認知症・アルツハイマー病への運動効果 研究のまとめ

強調オフ

エクササイズ 運動身体活動の効果

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認知症・アルツハイマー病への運動効果

はじめに

運動の認知機能への効果(健康効果ではなく)を調べてみた。

 

PubMedで運動と認知機能の研究を調べると一万件ヒット…

運動と認知症の関連研究だけでも2000件…

そういうわけで?システマティックレビューを中心にピックアップしてみた。

システマティックレビュー研究も100件以上あるので、それぞれのシステマティックレビューも他の研究の総括のようなものが多かったりする。

認知症

認知症予防研究

週3回以上の運動

コホート研究 週に3回以上運動する人(自己報告)の認知症発症率は32%低下する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16418406/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15383516/


歩行を含む長期的な身体活動が高い(上位20%)高齢者は身体活動が低い(下位20%)の高齢者と比べ認知症リスクが20%低い。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15383516/


退職後の男性で、低い身体活動を維持した下位25%のグループは認知機能低下率が3.6倍強い。運動の持続時間と強度の減少により認知低下がより促進する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15623693/

3.2km以上の歩行

一日1マイル(1.6km)未満の歩行者は、1日2マイル以上歩いた男性と比較して、認知症発症リスクが1.7~1.8倍高かった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15383515/

 

認知症患者への介入研究

歩行プログラム

24週間歩行プログラムに参加の認知症患者(n = 138)、対照群は教育と通常のケア。

歩行プログラムに参加した被験者は、アルツハイマー病評価尺度 – 認知サブスケールの測定で、全体的な認知機能において穏やかな改善を示した。

女性に大きな効果

6ヶ月間の高強度運動プログラム(心拍75〜85%)軽度認知障害患者(n = 29)は、ストレッチ群と比較して実行機能の改善を示す。

この効果は女性の方が大きく、男性は実行機能のテストのうち一つだけ改善効果を示した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20223924/

認知機能、即時記憶、言語能力の改善

軽度認知障害の高齢者(n = 50)1日90分、週2回 12ヶ月間のグループ運動プログラムの効果

運動群の参加者は、対照群と比較して認知機能、即時記憶、言語能力の改善を示した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20065132/

有酸素運動単独と有酸素運動+メンタルエクササイズに差はない

記憶に問題のある非活動的な高齢者メンバー(n=126)による12週間/週3回の有酸素運動単独、または有酸素運動とメンタルエクササイズの組み合わせ。

各グループとも認知機能に有意な改善示した。それぞれの介入グループの改善に有意な違いはなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23545757/

歩行運動での改善

高齢認知症患者への歩行運動による認知機能への影響、15週間の身体活動プログラム後認知機能評価試験ERFCスコアが対照群と比べ有意に改善。

運動はApoE4遺伝子キャリアにとって、特に有益

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22750524/

有酸素運動

DLPFC(背外側前頭前野)

有酸素運動は高齢者の背側前頭前野

有酸素運動は高齢者の海馬の容積と関連する。

図2

VO2ピークの増加に伴い、海馬体積が増加すること示す。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19123237/

有酸素運動による海馬の回復

有酸素運動は高齢者の海馬容積の加齢による損失を1~2年後逆転させた。

画像、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はpnas.1015950108fig01.jpgです。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21282661

有酸素運動の認知機能改善効果は心血管改善への影響

メタアナリシス 有酸素運動は、認知機能の特定の部分というよりも認知機能全体を改善する。

トレーニング期間直後の認知能力改善は、灰白質の変化によるものではなく、心血管の変化に依存した可能性がある。

海馬は有酸素運動に敏感に反応して増加する。

皮質の変化、脳の機能的な接続の変化への影響は6ヶ月で傾向があらわれるが、有意差が生じるのは12ヶ月後。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5241294/

週5回で認知機能予防効果が最大化

運動のタイプ、頻度、期間の複合変数で30分以上の有酸素運動を週3回以上する高強度運動グループで、認知低下の緩和に関連があった。

週5回以上では高強度の運動、低強度運動両方のグループに認知機能の低下予防効果が示された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15249848/

高齢者の有酸素運動は若者より認知機能改善効果が高い

メタアナリシス 横断研究では高齢者の心肺能力と認知機能と関連は若者よりも強い

縦断研究では、あらゆるタイプの身体活動に週一回以上参加している高齢者は認知低下が少ない。

実行機能への効果は、有酸素運動グループのみに観察される。

週3回の中強度または高強度の筋力トレーニングは高齢者の記憶能力および口頭での概念形成能力を改善を示した。

筋肉の強さとアルツハイマー病リスクの低下、認知機能低下速度との間には相関がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3786463/

ACSMガイドライン(2009)

・中等度有酸素運動 30分/回、 5日以上/週、合計150分以上/週

または

・高強度の有酸素運動 一回20分、3日/週 合計60分/週

高強度有酸素運動は70%以上のVO2maxが必要。

3分低強度、3分高強度の運動が、60分持続的なペースのウォーキングよりもVO2max能力を高め、2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3872007/

有酸素運動中の主観的なきつさと心拍数は一致しない

有酸素運動トレーニングの研究において、心拍数と主観的な評価がこれまで用いられてきた。ボルグ評価感情(RPE)尺度は、広く使用されており、認知障害のない被験者においては心拍数、呼吸不快感など、有酸素運動の強度と強く相関する。

しかし、進行性のアルツハイマー病を有する高齢の男性を対象としたパイロット研究においては、低強度~中強度の有酸素運動時の心拍数と主観的運動強度の報告には中程度の相関しか見出されなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2940221/


www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20223924/

オープンスキルとクローズドスキル

運動にはオープンスキルとクローズドスキルの2つのモードがある。

オープンスキルでは、卓球やバトミントンなど環境が流動的であり、敵の動きを予測するために様々な認知負荷と運動調整が要求される。

クローズドスキルは、ランニングやサイクリングなど、予測が可能な安定した環境の中で個人のペースで実行される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20925480/

近年の研究から、オープンスキルを必要とする運動(有酸素運動)が、クローズドスキルによる運動と比較して高齢者の神経栄養因子活性化をより増加させ認知機能に異なる改善効果をを与えるいくつかの証拠が示されてきている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5604064/

オープンスキルの運動は、注意、タスクの切り替え、抑制に関与する前頭前野に、クローズドスキルの運動より多くの領域に影響を与える。

クローズドスキルの運動は海馬、記憶に対してより効果的である。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20133762/

www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0262407915310320

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26545456/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5604064/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21282661/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22674729/

筋力トレーニング

週3回 高齢女性 最大重量の60~75%×10回×3セット

12週間後、上体強度58%、下体強度68%、認知能力(MoCAテスト)19% の有意な増加

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4896469/


身体的な脆弱性(握力、歩行時間速度、体組性、疲労)は、軽度認知障害(MCI)のリスクおよび加齢による認知低下の急速な速度と関連している。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20070417/


筋力トレーニング 正常な高齢者 24週間(n=63)最大筋力の50-80パーセントで上部下部の身体をトレーニング、いくつかの認知領域において改善が見られた。IGF-1レベルが増加。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17762374/

12ヶ月の訓練によって注意力、解決能力が改善

比較対象無作為化 高齢の女性(n = 155)の筋力トレーニングプログラム

毎週1-2回の筋力トレーニングプログラムに参加した女性は、選択的注意と解決能力を含む実行機能テストのパフォーマンスが改善。

筋力トレーニンググループの認知能力は6ヶ月の訓練後では改善を示さず、12ヶ月の訓練後に有意に改善を示した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20101012/


高齢女性 週2回の筋力トレーニング 皮質の2つの領域、すなわち左中頭側回の前部および左前側脊柱の外側領域がMRI測定によって血流の改善、作業成績ともに改善を示した。

週一回のグループでは行動能力、および皮質の血流活性ともに応答を示さなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21741129/


・健康な初心者1RMの60~80%

・虚弱な人は1RMの40~50%/15-20回

2~3セット/一種目、セット間の休憩2~3分間、48~72時間の回復期間

バランス、アジリティー(俊敏さ)、コーディネーションを含む運動を行うべき

最後にストレッチで終了すること。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21694556/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3872007/

運動の組み合わせ

29件のメタアナリシス 有酸素運動訓練は注意力、処理速度、課題遂行能力、控えめな記憶の改善と幅広く中程度の影響を与える。しかし作業記憶への影響は低い。

有酸素運動と筋力トレーニングプログラムの組み合わせなど、多成分運動介入が認知機能に大きな影響を与え、作業記憶を向上させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20223924/

強度があることでエクササイズの組み合わせ効果は発揮する

エアロビックフィットネス(有酸素フィットネス)の認知機能改善効果へのメタアナリシス研究 18の介入研究を分析したところ、フィットネス効果の大きさは十分な強度があり選択的にフィットネスプログラムを実行することで利益を最大化させることができる。

その他トレーニング介入期間、トレーニングのタイプ、セッション時間、性別など多くの要因によってもフィットネス効果に影響を与えた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12661673/

組み合わせ運動によるBDNF増加の相乗効果

急性レジスタンストレーニングとHIITの組み合わせは、それらの単独の運動よりも、運動をしない肥満成人のBDNFなどの神経栄養因子を増加させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6030369/

組み合わせエクササイズによって注意力と作業記憶力が改善

メタアナリシス 有酸素運動だけでは作業記憶能力は向上しない。イメージング研究では背側前頭前野の容積変化が示されていない。

有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせた介入が有酸素運動のみよりも注意力と作業記憶を改善した。併用療法

有酸素運動は、健常な成人の認知能力の中程度の改善をもたらす。

より長い介入試験では、注意力、処理速度の向上が見られたが、軽度認知障害を有する被験者では記憶に大きな改善を示す傾向があった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2897704/

onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jgs.15241/full

性差 BDNFの上昇は男性で有利

12週間の混合低負荷トレーニング(LOW +)により、高齢男性の循環BDNFが大幅に増加することが示された。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28244559

歩行・ウォーキング

歩行運動

脳の機能的改善には12ヶ月が必要

ランダム化介入試験 運動(歩行)訓練した高齢者のグループの訓練時間は6ヶ月では有意な効果は現れず、12ヶ月後に脳の機能的連結(fMRI)に有意な効果が生じた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20890449/

運動による神経学的改善には閾値効果が必要

高齢者44人 12ヶ月の縦断研究 週3回 45分/回 歩行有酸素運動

神経生理学的効果は広範囲に及んだが、行動レベルでは効果は弱かった。

神経生理学的変化と認知的変化との間には直線的な対応関係はないと推定される。

むしろ、神経生理学的変化は、構造的/機能的変化の特定の閾値が凌駕された場合にのみ、行動レベルでの観察が可能になる。(Cabeza、

これは、身体運動のポジティブな効果は脳活動の変化として現れるといえるが、そのことが必ずしも認知能力の変化として同時に観察できなければならないというわけではない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21441997/

 

歩行速度

歩行速度の遅さは認知機能低下の予測指標

歩行速度の低い下位25%の参加者は、有意な認知低下(MMSE3ポイントの下落)する可能性が高かった。歩行速度は将来の認知障害予測の良い予測因子。

高速歩行速度が1.3m/秒(時速4.68km)を下回ると認知低下リスク(SCD)は3倍以上高まる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/pmid/19549981/

歩行時間よりも歩行速度が認知能力と関連

歩行速度の低下(と、それに伴う歩行時間の長さ)は、低い認知能力と強く相関する。

認知能力が良好な場合、歩行時間は認知能力の弱い指標だが、認知能力があまり高くない場合、歩行時間と認知能力との関係が強いことが示唆される。

「walking cognitive performance ncbi 」の画像検索結果

 

journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0103211#pone.0103211-Burgess1

 

歩行の複雑性

変動性・フェーズ(歩行周期)・タンデム

歩行の7つ要因 リズム、変動、フェーズ(歩行周期)、ペース、旋回歩行、タンデム歩行、サポートベース

年齢の高さは悪い歩行と関連し、変動性、フェーズ(歩行周期)、タンデムにもっとも強い関連性を示す。

linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0966-6362(12)00332-3

歩行速度と実行機能の関係は複雑な歩行で大きな差に

複雑な歩行タスク 物を拾う、大荷物の持ち上げ、障害物歩行、参照しながらの歩行

障害物歩行、物を拾う歩行では、実行機能の低下を示す参加者の歩行速度が、優れた実行機能を示す参加者よりも遅い歩行速度となった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17047008/

 

課題を伴った歩行 コグニサイズ

縦断研究 身体活動の強度、持続時間よりも、平均強度と活動の変化が、総合的な認知機能と有意に関連していた。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18043306/


作業を伴う複雑な歩行を行った時に認知レベルへの影響が示唆された。

journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0103211

コグニサイズのデメリット

歩行中に認知課題が組み込まれる場合、歩行タスクの認知要求は増加せず認知的リソースが分割される。そのことによって認知的な柔軟性を損なうかもしれない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16719694/

 

 

運動の要素

運動活動量の効果

高レベルの身体活動

身体活動量が最も高いレベルで神経変性疾患リスクが最も低い。

高レベルの身体活動は、認知症のリスクを28%低下させ、アルツハイマー病を45%減少させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18570697/

一日60分

10年間の縦断研究 一日あたりの運動活動量60分を切るととMMSEが平均1.7ポイント低下、活動的な男性よりも2.6倍早い認知機能の低下。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15623693/

中等度の運動は激しい運動と同じ効果

中等度の運動は軽度認知障害リスクを39%低下させる。

激しい運動にも保護的な効果が示唆されたが、有意差はつかなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20065133/


低い運動量、高い運動量の両方で認知低下と負の関連があった。

30分以上週三回の運動

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15249848/

 

自発的運動の効果

 

1 規則的な運動を楽しくすることに焦点をあてる

好きなアイスクリームを買いにいくためなど、報酬を考える。

2 努力と計画が必要

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18548177/


自発的運動が、シナプス調節およびシグナル伝達のカテゴリーに属する遺伝子の発現を上昇させる。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15159540/


自発的な運動により感覚情報処理が必要とされるとき、左尾状部のrCBF、前胸部、左補助運動領域(SMA)、右頭頂下皮質、左傍海馬回などの脳の中心部位活性が増加する。

onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/hbm.10103/abstract


 

運動効果の持続性

運動の効果は、一度得るとやめてもしばらくの間脳回路に何らかの形で保存されている。

BDNFの利用可能性は1~2週間上昇を示す。3~4週間で戻る。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20219647/


毎日および隔日の運動はBDNFを増加させ、3ヶ月後運動が終了しても数日間は上昇したままであった。

さらに運動をしない動物ではBDNF誘導に数週間必要だが、運動を経験した動物では2週間運動を休止した後運動を再開した際、急速にBDNFが上昇した。分子がBDNF誘発の記憶をしている可能性。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15896913/

 

運動と相互作用する要素

運動と食事の相互作用

図14

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3951958/figure/F14/


DHAはシナプス可塑性および認知機能への運動効果を高める。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17413844

 

図16

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3951958/

運動とDHAの認知機能改善効果

運動がDHAと相互作用して、軸索成長、シナプス可塑性、認知機能を高める。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19446534/


画像、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はnihms162299f1.jpgです。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2805706/figure/F1/

運動とDHEAの身体機能改善効果

無作為化二重盲検プラセボ対照試験

50mg/日のDHEAを6ヶ月間投与 毎週2回90分の運動療法に参加 DHEA、エストラジオール、エストロン、テストステロンを含むすべてのホルモン濃度に顕著な変化をもたらし、虚弱な女性の下肢の強さと機能を改善した。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20863330

運動中の水分不足は認知機能に影響を与える

運動中のアスリートは15分ごとに1カップ(236cc)の水を飲むべき。

運動中、水分を飲むことが、運動能力および認知能力(ストロープ試験)の両方に悪影響をおよぼす可能性がある。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4993146/

 

遺伝子・脳波・代謝因子

バイオマーカー

メタアナリシス MCI、または軽度の認知障害を有する患者への運動によるバイオマーカーの影響

介入群では、脳由来神経栄養因子、コレステロール、テストステロン、エストラジオール、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)およびインスリンに有意な影響があった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26379621

 

運動とエピジェネティクス

運動はBDNFの遺伝子発現に影響を与える

運動はBDNF遺伝子のプロモーターIV領域に局在するヒストンアセチル化およびDNAメチル化に影響を及ぼす。

プロモーターIV(以前はプロモーターIII)を含む転写は、シナプスの可塑性および学習および記憶を媒介することができ、エピジェネティックな制御を受ける。

図13

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17413844

 

P3レイテンシー

刺激に対して情報処理を行う脳波P3成分の潜時は、認知処理速度の尺度として用いられている。

写真、イラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名はnihms510285f2.jpgです。

 

若年者では高い身体活動がP3潜時と関係していたが、高齢成人グループ(60~70歳)では身体活動量が少ないほどp3潜時と関係していた。

図3

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3951958/

高齢者では高い活動量中のタスク処理によって認知処理速度は高まらない

刺激に対するP3aおよび、P3b成分の年齢別、タスク別脳マッピング

若年者では運動量が高い場合にP3成分が大きい振れ幅を示す。

高齢者では識別が簡単なタスクの場合は、若年者同様運動活動量が多いいとP3成分の振れ幅が大きくなるが、識別困難なタスクでは運動の活動量による変化は示されなかった。

図2

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19170947/

 

分子メカニズム

運動 > BDNF > IGF-1や他の神経栄養因子との相互作用 > シナプス可塑性、神経新生

図10

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15548201/

 

図8

 

総まとめ

・自発的に運動を始めることで、認知症患者にとって重要な脳領域の活性が高まる。

まずは本人が始めてみたいと思う運動をしてみよう。

・努力と計画が大事。またはしなければならないではなく、必ず毎回運動の報酬を考える。運動の後に好物のアイスクリームを食べるなど。

ウォーキング

・運動習慣のない人が何をしていいかわからない場合「散歩から始める」はかなり正しい。

・歩く習慣が身についたら目標8000歩をめざそう。8000歩あたりで効果は横ばいになる。

・歩いて認知機能を高めるためにもっとも重要な要素は、早足で歩くこと。(時速4.7km以上)

次に、重要な3つの歩行の要素

・変動性:歩く速さに変化をつけること

・歩行周期:ペタペタ歩かず軽やかに歩くことを重視しよう。

・タンデム歩行:バランス感覚を鍛えるような歩き方をしてみよう。例、白線の上をはみ出ないように歩く。継ぎ足歩行。不安定な場所を歩く。

筋トレ&有酸素運動

・筋トレと有酸素運動はそれぞれ異なる認知機能への効果があり組み合わせが最強。

・もし可能なら筋トレ&有酸素運動にHIIT(高強度インターバルトレーニング)も加えたい。

・しかし、一つを選ぶなら有酸素運動

・有酸素運動は心拍計必須、初心者は最大心拍数の60-70%が目標、慣れてきたら最大心拍数の70-80パーセントを目指す。

・心拍計は正確に測るなら胸ベルトタイプ、使い勝手を選ぶなら腕時計型。腕時計型は高品質のものでないと有酸素運動時の心拍が正確に計れない。

・有酸素運動に慣れてきたら、有酸素運動に変化を入れてみる。軽いHIIT、3分低強度、3分高強度など。

・バトミントンやテニス、スカッシュのようなオープンスキルと有酸素運動を必要とする運動は、ジョギングなどのクローズドスキルによる有酸素運動よりも高いBDNFを放出させ、認知機能の改善に異なる効果を与えることが示されている。選択が可能であればオープンスキル+有酸素運動を選び、さらなるベストな選択はオープンスキルとクローズドスキルの両方タイプの運動を行う。

運動効果が現れる期間

・運動の効果は複雑かつ複合的、短期、中期、長期すべて異なる経路で作用する。

短期

・海馬は短期的に敏感に反応する。また運動の強度と相関する。脳機能も高まるがこれは神経成長因子の増加と直接的に関連している可能性が高い。

中期

・遺伝子(エピジェネティクス)は中期的、3週間~一ヶ月ぐらいで反応する。これはやめても2週間ぐらいは記憶されている。

長期

・脳の機能的な接続性の強化改善、これには最低12ヶ月かかる。つまり継続がとても大事

運動の複雑性

・運動の種類は実はいろいろ混ぜたほうがいい、ただし強度を保つことが条件。

・好みで一度の運動に他種目の運動を設けても良いし、一週間ごとにメニューを変えるといったパターンでも良い。

・加えたい運動の複雑性

バランス 継ぎ足歩行、バランスクッション、白線ラインをはみ出ないように歩く

俊敏性(アジリティー) 加速と減速の繰り返し、だるまさんが転んだ、など

コーディネーション 足と腕を異なるタイミング、リズム同時に動かす、ダンスなど

運動強度

・高齢者の相対的な強度設定は、若年者よりも少し落としたほうがいいかもしれない。

スケジュール

・運動強度も大事なのだが、頻度も核心的に重要。

・有酸素運動の理想的な頻度は週5回

・高齢者の高強度の筋トレは週二回がベスト、ただし中強度なら3回以上

・ゴールデンスケジュールは、筋力トレーニング週2回、有酸素運動週5回。

・半分の頻度、筋トレ週1回、有酸素運動週2.5回は、ゴールデンスケジュールと比較して効果として劣るもののそれなりの効果はある。

・筋力トレーニングと有酸素運動は別々の日に行っても、同日に行っても構わない。

・同日に行う場合は有酸素運動を最初に行う。しかし筋力を集中的に鍛えたい場合は筋力トレーニングを最初に行う。

 

食事

・DHAは運動に重要な付加的効果をもつ。運動前にDHAを摂取しよう。

・単体だと吸収力が弱い。そのためDHAの摂取タイミングは運動直前かどうかよりも、他の脂質と一緒に摂ること。朝の運動であればバレットプルーフコーヒーと同時接種がいいだろう。

・DHAとウリジンの組み合わせも強力なので、ウリジンも加えたい。

・さり気なく水分補給は重要で、不足すると即座に認知機能の低下をまねく。激しい運動の場合は15分おきにコップ一杯の水を飲む。

コグニサイズ(運動中の認知課題)

・有酸素運動時のコグニサイズは推奨されない。

・優先順位としては有酸素運動がまず先、その上で運動をしながらのコグニサイズは課題の難易度設定を適切なものにした上で行って初めて有益なものとなる。(高齢者)

神経学的変化

・BDNFはやはり鍵、ついでIGF-1

・運動によって起こる神経学的な変化は多岐にわたるが、それが観察できるには大きな山がある。言い換えれば、変化を感じれたら、神経学的なレベルでは相当に改善しているということ。

キーワード

有酸素運動&筋トレ、活動量、強度、継続、期間、頻度、多種類、DHA、自発的、BDNF、IGF-1、ミトコンドリア、ADP

 

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