レプチン抵抗性を改善する12のアプローチ(アルツハイマー病 36の発症因子)

リコード法 36項目 アルツハイマー病患者のレプチン抵抗性

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概要

レプチンは、全身の脂肪細胞で作られ、視床下部内で作用することで食欲を抑制し、体脂肪を減少させる脂肪蓄積の調節ホルモンとして知られている。

しかし、レプチンの作用部位は視床下部だけではなく、また食欲だけがレプチンの生物学的効果ではないことが明らかになってきている。

レプチンの多彩な役割

レプチンは、脳の多くの領域に作用する多面性をもつホルモンであり、食欲、モチベーション、学習、記憶、認知機能、神経保護、生殖、成長、代謝、エネルギー消費など多くの影響を与える。

レプチンの神経保護特性

末梢性レプチンおよびアディポネクチンは、脳の代謝と炎症の調節を介して神経保護特性を発揮することが示されている。

レプチン受容体は、主要部位である視床下部だけではなっく、皮質、海馬神経幹細胞に局在することが判明しており、海馬、長期増強に役割を果たす。

反対にレプチンの代謝障害は記憶と学習プロセスを損なう可能性も示唆されている。

アルツハイマー病患者のレプチンレベル

アルツハイマー病患者の低いレプチン

アディポカインおよび細胞増殖因子アディポカインであるレプチンは、健常者に比べてアルツハイマー病患者で有意に低い。

また、アルツハイマー病において、レプチンの機能不全を示唆する証拠も存在する。

より高いレプチンレベルは、βセクレターゼ活性を低下させ、アミロイドβレベルを改変することが動物モデルの研究において示されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24625795/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23895348/

体脂肪組性により異なるアルツハイマー病患者のアディポネクチン

アディポネクチンは、神経保護特性を付与するアディポカインであるが、アルツハイマー病患者の体脂肪組成の違いが、この集団のレプチン合成の異質性と変動性を説明する可能性がある。

これらの知見は、アルツハイマー病の発症に対して、運動および認知機能の保護を結びつける生物学的機構の説明となるかもしれない。

レプチン濃度は脊髄液内で異なる

これまでの研究では、末梢アディポカイン濃度はアルツハイマー病群と対照群の両方で脳脊髄液濃度を反映していることが実証されている。

末梢血レベルにおいては、アルツハイマー病患者と健常者で違いは見出されなかった。

レプチン機能不全の影響

体重減少に伴うレプチンの低下による認知機能低下

体重減少に伴うレプチンの減少は認知機能の低下に関与することが近年示されている。

レプチンは、軸索を伸長、シナプス形成および細胞の生存率を改善し、グルタミン酸作動性細胞傷害性および酸化的損傷に対して保護を示し、海馬前駆細胞の増殖を促進する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19130879

神経原線維変化によるレプチン抵抗性の増加

アルツハイマー病患者の死後の脳の剖検では、海馬のレプチン受容体は有意に減少していた。またレプチン受容体陽性細胞が神経原線維変化と共局在しており、活性型レプチン受容体の数の全体的減少と関連していた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23895348/

レプチン欠乏による軸索突起密度の低下

レプチン欠乏症はレプチン感受性ニューロンからの軸索突起の密度を低下させる。

レプチンの構造的な欠乏は、新生児へのレプチン治療によって回復され得る

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15064420/

血清レプチン

抹消循環レプチン濃度は、おそらく脳へ作用するとレプチン量と相関するが、血液脳関門の輸送体の障害によりアルツハイマー病においては正確ではない可能性もある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17324488/

アルツハイマー病とレプチンの相互影響

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4846558/

疫学的研究

12年間の追跡調査によると、低いレプチン濃度下位25%を有する人は、アルツハイマー病の発症率が4倍高かった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20009056


レプチン濃度の高値は、高齢のイタリア人の認知低下リスクと関連している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25502764/


高齢(平均82歳)の女性の高いレプチンレベルは認知症、MCIの低い発症リスクと関連。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22859388/

レプチン耐性(レプチン抵抗性)のメカニズム

レレプチンが増えても反応しない症候に対してレプチン耐性と呼ばれている。

レプチン耐性は、大きく3つの原因が考えられている。

1. 血液脳関門を通過するレプチン輸送が減少

レプチンが中枢神経と相互作用するには、まず内皮細胞の輸送体機能をもつレプチン受容体を通して血液脳関門を通過しなければならない。

2. レプチン受容体LEPR-Bシグナル伝達の障害

レプチン受容体の一つLEPR-B受容体のシグナル伝達カスケードに関わる各成分の欠損は、レプチン耐性をもたらすと予想されている。SOCS3、SH2B1、TCPTP、STAT1およびSTAT3の脱リン酸化など

3. レプチンを標的とする神経回路の障害

メラノコルチン系は、視床下部神経回路を支配しており、メラノコルチン4受容体(MC4Rの欠損症は最も一般的な肥満の遺伝的メカニズム

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12646665/

レプチンはメラノコルチン4受容体(MC4R)依存性機構を介して腹側視床下部中のBDNF発現を刺激する。BDNF/TrkB経路が阻害されると、ラットの体重減少が誘発される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12796784/

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3281561/

レプチン耐性の要因

中鎖脂肪酸の高値

高い中鎖脂肪酸レベルは、血液脳関門を透過するレプチンの輸送を減少させる。

diabetes.diabetesjournals.org/content/53/5/1253.full

炎症

脂肪豊富な食餌はラットの視床下部の炎症反応を活性化し、視床下部のインスリン抵抗性を誘発する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16002529/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4069066/

小胞体ストレス(ERストレス)

タンパク質が正常な高次構造の折り畳まれないことによるストレス応答

ERストレスの原因となる変性タンパク質は、遺伝子変異、ウイルス感染、炎症、有害化学物質などにより生じる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17565364/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18755873/


視床下部IKKβ/ NF-κBの抑制が肥満および関連疾患と戦うための戦略である

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18854155/


小胞体ストレスは、レプチン耐性の発達に中心的な役割を果たす。

ERストレスを減少させる化学的シャペロンである4-フェニル酪酸(PBA)およびタウロウルソデオキシコール酸(TUDCA)がレプチン感作剤として作用する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19117545/

オートファージー障害

不完全なオートファジーは視床下部プロオピオメラノコルチンニューロン数に有意には影響を与えなかったが、レプチン誘発シグナルトランスデューサーおよび転写活性化を損なった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22334718/


ラパマイシン、スペルミジン、レスベラトールなどのオートファジー誘発剤はマウスの血清レプチン濃度を低下させ、オートファジーを誘導する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21857156/

レプチンの神経保護効果

レプチンの多彩な神経保護効果

レプチンの神経保護効果は、抗アポトーシス作用をもつBcl-xLの産生、ミトコンドリア膜透過性の安定化、ミトコンドリア生成酸化ストレスの減少を含む可能性

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24780498/

レプチンは、神経幹細胞、グリア制限前駆細胞、神経系細胞の維持および分化に関連していることを示している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17688465/

レプチンによる学習・記憶能力の改善

レプチン投与は、ラットの海馬CA1の長期増強およびCaMK IIリン酸化を促進し、学習と記憶能力を改善する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16914228/


レプチンは、マウスの海馬CA1シナプスにおける興奮性シナプス伝達を調節し、長期増強(LTP)だけでなく、海馬依存性学習および記憶課題を改善することができる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24298156/

レプチンのニューロン構造と可塑性への影響

レプチンが欠損しているマウスでは、摂食関連ニューロンへのシナプス入力分布が歪んでおり、レプチン治療は、これらのARCニューロンへのシナプス入力再編成を急速に誘導する。

レプチンがニューロンの構造および可塑性に影響をおよぼす可能性。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15064421/


レプチンシグナル伝達およびレプチン抵抗性が脳の領域内(視床下部の内側、外側)において変化する可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2670357/

レプチンレベルと灰白質体積の相関

正常なヒトの空腹時血漿レプチン濃度が、いくつかの脳領域の灰白質体積と相関する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17123711/

レプチンのアルツハイマー病改善効果

レプチンによるアミロイドβの減少

レプチンは、BACE1発現および、アミロイドβの産生を減弱させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24874077/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23274884/

レプチンによるアミロイドβ原繊維形成の阻害

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25039425/

レプチン耐性の要因

エストロゲンの欠乏

エストロゲンの欠乏は、ラットのレプチン感受性を低下させる。

17βエストラジオールの補充によりレプチン感受性の低下に伴う過食症と体重増加を逆行させることができた。

www.nature.com/articles/0801806

フルクトース摂取

フルクトースの慢性的な消費はサイレントレプチン耐性を誘導し、ラットの肥満を促進する。

フルクトース群と対照群の間では、生理学的生化学的な差異がほとんど検出されなかったにもかかわらず、レプチン耐性が生じた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2584858/

運動不足

60分以内の短時間の運動や800kcal以下のエネルギー消費の運動の後ではレプチンの濃度が変化しない。

60分以上、800kcal以上の長時間の運動はレプチンを減少させ、アディポネクチン濃度を増加させる可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18927166/

レクチン摂取

レクチンは糖分子に結合するタンパク質、レプチン受容体にマメ科(ConA)、小麦(WGA)などのレクチンが結合すると、レプチン受容体は機能しなくなる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17983356

概日リズム障害

概日リズム障害は、マウスのレプチン抵抗性を高める。

時計遺伝子 BMAL1 / CLOCK は、血清レプチンのリズムを駆動させる概日レプチン転写を直接制御する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4558341/

レプチンの概日リズム

血漿レプチン濃度は一日を通じて変動しており、午後の中頃に最低レベルを示し、深夜に最高レベルを示す。

ERストレス

小胞体ストレスはレプチン抵抗性の発達に中心的な役割を果たす。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19117545/

小胞体ストレスはレプチン耐性を誘導する。小胞体ストレスを誘導するホモシステインもまたレプチン抵抗性を引き起こす。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18755873/

オートファジー障害

レプチンは試験管モデル、動物モデルの両方においてオートファジーを誘発する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21857156/

オートファジーの阻害は、マウスのエネルギー代謝の不均衡および肥満につながる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21784844/

飽和脂肪酸と炎症

飽和脂肪酸は視床下部の炎症を誘発する。視床下部IKKβ/ NF-κB経路の活性化はレプチン耐性を誘導する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18854155/

レプチン耐性 改善戦略

カロリー制限

適度なカロリー制限はレプチン感受性の改善に役立つ。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24729662/


レプチン感受性は肥満および老齢によって低下するようである。

カロリー制限は、老齢ラットのレプチンに対する応答性を高める。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25218974/

サプリメント

図2.アルツハイマー病の体重減少を引き起こす可能性のある機構。MTC、内側頭皮質; ACC、前帯状皮質; MTL、内側頭葉; IPL、下壁頭葉; LTN、側頭側新皮質; PC、前頭前野; CCK、コレシストキニン。

ヒュペリンA、ポリフェノール、イチョウ、チョウセンニンジン、ウィリアムソムニフェラ、ホスファチジルセリン、α-リポ酸、オメガ-3脂肪酸、アセチルL-カルニチン、コエンザイムQ10、各種ビタミン、ミネラル、メラトニン

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21155625

睡眠

睡眠は食欲を調節する主要なホルモンを調節する。レプチンレベルの低下は、交感神経の上昇に伴っており、レプチンの変化は睡眠の持続時間によるコルチゾール、TSHの変化と定量的に関連している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15531540

運動

ダイエットおよび身体活動はいずれも血漿レプチン濃度を変化させる。

身体運動は、IL-6に依存する仕組みによって視床下部IKKβ/ NF-κBの活性化を抑制する。IL-6を破壊したマウスでは運動によるレプチン抵抗性への改善効果を阻害した。

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