗すると、ミクログリアの過剰活性はアミロイドβの蓄積に寄与しうる。[R]

ミクログリアの活性時期

アルツハイマー病患者疾患進行において、ミクログリア活性には二つのピークが存在する仮説がある。

その仮説が正しければアルツハイマー病の初期においては、ミクログリアの活性は有用であり、予防効果を持ち得る。

対照的ににアルツハイマー病の疾患後期の段階おいてはミクログリア阻害剤が有益であるかもしれない。[R][R]

ミクログリア クリアランスの減少は可逆的

アルツハイマー病におけるアミロイドのミクログリアクリアランスは不可逆的には損なわれず、アミロイドの沈着した段階においても回復され得る。[R]

アミロイドβオリゴマー

ミクログリアがシナプスを飲み込むのはオリゴマーのβアミロイドが存在するときだけ[R]

二種類のミクログリア

ミクログリアは、リポポリサッカライド(LPS)による処理では神経毒性を有するが、IL-4により活性化された場合には神経保護性になる。

IL-4による保護効果の活性は、TNF-αのダウンレギュレーションおよび、IGF-1のアップレギュレーションと関連する。[R]

M1型ミクログリア

M1活性因子 前炎症性因子

LPS、IL-1β、TNF-α、IFN-γ、MCP-1、CD40Lなどの前炎症性サイトカイン

アミロイドβ25-35、アミロイドβ1-42

トール様受容体(TLR)

病原体の除去をサポートし、同時に貪食細胞の炎症反応を刺激する。

αシヌクレイン、アミロイドβフィブリル、細菌株、LPSなどによって刺激される。

 

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3580295/

M1型ミクログリア活性

慢性ストレス

生理学的ストレスは脳内の損傷関連分子パターン(DAMP)の放出によりミクログリアを活性化させる。

TREM1

炎症因子であるTREM1がミクログリアの食作用を促進する。[R]

M2型ミクログリアおよびクリアランス

M2ミクログリアは、脳内の神経保護、神経回路網の再構築の両方に機能する役割を有する。M2型には3つのサブタイプ(M2a、M2b、M2c)が存在する。

 

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6232769/

M2a

抗炎症因子、神経栄養因子の発現により損傷組織の修復、再生に関与

IL-4/IL-13

M2b

抗炎症性メディエーターの発現、免疫調節に関与

TLR/IL-1R

M2c

食作用、神経保護に関与、抗炎症性サイトカインの放出

IL-10/TGF-β

M2型ミクログリア活性

ヒスタミン受容体(H1R、H2R、H3R、およびH4R)

2型エンドカンナビノイド受容体(CB2)は、持続的なERK1 / 2リン酸化を誘導し、pNF-κBの下方制御を引き起こす。

GABA受容体はNOX 4の活性化を介してミクログリア反応性を低下させることに関与する。

ニコチン性α7受容体はpNF-κBとそのp65サブユニットを減少させ、p38-MAPKを阻害する。

NGFは、Trk-A受容体の活性化を通じて、サイトカイン/ケモカインの分泌、ミクログリアの運動性、食作用、および分解経路を減少させる。[R]

PPARγ

PPARγはミクログリア活性化を阻害し、M2の分極を促進、炎症性サイトカインを抑制することを示唆する。[R]

AMPK

メトホルミン

[R][R]

PDK1

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29473218

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17683942

Nrf2

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28820437

Sirt

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27226812

ナリンギンジヒドロカルコン(NDC)ダイエット甘味料

ミクログリアおよびアストロサイトを減少させ、神経炎症を抑制しADマウスの認知機能を改善した。[R]

サルビアノール酸B

サルビアノール酸投与は、抗炎症性サイトカイン、IL-10、TGF-βの発現を著しく増加させ、大鬱性障害マウスのミクログリア活性化を有意に減少させた。[R]

サルビアノール酸BはマウスのミクログリアM2分極を促進し神経新生を回復させる。[R]

ミノサイクリンのIL-4誘導、M2発現効果

ミノサイクリンは、血液網膜関門を通過し、抗炎症作用、抗アポトーシス作用、神経保護作用を発揮する。この保護効果はミノサイクリンのミクログリア活性化の調節および分極する能力に起因する。[R][R]

レチノイン酸ポリマーナノ粒子(RA-NP)[R]

ミクログリアクリアランスの活性因子

TNF-γ

TNF-γはマクロファージによるミエリン除去が減少されるが、反対にミクログリアによって引き起こされるデブリのクリアランスは向上する。

IL-4、IL-10

マクロファージ/ミクログリアにおける貪食作用のアップレギュレーション

炎症反応は減少を伴う。[R]

MMP2

白質のミクログリアではアミロイドβの分解(プロセシング)酵素であるMMP2が産生される。

ミクログリアはMMP2発現を介してアミロイドβクリアランスに関与することが示唆されている。

アミロイドβ42はMMP-2産生を低下させることが見出されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15632190

マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)

アルツハイマー病の脳おいてアップレギュレートされているマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)は、ミクログリアの食作用を促進する。[R]

PPARγ/RXRα

PPARγ/RXRαヘテロダイマーの同時活性化によるミクログリアクリアランスの刺激は、アルツハイマー病の予防に有益である。[R]

HSP70、HSP90

HSP70,HSP90によりミクログリアによるアミロイドβ42の貧食作用が促進される。細胞外HSPはTLR4を介したNF-κBおよび、p38MARP経路によりアミロイドβの貧食・分解を増強する。[R][R]

ミクログリアの概日リズム

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5816069/

高齢では、海馬ミクログリアの概日リズムを減少させる可能性を示唆する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5813798/

ミクログリアの炎症反応と関連する因子の概日発現

図4

ミクログリアはTNF-α、IL-1β、IL-6の強いリズムを示す。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25433170

ミクログリアへ作用する因子

ミクログリアの活性因子

モルヒネ

モルヒネによる長期的な治療は、ラット脊髄のミクログリア活性、およびIL-6、TNF-α、IL-1βなどの炎症誘発性サイトカインのアップレギュレーションを誘導する。[R][R]

ソマトスタチン

ソマトスタチンは、アルツハイマー病患者の脳では減少している。[R]

ソマトスタチンはラットミクログリア細胞の食作用を用量依存的に誘導し、ミクログリア機能を調節することによってアルツハイマー病の発症に保護的役割を示す。[R]

パーキンソン病モデルでは高濃度のソマトスタチンが、ROS産生、炎症性サイトカインの発現、NF-κB、ミクログリアの活性を阻害し得る。[R][R]

サブスタンスP

www.scopus.com/record/display.uri?eid=2-s2.0-0030982047&origin=inward&txGid=72df1e4d2688706a1fc56659e785a349

www.jni-journal.com/article/0165-5728(93)90212-H/pdf

ライム病の原因であるボレリアブルグドルフェリが中枢神経系に到達すると、ライム病における中枢神経系の関与が生じる。サブスタンスPはミクログリアにおいてブルグドルフェリ誘発性の炎症反応を悪化させる可能性がある。[R]

ヒスタミンとサブスタンスPがミクログリアの活性化、そしてROS産生、炎症誘発因子であるTNF-α、IL-6産生を活性させることが見出された。[R]

パーキンソン病マウスモデルにおいてサブスタンスPの欠損は、LPS誘発によるドーパミン作動性変性、黒質ミクログリア活性、炎症誘発性因子の発現を軽減する。[R]

サブスタンスPは、炎症性作用を有することが認識されているが、抗炎症性作用および創傷治癒促進剤の役割も示している。[R]

レプチン

レプチンは、ミクログリア細胞を急速に活性化させることができることが示されており、これは中枢神経系の病的状態においてレプチンの炎症作用が直接関与している可能性がある。[R]

レプチンシグナル伝達はアルツハイマー病脳において調節能力が破綻していることが示唆されている。[R]

ミクログリア活性の阻害因子・要因

睡眠不足

睡眠覚醒の調節作用をもつオレキシンがミクログリア細胞によるアミロイド食作用・分解を妨げる。→ 睡眠不足がアミロイドの貧食を損なう。[R]

アルギニンの枯渇

HMGB1はミクログリアの貧食作用を阻害。

アルツハイマー病の初期段階において、”ミクログリア”と呼ばれる免疫細胞が分裂して変化し、脳にとっての重要な栄養素であるアルギニンを大量に消費し始める[R]

ポリコーム抑制複合体2(PRC2)の喪失

PRC2の喪失は、線条体および皮質ミクログリアのクリアランス活性をサポートする遺伝子発現をエピジェネティック機構によって抑制する。[R][R]

神経ペプチドY

神経ペプチドY(NPY)は、LPS誘発性のミクログリア活性に対して調節機能を有する可能性がある。[R][R][R]

VIP・PACAP

VIPおよびPACAPはミクログリアの不活性化因子としてミクログリア細胞に直接作用し、保護効果を発揮することが示唆されている。[R]

VIPおよびPACAPは、マウスミクログリアにおけるLPS誘導性TNF-α、IL-1β、IL-6、およびNOの産生を予防する。これらの効果は、VPAC1の活性化、cAMP産生の誘導、NF-κBの阻害を介して達成される。[R]

VIPはアミロイドβ誘導によるミクログリア活性、TNF-α、IL-1β、NOの産生、NADPHオキシダーゼの活性化を阻害し、アミロイドプラークによって誘導されるニューロン細胞死を減少させる。[R]

コルチスタチン

コルチスタチン治療は、肺炎桿菌誘発による炎症誘発性サイトカイン産生を減少させた。コルチスタチンによるグリア細胞のダウンレギュレーションが、コルチスタチンの抗炎症作用の一部を説明するかもしれない。[R]

コルチスタチンは末梢および神経系における脳炎誘発性Th1およびTh17細胞の発現と活性化を減少させ、様々な炎症メディエーターをダウンレギュレーションさせた。

一方でそれらは、脳炎誘発性応答への抑制効果を有する調節性T細胞の数を増加させた。さらに、コルチスタチンは、グリア活性を調節し、そして神経保護/再生の積極的なプログラムに関わることを示した。[R]

コルチスタチンはHPA軸にブレーキをかける内因性因子のである可能性がある。[R]

コルチスタチンは脳内のアセチルコリンの負の調節因子。[R]

CGRP・アドレノメデュリン(AM)

CGRPとアドレノメデュリンの両方が培養ミクログリアにおいて、LPS誘導炎症メディエーターの発現を調節する[R]

アドレノメデュリンは、脳の低酸素症後にニューロン、アストロサイト、内皮細胞、ミクログリアなど様々な種類の細胞において誘導されており、低酸素、虚血ストレス下においてAMが神経保護の役割を果たしていることを示唆する。[R][R][R][R]

グレリン

グレリンの神経変性疾患、炎症疾患などにおいて神経保護効果を発揮することが実証されており、その保護効果の一部はミクログリア活性の低下する能力と関連している。[R][R][R]

ミクログリアクリアランスの活性化

ホップ

ビールのホップに含まれるイソα酸はミクログリアを活性化する。[R]

NSAID

NSAID(イブプロフェン)は炎症性刺激の作用に対して拮抗することによりミクログリアの食作用を回復させる。[R]

ブルーベリー

ブルーベリーは、ADマウスのミクログリアクリアランスを有意に増強し、アミロイドβの凝集を阻害、そしてミクログリア活性化を抑制することが観察された。これらはp44/42 MAPKモジュールの抑制を介して行われることが見出された。[R]

十全大補湯

漢方薬十全大補湯(JTT)は、ADマウスにおけるミクログリア細胞数の有意な増加を引き起こし、アミロイドβを低下させた。[R]

ミクログリア活性化の抑制・調節

レスベラトロール

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23593274/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27093858/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26924896/

ガストロジン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21765922/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30075231

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29446722

クルクミン

クルクミンはin vitroおよびin vivoでミクログリア活性化からプレオリゴデンドロサイトを保護する。[R]

クルクミンの抑制効果は、JAK-STAT炎症性シグナル伝達の不活性化によるミクログリアの調節を含むことが示唆される。[R][R]

EGCG

EGCGはミクログリア活性化を阻害し、ドーパミン作動性ニューロン損傷から保護することを示した。

EGCGがiNOSおよびTNF-α遺伝子発現のダウンレギュレーションを介してNOおよびTNF-αのミクログリア分泌を強力に阻害することを示唆している。[R]

サルビアノール酸

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5855680/

ミノサイクリン

ミクログリアを強力に抑制する薬剤

M1ミクログリアの炎症誘発状態を選択的に妨げる。

セントジョーンズワート(Hyperforin)

セントジョーンズワートの親油成分であるハイパーフォリンは、ミクログリア活性化を軽減する。[ttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24881563]

ジンセノサイドRg3(高麗人参)

高麗人参サポニンは、ミクログリア細胞においてMMP-9、iNOS、炎症性サイトカインの発現を阻害する。[R]

ジンゲロール(生姜)

生姜ヘキサン抽出物は、NF-κB経路を介してマウスミクログリア細胞の一酸化窒素、炎症誘発性サイトカイン酸性を阻害する。[R]

マグノリア

マグノリアの葉の主成分であるobovatolは、in vitroでミクログリアの炎症活性化を抑止し、in vivoでマウスの神経炎症を軽減することを示した。

血液脳関門を通過する証拠は報告されていない。[R]

インフレキシン

インフレキシンはシソ科マンシュウカメバヒキオコシ Isodon excisusに由来する化合物であり、日本、韓国、中国に広く分布する多年生草本。

インフレキシンはミクログリア細胞のNF-κB活性化を阻害し、一酸化窒素の放出を有意阻害した。[R]

フウトウカズラ(Piperaceae)

フウトウカズラはグリア細胞での一酸化窒素酸性を減少させ、強力な抗神経炎症活性を有する。[R]

ルテオリン アピゲニン

アピゲニンとルテオリンはSTAT1誘発CD40発現の阻害を介してミクログリア活性化を調節する。抗炎症効果 in vitro[R]

イカリイン

イカリインは、TAK1 / IKK / NF-kappaBおよびJNK / p38 MAPK経路を阻害することにより、リポ多糖誘発ミクログリアの活性化とニューロンの死を軽減する。[R]

オウゴニン

薬草由来のフラボノイドオウゴニンは、ミクログリアの炎症性活性化を阻害することにより神経保護作用を示す。[R]

霊芝(Ganoderma lucidum )

霊芝は、ミクログリアの活性化の阻害を介してドーパミン作動性ニューロンの変性を保護する[R][R]

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