脱ヨード酵素/D1、D2、D3(アルツハイマー病)

デヨージナーゼ(リコード法)

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TSH(甲状腺刺激ホルモン)

T4(サイロキシン)/T3(トリヨードチロニン)/rT3(リバースT3)

脱ヨード酵素(D1、D2、D3)

脱ヨード酵素の阻害因子・T4→T3の変換障害要因

ヨウ素・トランスサイレチン

低T3症候群 (Low T3 Syndrome)

天然甲状腺ホルモン補充療法(乾燥甲状腺末)

バイオアイデンティカルホルモン補充療法(BHRT)

概要

脱ヨード酵素は全身および細胞内の甲状腺ホルモンを活性化または不活性するペルオキシダーゼ酵素。

T4からT3への変換は、脱ヨード酵素(D1、D2、D3)によって変換される。

何らかの理由でT4レベルが低下したとしても、脱ヨード酵素が正常に機能していれば比較的正常なレベルの甲状腺ホルモンを細胞内で維持することができる。

特定のアルツハイマー病患者で見られる低いT3(低T3症候群)は、この脱ヨード酵素と関連があると推測されている。

脱ヨード酵素の破壊

T3の循環の80%は脱ヨード酵素によって制御されるため、脱ヨード酵素系が破壊は血清T3ホメオスタシスに大きく干渉する。

HPT軸および脱ヨード酵素系の障害への治療に対しては、血清T3を安定させ維持することを最優先するべきであることが動物モデルによって示唆されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4699302/

アルツハイマー病

いくつかの実験研究では甲状腺の状態が、ベーアアミロイドの沈着、神経細胞のアポトーシスなど、アルツハイマー病の発症因子との関連があることを示した。

おそらくはT4からT3への変換に関わる脱ヨード酵素活性の変化が、甲状腺への影響を与えたものと示唆される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20021390/

D1/DIO1

役割

主な役割は、rT3のクリアランスそして血漿T3の生成。

T4からT3への変換の30%を担う。

rT3をT2に変換する。

D1は発現はT3、TSH、TSH受容体抗体によって刺激される。(TSH受容体抗体はcAMPによって媒介される)

D1が減少するとfT3が低下し、血清T3と血清T3が減少する。

部位

肝臓、腎臓、甲状腺(細胞質膜)、下垂体組織に見出されるが、中枢神経系には存在しない。

「dio1 dio2 pathway dio3」の画像検索結果

www.nature.com/articles/nrendo.2013.258

性別により異なるD1活性

D1はメスのラットにおいて低い活性の傾向にあり、正常なTSHであるにもかかわらず、甲状腺機能低下症を伴ううつ病、疲労、線維筋痛、慢性疲労症候群を起こしやすい。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8824891

LXRα、RXRα

LXRα、RXRαはD1を調節することにより、甲状腺ホルモンの活性化に特異的な役割を果たす。

journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0179213

DIO1阻害要因

炎症

炎症はDIO1活性を阻害する。

D1を阻害すると、血清T3が20%低下させ血清TSHを2倍にさせたが、T4レベルは安定したままであった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/805160/

LPS

LPSによるDIO1活性の減少、DIO2活性の変化は観察されなかった。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23296981

飢餓応答

飢餓状態では、肝臓のD1発現が阻害され基礎代謝速度が低下する。

D1発現は肝臓の甲状腺状態の敏感な指標。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15591136

低テストステロン

男性の低いテストステロンは、下垂体のD2は変化させずD1だけの活性を低下させる。そのため、TSHの上昇もなく、T3レベルの低下をもたらす。

セレン欠乏

ラットのセレン欠乏はD1発現が著しく低下するが、D2およびD3活性は直接影響を受けない。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC443335/

うつ病

多くのうつ病および双極性障害の患者では、D1のダウンレギュレーションが引き起こされ細胞内T3レベルの低下と血清T4レベルの増加をもたらす。

D3がアップレギュレートされrT3が上昇し、甲状腺活性作用を阻害する。

また、うつ病患者では輸送タンパク質、トランスサイレチンの障害によりT4の脳関門輸送が減少することが研究によって示されている。

www.nahypothyroidism.org/deiodinases/

慢性疼痛

慢性疼痛は脱ヨード酵素D1を有意に抑制し、D2をアップレギュレートし、TSHは変化させず組織中のT3レベルの減少をもたらす。

これらの甲状腺機能低下症は血清TSH、T4試験では有意に検出されない。

オピオイド系鎮痛薬はTSHの変化なしにT3レベルの低下を改善する潜在的な可能性がある。オピオイドはD1を抑制するがD2は抑制しないため、抑制されたT3レベルを逆転させる作用はない。

痛みの専門家は、重大な痛みを伴う患者、またはオピオイド系鎮痛薬使用者に対してT3補充が推奨されることの理解が求められる。

www.nahypothyroidism.org/deiodinases/

D2/DIO2

役割

甲状腺の生理学的な状態の変化に応答して適応する働きをもつ。

T4からT3への変換の大部分(70%)を担う。

rT3をT2に分解。

部位

中枢神経系、脳、下垂体(小胞体)褐色脂肪細胞組織、甲状腺、骨格筋、心臓で見出される。

D2の変化要因

D2はcAMP応答性遺伝子であるため、アドレナリン/cAMP伝達経路はD2の転写制御を媒介する。

D2は、D1と対照的にストレス、うつ病、ダイエット、体重増加、PMS、糖尿病、レプチン抵抗性、慢性疲労症候群、線維筋痛症、炎症、自己免疫疾患および全身性疾患といった生理学的および精神的状況に対して抑制ではなく、アップレギュレーションされる。

D2に問題があると、fT3が低下する可能性がある。

D2はT4があるときには20分の半減期で不活性化されるが、T4が存在しないと半減期が数時間に延長される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21679772/

関連画像

www.pnas.org/content/107/16/7604

骨の強度

骨の石灰化と強度には、DIO2が必要。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14993610

インスリン抵抗性

DIO2関連遺伝子変異とインスリン抵抗性の関連性

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11872697/

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20566590/

インスリンの増加

インスリンの上昇はD2活性を増加させ、TSHレベルを抑制し、甲状腺レベルを低下させある。

健常者ではT4からT3への変換率は77%だが、糖尿病患者のT4→T3の変換率は45%でありリバースT3が増加していることが示されている。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/429531

D3/DIO1

役割

T4をrT3に変換する不活性化酵素。(rT3は不活性型のT3)

T3をT2にも変換する。

D3は多因子的な作用によって活性化される。

部位

皮膚、血管腫、子宮と胎盤(細胞質膜)に強く発現

「dio3 thyroid low-t3」の画像検索結果

www.mdpi.com/1422-0067/19/6/1804/htm

脳保護効果としてのDIO3

過度の甲状腺ホルモンは脳の発達および機能に対して有害な影響があることが示されている。

発達中の脳、または成人脳において強力に発現するDIO3は、過剰な甲状腺ホルモンの毒性を予防する上で重要な役割を果たす。

www.mdpi.com/1422-0067/19/6/1804/htm

D3は中枢神経系における甲状腺ホルモンホメオスタシスに重要な役割を果たし、甲状腺毒からの脳領域の保護という特異的な役割を担う。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2954712/

IL-6(炎症性サイトカイン)

IL-6は、D1、D2活性を低下させ、D3を活性させる。

低酸素

低酸素または虚血条件下で、D3は甲状腺ホルモンを不活性化する核膜に挿入され甲状腺ホルモンシグナル伝達が減少する。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22723689/

癌におけるD3活性は非常に高く、消耗性の甲状腺機能低下症に至ることもある。

D3ノックダウンマウスの基底細胞がんの増殖は5分の1まで減少。

組織rT3およびT3 / rT3の高い比率はHPT軸(視床下部 – 下垂体 – 甲状腺)の変化に加えて、重大な病気における甲状腺ホルモンの減少に組織特異的な機構が関与していることが示唆される。

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16174716

www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18815314

T4→T3変換障害の要因

脱ヨード酵素の阻害因子・T4→T3の変換障害要因

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