アルツハイマー病 グルタチオンの脳保護効果メカニズム

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36の発症因子グルタチオン・NACパーキンソン病

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還元型グルタチオン・認知症

概要

グルタチオンとはグルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸からなるペプチドで細胞を保護する抗酸化物質。

グルタチオンの感受性が高い脳

ヒトの脳は、体重比で2%だが酸素消費は20%と大量の酸素を消費する。

そのため、他の組織よりも高い濃度で活性酸素種が発生し、それらを中和するための抗酸化物質であるグルタチオンも脳において重要な役割を果たす。

したがって、脳内のグルタチオン恒常性に変化が生じると脳の酸化ストレスも大きなものとなり、ミトコンドリア機能の異常、神経変性疾患のリスクへの影響もでてくる。[R]

特に、神経細胞はグルタチオンレベルの減少による酸化的損傷に対して脆弱であることが示されている。[R]

神経伝達物質としてのグルタチオン

グルタチオンおよび酸化型グルタチオンは、NDMA受容体、AMPA受容体のグルタミン酸認識部位に結合することが見出されており、内因性の神経調節因子でもある可能性がある。[R][R][R]

脳内のグルタチオン

脳のグルタチオンレベルは他の細胞内組織と比べて低く、また脳内の細胞の種類にも依存する。

神経細胞では約2.5mM、アストロサイトでは3.8mM

神経細胞、筋細胞を問わず細胞外でのグルタチオンレベルは数百倍低い。血液中2μM

グルタチオンの脳保護効果

  1. 一重項酸素、ヒドロキシラジカル、スーパーオキシドラジカルへの直接的な中和
  2. 抗酸化酵素の補因子
  3. ビタミンCおよびEのリサイクル
  4. 肝臓のフェーズⅠで化学毒素が代謝される際に生じるフリーラジカルの中和
  5. 肝臓のフェーズIIで約7回行われる反応のひとつで、フェーズIによって生成される活性化された中間体にグルタチオンが接合し水溶性にする。これにより中間体の腎臓による排泄が可能となる。
  6. 細胞と脳からの水銀の輸送
  7. 細胞増殖およびアポトーシスの調節
  8. ミトコンドリア機能とミトコンドリアDNA(mtDNA)の維持

グルタチオン 神経変性疾患への治療効果

  1. 解毒
  2. ミトコンドリア機能を高める
  3. 酸化ストレスからの保護
  4. 水銀、有害金属からの保護
  5. アルコールからの保護
  6. 有機汚染物質(POPs)からの保護

アルツハイマー病

アルツハイマー病患者の複雑なグルタチオンレベル

グルタチオンレベルの性差(男性で低いグルタチオン)

アルツハイマー病の女性ではなく、男性患者で有意に低いグルタチオンレベルが検出されている。[R]

代償応答によるグルタチオンの上昇

MCI患者では初期の代償応答として線条体のグルタチオンレベルが増加を示している可能性がある。[R]

脳部位により異なるグルタチオンレベル

アルツハイマー病患者脳のグルタチオンレベルは相反する結果を示している。

黒質、黒質皮質ではより低く、海馬においてはより高いグルタチオンレベルが見出されている。[R]

海馬での酸化的損傷

タンパク質の酸化は、アルツハイマー病と組織病理において関連するアミロイドβが豊富な海馬や下頭頂葉などの脳領域において生じるが、アミロイドβの少ない小脳では発生しないことが示されている。[R]

酸化型グルタチオン

グルタチオンには還元型(GSH)と酸化型(GSSG)が存在する。

一般にグルタチオンと表記される場合還元型グルタチオンを意味する。

還元型グルタチオンはチオール基において反応性酸素主などを中和するさいに電子を供与し、反応性グルタチオンに代謝され、他の反応性グルタチオンと反応することで酸化型グルタチオンが形成される。

健常者のGSH/GSSG比率は100以上(ほとんどが還元型グルタチオン)

酸化的ストレスに暴露すると1~10に低下し、酸化型グルタチオンの比率が増える。

AD患者におけるGSH/GSSG比率の減少

アルツハイマー病患者における還元型グルタチオンの低下と酸化型グルタチオンの増加。[R]

アミロイド班が生じる直前のGSH/GSSG比の減少

アミロイド斑が生じる直前にADマウスのGSH / GSSG比が低下し、続いてGSSGが継続的に増加した。[R]

酸化型グルタチオンとAD患者の認知機能の相関

酸化型グルタチオンレベルの上昇とアルツハイマー病患者の認知状態には線形相関が存在する。[R]

リスク要因

抗酸化物質の枯渇

MCI患者の認知機能と抗酸化レベルには相関関係が存在し、アルツハイマー病への進行は抗酸化物質の枯渇が伴う可能性がある。[R]

ApoE4遺伝子保有者

ApoE 4対立遺伝子ホモ接合体の動物の脳ではGSHレベルが最も低くなっている。[R]

グルタチオンの中枢神経系への作用

グルタチオンによるアミロイド凝集物の阻害

還元型グルタチオンはアミロイドフィブリル形成を有意に減弱させる。[R]

金属ホメオスタシス

グルタチオン(GSH)合成速度に影響をおよぼす最も重要な因子は、硫黄の利用能およびγ-グルタミルシステイン合成酵素(GSH1)活性。

金属中毒の際には、身体が解毒を行うために両方の因子を増加させる。

一般にほとんどの金属はアミノ酸であるシステインのチオール基と強く結合するため、遊離システインは金属イオンのキレーターとなる。

しかし、レドックス活性金属にシステインが結合すると、システインは急速に酸化され、還元された金属はフェントン反応を起こしてヒドロキシラジカルを形成する可能性ある。

そのため血中の遊離システインレベルは高すぎても問題がある可能性がある。

グルタチオンを増やす 一例

スルフォラファン、アリルジスルフィド

スルフォラファンおよびアリルジスルフィドを用いたパーキンソン病モデルのショウジョウバエのグルタチオン生合成酵素誘導はニューロンの損失の軽減を示した。[R]

セレノメチオニン

セレンはGPx4の発現および活性に重要な役割を果たす。

セレノメチオニンのような有機セレンは、無機形態よりもより生物学的利用能が高く毒性が低い。[R]

ビタミンD

ビタミンD3は、グルタチオン産生の触媒として作用し脳内のグルタチオンレベルを上昇させる。[R]

 

グルタチオンを増やす7つ戦略(認知症・アルツハイマー)

グルタチオン関連用語(参考)

「gpx gst gssg gsh」の画像検索結果

グルタチオン合成酵素

グルタメート – システイン リガーゼ(GCL)

グルタチオン合成の第一段階においてシステインとグルタミン酸を結合して、ジペプチドγ-グルタミル システインを形成する酵素

細胞内のグルタチオンレベルはシステイン供給とGCLの活性によって大きく決定される。

グルタチオン合成酵素 (GS)

グルタチオン合成の第二段階でガンマ – グルタミル・システインとグリシンを結合して、グルタチオンを形成する酵素

 

グルタチオン分解酵素

ガンマ – グルタミル トランス ペプチダーゼ(GGT)

グルタチオンの合成経路に関わるγ-グルタミル サイクルの重要な酵素。

GGTは、肝臓、腎臓、膵臓および肺において最も高い活性を有し、形質膜の外側に付着する。

細胞膜を通過できるようグルタチオンを分解する

細胞外のグルタチオンは細胞をほとんど通過しない。また、グルタチオンはMRP1、MRP2トランスポーターによって細胞外へと排出(能動輸送)されるが、一旦排出されたGSHは再び細胞内には戻らない。

GGTは細胞外の循環するグルタチオンをアミノ酸に分解し、細胞膜を通過できるグルタミル システインを産生する。

分解されたグルタミル-システインは、必要に応じて身体の他の場所で使用することもできる。

GSH/GSSG比率の維持

GGTは、細胞内および細胞外液の両方で、グルタチオンレベルを一定に保ち、酸化型グルタチオンGSSGに対する還元型(活性型)グルタチオンGSHの比率を正常範囲内に維持する。

そのことにより抗酸化防御および解毒において非常に重要な役割を果たす。

GGTの欠乏

GGTの欠乏は適正なバランスのGSH / GSSG比を、酸化型グルタチオンがより高い濃度にシフトさせる。

そのことにより細胞のシステイン利用率が低下し、酸化ストレスおよびDNA損傷を増加させる。

そのタイミングでGGTを活性するにはコストがかかる。

GGTの過剰

グルタチオンやその他の抗酸化物質を使用してGSH/GSSG比のバランスを取り戻すには、GGTを活性させる必要がある。

しかし、GSHを分解する過程でフリーラジカルが生成されてしまうため、過剰なGGTはグルタチオンを崩壊させる。

肝臓癌、膵臓癌、慢性アルコール性肝疾患、膵炎、2型糖尿病、慢性肝炎、慢性肝炎、

 

グルタチオン-リサイクル

グルタチオン レダクターゼ(Gr)
GSSGをGSHに還元

グルタチオン(GSSG)の酸化型を、還元または非酸化型スルフヒドリル型GSHに還元する酵素。

簡単に言うと、グルタチオン レダクターゼは体内のグルタチオンをリサイクルする。

健康な細胞および組織では、総グルタチオンの90%以上が還元型(GSH)であり、酸化型(GSSG)で10%未満が存在する。

酸化ストレスの指標

酵素グルタチオンレダクターゼの活性は、酸化的ストレスの指標として使用される 。

GSSG/GSH比の増加は酸化ストレスの指標とみなされている。

また、細胞内のこの比は、細胞毒性の尺度として科学的に用いられることが多い。

グルタチオン-ペルオキシダーゼ(GPx)

ja.wikipedia.org/wiki/グルタチオンペルオキシダーゼ

GPxはグルタチオンとフリーラジカル、有毒な過酸化水素との反応を加速させ無害な水に還元するセレン含有酵素のファミリー

GPx4

神経変性疾患における重要な役割として浮かび上がってきたグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPx4)

GPx4はフェロトーシスの重要な調節因子である可能性がある。GPx4は脆弱性をもつ脳領域内の酸化ストレスと鉄の蓄積との関係に役割を有するかもしれない。[R]

グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)
異物を可溶性にして解毒

還元型のグルタチオン(GSH)と生体異物(化学物質、薬物、農薬、および/または発癌物質)との結合を促進する機能をもつ最もよく知られているグルタチオン酵素ファミリー

これらの化合物と結合して可溶性にすることで解毒する。

この活性により、生体異物の迅速な分解と除去が可能にある。

過酸化脂質の解毒

過酸化脂質はフリーラジカルによって損傷された脂肪細胞膜であり、フリーラジカル損傷は、細胞死の原因のひとつとなる。

GSTは過酸化脂質の解毒にも寄与する。

GSTは毒素に結合し、輸送タンパク質としても機能する。

グルタチオンS-トランスフェラーゼは肝臓で特に高濃度で存在し、ヒトの最も重要な解毒機構でもある。

GST多形遺伝子

パーキンソン病患者の脳において有意なGST活性の減少を示す。

いくつかのGST多型遺伝子は、疾患の発症とアウトカムに正の相関を示す。[R]

 

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