フェルラ酸
概要
食物に含まれるフェルラ酸
フェルラ酸は多くの植物に含有し、特にポップコーンやタケノコ、コーヒーなどに高濃度に含まれている。穀物では玄米などのふすまにも含まれている。
小麦や大麦にも含まれており、フェノール化合物は小麦の真菌病に対する抵抗性にもつながっている。
フェルラ酸の医学的証拠
フェルガードを含めフェルラ酸の認知機能低下を防ぐ臨床的な証拠は限られているが、主に経験則として日本国内では用いられている。
試験管研究においては、脳内の抗酸化剤、抗炎症剤、アミロイド除去作用として優れた作用をもつ可能性がある。
強力な抗アミロイドβオリゴマー作用
ただしフェルラ酸はアミロイドβオリゴマーに対する作用は強力で、アミロイドβのモノマーに関してはの凝集を防ぎ、オリゴマー形成されてしまったものはより高凝集体に形成することでオリゴマーの毒性を二重に回避する。
一言で言うと、腸管から素早く脳に届き強力な抗炎症作用を発揮して、毒性の高いアミロイドβオリゴマーを除去するため、ハーブとしては緊急性、即効性に特徴がある抗認知症サプリメントと言えるかもしれない。
凝集化されたアミロイドβは後
ただ、前者については良いとしても後者のオリゴマーを凝集体にしてしまう点において、ひとつ心配な点が残る。
アミロイドβフィブリルが後で飽和するなどして、毒性を再びもちうる可能性があることが研究者によって指摘されている。
フェルガード
価格が高いのが最大の難点。フェルラ酸だけを摂ればいいのならまだしも、それだけではけして認知症は回復しない。他の重要なサプリメントや改善方法に着手できなくなる可能性が高くなる。
予算と機会損失の観点から判断されることをおすすめする。アイハーブで、フェルラ酸もアンジェリカも低価格で販売されている。
市販のフェルラ酸を使ったリポソームがおすすめ。(要自作)
食品に含まれるフェルラ酸
100g中
- シュガービートパルプ 800mg
- ポップコーン 313mg
- タケノコ 244mg
- ライ麦全粒粉パン 54mg
- スイートコーン 42mg
- レッドビートの漬物 39mg
- レッドビート 25mg
- 玄米 24mg
- 茹でたスパゲティ 14mg
- コーヒー 9-14mg
- なす 7-35mg
- ごぼう 7-19mg
- 大豆 12mg
- グレープフルーツ 11mg
- 落花生 9mg
- ほうれん草 7mg
- ばなな 5mg
地中海食に含まれるフェルラ酸
平均 150~250mg/日
薬学
単糖類、二糖類と結合したフェル酸は、C maxを著しく減少させ、T max、半減期を増加させる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24373826
フェルラ酸の効能・作用機序
フェルラ酸は、強力な抗酸化作用、細胞保護作用をもつフェノール酸
フェルラ酸の生体吸収率が低さが、臨床的な効果の限界となる。
フェルラ酸の保護効果は、フリーラジカルを直接捕捉することによる。
フェルラ酸は細胞保護システムをアップレギュレーションし、細胞傷害性システムをダウンレギュレートすることができる
フェルラ酸は、複合的な作用機序によりフリーラジカルを誘発する疾患の潜在的な補助療法でありえる。
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691513008466?via%3Dihub
フェルラ酸の細胞保護効果
- フリーラジカルの消去
- ヘムオキシゲナーゼ1のアップレギュレーション
- HSP70のアップレギュレーション
- 細胞外シグナル伝達系(ERK/Akt)アップレギュレーション
によって細胞ストレス応答を増強する強力な抗酸化剤。
- 誘導性一酸化窒素シンターゼ
- カスパーゼ
- シクロオキシゲナーゼ2
- 細胞傷害性酵素
の発現、活性を阻害する。
- フェルラ酸は、アミロイドβ25-35によって誘導されるTNF-αおよびIL-1βの産生を阻害。
- cAMPの細胞内レベルを増加させ、Ca 2+の細胞内レベルを減少させる。
- PDE4阻害剤としての可能性(PDE4B2)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26308168
フェルラ酸の多彩な作用
- 膵臓のフリーラジカルを減少させることによるインスリン分泌刺激作用、血糖値の低下
- ROSの除去による脂質化酸化抑制
- DNA一本鎖の破裂
- 特定のタンパク質の不活性化
- 生体膜の破壊を減少
- 肝臓においてUGTs酵素(UDP-グルクロン酸転移酵素)活性を増強することによって、発がん性化合物を解毒し、胃腸のガンを予防する。
- 結腸癌細胞の増殖を阻害する。
- 乳癌細胞株においても、主要抑制能を有する。
- 放射線療法の副作用を減少させる。
- タバコによるニコチン誘発性の細胞障害から保護
- 血小板凝集を阻害、血栓形成を防止
- VEGF、PDGFおよびHIF-1α経路の刺激による、血管新生作用
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5466124/
アルツハイマー病関連研究
フェルガード(フェルラ酸+アンゼリカ)
オープンラベル試験 前頭側頭葉変性症またはレビー小体型認知症の患者20人において、フェルガード3g/日を4週間投与
20人の患者のうち19人で精神神経インベントリのスコアが有意に低下した。
スコアのサブスケールである妄想、幻覚、激越/攻撃、不安、無関心、過敏性/不安定性および異常行動を有意に低下させた。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21272180
βセクレターゼの調整によるアルツハイマー病治療の可能性
過酸化脂質によるヒドロキシラジカルの減少
ペルオキシラジカルによって誘導された海馬ニューロン細胞死を減少
フェルラ酸投与はラットの皮質ニューロンの内皮において誘導型一酸化窒素酵素(iNOS)発現を阻害する。
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2215017X14000368
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23409038
フェルラ酸の低い濃度では海馬ニューロンのペルオキシラジカルを減少、高濃度ではヒドロキシラジカルを減少させ脂質化酸化を防ぐ。in vitro
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12015157
フェルラ酸は、アミロイド-β42モノマーからオリゴマーへの移行を阻害するが、オリゴマーからフィブリルへの転移は促進する。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23727899
植物のフェルラ酸代謝は、シキミ酸経路を通じて芳香族アミノ酸で始まる。
植物におけるフェルラ酸の役割は、発芽中の加水分解酵素に対する細胞保護効果、植物の成長を調節、強豪植物の阻害、根からのミネラル、水の吸収、アブラムシ、昆虫、真菌感染から穀類を保護するなど、多岐にわたる。
果物や、野菜、穀類ふすま、ビール、コーヒーをなどから摂取されるフェルラ酸の一般的な摂取量は500~1000mg
遊離フェノール酸は、胃腸粘膜のモノカルボン酸によって吸収される。
フェルラ酸は脳内の神経原線維を直接阻害することでアルツハイマー病の進行を防ぐ。
フェルラ酸のADマウスへの経口投与では、アミロイドβオリゴマー、アミロイドβの沈着に対しては有意な効果を示さなかった。
フェルラ酸 5.3mg / kg /日の濃度で、アミロイドβ40の皮質レベルを有意に低下させるが、アミロイドβ42の蓄積へはわずかにしか影響がない。
同濃度でIL-1βの皮質レベルは有意に低下させることができる。
フェルラ酸はインビトロおよびインビボで神経前駆細胞増殖を刺激することも知られている。マウスへの抗うつ効果
ADマウスにフェルラ酸を6ヶ月投与、活動の亢進、物体認識、空間認識、などの行動障害を逆転させた。
βセクレターゼの調節、神経炎症の緩和、酸化ストレスの安定化によりアミロイド形成のAPP代謝が減少した。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4517023/
ドネペジルとフェルラ酸のハイブリッド投与は強力な抗酸化作用を有する選択的ブチリルコリンエステラーゼ阻害剤である。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25582330
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27727187
フェルラ酸とアルツハイマー病 約束と落とし穴
www.eurekaselect.com/131582/article
レビー小体型認知症
フェノール化合物はレビー小体、パーキンソン病の病理学的特徴であるαシヌクレインのオリゴマー化を防ぎ、シナプス毒性を低下させる。
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26016728
フェルラ酸 前頭側型、レビー小体型認知症への投与試験
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21272180
相互作用
オクチルガレート(octyl gallate)とフェルラ酸の併用療法は、認知機能および神経変性を改善する。
www.jbc.org/content/early/2017/05/16/jbc.M116.762658.abstract
オクチルガレートは食品産業で広く使用される食品添加物。
ペルー産の豆科植物「タラ」から抗菌剤、抗ウイルス剤として抽出される。
www.nikkei.com/article/DGXNASJB2800G_Y1A720C1LA0000/
摂取方法
フェルラ酸は光により酸化しやすいため遮光保存 最大500mg/日
バター(ステアリン酸)を温熱で溶かして、かき混ぜて結合させれば多少吸収力が高まるかもしれない。リポソーム化がより良い。(自作可能)