K・レゾレシチンの効果??(認知症・アルツハイマー)

「人を憎んでる暇なんてない。わしには、そんな暇はない。」

黒澤明 映画「生きる」

 

K・レゾレシチンについて

認知症患者のご家族の方から質問があったので、ちょっと調べてみた。

レシチンから順をおって、それぞれの脂質用語を簡単に説明し、解説を加えていく。

レシチン

まず、レシチン、これは聞いたことがある人が多いかもしれない。

これは、まあわかる、脳にとって、そして認知症患者にとって重要な成分だ。

一応説明しておくと、レシチンと言う時、狭義と広義の2つの意味がある。

元々はリン脂質の一種であるホスファチジルコリンの別名だったのだが、今は広い意味で使われていてリン脂質を含む脂質成分を全部レシチンと呼んだりもする

レゾレシチンは通常、専門用語として用いられる用語なので、ここでは、狭義の意味で レシチン=ホスファチジルコリンと考えたほうがいいだろう。

小まとめ レシチンとは

広義の意味 リン脂質全般

狭義の意味 リン脂質のうちのホスファチジルコリンだけ

レシチン自体は、昔から多くの研究がなされていて、認知症患者への投与試験も多く出てくる。(古い研究が多い)

証拠としては弱いものの、作用機序から考えて効果がないとは言い切れない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12917896

ただ、レシチン単体では効果を発揮しにくいものなので、レシチン補給は基本食事から摂ることをおすすめしている。しかし重要な成分なので、食事や他の脂質系のサプリメントと同時に摂取することはけして悪い選択ではない。

レシチンの吸収性を高める方法

レシチンが100%吸収されるわけではないのは事実だが、半分程度は吸収されるため、摂取しても意味がないような書き方は誇張だろう。

またいくつかの薬剤、サプリメントと併用することでレシチンの生体吸収率を上げる方法が知られている。

クルクミン

ミルクシスル

EGCG

グレープシード・エクストラクト

ボスウェリア・セラータ(Boswellia Serrata)

※アーユルヴェーダで用いられる薬草

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19803548

リン脂質

リン脂質とは何か、順番から言えばこっちを先に説明すべきだったが、

難しくなってしまうが、

リン酸エステル部位をもつ脂質のことを、みなリン脂質と呼ぶ。

リン酸エステルというのはこの図赤い部分のこと(全体図はホスファチジルコリン)

「リン酸エステル部位」の画像検索結果

ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3%E8%84%82%E8%B3%AA

人間の体にある60兆個の細胞のすべての細胞膜は、主にこのリン脂質が二重の層を形成してできている。

「リン脂質」の画像検索結果

ameblo.jp/fm23010/entry-12016865695.html

その他、シグナル伝達としても重要な役割をもつ。

小まとめ

リン脂質 = 細胞膜の主な材料(脳神経細胞を含む)

もちろん、脳の神経細胞もこのリン脂質によって取り巻かれている。

ニューロンにおいてリン脂質は樹状突起を伸ばしたり、維持したりと、重要な役割をもつ。

一言で言うと、リン脂質は脳の建築ブロックだと思ったらいい。

ホスファチジルコリン

上記で説明したリン脂質グリセロリン脂質スフィンゴシン脂質の二種類に分かれる。

上の図にグリセリンが緑で書かれてあるが、グリセリンが骨格として含まれるので、グリセロリン脂質。

そしてホスファチジルほにゃらら のホスファチジルというのはグリセロリン脂質が含まれていることを意味する。

つまりホスファチジルコリン(=狭義の意味でのレシチン)とはグリセリンとコリンを骨格構造として含んだ脂質を意味する。

ホスファチジルコリンの一般的な生理的効果

細胞膜の構成、修復に必要であり、特に肝臓が働く上で重要な役割をもつ。

一般的に知られているホスファチジルコリンの最も有用な効能は、肝疾患や毒性の予防や治療にある。

その他、消化管の保護、抗炎症効果、NSAIDの副作用を緩和、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎患者への保護効果、治療効果が示唆されている。

ホスファチジルコリンのアルツハイマーへの効果

ホスファチジルコリンは、神経細胞の材料であるとともにアセチルコリンなどの神経伝達物質の材料でもある。

血中のコリンが不足するとアセチルコリンは細胞壁からホスファチジルコリンを取り出し、アセチルコリンをつくるために使用されてしまう。そのために細胞膜同士が共食いを始めてしまいアルツハイマーになるという説もある。

そのため、血中のコリン濃度が不足しないようにしておくことは、アルツハイマー病患者にとって核心的に重要。

レシチン(レゾレシチンではない)は、CIRS患者に有効な補助食品となるかもしれない。

ホスファチジルコリンは吸収されないのか

ホスファチジルコリンを摂取しても腸で分解されてしまうから、効果が激減してしまう、ということはない。 腸管に入り腸内細菌で分解されるのは摂取量の60%。摂取量の40%は血流へ入り込む。

また、ホスファチジルコリンはもともと脂溶性のため、レゾレシチンかどうかと関係なく脳関門を通過する。

www.drugs.com/drp/phosphatidylcholine.html

リゾレシチン/リゾホスファチジルコリン

で、次に、やっとリゾレシチン、笑

これはよく知らなかったので調べてみた。

リゾレシチンは1980年代に使われていた古い学術用語で、現在はリゾホスファチジルコリン(Lysophosphatidylcholine)として呼ばれている。

ではリゾホスファチジルコリンとは何ぞや、

ホスファチジルコリンから脂肪酸が一個だけ、加水分解などによって取り除かれたもを言うらしい。

これを低分子化と表現されることには違和感を感じるが、この程度で脳関門の通過率が上がるのか?データが明示されていないので、なんとも言えないが

「lysolecithin」の画像検索結果

以下複数のサイトから引用抜粋

ホスファチジルコリンを含む食品を摂取すると、胆汁によって加水分解されリゾホスファチジルコリンとなり腸内で吸収される。

ただし、リンパ管に入り込む前に再エステル化され、さらにホスホリパーゼA2酵素により加水分解されることでアシル化反応の一部として、ほとんどの組織でリサイクル活用されている。

その他、血漿およびアテローム性動脈硬化病変における酸化型リポタンパク質(LDL)の病理学的成分であることが知られている。

また、多発性硬化症など、脳内のミエリン鞘を脱髄する作用があり、疾患を再現する研究で使われたりもする。

プロスタグランジン合成につながる炎症促進メディエーター、COX2を誘導。

ん?ざっと読んだ感じでは、そんなものを摂って大丈夫なのか?と思ったのだが、、

リゾレシチン(リゾホスファチジルコリン)自体は、脂肪酸が一個取り除かれただけのものにすぎず、リゾがついているから何か特殊な脂質だというようなものでもない。

リゾレシチンはホスホリパーゼA2の触媒反応の産物でもあるため、正常な神経細胞膜を維持するためにアセチルCoAによって、すぐにアシル化されると考えられている。

つまり、ヒトの脂質、細胞膜に一定量含まれ、代謝の過程で生まれる産物でもあるため、関連した研究は山ほどある。

しかし、自分が探した限り、リゾレシチンに関する認知症関連の論文は皆無だった、正確にはいくつかあって、その中にはマサチューセッツ工科大学の研究もたしかにあった。

しかし、それはリゾレシチンがアルツハイマーなどの疾患であるかどうかを診断するバイオマーカーの候補としての研究であって、治療薬としての研究ではない、、これを「マサチューセッツで研究されているー」とか表現するのは無茶すぎだろう。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24608097

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25192049

昔、消火器の訪問販売員が、「消防署のほうから来ました」(=消防署の方角からやって来ました)といって消火器を売りつけるセールス方法があったが、あれを思い出す。(笑)

あと、リゾレシチンが効果があるかどうかという以前に、まずいんじゃないのと思った論文

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25727637 (in vitro)

onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1742-4658.2010.07984.x/pdf

これをそのまま素直に受け取るなら、リゾホスファチジルコリンは、アミロイドβ1-42のオリゴマー形成を促すことになる。そしてその結果としてアポトーシスを引き起こし、神経細胞死を増加させるため、この研究者はリゾホスファチジルコリンの生成阻害が治療標的であり得ると最後に述べて終わっている。。。

もうひとつ、気になった文献、

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4700585/

これはバイオメーカー候補に関しての研究だが、アルツハイマー病患者の脳を死亡解剖したところ、ホスファチジルコリンとリゾホスファチジルコリンの比率が変化しており、この論文ではホスホリパーゼA2の異常活性によるものではないかと推定している。

en.wikipedia.org/wiki/Lysophosphatidylcholine#cite_note-14

リゾレシチンは、中枢神経系への病変を引き起こし、静脈系において血管収縮を引きおこす2つの炎症作用がある。

変性ココナッツオイルには、大量のリゾレシチンが含まれる。

天然のココナッツオイルにも4%含まれるが、変性すると他のホスファチジルコリンもリゾレシチンになる可能性がある。

変性ココナッツオイルは歯磨き剤としてメリットがあるかもしれない。→ つまりレゾレシチンが歯磨き剤としては有効である可能性があるということか?

K・リゾレシチン

KがついてK・リゾレシチン

これは、もう学術名でもなんでもない、ただの商品名だろう。

特殊栄養素を加えたからK・リゾレシチンというだけのことらしい。

なんだ特殊栄養素って(笑)怪しいなあ。

他にも不可解な点はありまくりなのだが、トラブルに巻き込まれたくないので筆を置くことにする。(汗)

というか、その前の説明で、もう終わっている気がするのだが、、自分の結論としてはお金をもらっても摂らないとだけ述べておく。

あと、一応認知症に関連しての文献だけ調べたので、他のことはわからない。

、と念のため予防線も張っておく。以上

lipidlibrary.aocs.org/Primer/content.cfm?ItemNumber=39351

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