マンガン
概要
マンガンは正常な成長、発達、および細胞ホメオスタシスに必要な微量元素。
骨形成、脂肪、炭水化物の代謝、血糖調整、カルシウム吸収に重要ニューロンおよびグリア細胞が機能するために必要な酵素でもある。
神経細胞への作用
神経細胞に必要ないくつかの酵素の補因子として働く。
・グルタミン合成酵素
・スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)
・ピルビン酸
・カルボキシラーゼ
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3633698/
判断がむずかしいマンガン欠乏・過剰
マンガンは摂取量すべきかどうか判断の難しいミネラル。
マンガン不足はグリホサートによる代謝障害が関係している可能性がある。
マンガンの摂取はマンガンの血清診断が求められる。
メタアナリシス アルツハイマー病患者において血清マンガンレベルが低い。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28273828
グリホサート(ラウンドアップ)除草剤の危険性(認知症・アルツハイマー)
マンガン曝露源
食物摂取
全粒穀物、ナッツ、種子、茶、豆類、パイナップル
溶接や採掘による煙、塵などの吸入
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4754755/
マンガンの神経毒性
マンガンに過剰曝露すると、脳内のマンガン濃度は領域により変化を示す。マンガン濃度がもっとも高くなる部位は人では淡蒼球、ラットでは視床下部。
マンガンの多様な神経毒性
マンガンの慢性的な曝露により、細胞周期調節、DNA修復、アポトーシス、ユビキチン – プロテアソーム系、タンパク質フォールディング、コレステロールホメオスタシス、軸索/小胞輸送および炎症に関連する遺伝子発現の変化をカニクイザルが示した。
APLP1発現、p53レベルが増加、神経変性変化、拡散性のアミロイドβプラーク、前頭皮質におけるαシヌクレイン凝集を導く細胞ストレス応答を生じさせる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20188756
グルタミン グルタメート – GABAサイクル(GGC)
マンガンはアストロサイトとニューロンの間の、「グルタミン グルタメート – GABAサイクル(GGC)」に関わっており、その毒性はGGCの破壊と関連し、GABA作動性シグナルおよびグルタミン代謝の変化をもたらす。
過剰なマンガンは、アストロサイトにおいて異常なグルタミン輸送を引き起こし、細胞外のグルタメート濃度が上昇。
過剰マンガンはグルタミン合成酵素発現、活性のダウンレギュレーションを引き起こし、グリア細胞にてグルタミン合成/代謝の枯渇を誘発し、その結果アストロサイト由来のグルタミンが減少、ニューロンの神経伝達におけるホメオスタシス機能の不全をもたらす。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3633698/
金属ホメオスタシス
脳内のマンガン濃度上昇は、鉄のホメオスタシス、興奮毒性、ミトコンドリアの機能不全、酸化的ストレス、タンパク質凝集の誘発、マンガンと同じ輸送システムを使う二価金属の恒常的な変化を引き起こす。
グルタミン合成酵素はマンガンがもっとも豊富なタンパク質で、アストロサイトで発現し、グルタミン酸をグルタミンに変換する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3230726/
アミロイドβ
脳の過剰なマンガンは神経毒性を持ち、アミロイドβと関連した認知障害を誘発する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24961945
αシヌクレイン
慢性のマンガン曝露はパーキンソン病の特徴であるαシヌクレインの繊維形成を増加させる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17466353
マンガンの過剰負荷はALSを発症する。
パーキンソン病
マンガニズム
マンガン蓄積は、食欲不振、無関心、筋肉および関節痛を含むパーキンソン病に似た「マンガニズム」と呼ばれる臨床症状を示す。
記憶障害、強迫行動、視覚障害、錯覚、妄想、失見など
職業曝露によるリスク増加
マンガンの職業曝露において20年を超えると、パーキンソン病の発症リスクが上昇する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14706220/
ドーパミン作動性部位への神経毒性
ドーパミンが豊富な脳領域(淡蒼球、黒質、線条体)においてマンガンの蓄積が見られ、神経毒性、特発性パーキンソン病のトリガーとなりうる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23395780
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23805100/
マンガン曝露はドーパミン神経伝達の破壊によりドーパミン作動性ニューロンの編成を誘導、ジストニー運動、運動障害をもたらしうる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21963226
マンガン治療
オートファジーによる保護効果
オートファジーはマンガン誘発性のニューロン損傷に対して保護効果を有する。オートファジー障害がマンガン蓄積による神経変性を媒介する可能性がある。
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0891584915003020?via%3Dihub
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23604964
オートファジーの阻害はmTOR経路の活性化と相関する。
マンガン過剰症治療
EDTA
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16271769/
パラーアミノサリチル酸(PAS)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16978697/