グリア性瘢痕(神経膠瘢痕)の修復(認知症・アルツハイマー)覚書

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概要

en.wikipedia.org/wiki/Glial_scar#Glial_scar_treatment_or_removal

グリア性瘢痕/glial scar

グリア性瘢痕とは

グリア性瘢痕とは、脳の損傷部にみられる治癒瘢痕巣。

グリア瘢痕は損傷時に血液の炎症成分が、中枢神経などの健康な組織に伝播するのを防ぐ役割をもつ。

軸索再生を妨げる

しかし、グリア瘢痕は軸索を再生するための第一障壁としても働く。軸索の成長は、グリア瘢痕で突然止まり、軸索の終末はジストロフィー(栄養失調による萎縮)を示す。

血液脳関門の破壊および、血清成分の中枢神経系へのリークはグリア瘢痕形成に大きく関与している。IL-1、TGF-β、血液由来の炎症因子などが潜在的な誘引ともなっている。

BBBの破壊 → 星状細胞と線維芽細胞の相互作用

中枢神経のすべての病変がBBBを開く。開かれたBBBを封じるためにアストロサイトによって障害応答がなされる。

その星状細胞周辺に線維芽細胞反応が起こり星状細胞と線維芽細胞が相互作用を起こし瘢痕を形成する。

星状細胞および線維芽細胞両方が、軸索の抑制分子を発現する。

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www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3375417/

グリア性瘢痕の修復 標的候補因子

mTOR、JAK / STATシグナル伝達経路

mTORおよびJAK / STATシグナル伝達経路は、軸索再生において独立して作動するようであり、両方の経路を刺激することにより、軸索の相乗的成長を可能にする。

軸索再生は組み合わせられた環境因子によって障害されている可能性が高い。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3951813/

PTEN、SOCS3

軸索の成長を制御する2つのニューロンシグナル伝達経路

PTENおよびSOCS3両者の欠損は、損傷後の皮質軸索の再生、網膜神経細胞軸索の持続的な再生を可能にする。

mTOR、JAK/SATAシグナル経路とは独立して作動するようである。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24068802/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23510761/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22056987/

TGFβの抑制

TGFβシグナル伝達の抑制は、線維性瘢痕の形成を防止する有効な手段であり、軸索再生を促進することが報告されている。

TGFβ2は、軸索の成長阻害性を有するプロテオグリカンの分泌を刺激する。

TGFβ1およびTGFβ2の減少によって、グリア性瘢痕を部分的に減少させることが動物実験で示されている。

ヒスタミンH1受容体

マウスの脊髄損傷後、ヒスタミン投与によるヒスタミンH1受容体の刺激によりグリア瘢痕形成が有意に弱まり、軸索成長を促進した。(ヒスタミンH2受容体では回復効果はない)

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25620315

顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)

顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)がグリア瘢痕形成を抑制、脊髄損傷に対して長期の保護効果を示す。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19033079

肝細胞増殖因子

HGFはアストロ細胞の瘢痕形成を減少させ、グリア瘢痕を超えて軸索成長を促進する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22079829

インターロイキン6/IL-6

IL-6はグリア瘢痕形成の分子メディエーターであると考えられている。

Okada S, et al. (2004)

組み合わせ戦略

組み合わせ戦略のみが、中枢神経系の瘢痕組織(グリア瘢痕、線維性瘢痕)の有害影響を排除する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5562555/

グリア瘢痕と関連する環境因子が、軸索の再生障害に大きな影響をおよぼす。

ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)結合を模倣する薬物は、グリア性瘢痕の抑制環境を緩和し、ニューロン再生を増大させる可能性がる。

生物学的に合成されたコンドロイチン硫酸

グリア性瘢痕除去、細胞移植、運動訓練による組織修復と機能回復改善のための戦略

神経可塑性がグリア性瘢痕治療の鍵

自然発生的な組織修復による脊髄損傷のラットの軸索再生、機能回復は非常に遅い。

運動訓練は軸索再生の有無とは関係なく、運動機能を有意に改善する。

グリア瘢痕除去と運動トレーニングの組み合わせが、相乗的作用による歩行運動を改善する。

www.omicsonline.org/open-access/scar-removal-cell-transplantation-and-locomotor-training-strategies-to-improve-tissue-2329-9096.1000233.php?aid=31801

グリア性瘢痕の潜在的治療候補

抗がん剤であるタキソールが、インビボで、ジストロフィーの形成を防ぎ、微小管の安定につながる可能性がある。

PDE4阻害(ロリプラム)

cAMPの上昇はニューロンの軸索成長を上昇することが示されている。

PDE4阻害剤であるロリプラムは、ロリプラムが血液脳関門を部分的に通過すること分子サイズであり、脊髄損傷後のニューロンのcAMP濃度を上昇させることが可能である。

脊髄損傷後のげっぱ類へのロリプラムの10日間の投与は、グリア性瘢痕の減少と関連してかなりの軸索成長をもたらした。

リバビリン

抗ウイルス薬として一般的に使用されるプリンヌクレオシド類似体。

反応性アストロ細胞の量を減少させることも示されている。Pekovic,S., et al.(2006)

ヒアルロン酸

高分子量ヒアルロン酸が、脊髄損傷後のアストロ細胞を活性化し、グリア性瘢痕の形成を抑制する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19944826

αリポ酸

αリポ酸が、グルタチオン合成を促進し、細胞喪失を減少させ、血管新生を促進し、グリア性瘢痕形成を減少させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22917609

カフェ酸

カフェイン酸が外傷性脳損傷、特に後期のグリア性瘢痕の形成に保護作用を及ぼす。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17074364

イソプロテレノール

βアドレナリン受容体を遮断するイソプロテレノールがグリア性瘢痕の形成を抑制する。

www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0014488683710563?via%3Dihub

クルクミン

クルクミンがグリア性瘢痕の形成を抑制する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27865778

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コンドロイチン硫酸プロテオグリカン媒介による阻害を減弱させ、グリア性瘢痕の形成を抑制、軸索再生を刺激するための戦略

GSK-3β阻害剤

GSK-3β阻害剤、特にリチウムは、CNS損傷後に有益

非ステロイド性抗炎症薬を含む薬理学的阻害剤は、軸索成長を刺激し、げっ歯類におけるSCIの行動回復を改善する

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4345149/

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